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倒産リスクを減らす『現金基準』の意思決定
2025.10.16
忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
「黒字なのにお金が足りない」という状況は、現金管理の不足が原因で起こります。
会社が倒産する直接の理由は「利益不足」ではなく「現金不足」。
利益は未来の入金を含む「意見」ですが、現金は誰の目にも明らかな「事実」であり、
給与や家賃など支払いには現金のみが使えます。
そこで、最低限確保すべき現金ラインを設定して、
それを守るための借入や節税、投資などを判断しましょう。
最初にチェックすべきは貸借対照表(B/S)の現金残高であり、
今後の資金繰り表を作成・更新することで、将来の資金不足を防げます。
結局、「Cash is King」という言葉は知っているだけでは意味がなく、
実際に現金を「王様」としてあらゆる経営判断を下すことこそが、
会社の未来を支える最短距離なのです。
本文
先日、とある経営者と話をした際に、こんな質問をされました。
「この投資をしても大丈夫なのか判断がつかない」
その質問に対して「考え方」をお伝えしたのですが
その重要性が腹落ちしていない様子でした。
「このままでは、まずいことになるかもしれない」
そう感じたのが本稿を書こうと思ったきっかけです。
財務の「キホンのキ」ともいえる部分ですので
是非一読してみて下さい。
なぜ「現金は王様」なのか
「黒字のはずなのに、月末がいつも苦しい」
「事業も順調に成長している」
なのに、月末が近づくと現金がいつも心許ない。
この矛盾は、黒字倒産の入り口です。
「会社は利益不足では倒れず、現金不足で倒れる」
まずは、この現実をしっかりと腹落ちさせましょう。
この記事では、なぜ「Cash is King(現金が王様)」なのか、
そして、現金を基準とした意思決定がなぜ大切なのかを、
具体的な実践方法と共にお伝えします。
これは、財務の専門家でなくとも、すべての経営者、そして次代を担うリーダーが必ず身につけるべき経営の羅針盤です。
利益は「意見」 キャッシュは「事実」
P/Lの利益には売掛金や在庫など、まだ現金化されていない要素が混ざります。
解釈で揺れる「意見」に近い数値です。
一方、B/Sの現金・預金残高は今この瞬間(決算日)に使える資金のことです。
誰が見ても変わらない「事実」であり、企業の生死を握ります。
現金が「王様」である3つの理由
1.支払いは現金でしかできない
給与・家賃・仕入・税・返済等。支払日に残高が尽きたらゲームオーバー
2.現金は選択肢と時間を買う
想定外や好機に、撤退/延命/再投資を選べるのは手元資金がある会社だけ
3.成長は先払い
売上増は在庫・売掛・買掛を膨らませ、黒字でも資金は痩せる。
伸びる会社ほど現金管理が生命線
決算書が雄弁に語る「現金こそが最優先」という真実
多くの経営者は、決算書を受け取ると真っ先に損益計算書(P/L)を見て、
「今期は儲かったか、損したか」に一喜一憂しがちです。
しかし、決算書の正式な並び順は、必ず貸借対照表(B/S)が先で、その次に損益計算書(P/L)です。
そして、そのB/Sの一番上に記載されている勘定科目(トップライン)こそが、「現金及び預金」です。
これは偶然ではありません。
決算書は、「経営者よ、何よりも先に会社の現金の状態を確認しなさい」という、
財務や経営者としての原則に基づいた強力なメッセージを発しているのです。
財務分析とは、小難しい経営指標(〇〇比率など)をこねくり回すことではありません。
まず自社の現金を、以下の3つの視点で徹底的に分析することからはじめましょう
ストック:確保すべき現金残高を維持できているか
増減:過去1年~3年間の残高推移
予測:半年後・1年後の見込み残高
経営判断のすべてを「最低現金基準金額」から逆算する
まず自社の最低現金基準金額(目安:固定費の6か月分 月商の3か月分など)を決める
以降の意思決定はこの物差し一本です
借入は悪か? 現金残高維持のための借入は「善」 「借りるか否か」ではなく、「必要現金を守れるか否か」が判断基準
節税は? 現金を痩せさせる(基準金額を割り込む)節税は本末転倒
投資は? 投資後も基準金額を割らないかで判断。割るなら借入をする
在庫は? 在庫増により現金が基準額を割るなら減らす。維持できるなら必要分は持つ
明日からできる現金管理 4ステップ
3か月先までの資金繰り表を作り毎週更新(ズレ=改善点)
最低現金ライン(黄ライン/赤ライン)を設定し、到達前に手を打つ
回収前倒し・支払後倒しを標準化(着手金/中間金・口座振替・サイト交渉)
週15分の資金会議:入出金差分→危険ポイント→誰が/いつまでに/何をの3点だけ決める
まとめ:未来の自由は、今日の現金残高から生まれる
利益は過去の採点、キャッシュは未来の自由
この言葉を、ぜひあなたの経営の第一の哲学としませんか?
すべての意思決定を「その決断は、我々が守るべき現金を増やすのか、減らすのか?」
という問いに立ち返って行う。
これが、不確実性の高い時代を生き抜き、いかなる環境変化にも揺るがない、
強くしなやかな会社を創り上げるための最短距離です。
「Cash is King」を誰かの名言として知っているだけでは意味がありませんし、
本当に自社で現金を「王様」として扱えているかどうかを見直してみましょう。
さあ、今日からまずは、自社の預金残高を改めて確認し、
4週間先までの入出金予定を書き出すことから始めてみませんか。
その小さな一歩が、あなたの会社の未来を大きく変えるのです。
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たった一言の投資で未来が変わる – お金より強い「承認」の法則
2025.10.10
忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
給料は組織運営の土台だが、それだけでは社員の心は動かない。
人が本当にやる気を出すのは「認められた」と感じた瞬間だ。
ある会社で始めた「感謝カード」の取り組みが、組織全体の雰囲気を変えた。
たった数行のメッセージが、会議を柔らかくし、顧客対応を丁寧にした。
給料は「痛み止め」で不満を減らすが、承認や感謝は「栄養ドリンク」として内側から力を生む。
両方必要だが、多くの組織に不足しているのは後者だ。
効果的な承認には仕組みが必要:①日々の貢献を可視化、②具体的な言葉で伝える、③挑戦自体を評価する。
スポーツ界使われている「ペップトーク」(受容→承認→行動→信頼)も職場で有効だ。
今すぐできる第一歩は、感謝のポストイットを1日1枚書くこと。
小さな「ありがとう」の積み重ねが、組織を自走させる原動力になる。
なぜボーナス翌日に辞表が出るのか
お金より「ありがとう」で人が動く理由
ボーナスを奮発した翌日、主力から退職願。
「うちは結局、金でしか動かないのか」と肩を落としたことはありませんか。けれど本当は逆です。
人が本気で動くのは、給与明細を見た瞬間ではなく、「あなたを見ている」と認められた瞬間です。
一枚のカードが、空気を変えた
とある会社で、社員同士が感謝を手書きで送り合う「感謝カード」を始めました。
「昨日の資料、助かったよ」「あの一言で救われた」たった数行のメッセージが行き交ううち、
会議が柔らかくなり、顧客への一言が丁寧になり、チームの温度が上がっていきました。
高価な評価制度や人事制度ではなく、言葉が関係を変え、行動を変えたのです。
つまり 「報酬」よりも「承認」が、人を動かす時代になっているのです。
参考
日本企業で、 パーソル総研が行った実験では、
社員同士で「感謝カード」を送り合う仕組みを導入したところ、
受け取った社員の顧客対応力や職場満足度が明確に上昇しました
給料は「痛み止め」承認は「栄養ドリンク」
比喩で整理しましょう
給料・待遇=痛み止め
足りないと不満は強まる。まず整えるべき土台です。ただし、痛みが引いてもやる気は勝手に増えない
承認・感謝・期待=栄養ドリンク
内側から力が湧きます。自発的な一歩を生む源泉
どちらも必要です。しかし、「痛み止め」は一時の対処であり
「栄養」は持続的な健康を保つ。ただし、土台を整えた後に足りないのは「栄養」の方であることが多いのです
まず「仕組み」 次に言葉
思いつきの称賛は続きません。習慣化の仕組み→効果的な声かけの順で整えます。
仕組み① 可視化する
日々の小さな貢献やお客さまの声を、朝礼・社内チャット・掲示で共有
「誰かが自分を見ている」という安心が、相互承認を生む
仕組み② 言葉にする
経営層や上司、同僚が毎日一人、具体的な事案を添えて伝える
NG:「みんな、がんばってるね」
OK:「今日のクレーム対応、初動が早かったおかげで大事にならずに助かった」
仕組み③ 祝う対象を広げる
結果だけでなく挑戦と誠実な失敗を称える。「ナイスチャレンジ賞」「撤退賞」などで、試行回数を文化にする
ペップトーク:心に火を点ける4ステップ(30秒で実践できる!)
スポーツの現場で使われる「勇気づけの型」は、職場でも強力です。
受容(事実を受け止める)
「難案件、最後まで粘ってくれたね」
承認(可能性を信じ、「あるもの」を伝える)
「今回は残念だったが、君の力は十分示せた」
行動(次の一手を具体化)
「まず原因を3つだけ洗い出そう」
信頼(背中を押す)
「大丈夫。何かあっても私が受けとめるから」
ポイントは短くポジティブに。
相手の脳に「安心(承認)」→「意欲(期待)」→「行動(具体策)」の順でスイッチを入れましょう
「言葉の投資」を数字の習慣に落とす
フワッと終わらせないために、週に10分、時間を使いましょう
1on1でも結構ですし、部や課やチーム全体で行ってもよいと思います
承認:今週の「ありがとう」を3件共有
チャレンジ件数:新規挑戦と撤退の本数を確認
次週の約束:挑戦テーマを宣言
ここまでくると、「承認=やさしさ」ではなく、成果を生み出す為の運用方法になります
コラム
「学校で先生が出題し、子供たちが手を上げる」
昔は、当たり前の光景でしたが、最近は手を上げる子が減ってきているようです。
理由は「間違っていたら恥ずかしい」「最初に手を上げるのは抵抗がある」など様々。
この「間違っていたら恥ずかしい」という気持ち、理解できますよね。
しかし、これでは、挑戦することに臆病になってしまうこととなります。
では、どのような対策があるのか?
1 「挑戦には、失敗はない。あるのは「成長と学習」だけ」という考え方
2 「正解」以外も評価をする。「手を上げる1点 発言1点」
3 「ファーストペンギン」を称える「君のおかげで空気が変わったよ」
こんな対策や声かけは、いかがでしょうか?
学校に限らず、企業内でも挑戦を奨励する文化を育むために非常に有効です。
お金は燃料、言葉は点火プラグ
売上や利益は過去の結果です。未来を決めるのは、現場で毎日交わされる短い一言です
お金は会社を回す燃料
言葉は人を動かす点火プラグ
二つが噛み合うと、組織は力強く、自走をはじめます
すぐにできる「今日の一歩」(所要1分)
全員に「感謝専用ポストイット」を配布
帰る前に1枚だけ書く(誰に/何が良かったか)
相手のデスクに貼る。もしくは、明日の朝、本人に手渡しする
人は給料で働き始め、感動で働き続ける
その感動は、あなたの一言から始まります。
まずは今日、社内ですれ違う誰かに、具体的な行動に対する「ありがとう」を言ってみませんか?
小さな「ありがとう」の積み重ねで、会社の空気は変わります。
いつも「癒し」をありがとう!
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「ゲームの『やめられない』秘密を仕事に取り入れろ! 数字を冒険の味方に変える方法」
2025.10.09
忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
スマホゲームがやめられない理由を経営に活かせないか?
ゲームが人を夢中にさせる4要素:
①明確なゴール ②絶妙な難易度 ③即時フィードバック ④成長の可視化
これらを経営に応用すれば、数字は「敵」から「味方」に変わります。
実践方法:
ビジョンを「ラスボス」、目標を「クエスト」として物語化
週次で「獲得経験値」を共有し、小さな勝利を積み重ねる
プロセスに裁量を持たせて「自分ごと化」を促進
明日から始める3つのアクション:
A4一枚の「見える化シート」で現在地を把握
「あと1回」ルールで最小の勝利を積む
短期報酬でモチベーション維持
経営を「攻略したくなる冒険」に変えることで、リーダーの熱がチームに伝播し、組織全体が活性化します。
本文
自分や子供たちを見てて思ったのです。
「なぜ、スマホゲームがやめられないのだろう?」
知らず知らずのうちに引き込まれる「没入感」
1円にもならないのに感じる「達成感」
そんな経験、ありませんか?
実は、ゲームだけではなく、流行っているテーマパークでも
人を夢中にさせる「仕組み」を取り入れています。
わかっていても、見事にハマってしまい
その結果、長い行列に並ぶことがわかっていても、何度も訪れてしまいます。
ならば、この仕組みを「私自身の仕事」に活かせないかと考え
自身に導入した経験をもとに、本稿を書き進めていこうと思います。
1個人はもちろん、社員さんのモチベーションアップへの手段としても
お使いいただければと思います。
売上報告や月次決算は、本来「羅針盤」であるはずなのに、見るたびに気が重くなる。
ゲームのスコアを見ても、気が重くなることはないですよね?
実はこの差は、面白さを生み出す設計の有無に尽きます。
人を動かす原理原則は、ゲームも経営も同じなのです。
違いは、ゲームは徹底的に「夢中の仕組み」を作り込んでいるのに対し、
経営ではその視点が抜け落ちがちなところです。
ならば、ゲームデザインの思考を経営に移植すれば、
数字は「敵から味方」に、日々の業務は「攻略したくなる冒険」へと変えることができるはずです。
夢中を生む「4つの要素」
では、ゲームが人を夢中にさせる理由を考えてみましょう
① 明確なゴール
「ラスボスを倒す」「レア装備を集める」など、目指す地点が一目で分かる
曖昧さがないから、エネルギーが一点に集まります
② 絶妙な難易度
易しすぎれば退屈、難しすぎれば挫折
「あと少しで届く」クエスト(課題)が挑戦意欲と成長を引き出します
③ 即時フィードバック
攻撃すればダメージ数値、倒せば経験値が即手に入ります
行動→結果の時差が小さいほど手応えが続き、次の一手が明確になります
④ 成長の可視化
レベル、スキル、装備の強化など、昨日の自分との差分が見える
前進の実感が粘り強さを生みます
これらは「自分の意思で選び、自分のペースで進められる」主体性と結びついた瞬間に最大化します。
強制されたタスク(仕事)は、どんな名作でも「作業」に変わります
数字は敵ではなく「冒険のコンパス」
数字が苦痛に感じるのは、「評価・叱責・プレッシャー」と結びついているからです。
本来、数字は中立の情報です。
HPが20%なら「回復せよ」というサインであり、経験値は「あと何戦でレベルアップか」を示す目安。
経営でも
売上・粗利・固定費=現在地を映すステータス画面
広告費対効果=有効な装備の評価
商談件数・受注率・顧客の声=行動と結果を結ぶ戦闘ログ
数字は責める道具ではなく、次の一手を決める羅針盤です。認識が変われば、数字は頼れる相棒になります。
経営に実装する「ゲームデザイン思考」
1 ビジョン=ラスボス、目標=クエスト
大きな理念を日々の行動に落とすため
年間目標=中ボス、月次目標=エリア攻略、週次目標=デイリークエストと分解しましょう
例:「今月1,000万円」→「新規市場の砦攻略(新規10社獲得)」へ「物語化」
各クエストに達成基準と報酬(インセンティブ/称賛/経験値)を必ずセットにしましょう
2 小さな勝利の連続(経験値デザイン)
週1で「今週の獲得経験値(できたこと・学び・感謝)」共有し
ポイント化することにより可視化し、月間MVPを表彰
日報は「冒険日誌」として、成果/学び/明日の作戦を短く記録
成長の言語化・可視化がやる気を持続させます
3 裁量と選択の余白
「このクエストは君に任せた。攻略法は自由に。」
目的地は共有しつつ、プロセスの裁量を渡すと仕事は「自分ごと化」に変化します
その上で、丸投げはせず、定期的な声かけと支援をセットで行っていきましょう
明日から始める3アクション
① A4一枚の「見える化シート」
活動量(提案・面談・フォロー)、見込み案件、今月の売上・粗利・固定費を一枚に集約
毎朝5分見るだけで、数字が「頼れる地図」になります
② 「あと1回」ルール
気が乗らない日ほど、電話・メール・提案をあと1件やってみる
最小の勝ちが次の行動を呼び、流れを生みます
③ 短期報酬の設定
クエスト3つ達成でお気に入りコーヒー、週目標達成で金曜は定時退社など
即時報酬×スモールステップが継続性を高めます
おわりに 最高のプレイヤーであり続ける
仕事はもちろん遊びではありませんが、設計し直せば、何より刺激的な「ゲーム」になります。
数字を武器に変える仕組みを整え、数字で示された目標を「義務」から「攻略したくなるクエスト」へ
何より、あなた自身が面白がるプレイヤーであること。
仲間の熱は必ずチームに伝播します。
さあ、今日のクエストは何にしますか?
まずは「あと少しで手が届く目標」から、あなたの冒険を始めましょう。
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新人だった私を育てた、上司の「最高の失敗のさせ方」~成功を望むなら、失敗の数を倍にせよ~
2025.10.03
忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
新しい挑戦は怖いものですが、変化の速い現代では「何もしないこと」が最大のリスクです。
成功する組織は、失敗を恐れるのではなく「価値ある学習データ」と捉えています。
賢く挑戦するためのポイントは3つ
①「ここまでならOK」という損失の上限を決める
②仮説と検証計画を立て、学びを得る設計をする
③小さく、速く、複数の挑戦を並行して行う
失敗は敗北ではなく「最短の学び」です。
振り返りでは、事実から原因を探り、次の一手へ繋げましょう。
小さな決断と行動を繰り返すこと。
それこそが、未来を拓く最も確実な一歩となります。
本文
新しい挑戦の前で足がすくむ——その気持ちは自然です。
けれど、忘れてはいけないことが一つあります。
決断すれば成功も失敗も起こるが、決断しなければ何も起こらない。
表面上は安全でも、変化の速い今の市場では「何もしない=相対的な後退」です。
現状維持は、静かに積み上がる最大のリスクなのです。
「伸びている会社ほど、外から見えにくい失敗の数が多い」試行回数と学習速度が、のちの成長を決めます。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは失敗からの学びを「教育費」と捉え、
IBMのトーマス・J・ワトソンは「成功を望むなら失敗の数を倍にせよ」と言いました。
彼らは、失敗=価値あるデータとして扱い、次の意思決定の質を高めていったのです。
では、どう決断し、どう学ぶかですが、ポイントは3つ。
①上限損失を決めてから動く
金額・期間・評判の三軸で「ここまでなら負けて良い」を前置きする。上限がある挑戦は、実は安全です
②学習設計のない挑戦はただの賭け
事前に仮説・測定指標・やめる基準を決める。結果が振るわなくても、学びが残れば期待値はプラス
③小さく速く、並列に
一発大勝ちの発想を捨て、少額・短期・複線。同時に3つ走らせ、小さな当たりを太らせる
撤退は敗北ではなく最短学習です。
また、振り返りは責める時間ではありません。事実→因果→次の一手の順で考えましょう
何が起きたか(感情抜きの事実確認)
何が因果で、何が偶然か(一連の洞察)
誰が・いつまでに・何をやめ/続け/増やすか(行動・実行)
また、言葉は文化(社風)を作ります。振り返りの際には頭の中を切り替えましょう
「失敗の言い換え辞典」
「失敗」→「結果を検証しよう」
「無駄」→「学習コスト・教育費」
「責任追及」→「次回の成功への設計図を考えよう」
この『失敗を恐れない文化』を、私自身が新入社員時代に身をもって体験したことがあります。
入社1年目、「どうすればキーマンや決裁者に会えるか」を考え、
先輩の名刺を借りて営業エリア内のキーマンを一覧化。飛び込み時は名前を指名して訪ねる
という方法を思いつき、デスク一面に名刺を並べて整理していました。
それを見た上司に趣旨を説明すると、返ってきたのは二言
「よし、やってみろ。1チーム与える。人選は任せる」
「1か月間、毎週30万円の契約を上げろ。未達の時点でチーム解散」
私は内務にベテランを1名、営業3名+内勤1名は同期の新人で編成。
社内最大規模の支社で、100人近い先輩方が温かく見守る中、走り出しました。
結果、皆の協力で1か月の目標を無事達成。
ご褒美もいただき、チーム全員で「すっぽん鍋」へ。部長、ご馳走さまでした。
今考えると、部長は、入社数か月の私に
1 「失敗を恐れるな」と背中を押し
2 「失敗の上限を示し」
3 「チャレンジしていいんだ」と思わせてくれた
今でこそ、こうして言葉にすることができますが
当時の私には、それがどんなに恵まれたことだったのかは知る由もありません。
社会人としての今の私の基礎を作り上げてくれたと思います。
このように、会社に大きな損害を与えない程度の挑戦と権限を与えることは
意思決定の回数を増やし、学習の速度を格段に上げることにつながり、
組織は「自走できる人」の集まりと自然になっていきます。
まとめ
結論はシンプルです。決断は結果ではなく、前進を生む行為。
成功も失敗も、立ち止まらなければすべてが糧になります。
だから、歩みを止めない。小さく決める。素早く動く。
痛みを学びに変えて、また決める。
あなたの次の一歩が、未来を拓く最も確実な投資となります。
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「『数字が苦手』は能力の問題じゃない―会社に『青い点』を灯す財務の見える化」
2025.10.01
忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
かつて「地図が苦手」な人が多かったが、スマホ地図アプリの登場で誰もが簡単に目的地にたどり着けるようになった。
これは、GPSによる「現在地の可視化」「ルート案内」「全体像と詳細の切り替え」「心理的安全性」の4つの機能が理由だ。
経営の財務管理も同じで、決算書や試算表という「紙の地図」ではなく、
スマホのように「今の財務状況」をリアルタイムで可視化し、目標までのルートを示す必要がある。
具体的には、日次の資金残高確認、4週間の出入金予定表作成、危険ラインの設定から始めることで、資金繰りの不安を解消できる。
重要なのは、専門的な分析力ではなく、財務を「誰もが理解できる形」にデザインすることだ。
本文
なぜ、あれほどいた「地図が苦手な人」は消えたのか?
かつて、多くの人が「地図を読むのが苦手で」と口にしていました。
しかし今、スマートフォンの地図アプリを使いこなせない人はほとんど見かけません。一体なぜでしょうか?
人々の空間認識能力が向上したわけではありません。答えはシンプルです。
ツールが「地図を読み解く」という複雑なスキルを不要にし、
誰もが「ナビに従う」だけで目的地にたどり着ける体験に変えたからです。
実はこれ、経営における「財務」にも全く同じことが言えます。
多くの経営者が、決算書や試算表といった専門的な「紙の地図」を前に、
「数字が苦手だ」「どこをどう見ればいいか分からない」と感じています。
しかし、もし会社の財務状況を「スマホの地図」のように、誰もが直感的に理解できる形に変えられたとしたら?
この記事では、スマホ地図の圧倒的なわかりやすさをヒントに、
複雑な財務を「見える化」し、「迷わない経営」を実現する方法をご紹介します。
1.最大の違いは「現在地」がわかること
スマホ地図が画期的な最大の理由は、GPSで常に「現在地」と「進むべき方向」を示してくれることです。
「自分は今どこにいる?」という、最も重要で、最も不安になる問いに一瞬で答えてくれます。
これを経営に置き換えてみましょう
【紙の地図】: 決算書や試算表
先月や先々月の「過去」の地点情報です。数字の羅列から「で、今、うちの会社の状況は良いの?悪いの?」を読み解くには時間がかかります
【スマホ地図】:リアルタイムの財務指標
今の現金残高、売上、利益がひと目でわかります。会社の「今」が青い点として明確に示されるため、意思決定のスピードが格段に上がるのです
2. 目的地(目標)までの「ルート案内」機能を持つ
スマホ地図は、現在地から目的地までの最適なルートを自動で示してくれます
道を間違えても、すぐに新しいルートを再検索してくれます
これを経営に応用します
【紙の地図】 年度の事業計画書、Excelの売上目標
目標(目的地)は書いてあるが、そこまでの日々の道のり(ルート)は個人の頭の中にしかない
計画と実績がズレても、軌道修正に時間がかかる
【スマホ地図】 予算実績管理(予実管理)ツール
目標(予算)と現状(実績)の差が常に表示される
「あと50mで右折です」という音声案内のように、「目標達成まであと〇〇円」「このままでは〇〇円ショートします」といった具体的な指標が示される
これにより、迅速な軌道修正が可能になります
「計画を立てて終わり」ではなく、目標達成までの道のりをナビゲートしてくれる仕組みが不可欠です。
3. 「全体像」と「詳細」を自由に行き来する
スマホ地図は、2本の指で広域表示と詳細表示を切り替えられます。
これにより、森(全体像)と木(詳細)の両方を簡単に見ることができます。
【紙の地図】 決算書全体と、各勘定科目の元帳
両者を見比べるのは手間がかかり、つながりを理解しにくい
【スマホ地図】 現代の会計ツール
システムを使い売上を確認 → 気になる部分をクリック → どの取引先からの売上が大きいかを表示
→ さらにクリックして個別の請求書データまで確認、といったように、知りたい情報をストレスなく深掘りできる。
この「全体と詳細を自由に行き来できる」環境が、数字に対する心理的なハードルを下げ、問題の早期発見につながります。
4. 「分からない」という心理的な不安を取り除く
「道に迷ったらどうしよう」という不安は、人を臆病にします。
スマホの地図は「いつでも現在地がわかる」「道を間違えても大丈夫」という心理的な安全性を提供してくれるため、
私たちは安心して知らない場所へも踏み出せます。
経営も同じです。
「資金繰りは本当に大丈夫か?」
「この投資は正しい判断だったか?」
「社員に会社の状況を聞かれたら、どう説明しよう?」
こうした不安の根源は、「状況が正確にわかっていない」ことにあります。
財務を「見える化」することは、経営判断の拠り所となり、社長自身、そして社員に対しても
「うちは大丈夫だ」「今はこういう状況だから、次はこの一手を打つ」
と自信を持って説明するための基盤となるのです。
最初の⼀歩:「資⾦の現在地」を⾒える化する
では、何から手をつければいいのでしょうか。多くの会社がPL(損益計算書)を重視しますが、
まず整えるべきは会社の血液である「資金(キャッシュ)」の現在地です。
利益が出ていても資金が尽きれば会社は立ち行かなくなります。
以下の3つを始めるだけで、あなたの会社の地図に「現在地」を示す青い点が灯ります。
日次残高の記録:メイン口座の実残高を毎朝チェックし、どこにいても確認できるようにする
4週間の出入金表の作成:向こう4週間の確定している支払・入金の予定を日付順に並べる
危険ラインの設定:会社の規模に応じて「残高〇〇万円を下回ったら黄色信号」といった危険ラインを具体的に決めておく
目的は完璧な予測ではありません。「ズレを早く見つけて修正する」ことです。
これだけで、「資金繰りは大丈夫か?」という漠然とした不安が、
「2週間後に資金が厳しくなるから、A社への支払いを相談しよう」や
「3か月後に資金が厳しくなりそうだから、早めに銀行に相談しよう」
という具体的なアクションに変わります。
【まとめ】現在地がわかれば、会社は迷わない
「数字が苦手」なのではありません。あなたの会社が使っている財務という「地図」が、
読み解くのに特殊なスキルを要する「紙の地図」のままなだけかもしれません。
これからの経営者に必要なのは、財務諸表を読み解く専門的な能力以上に、
会社の状況を「スマホ地図」のように誰もがわかる形にデザインし、チーム全員で目的地へ向かう力です。
まずは、あなたの会社の「現在地」を示す、キャッシュという名の青い点を灯すことから始めてみてはいかがでしょうか。
それだけで、経営の景色は大きく変わるはずです。
もし、記事を読まれて「うちの財務も、青い点(現在地)が見えるようにしたい」
そんな方には、1枚の紙で、会社のお金を見える化でき、
売上や利益に関することを、社内全体で共通言語として使える「お金のブロックパズル」
の導入サポートもあります。まずはお気軽にお問い合わせください。
漠然と感じているお金の不安がクリアになりますよ。
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「いくら稼げばいいか」に即答できる社長になる ビジョンと資金を両立させる経営術
2025.09.25
忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
多くの社長が資金に苦しむ根因は、売上偏重でもコスト偏重でもなく、
「会社に必要なお金が手元に残る設計=数字の地図」がないこと。
固定費・返済・戦略費・税や内部留保を賄う必要粗利を明確にし、
粗利率から必要売上を算出、現状とのギャップを客数・単価・リピートなどに分解して打ち手を決める。
戦略費は効くものを守り、効かないものは止める。
入出金の時間差や在庫・回収の管理などキャッシュの視点も欠かせない。
月次で「事実→振り返り→次の一手」を1枚で確認し、全社員と共有することで、ビジョンと資金が両立する経営へ。
数字は答えではなく座標。社長にしかできない視点転換が、組織を自律的に動かす。
本文
「社長であれば、経営の数字をしっかり見ているのが当たり前」
世間の常識はそう言いますが、キャッシュフローコーチとして、経営者の伴走役を担っている中で、
「数字が見えていない社長」が意外に多いというのが実感です。
それはなぜでしょうか?
理由は明快で、お金の流れを全体像で学ぶ機会がなかったからです。
「とにかく売上」と、現場を駆け抜けてきたせいで
売上・人件費・返済などが頭の中でバラバラに存在し、
「売上が上がれば、給料も支払いも返済も何とかなるはず」と「思い込んでいる」ケースが少なくありません。
しかし、現実は単純ではありません。
お金の流れが見えていないため、売上を上げても手元にお金が残らず、
「返済をするために、また借金をする」といった本末転倒な事態が起こります。
精神論だけで頑張り続ける経営は、やがて心身共に限界を迎えてしまうでしょう。
資金繰りが苦しくなったとき、多くの社長は主に二つの解決策を模索します。
本稿では、それらが本当に有効な道なのか、詳しく見ていきます。
1. コスト削減は万能薬ではない
資金繰りが苦しいとき、まず目が行くのは「人件費」ではないでしょうか。
たしかに固定費の大きな割合を占めますが、安易な人員削減には慎重な判断が必要です。
たとえば、勤務態度に不満があった社員を解雇したとします。
一時的に人件費は減るかもしれませんが、その社員が年間2,000万円の粗利を生み出していたとしたら、
人件費500万円のコストが減る以上に2,000万円の粗利が失われる可能性があります。
さらに、社内のモチベーション低下や、残された社員への業務負担増といったデメリットも無視できません。
水道光熱費や事務用品などの地道な節約も大切ですが、収益へのインパクトは限定的です。
となると、最終的に削られやすいのは、将来の売上を生み出すための
「広告宣伝費」や「研究開発費」「教育研修費」といった「戦略費」となります。
しかし、これらを安易に削減すれば、数ヶ月後に売上ダウンを招き、さらなる苦境に陥るリスクがあります。
効かない戦略費は止める、効いている戦略費は守るという線引きが重要なのです。
結局のところ、コスト削減だけでは根本的な解決には至らず、限界があることに気づきます。
2. 「売上アップすれば解決」という幻想
コスト削減だけでは不十分だと気づくと、次に多くの社長が考えるのが「売上アップ」です。
「売上が増えれば、資金繰りの悩みは解決する」と信じている社長は少なくありません。
ならば、資金繰りに苦しむ会社が後を絶たないのはなぜでしょうか?
真の問題は「売上アップの方法がわからない」ことではありません。
実は、社長そして社員一人ひとりが「いくらの売上をつくれば、会社が必要とするお金が手元に残るのか」
を理解していないことが問題なのです。
必要なのは「数字で描く地図」
売上目標を何度も叫んでも、行動は具体化しません。
重要なのは、固定費・返済・戦略費をすべてまかなうために必要な売上(必要粗利)を明確にすることです。
数字が明確になれば、「あといくら必要か」「なぜそれが必要か」が見えるようになります。
社員にも行動の優先順位が伝わるし、自分自身の意思決定もブレにくくなります。
一度、ご自身や社員さんに、こう尋ねてみて下さい。
「当社は売上や利益が、いくら必要ですか?」と。
「多ければ多いほどいい」という曖昧な答えしか返ってこない会社は、行動にはつながりません。
現在地もゴールまでの距離も分からなければ、走り続けるモチベーションは維持できないのと同じです。
つまり多くの会社では、以下の二点が漠然としています。
1.いくらの売上アップが必要か?
2.それはなぜ必要なのか?
行動を起こすには、このような、根拠のある目標が必要不可欠なのです。
根拠とは、人件費やその他の固定費、返済、そして将来への投資などを全て賄うために
「どれだけの売上(粗利)が必要なのか」という数字です。
この目標と現状のギャップを数字で可視化し、全社員が共有することで、組織は自律的に動きだします。
3. 社長にしかできない「視点の転換」と「数字の地図」づくり
「これまでも長年の経験と勘でやってきたから、計画は不要」という経営者もいます。
でもそれは、すでに地図や地形を熟知した熟練の登山者だからできることです。
社員がいる会社では、計画や目標なしに動けというのは「目隠しして走れ」と言っているようなものです。
私は、凡人の社長だからこそ、計画や目標は必要だと考えます。
目標を立てて毎月軌道修正する会社と、場当たり的に経営する会社では、1年後の結果が異なるのは当然です。
重要なのは「変更はいつでもあり得る」という前提で目標を置くことです。
私自身の例ですが、大学で経済や経営を学んだわけではない私が、
会社の存在意義を明文化し、計画や目標を立て、その上に財務の考え方を積み上げた結果、
内部留保を5年間で5倍以上に増やすことができました。
「悪いところは良くなるだけ」「わからないことは、伸びしろである」と、視点を持ちましょう。
寺田寅彦の言葉を借りれば、「不安」は「希望」の裏返しであり、「苦手」「わからない」は「伸びしろ」の別名です。
数字を見る視点を変え、財務や決算書を「経営判断の力強い味方」に変える。
その第一歩として、今日から「数字の地図」づくりを始めませんか。
今日からできる「数字の地図」づくり(5つのステップ)
固定費の棚卸し: 人件費、地代家賃、減価償却費、借入金返済額など、毎月必ず発生する費用を明確にします。
必要粗利の算定: 上記固定費と、守るべき戦略費の合計額が、最低限必要な粗利額です。自社の粗利率をかけ合わせれば「必要売上」が算出できます。
ギャップの分解: 必要売上と現在の売上の不足額を、「客数×客単価×リピート率」のように数式に分解し、どこに手を打つべきかを見極めます。
「やめる」リストの作成: 効果の薄い施策、赤字案件、安易な値引きなど、先に止めるべきものを明確にします。一方で、効果が出ている戦略費は死守します。
月次の振り返り: 毎月30分でも良いので、「事実→学び→次の一手」のサイクルを回し、見込みと実績、資金状況を一枚で確認する習慣をつけましょう。
数字は、あなたの経営の答えではなく「座標」です。
今どこにいて、どこに向かうのかを教えてくれるナビゲーターです。
「どれだけ頑張ればいいのか」 「なぜ頑張る必要があるのか」
この問いに数字で答えられるようになったとき、売上至上主義でもコスト至上主義でもない、
ビジョンと資金が両立する経営が始まります。
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悔しさを燃料に変える言葉のかけ方 ~世界陸上選手の涙から学ぶ、3つのコーチングフェーズ
2025.09.22
昨日、世界陸上東京大会の幕が下りた。
毎日、熱戦が繰り広げられ、熱心に見ていた人も多いと思います。
私もその一人なのですが、その中でも一番印象に残り
ずっと「私ならどう声をかけるか」と考えさせられる場面がありました。
あの、村武ラシッド選手の決勝の後のインタビューで発せられた
「何が足りなかったのだろう」です。
私は普段、中小企業の経営者向けに、会社の数字を分かりやすく可視化するツールを使い、
経営の『伴走者』となる仕事をしています。
その中で痛感するのが、『優れた仕組み(システム)だけでは人は動かず、最後の決め手は人の感情だ』
ということです。
経営者の「変わろう」とする強い気持ちや、「何かを変えなければ」という強い決意が
なければ、どんなに優れて簡単なツールでも、どんなに優れた技術論でも「宝の持ち腐れ」となります。
そこで本稿では、自戒の念をたくさん含めた上で
社長や上司はもちろん、学校やスポーツの教育者や指導者、子育て中の親御さんにも
役に立てるような「言葉がけ」について書いていきます。
本稿を読んでいただき、少しでもお役に立てればと思います。
忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約文」
世界陸上でメダルをわずか0.06秒差で逃した村竹ラシッド選手の「何が足りなかったんだろう」という言葉。
この瞬間、コーチや指導者は何を伝えるべきか。
人はシステムだけでは動かない。最後は感情で動く。だからこそ、言葉がけには3つのフェーズが必要だ。
フェーズ1:直後は感情を受け止める
「よくやった。悔しいな。今はそれでいい」
フェーズ2:努力を承認し、視点を変える
「この悔しさを、どう伸びしろに変えるか。一緒に考えよう」
フェーズ3:冷静に振り返り、未来へ
「この経験が、次の成功に必要な財産だ」
社長、上司、教育者、親。誰かの「そばにいる立場」のあなたの一言は、人生を左右する力を持っている。
悔しさを成長の燃料に変えられるのは、信頼関係のある「あなたの言葉」だけなのだ。
本文
はじめに
男子110mハードル・世界陸上決勝。
わずか0.06秒差でメダルを逃した村武ラシッド選手が、号泣しながら語った言葉に、心を打たれた人は多かったと思います。
「何が足りなかったんだろう」
この一言に込められた悔しさ、孤独、そして責任感。
この瞬間、彼のそばにいて、一緒にここまで歩んできた人々が何を伝えるか。
それは、競技結果以上に大切な「人生の節目」であり、コーチングの真価が問われる場面でもあります。
今回は、コーチの立場からの声かけを、3つのフェーズに分けて考えてみます。
これはアスリートに限らず、企業のリーダーや教育者にも響く、「言葉と問いの使い方」のヒントになるはずです。
🔹フェーズ1:レース直後 ― 感情を受け止める
この瞬間に必要なのは、「分析」や「反省」ではありません。
「ただそこにいて、感情に寄り添い、一人じゃないと伝えること」
これが必要になると思います。
かける言葉の例
「よくやった。悔しいな。今は、それでいい」
「俺も悔しい。でも、最高の走りだった。胸を張ろう」
「今は何も考えなくていい。まずは、しっかりクールダウンしよう」
ポイントは、「前を向け」ではなく「今のままでいいよ」と伝えること。
涙を流せるほどの本気に、評価も分析もいらない。ただ、「隣にいること」がすべて
だと思います。相手の感情をそのまま素直に全て受け止めましょう。
ここで焦って指導やアドバイスに入ると、心は閉じます。
🔹フェーズ2:感情が落ち着いたタイミング ― 努力を承認し、視点を変える
一晩明け、少し冷静さが戻ってきた頃、
このタイミングでは、これまでの努力やプロセスをしっかりと認めた上で、
「一緒に振り返ろう」と未来への入り口を開きます。
かける言葉の例
「この一年、お前がどれだけやってきたか、私が一番よく見てる。世界5位だぞ。誇りに思う」
「『何が足りなかったんだろう』その答え、これから一緒に見つけていこう」
「あの0.06秒をどうやって削るか。面白い挑戦がまた始まったな」
悔しさを「課題」ではなく「伸びしろ」に変換し、
「敗北」を「進化の起点」にする、すなわち、「ここからまたスタート」しようと
顔を上げ、前を向かせるような言葉がけが大切になります。
🔹フェーズ3:数日後の自己分析 ― 冷静に振り返り、未来へ
心身が整った後、ようやく技術的な振り返りと未来の設計に入ります。
このフェーズでは、一方的な分析やデータを伝えるのではなく、
対話を通じ、冷静な自己分析から始めることが大切です。
その上で、自己分析から出てきた課題に対してデータを提示し
「一緒に考えていく」姿勢が必要です。
「アドバイス」ではなく「自分の言葉」で話してもらうことが重要です。
かける言葉の例
「さて、レースを振り返ろう。あなた自身はどう感じてた?何でも聞かせて」
「データを見ると、ここは完璧。でも、この部分が足りていないようだ。どう修正していくか、考えよう。」
「よし!この悔しさが、最後のピースだったかもしれん。つぎこそ成功するために必要な財産を、今日手に入れたんだ。」
技術的な話も、本人の感じたことを起点にする。
そして最後には、「この経験が財産になる」という意味づけを行い、再び目を前に向けさせます。
主観→客観→対策の順で組み立て、「誰が・いつ・何を・どう測るか」まで落とし込む。
ここまで来て初めて、必要と思われる行動や技術、そして数値やデータが活きます。
■ おわりに
村武選手が流した悔し涙。しかし、信頼する周りの人々の言葉によって、
その涙はきっと次の舞台へ向かうための『最高の燃料』に変わるはずです。
私たちもまた、誰かの『伴走者』です。
社長や上司、先生や親の言葉は、単なる「慰め」や「励まし」ではありません。
それは、感情に寄り添い、努力を承認し、未来への光をともす「伴走者としての言葉」です。
あなたが誰かの「そばにいる立場」だとしたら
その一言は、時に人生を左右する力を持っています。
悔しさを燃料に変えさせ、点火させることができるのは、
信頼関係ができている、「あなた」であり「あなたの言葉」なのです。
今日、あなたが向き合う大切な人に、どんな言葉をかけますか?
私も、まだまだ「言葉の力」磨いていきます。
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「聴く力」で組織が変わる:『受け止める』と『受け入れる』の使い分け術
2025.09.19
みなさんも、「世界陸上」ご覧になってますか?
私は毎晩、興奮気味に見ています。
競技自体はもちろんですが、競技終了後のインタビューは
「質問のプロ」の教材として見ています。
たとえば、110mハードルの村武ラシッド選手の、あの言葉
「何が足りなかったんだろう」
後に続ける言葉を考えることは、経営者や部下を持つ方々、
子育て中の方にとって、とても役に立つと思います。
さて、本日は「聴く姿勢」について書いていきます。
本文は経営者・幹部をメインターゲットとして書いていますが、
この考え方は部下や同僚、さらには家庭など、あらゆる人間関係に応用できます。
まずは、触れていただき、周りの方々との、良好な信頼関係を築くためにお使い下さい。
忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約文」
部下の本音が出てこない、顧客の不満が溜まってしまう。
こうした悩みは、リーダーが「受け止める」と「受け入れる」を混同していることが原因かもしれません。
「受け止める」とは、相手の意見や感情を否定せず、なぜそう思うのかを理解しようとする「傾聴」の姿勢です。
一方、「受け入れる」とは、その意見を承認し、実行を決める「判断」の行動です。
大切なのは、まず相手の声を最後まで「受け止める」こと。
これにより相手は安心感を抱き、信頼関係が生まれます。
その上で、リーダーとして会社の理念や状況を鑑み、冷静に「受け入れるか」を判断するのです。
この「受け止めてから判断する」プロセスが、組織の心理的安全性を高め、
売上アップや社員の自発的な成長を促す好循環を生み出します。
本文
社員や顧客の声、あなたは本当に「聴けていますか?」
「部下の意見を聞いているはずが、どうも本音が出てこない」
「お客様の要望を聴いているつもりなのに、いつの間にか不満が募っている」
経営者やチームを率いる幹部の方々から、こんな悩みを耳にすることがあります。
その原因の一つに、「受け止める」と「受け入れる」の混同があるかもしれません。
一見似ているようで、この二つの言葉には明確な違いがあります。
この違いを理解し、適切に使い分けることができれば、組織の心理的安全性は高まり、
より良い意思決定へと繋がり、結果として企業の成長を加速させる強力な武器となります。
本日は、コンサルティング現場の具体例を交えながら、
この「受け止める」と「受け入れる」の違いとその実践方法について深く掘り下げていきます。
1. コンサル現場に見る「受け止める」と「受け入れる」の決定的な違い
まずは、私たちが日々のコンサルティングでクライアントの経営者と接する中で意識している、
この二つの姿勢の違いから見ていきましょう。
🔹 受け止める姿勢:相手の「なぜ?」を深く理解する傾聴
「受け止める」とは、相手の言葉や感情、意見をそのまますべて一度、自分の中に招き入れ、理解しようとする態度を指します。
重要なのは、その場で賛成か反対かを判断しないこと。
「この人はなぜそう考えるのだろう?」「その背景には何があるのだろう?」といった探求心を持って耳を傾けます。
この姿勢によって、相手は「自分の話をちゃんと聴いてもらえた」「理解しようとしてくれている」と感じ、
深い信頼を寄せてくれるようになります。
【具体例】
社長:「うちは値上げなんてしたら、今いるお客さんがみんな離れてしまうよ!」
コンサル:「なるほど、そう感じておられるのですね。
具体的に、どんなタイプのお客さんが、どのような理由で離れていくことをイメージされていますか?」
この例でコンサルタントは、社長の「値上げへの懸念」を否定も肯定もしていません。
ただ、その感情や意見の背景にある具体的なイメージや懸念を掘り下げようとしています。
これが「受け止める」という行為です。
🔹 受け入れる姿勢:自分の意思で「採用・承認」する判断
一方、「受け入れる」とは、相手の意見や方針を自分自身も「良い」と判断し、実際に採用・承認する態度を意味します。
つまり、その意見を「自分ごと」として取り込み、実行に移すことを決める段階です。
「受け止める」ことと「受け入れる」ことは必ずしもセットではありません。
相手の意見をしっかりと受け止めて理解した上で、最終的に受け入れるかどうかは別の話です。
【具体例】
社長:「会社のキャッシュが厳しいから、従業員の賞与をゼロにするしかないと考えている。」
コンサル:「なるほど、財務状況を考えると、それほど厳しいご決断を迫られているのですね。
会社の存続を最優先される社長のお気持ち、お察しいたします。
その覚悟を受け止めた上で、まずはその方針で進めることが今は必要かもしれません。
その上で、来季に従業員のモチベーションをどう回復していくか、
具体的な改善策も合わせて検討しましょう」
このケースでは、コンサルタントは社長の「賞与ゼロ」という厳しい意見を「受け入れて」います。
その上で「来季に向けて」と提案することで、前向きな姿勢に持っていこうとしています。
2. 経営者・幹部が実践すべき「使い分け」の極意
この二つの姿勢は、経営者やチームを率いる幹部の方々にとって、日々のマネジメントにおいて非常に重要な意味を持ちます。
(1) 社員や部下の声は、まず「受け止める」ことから始める
組織において、心理的安全性の高さは生産性やエンゲージメントに直結します。
社員や部下が安心して意見を言える環境を作るためには、
彼らの発言や不満やアイデアを「まずは否定せずに聴き切る」という姿勢が不可欠です。
たとえそれが、経営方針と異なる意見であっても、感情的な不満であっても、
まずは「そう感じているんだな」「そういう考え方もあるのか」と、
彼らの内面を理解しようと努めることが、彼らが「ちゃんと聴いてもらえた」と感じる第一歩です。
(2) 最終的な判断で「受け入れる」かどうかを決める
しかし、「受け止める」ことのすべてが「受け入れる」ことではありません。
組織のトップである経営者や幹部には、最終的な意思決定を下す責任があります。
すべての意見を受け入れてしまっては、経営判断がブレたり、
組織全体の方向性を見失ったりするリスクがあります。
社員や部下の意見を十分に受け止めた上で、
会社の理念・ビジョン、数字的な持続可能性、他の選択肢との比較など、多角的な視点から総合的に判断し、
最終的に「受け入れるかどうか」を決定することが重要です。
このプロセスこそが、リーダーシップの発揮される瞬間です。
3. 今日から実践!「受け止める」ための質問と「受け入れる」判断の視点
では、具体的にどのように実践していけば良いのでしょうか。
🔹 「受け止める」ための質問例
相手の言葉の奥にある意図や感情を引き出すために、以下のような質問が有効です。
「なるほど、そう考えるようになった理由は、具体的に何ですか?」
「そのとき、あなたはどんな気持ちでしたか?」「どんな思いでしたか?」
「今の状況で、一番心配していることは何ですか?」
🔹 「受け入れる」判断の視点
社員や部下の意見を受け止めた上で、最終的に「受け入れるか否か」を判断する際には、以下の視点を参考にしてみてください。
会社の理念・ビジョンに合致するか? 長期的な会社の方向性と一致しているか。
数字的に持続可能か? コスト、収益、リソースなど、具体的な数字に基づいて実行可能か。
他の選択肢と比べて最善か? 最も効果的で合理的な選択肢であるか。
4. まとめ:「受け止める」から始まる、信頼と成長のサイクル
「受け止める」とは、相手への理解と傾聴の姿勢です。「受け入れる」とは、その理解を基にした承認と決定の行動です。
経営者や幹部として組織を導く上で最も大切なのは、
社員や顧客の声に対して「いきなり受け入れるかどうか」を決めないことです。
まずは相手の意見や感情を「受け止め」、その背景と意図を深く理解しようと努める。
そして、その上で経営者としての責任と判断基準に基づき、「受け入れるか否か」を冷静に決定する。
この「受け止めてから受け入れる」というプロセスこそが、
組織内の信頼関係を強固にし、従業員のエンゲージメントを高め、
結果として売上アップや社員の自立性向上、定着率の増加を可能にする鍵となります。
「ちゃんと聴いてもらえた」という安心感が、次の建設的な意見を生み、それがまた組織の成長を促す。
このポジティブなサイクルを回し続けるために、今日からあなたの「聴く姿勢」に意識を向けてみませんか。
「心」も「体」も「聴く姿勢」が大切です!「こら! その体勢!」
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数字に強い人が持つ『3つの視点』~ビジネスで本当に必要な「数字力」の正体~
2025.09.16
「数字に強い人」と聞くと、計算が速い、統計に詳しいといったイメージがありませんか?
しかし、ビジネスの現場で本当に求められる「数字力」は、それだけではありません。
数字を使って未来の姿を描き、データに基づいて冷静に判断できる力こそが、
これからの時代を生き抜くビジネスパーソンにとって不可欠なスキルです。
この記事では、経営者と社員、それぞれの視点から「本当に数字に強い」とはどういうことなのか、
その本質を解き明かしていきます。
この記事でわかること
数字で語る人が、なぜ立場を問わず信頼されるのか
数字を使って未来を予測し、ビジネスの精度を上げる方法
厳しい状況でも、数字を味方につけて冷静に行動するコツ
忙しいあなたへ【1分で読めるAI要約】
ビジネスで本当に役立つ「数字力」の本質
ビジネスで「数字に強い」とは、計算が速いことではありません。
数字を使って「信頼を築き」「未来を予測し」「冷静に判断する」力があることを指します。
これは経営者から新入社員まで、すべてのビジネスパーソンに必須のスキルと言えます。
その理由は、以下の3つの効果に集約されます。
1. 数字で語ると「信頼」される
「頑張ります」といった曖昧な言葉ではなく、「売上目標10億円」「先月比15%増」
のように具体的な数字で話すと、発言に客観的な説得力が生まれます。
これにより、経営者は組織を動かしやすくなり、社員は上司や顧客からの信頼を得やすくなります。
2. 数字で「未来を予測」できる
数字は過去の記録だけでなく、未来を予測する道具です。
「価格を5%上げたら利益はどうなるか」といったシミュレーションで最適な経営判断を下したり、
「このままでは目標未達になる」と予測して先手を打ったりと、
ビジネスの精度を格段に向上させることができます。
3. 数字を味方にすると「冷静」でいられる
赤字や目標未達といった厳しい状況でも、感情的になる必要はありません。
数字は「改善すべき点」を教えてくれる冷静なパートナーです。
数字を深掘りして「なぜそうなったのか」を分析すれば、次に打つべき具体的な一手が見えてきます。
まとめ
「数字力」とは、感覚ではなく根拠をもって語る力です。
日々の会話や報告に一つ数字を交える習慣をつけるだけで、誰でもこの強力な武器を身につけることができます。
本文
1. なぜ「数字で語る」だけで信頼されるのか?
ビジネスにおける信頼は、客観的な事実から生まれます。その最も強力なツールが「数字」です。
たとえば経営者が、ただ「売上を伸ばすぞ」と檄を飛ばしても、社員は何をすべきか分からず、組織は動きません。
【経営者の場合】
「3年で売上10億円、市場シェア15%を目指す。そのために、まず半年で新規顧客を100社開拓する」
このように具体的な数字で目標を示すことで、初めて組織全体が同じゴールを見て、
具体的なアクションプランを共有できるのです。
これは社員やビジネスパーソンにとっても同じです。
上司への報告で「頑張っています、成果は出ています」と伝えるだけでは、あなたの評価は上がりません。
【社員の場合】
「担当案件の進捗ですが、施策Aによって追加の発注が先月比で15%増えました」
このように数字で語れる人は、上司や顧客に対して
「客観的な事実に基づいて仕事を進められる人材だ」という信頼を簡単に得ることができます。
コラム
私たち「コンサルタント」と名乗る人間にも実は同じことが言えます。
よく、決算書や試算表を元に「〇〇比率」や、格好のいいカタカナや英語の「数値」を
「見栄えのいい資料」として提示している人がいるようですが
経営者の知りたいことは、その数値ではありませんし
数値を良くすることが経営目標ではありませんよね。
経営者が立てた目標、その達成のために、「数字」を「役に立つ数字に」変換し
専門的なことなど知らなくても、「やるべき事の判断材料を提示」できるような
コンサルタントやコーチを「伴走者」として選択しましょう。
また、会社全員の間に「売上」「コスト」「利益」などに関する「共通言語」が
存在している会社と、そうではない会社では、その成長速度や社内の雰囲気も
全く変わってきます。その結果は、目標達成率や社員満足度にも大きく影響を及ぼします。
実際に「お金のブロックパズル」を社内に導入することは
「お金の見える化」だけにとどまらず、社員の利益やコストに対する意識を高め
全社一丸で目標に向かって進んでいくことの一助となります。
※「お金のブロックパズル」とは
会社の利益構造をシンプルに図式化し、
「どこに手を打てば利益が出るか」
「その利益額は、どのくらいの金額か」
「新規投資時の判断基準の明確化」
「未来の収益計画の立案」などを
決算書が読めなくても誰でも、視覚的に理解可能にする会計ツールです
2. 数字で未来を予測し、最適な一手を選ぶ
数字は過去の結果を記録するだけのものではありません。
未来を予測し、進むべき道を照らす「羅針盤」の役割を果たします。
経営者にとって、意思決定の場面で数字は強力な根拠となります。
感覚や経験則だけに頼った判断は、大きなリスクを伴います。
【経営者の場合】
「価格を5%上げた場合、既存顧客が1割離れても、粗利益は年間で500万円のプラスに転じる」
「お金のブロックパズル」などを用いて、このようなシミュレーションができれば、
自信を持って価格改定の意思決定ができます。
社員が周囲から一目置かれる存在になるためにも、未来の予測は欠かせません。
【社員の場合】
「現在の進捗率だと、3か月後の四半期目標達成率は80%に留まる可能性が高いです。
今のうちから施策Bを追加で実施することを提案します」
このように、数字を使って少し先の未来を描き、先手を打つ提案ができれば、
単なる「作業者」から「戦略を考えるパートナー」へとステップアップできるでしょう。
3. 数字を「冷静なパートナー」とし、感情に流されない
赤字、売上減少、目標未達。こうした厳しい数字を突きつけられると、
多くの人は焦りや不安を感じてしまいます。しかし、本当に数字に強い人は、そんな時こそ冷静です。
彼らは、ネガティブな数字を「終わり」のサインではなく、
「改善すべき点を教えてくれるヒント」として捉えます。
【経営者の場合】
赤字決算という結果に対し、「どの部門のコストが最大の要因か」「テコ入れすべき事業はどこか」
「広告宣伝の有効性は」「新商品開発の必要性は」「人件費の最適化には」
と数字をさらに深掘りし、次の一手を冷静に導き出します。
これは社員にとっても、成長の大きなチャンスです。
【社員の場合】
重要業績評価指標(KPI)が未達、結果、売上目標も未達だったとしても、
「なぜ届かなかったのか」「どの活動量が足りなかったのか」
を数字で客観的に振り返り、次のアクションを具体的に改善できます。
数字はあなたを責める敵ではありません。常に客観的な事実を伝え、
次に進むべき道を教えてくれる、最も信頼できるパートナーなのです。
まとめ:数字は、立場を超えて最強の武器になる
本記事で解説した「数字力」は、役職や立場を超えて、すべてのビジネスパーソンにとって強力な武器となります。
経営者にとっては → 社員を導く「説得力」と、未来を切り拓く「冷静な意思決定」の源泉となる。
若手ビジネスパーソンにとっては → 上司や顧客から信頼を勝ち取り、キャリアを飛躍させるための「武器」となる。
数字に強い人とは、未来を「感覚」ではなく「根拠」をもって語れる人です。
日々の業務報告や会議での発言に、一つでも数字を交える習慣をつけることから、
誰でも「数字に強いビジネスパーソン」へと成長できます。
数字を恐れるのではなく、ぜひあなたのキャリアの味方にしてみませんか。
さあ、今日の会議でまずは一度、「数字」を使って発言してみましょう!
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部下は「指示」では動かない。「問いかけ」で主体性を引き出す令和時代の新リーダーシップ
2025.09.10
さて、昨日は現代の若者が求めている「相談型」の人材育成について
その基礎となる考え方を書きました。
本稿は実践編ですが、前回の記事では『信頼関係の構築が全ての土台である』という考え方について解説しました。
本稿だけでもご理解いただけますが、合わせてお読みいただくとより効果的です。
https://sato-insurance.jp/blog/1003/
忙しいあなたへ。1分で読める要約文
現代の若手社員(20〜30代)は「納得感」を重視し、
一方的な指示ではなく目的を理解した上で自ら考えて動くことにやりがいを感じます。
彼らの主体性を引き出すには、マネジメントスタイルを「指示」から「対話」へとアップデートする必要があります。
その鍵となるのが「問いかけ」です。効果的な問いかけは、まず「感情」に触れることから始めます。
「この仕事は楽しい?」「不安はない?」といった感情への問いかけから入り、
次に「あなたならどうする?」という思考を促す質問へと進みます。この順序が重要です。
問いかけを職場文化として根付かせるための3ステップは:
1.部下の話を急かさず、まず3分間真剣に「聴く」
2.仕事の目的と基本ルールだけを伝え、手段は「任せる」
3.質問後、すぐに答えやアドバイスせず、相手の言葉を「待つ」
この「問いかけ」アプローチにより、若手社員の思考力が育ち、自発的な行動が増え、チーム内の信頼関係が深まります。
最初の一歩として、明日から「仕事は楽しい?」「どこから始められそう?」「改善点は?」といった問いかけを試してみましょう。
部下の表情の変化こそが、あなたのチームの未来を映す鏡です。
本文
【若手が動かない】「指示待ち部下」が自ら動き出す【問いかけ】の技術
「最近の若手は受け身で困る…」「もっと主体的に動いてほしいのに、言われたことしかやらない…」
多くの経営者や管理職が、このような悩みを抱えています。
しかし、それは本当に若手社員だけの問題なのでしょうか。
もしかすると、彼らに主体性がないのではなく、
あなたの職場に「主体性を発揮できる場」がないだけなのかもしれません。
なぜ、あなたの部下は「指示待ち」になってしまうのか?
かつては「背中を見て学べ」「言われたことを正確にやるのが仕事だ」という価値観が当たり前でした。
しかし、今の20〜30代は「納得感」を何よりも重視します。
一方的に命令されるのではなく、目的を理解し、
自分で考えて動くことにやりがいを感じる世代なのです。
つまり、これからのリーダーに求められるのは、
コミュニケーションのあり方を「指示」から「対話」へとアップデートすること。
その鍵こそが「問いかけ」なのです。
主体性を引き出す魔法のスイッチ、「問いかけ」とは?
会議などの場で、経験の少ない若手社員は
「こんなこと言ったら、なんて思われるだろう」「笑われるんじゃないだろうか」
という感情を抱いてしまいがちです。
ですから、決して否定せず、まずは全てを受け止める姿勢や空気を作りましょう。
「何を言っても、笑われないんだ」「経験の差抜きに、意見を聞いてもらえるんだ」
という安心感や信頼感の醸成はとても大切です。
その上で、部下に「やれ」と命令する代わりに、「考えるきっかけ」を渡します。
これだけで、若手社員や社内の空気は驚くほど変わります。
<問いかけの具体例>
「どうだい?この仕事(プロジェクト)、楽しい?」
「この仕事(プロジェクト)を進めるうえで、不安や悩みはない?」
「あなたなら、どんなやり方を試してみたい?」
「その方法がベストだと考えた理由は?」
こうした問いを投げかけることで、
部下は「自分の頭で考えていいんだ」「意見を持っていいんだ」と安心し、思考が回り始めます。
ここで、間違ってはいけないポイントは「話す順番」です
実は上の4つのセリフですが、適当に並べているわけではありません。
「楽しい」「不安」といったような「感情」を問うことから始めています。
ここがポイントの1つです。
昭和世代の私たちに対するマネジメントは「行動」に対するものでした。
私のサラリーマン時代でいうと
理由や意味も伝えられず「1日最低50件の飛び込みをしろ」と。
もちろん、大量行動は、成功へ近づくための手段の1つですから
それ自体は、決して間違っているわけではありません。
しかし、現代の人たちはそのような「体育会系」の教育を受けていません。
昭和世代と比べると「頭脳派」なのです。
とはいえ人間は理論や理屈だけでは、動きません。
「あの人、好み!」⇒「どうやったら話しかけれるだろう?」⇒「こうやってみよう!」
恋愛に限らず、ほぼ全ての行動は、このような流れで行われているはずです。
ですから、まずは「感情をマネジメントする」
実は、行動を起こしてほしければ、感情を動かすことが近道なのです。
「問いかけ」がもたらす3つの効果
1.思考力が育つ
2.自発的な行動が増える
3.チームの信頼が深まる
データも証明「採用」と同じくらい重要な「育成」という課題
中小企業基盤整備機構の調査(2025年3月発表)では、
人手不足の要因として「人材確保・採用(63.3%)」に次いで、
「人材育成(49.1%)」が挙げられています。
採用と同じかそれ以上に、「採用した人材をいかに育てるか」が、企業の未来を左右するのです。
【実践編】「問いの文化」を職場に根づかせる3つのステップ
では、具体的にどうすれば「問いの文化」は根付くのでしょうか。
明日から意識できる3つのステップをご紹介します。
ステップ1:『聴く』を選ぶ
部下が話し始めたら、結論を急がさずに、まず3分間、真剣に耳を傾けてみましょう。
ステップ2:『任せる』を決める
仕事の「目的」と「決まり」だけを明確に伝え、具体的な「手段」は本人に任せてみましょう。
ステップ3:『待つ』を習慣にする
問いを投げかけたら、すぐに答えやアドバイスをせず、
相手が自分の言葉で話し始めるのをじっと待ってみましょう。
「自分でやったほうが早い」という気持ちを一度、脇に置いてみてください。
待つ時間は、未来へのリターンが大きい「人への投資」と考えましょう。
お金もかからない、最高の投資ですよね。
経営者の覚悟が、若手の挑戦に火をつける
リーダーが「話す」ことよりも「聴く」ことを選び、
「教える」ことよりも「引き出す」ことを大切にする。
これは簡単なようで、実は大きな意識改革であり、決断です。
ましてや、はじめは双方とも違和感すら覚えますし、企業文化として根付くには
時間が必要となります。
しかし、この一歩を踏み出したリーダーのもとから、若い力が躍動し、未来が創られていきます。
最後に 〜あなたのチームを変えるための第一歩〜
この記事を読んで、何から始めればいいか迷うかもしれません。
まずは、以下の「3つの問い」の中から一つだけ選び、明日の朝礼や1on1で使ってみませんか?
「最近仕事は、楽しい?困っていることはないかい?」
「その問題、最初の一歩として、何から始められそう?」
「一度やってみてどうだった?どこか改善できそうなところないかな?」
そして、最後にあなた自身に問いかけてみてください。
あなたの「問いかけ」を聞くとき、部下はどんな表情をしていますか?
その表情こそが、あなたのチームの未来を映す鏡なのかもしれません。
この記事で紹介した問いかけは、あくまでチームを変える第一歩です。
あなたの組織に合わせた、より具体的な育成プランにご興味があれば、
トップページ右上より、お気軽にご相談ください。
2025.10.16

忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
「黒字なのにお金が足りない」という状況は、現金管理の不足が原因で起こります。
会社が倒産する直接の理由は「利益不足」ではなく「現金不足」。
利益は未来の入金を含む「意見」ですが、現金は誰の目にも明らかな「事実」であり、
給与や家賃など支払いには現金のみが使えます。
そこで、最低限確保すべき現金ラインを設定して、
それを守るための借入や節税、投資などを判断しましょう。
最初にチェックすべきは貸借対照表(B/S)の現金残高であり、
今後の資金繰り表を作成・更新することで、将来の資金不足を防げます。
結局、「Cash is King」という言葉は知っているだけでは意味がなく、
実際に現金を「王様」としてあらゆる経営判断を下すことこそが、
会社の未来を支える最短距離なのです。
本文
先日、とある経営者と話をした際に、こんな質問をされました。
「この投資をしても大丈夫なのか判断がつかない」
その質問に対して「考え方」をお伝えしたのですが
その重要性が腹落ちしていない様子でした。
「このままでは、まずいことになるかもしれない」
そう感じたのが本稿を書こうと思ったきっかけです。
財務の「キホンのキ」ともいえる部分ですので
是非一読してみて下さい。
なぜ「現金は王様」なのか
「黒字のはずなのに、月末がいつも苦しい」
「事業も順調に成長している」
なのに、月末が近づくと現金がいつも心許ない。
この矛盾は、黒字倒産の入り口です。
「会社は利益不足では倒れず、現金不足で倒れる」
まずは、この現実をしっかりと腹落ちさせましょう。
この記事では、なぜ「Cash is King(現金が王様)」なのか、
そして、現金を基準とした意思決定がなぜ大切なのかを、
具体的な実践方法と共にお伝えします。
これは、財務の専門家でなくとも、すべての経営者、そして次代を担うリーダーが必ず身につけるべき経営の羅針盤です。
利益は「意見」 キャッシュは「事実」
P/Lの利益には売掛金や在庫など、まだ現金化されていない要素が混ざります。
解釈で揺れる「意見」に近い数値です。
一方、B/Sの現金・預金残高は今この瞬間(決算日)に使える資金のことです。
誰が見ても変わらない「事実」であり、企業の生死を握ります。
現金が「王様」である3つの理由
1.支払いは現金でしかできない
給与・家賃・仕入・税・返済等。支払日に残高が尽きたらゲームオーバー
2.現金は選択肢と時間を買う
想定外や好機に、撤退/延命/再投資を選べるのは手元資金がある会社だけ
3.成長は先払い
売上増は在庫・売掛・買掛を膨らませ、黒字でも資金は痩せる。
伸びる会社ほど現金管理が生命線
決算書が雄弁に語る「現金こそが最優先」という真実
多くの経営者は、決算書を受け取ると真っ先に損益計算書(P/L)を見て、
「今期は儲かったか、損したか」に一喜一憂しがちです。
しかし、決算書の正式な並び順は、必ず貸借対照表(B/S)が先で、その次に損益計算書(P/L)です。
そして、そのB/Sの一番上に記載されている勘定科目(トップライン)こそが、「現金及び預金」です。
これは偶然ではありません。
決算書は、「経営者よ、何よりも先に会社の現金の状態を確認しなさい」という、
財務や経営者としての原則に基づいた強力なメッセージを発しているのです。
財務分析とは、小難しい経営指標(〇〇比率など)をこねくり回すことではありません。
まず自社の現金を、以下の3つの視点で徹底的に分析することからはじめましょう
ストック:確保すべき現金残高を維持できているか
増減:過去1年~3年間の残高推移
予測:半年後・1年後の見込み残高
経営判断のすべてを「最低現金基準金額」から逆算する
まず自社の最低現金基準金額(目安:固定費の6か月分 月商の3か月分など)を決める
以降の意思決定はこの物差し一本です
借入は悪か? 現金残高維持のための借入は「善」 「借りるか否か」ではなく、「必要現金を守れるか否か」が判断基準
節税は? 現金を痩せさせる(基準金額を割り込む)節税は本末転倒
投資は? 投資後も基準金額を割らないかで判断。割るなら借入をする
在庫は? 在庫増により現金が基準額を割るなら減らす。維持できるなら必要分は持つ
明日からできる現金管理 4ステップ
3か月先までの資金繰り表を作り毎週更新(ズレ=改善点)
最低現金ライン(黄ライン/赤ライン)を設定し、到達前に手を打つ
回収前倒し・支払後倒しを標準化(着手金/中間金・口座振替・サイト交渉)
週15分の資金会議:入出金差分→危険ポイント→誰が/いつまでに/何をの3点だけ決める
まとめ:未来の自由は、今日の現金残高から生まれる
利益は過去の採点、キャッシュは未来の自由
この言葉を、ぜひあなたの経営の第一の哲学としませんか?
すべての意思決定を「その決断は、我々が守るべき現金を増やすのか、減らすのか?」
という問いに立ち返って行う。
これが、不確実性の高い時代を生き抜き、いかなる環境変化にも揺るがない、
強くしなやかな会社を創り上げるための最短距離です。
「Cash is King」を誰かの名言として知っているだけでは意味がありませんし、
本当に自社で現金を「王様」として扱えているかどうかを見直してみましょう。
さあ、今日からまずは、自社の預金残高を改めて確認し、
4週間先までの入出金予定を書き出すことから始めてみませんか。
その小さな一歩が、あなたの会社の未来を大きく変えるのです。
2025.10.10

忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
給料は組織運営の土台だが、それだけでは社員の心は動かない。
人が本当にやる気を出すのは「認められた」と感じた瞬間だ。
ある会社で始めた「感謝カード」の取り組みが、組織全体の雰囲気を変えた。
たった数行のメッセージが、会議を柔らかくし、顧客対応を丁寧にした。
給料は「痛み止め」で不満を減らすが、承認や感謝は「栄養ドリンク」として内側から力を生む。
両方必要だが、多くの組織に不足しているのは後者だ。
効果的な承認には仕組みが必要:①日々の貢献を可視化、②具体的な言葉で伝える、③挑戦自体を評価する。
スポーツ界使われている「ペップトーク」(受容→承認→行動→信頼)も職場で有効だ。
今すぐできる第一歩は、感謝のポストイットを1日1枚書くこと。
小さな「ありがとう」の積み重ねが、組織を自走させる原動力になる。
なぜボーナス翌日に辞表が出るのか
お金より「ありがとう」で人が動く理由
ボーナスを奮発した翌日、主力から退職願。
「うちは結局、金でしか動かないのか」と肩を落としたことはありませんか。けれど本当は逆です。
人が本気で動くのは、給与明細を見た瞬間ではなく、「あなたを見ている」と認められた瞬間です。
一枚のカードが、空気を変えた
とある会社で、社員同士が感謝を手書きで送り合う「感謝カード」を始めました。
「昨日の資料、助かったよ」「あの一言で救われた」たった数行のメッセージが行き交ううち、
会議が柔らかくなり、顧客への一言が丁寧になり、チームの温度が上がっていきました。
高価な評価制度や人事制度ではなく、言葉が関係を変え、行動を変えたのです。
つまり 「報酬」よりも「承認」が、人を動かす時代になっているのです。
参考
日本企業で、 パーソル総研が行った実験では、
社員同士で「感謝カード」を送り合う仕組みを導入したところ、
受け取った社員の顧客対応力や職場満足度が明確に上昇しました
給料は「痛み止め」承認は「栄養ドリンク」
比喩で整理しましょう
給料・待遇=痛み止め
足りないと不満は強まる。まず整えるべき土台です。ただし、痛みが引いてもやる気は勝手に増えない
承認・感謝・期待=栄養ドリンク
内側から力が湧きます。自発的な一歩を生む源泉
どちらも必要です。しかし、「痛み止め」は一時の対処であり
「栄養」は持続的な健康を保つ。ただし、土台を整えた後に足りないのは「栄養」の方であることが多いのです
まず「仕組み」 次に言葉
思いつきの称賛は続きません。習慣化の仕組み→効果的な声かけの順で整えます。
仕組み① 可視化する
日々の小さな貢献やお客さまの声を、朝礼・社内チャット・掲示で共有
「誰かが自分を見ている」という安心が、相互承認を生む
仕組み② 言葉にする
経営層や上司、同僚が毎日一人、具体的な事案を添えて伝える
NG:「みんな、がんばってるね」
OK:「今日のクレーム対応、初動が早かったおかげで大事にならずに助かった」
仕組み③ 祝う対象を広げる
結果だけでなく挑戦と誠実な失敗を称える。「ナイスチャレンジ賞」「撤退賞」などで、試行回数を文化にする
ペップトーク:心に火を点ける4ステップ(30秒で実践できる!)
スポーツの現場で使われる「勇気づけの型」は、職場でも強力です。
受容(事実を受け止める)
「難案件、最後まで粘ってくれたね」
承認(可能性を信じ、「あるもの」を伝える)
「今回は残念だったが、君の力は十分示せた」
行動(次の一手を具体化)
「まず原因を3つだけ洗い出そう」
信頼(背中を押す)
「大丈夫。何かあっても私が受けとめるから」
ポイントは短くポジティブに。
相手の脳に「安心(承認)」→「意欲(期待)」→「行動(具体策)」の順でスイッチを入れましょう
「言葉の投資」を数字の習慣に落とす
フワッと終わらせないために、週に10分、時間を使いましょう
1on1でも結構ですし、部や課やチーム全体で行ってもよいと思います
承認:今週の「ありがとう」を3件共有
チャレンジ件数:新規挑戦と撤退の本数を確認
次週の約束:挑戦テーマを宣言
ここまでくると、「承認=やさしさ」ではなく、成果を生み出す為の運用方法になります
コラム
「学校で先生が出題し、子供たちが手を上げる」
昔は、当たり前の光景でしたが、最近は手を上げる子が減ってきているようです。
理由は「間違っていたら恥ずかしい」「最初に手を上げるのは抵抗がある」など様々。
この「間違っていたら恥ずかしい」という気持ち、理解できますよね。
しかし、これでは、挑戦することに臆病になってしまうこととなります。
では、どのような対策があるのか?
1 「挑戦には、失敗はない。あるのは「成長と学習」だけ」という考え方
2 「正解」以外も評価をする。「手を上げる1点 発言1点」
3 「ファーストペンギン」を称える「君のおかげで空気が変わったよ」
こんな対策や声かけは、いかがでしょうか?
学校に限らず、企業内でも挑戦を奨励する文化を育むために非常に有効です。
お金は燃料、言葉は点火プラグ
売上や利益は過去の結果です。未来を決めるのは、現場で毎日交わされる短い一言です
お金は会社を回す燃料
言葉は人を動かす点火プラグ
二つが噛み合うと、組織は力強く、自走をはじめます
すぐにできる「今日の一歩」(所要1分)
全員に「感謝専用ポストイット」を配布
帰る前に1枚だけ書く(誰に/何が良かったか)
相手のデスクに貼る。もしくは、明日の朝、本人に手渡しする
人は給料で働き始め、感動で働き続ける
その感動は、あなたの一言から始まります。
まずは今日、社内ですれ違う誰かに、具体的な行動に対する「ありがとう」を言ってみませんか?
小さな「ありがとう」の積み重ねで、会社の空気は変わります。
いつも「癒し」をありがとう!
2025.10.09

忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
スマホゲームがやめられない理由を経営に活かせないか?
ゲームが人を夢中にさせる4要素:
①明確なゴール ②絶妙な難易度 ③即時フィードバック ④成長の可視化
これらを経営に応用すれば、数字は「敵」から「味方」に変わります。
実践方法:
ビジョンを「ラスボス」、目標を「クエスト」として物語化
週次で「獲得経験値」を共有し、小さな勝利を積み重ねる
プロセスに裁量を持たせて「自分ごと化」を促進
明日から始める3つのアクション:
A4一枚の「見える化シート」で現在地を把握
「あと1回」ルールで最小の勝利を積む
短期報酬でモチベーション維持
経営を「攻略したくなる冒険」に変えることで、リーダーの熱がチームに伝播し、組織全体が活性化します。
本文
自分や子供たちを見てて思ったのです。
「なぜ、スマホゲームがやめられないのだろう?」
知らず知らずのうちに引き込まれる「没入感」
1円にもならないのに感じる「達成感」
そんな経験、ありませんか?
実は、ゲームだけではなく、流行っているテーマパークでも
人を夢中にさせる「仕組み」を取り入れています。
わかっていても、見事にハマってしまい
その結果、長い行列に並ぶことがわかっていても、何度も訪れてしまいます。
ならば、この仕組みを「私自身の仕事」に活かせないかと考え
自身に導入した経験をもとに、本稿を書き進めていこうと思います。
1個人はもちろん、社員さんのモチベーションアップへの手段としても
お使いいただければと思います。
売上報告や月次決算は、本来「羅針盤」であるはずなのに、見るたびに気が重くなる。
ゲームのスコアを見ても、気が重くなることはないですよね?
実はこの差は、面白さを生み出す設計の有無に尽きます。
人を動かす原理原則は、ゲームも経営も同じなのです。
違いは、ゲームは徹底的に「夢中の仕組み」を作り込んでいるのに対し、
経営ではその視点が抜け落ちがちなところです。
ならば、ゲームデザインの思考を経営に移植すれば、
数字は「敵から味方」に、日々の業務は「攻略したくなる冒険」へと変えることができるはずです。
夢中を生む「4つの要素」
では、ゲームが人を夢中にさせる理由を考えてみましょう
① 明確なゴール
「ラスボスを倒す」「レア装備を集める」など、目指す地点が一目で分かる
曖昧さがないから、エネルギーが一点に集まります
② 絶妙な難易度
易しすぎれば退屈、難しすぎれば挫折
「あと少しで届く」クエスト(課題)が挑戦意欲と成長を引き出します
③ 即時フィードバック
攻撃すればダメージ数値、倒せば経験値が即手に入ります
行動→結果の時差が小さいほど手応えが続き、次の一手が明確になります
④ 成長の可視化
レベル、スキル、装備の強化など、昨日の自分との差分が見える
前進の実感が粘り強さを生みます
これらは「自分の意思で選び、自分のペースで進められる」主体性と結びついた瞬間に最大化します。
強制されたタスク(仕事)は、どんな名作でも「作業」に変わります
数字は敵ではなく「冒険のコンパス」
数字が苦痛に感じるのは、「評価・叱責・プレッシャー」と結びついているからです。
本来、数字は中立の情報です。
HPが20%なら「回復せよ」というサインであり、経験値は「あと何戦でレベルアップか」を示す目安。
経営でも
売上・粗利・固定費=現在地を映すステータス画面
広告費対効果=有効な装備の評価
商談件数・受注率・顧客の声=行動と結果を結ぶ戦闘ログ
数字は責める道具ではなく、次の一手を決める羅針盤です。認識が変われば、数字は頼れる相棒になります。
経営に実装する「ゲームデザイン思考」
1 ビジョン=ラスボス、目標=クエスト
大きな理念を日々の行動に落とすため
年間目標=中ボス、月次目標=エリア攻略、週次目標=デイリークエストと分解しましょう
例:「今月1,000万円」→「新規市場の砦攻略(新規10社獲得)」へ「物語化」
各クエストに達成基準と報酬(インセンティブ/称賛/経験値)を必ずセットにしましょう
2 小さな勝利の連続(経験値デザイン)
週1で「今週の獲得経験値(できたこと・学び・感謝)」共有し
ポイント化することにより可視化し、月間MVPを表彰
日報は「冒険日誌」として、成果/学び/明日の作戦を短く記録
成長の言語化・可視化がやる気を持続させます
3 裁量と選択の余白
「このクエストは君に任せた。攻略法は自由に。」
目的地は共有しつつ、プロセスの裁量を渡すと仕事は「自分ごと化」に変化します
その上で、丸投げはせず、定期的な声かけと支援をセットで行っていきましょう
明日から始める3アクション
① A4一枚の「見える化シート」
活動量(提案・面談・フォロー)、見込み案件、今月の売上・粗利・固定費を一枚に集約
毎朝5分見るだけで、数字が「頼れる地図」になります
② 「あと1回」ルール
気が乗らない日ほど、電話・メール・提案をあと1件やってみる
最小の勝ちが次の行動を呼び、流れを生みます
③ 短期報酬の設定
クエスト3つ達成でお気に入りコーヒー、週目標達成で金曜は定時退社など
即時報酬×スモールステップが継続性を高めます
おわりに 最高のプレイヤーであり続ける
仕事はもちろん遊びではありませんが、設計し直せば、何より刺激的な「ゲーム」になります。
数字を武器に変える仕組みを整え、数字で示された目標を「義務」から「攻略したくなるクエスト」へ
何より、あなた自身が面白がるプレイヤーであること。
仲間の熱は必ずチームに伝播します。
さあ、今日のクエストは何にしますか?
まずは「あと少しで手が届く目標」から、あなたの冒険を始めましょう。
2025.10.03

忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
新しい挑戦は怖いものですが、変化の速い現代では「何もしないこと」が最大のリスクです。
成功する組織は、失敗を恐れるのではなく「価値ある学習データ」と捉えています。
賢く挑戦するためのポイントは3つ
①「ここまでならOK」という損失の上限を決める
②仮説と検証計画を立て、学びを得る設計をする
③小さく、速く、複数の挑戦を並行して行う
失敗は敗北ではなく「最短の学び」です。
振り返りでは、事実から原因を探り、次の一手へ繋げましょう。
小さな決断と行動を繰り返すこと。
それこそが、未来を拓く最も確実な一歩となります。
本文
新しい挑戦の前で足がすくむ——その気持ちは自然です。
けれど、忘れてはいけないことが一つあります。
決断すれば成功も失敗も起こるが、決断しなければ何も起こらない。
表面上は安全でも、変化の速い今の市場では「何もしない=相対的な後退」です。
現状維持は、静かに積み上がる最大のリスクなのです。
「伸びている会社ほど、外から見えにくい失敗の数が多い」試行回数と学習速度が、のちの成長を決めます。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは失敗からの学びを「教育費」と捉え、
IBMのトーマス・J・ワトソンは「成功を望むなら失敗の数を倍にせよ」と言いました。
彼らは、失敗=価値あるデータとして扱い、次の意思決定の質を高めていったのです。
では、どう決断し、どう学ぶかですが、ポイントは3つ。
①上限損失を決めてから動く
金額・期間・評判の三軸で「ここまでなら負けて良い」を前置きする。上限がある挑戦は、実は安全です
②学習設計のない挑戦はただの賭け
事前に仮説・測定指標・やめる基準を決める。結果が振るわなくても、学びが残れば期待値はプラス
③小さく速く、並列に
一発大勝ちの発想を捨て、少額・短期・複線。同時に3つ走らせ、小さな当たりを太らせる
撤退は敗北ではなく最短学習です。
また、振り返りは責める時間ではありません。事実→因果→次の一手の順で考えましょう
何が起きたか(感情抜きの事実確認)
何が因果で、何が偶然か(一連の洞察)
誰が・いつまでに・何をやめ/続け/増やすか(行動・実行)
また、言葉は文化(社風)を作ります。振り返りの際には頭の中を切り替えましょう
「失敗の言い換え辞典」
「失敗」→「結果を検証しよう」
「無駄」→「学習コスト・教育費」
「責任追及」→「次回の成功への設計図を考えよう」
この『失敗を恐れない文化』を、私自身が新入社員時代に身をもって体験したことがあります。
入社1年目、「どうすればキーマンや決裁者に会えるか」を考え、
先輩の名刺を借りて営業エリア内のキーマンを一覧化。飛び込み時は名前を指名して訪ねる
という方法を思いつき、デスク一面に名刺を並べて整理していました。
それを見た上司に趣旨を説明すると、返ってきたのは二言
「よし、やってみろ。1チーム与える。人選は任せる」
「1か月間、毎週30万円の契約を上げろ。未達の時点でチーム解散」
私は内務にベテランを1名、営業3名+内勤1名は同期の新人で編成。
社内最大規模の支社で、100人近い先輩方が温かく見守る中、走り出しました。
結果、皆の協力で1か月の目標を無事達成。
ご褒美もいただき、チーム全員で「すっぽん鍋」へ。部長、ご馳走さまでした。
今考えると、部長は、入社数か月の私に
1 「失敗を恐れるな」と背中を押し
2 「失敗の上限を示し」
3 「チャレンジしていいんだ」と思わせてくれた
今でこそ、こうして言葉にすることができますが
当時の私には、それがどんなに恵まれたことだったのかは知る由もありません。
社会人としての今の私の基礎を作り上げてくれたと思います。
このように、会社に大きな損害を与えない程度の挑戦と権限を与えることは
意思決定の回数を増やし、学習の速度を格段に上げることにつながり、
組織は「自走できる人」の集まりと自然になっていきます。
まとめ
結論はシンプルです。決断は結果ではなく、前進を生む行為。
成功も失敗も、立ち止まらなければすべてが糧になります。
だから、歩みを止めない。小さく決める。素早く動く。
痛みを学びに変えて、また決める。
あなたの次の一歩が、未来を拓く最も確実な投資となります。
2025.10.01

忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
かつて「地図が苦手」な人が多かったが、スマホ地図アプリの登場で誰もが簡単に目的地にたどり着けるようになった。
これは、GPSによる「現在地の可視化」「ルート案内」「全体像と詳細の切り替え」「心理的安全性」の4つの機能が理由だ。
経営の財務管理も同じで、決算書や試算表という「紙の地図」ではなく、
スマホのように「今の財務状況」をリアルタイムで可視化し、目標までのルートを示す必要がある。
具体的には、日次の資金残高確認、4週間の出入金予定表作成、危険ラインの設定から始めることで、資金繰りの不安を解消できる。
重要なのは、専門的な分析力ではなく、財務を「誰もが理解できる形」にデザインすることだ。
本文
なぜ、あれほどいた「地図が苦手な人」は消えたのか?
かつて、多くの人が「地図を読むのが苦手で」と口にしていました。
しかし今、スマートフォンの地図アプリを使いこなせない人はほとんど見かけません。一体なぜでしょうか?
人々の空間認識能力が向上したわけではありません。答えはシンプルです。
ツールが「地図を読み解く」という複雑なスキルを不要にし、
誰もが「ナビに従う」だけで目的地にたどり着ける体験に変えたからです。
実はこれ、経営における「財務」にも全く同じことが言えます。
多くの経営者が、決算書や試算表といった専門的な「紙の地図」を前に、
「数字が苦手だ」「どこをどう見ればいいか分からない」と感じています。
しかし、もし会社の財務状況を「スマホの地図」のように、誰もが直感的に理解できる形に変えられたとしたら?
この記事では、スマホ地図の圧倒的なわかりやすさをヒントに、
複雑な財務を「見える化」し、「迷わない経営」を実現する方法をご紹介します。
1.最大の違いは「現在地」がわかること
スマホ地図が画期的な最大の理由は、GPSで常に「現在地」と「進むべき方向」を示してくれることです。
「自分は今どこにいる?」という、最も重要で、最も不安になる問いに一瞬で答えてくれます。
これを経営に置き換えてみましょう
【紙の地図】: 決算書や試算表
先月や先々月の「過去」の地点情報です。数字の羅列から「で、今、うちの会社の状況は良いの?悪いの?」を読み解くには時間がかかります
【スマホ地図】:リアルタイムの財務指標
今の現金残高、売上、利益がひと目でわかります。会社の「今」が青い点として明確に示されるため、意思決定のスピードが格段に上がるのです
2. 目的地(目標)までの「ルート案内」機能を持つ
スマホ地図は、現在地から目的地までの最適なルートを自動で示してくれます
道を間違えても、すぐに新しいルートを再検索してくれます
これを経営に応用します
【紙の地図】 年度の事業計画書、Excelの売上目標
目標(目的地)は書いてあるが、そこまでの日々の道のり(ルート)は個人の頭の中にしかない
計画と実績がズレても、軌道修正に時間がかかる
【スマホ地図】 予算実績管理(予実管理)ツール
目標(予算)と現状(実績)の差が常に表示される
「あと50mで右折です」という音声案内のように、「目標達成まであと〇〇円」「このままでは〇〇円ショートします」といった具体的な指標が示される
これにより、迅速な軌道修正が可能になります
「計画を立てて終わり」ではなく、目標達成までの道のりをナビゲートしてくれる仕組みが不可欠です。
3. 「全体像」と「詳細」を自由に行き来する
スマホ地図は、2本の指で広域表示と詳細表示を切り替えられます。
これにより、森(全体像)と木(詳細)の両方を簡単に見ることができます。
【紙の地図】 決算書全体と、各勘定科目の元帳
両者を見比べるのは手間がかかり、つながりを理解しにくい
【スマホ地図】 現代の会計ツール
システムを使い売上を確認 → 気になる部分をクリック → どの取引先からの売上が大きいかを表示
→ さらにクリックして個別の請求書データまで確認、といったように、知りたい情報をストレスなく深掘りできる。
この「全体と詳細を自由に行き来できる」環境が、数字に対する心理的なハードルを下げ、問題の早期発見につながります。
4. 「分からない」という心理的な不安を取り除く
「道に迷ったらどうしよう」という不安は、人を臆病にします。
スマホの地図は「いつでも現在地がわかる」「道を間違えても大丈夫」という心理的な安全性を提供してくれるため、
私たちは安心して知らない場所へも踏み出せます。
経営も同じです。
「資金繰りは本当に大丈夫か?」
「この投資は正しい判断だったか?」
「社員に会社の状況を聞かれたら、どう説明しよう?」
こうした不安の根源は、「状況が正確にわかっていない」ことにあります。
財務を「見える化」することは、経営判断の拠り所となり、社長自身、そして社員に対しても
「うちは大丈夫だ」「今はこういう状況だから、次はこの一手を打つ」
と自信を持って説明するための基盤となるのです。
最初の⼀歩:「資⾦の現在地」を⾒える化する
では、何から手をつければいいのでしょうか。多くの会社がPL(損益計算書)を重視しますが、
まず整えるべきは会社の血液である「資金(キャッシュ)」の現在地です。
利益が出ていても資金が尽きれば会社は立ち行かなくなります。
以下の3つを始めるだけで、あなたの会社の地図に「現在地」を示す青い点が灯ります。
日次残高の記録:メイン口座の実残高を毎朝チェックし、どこにいても確認できるようにする
4週間の出入金表の作成:向こう4週間の確定している支払・入金の予定を日付順に並べる
危険ラインの設定:会社の規模に応じて「残高〇〇万円を下回ったら黄色信号」といった危険ラインを具体的に決めておく
目的は完璧な予測ではありません。「ズレを早く見つけて修正する」ことです。
これだけで、「資金繰りは大丈夫か?」という漠然とした不安が、
「2週間後に資金が厳しくなるから、A社への支払いを相談しよう」や
「3か月後に資金が厳しくなりそうだから、早めに銀行に相談しよう」
という具体的なアクションに変わります。
【まとめ】現在地がわかれば、会社は迷わない
「数字が苦手」なのではありません。あなたの会社が使っている財務という「地図」が、
読み解くのに特殊なスキルを要する「紙の地図」のままなだけかもしれません。
これからの経営者に必要なのは、財務諸表を読み解く専門的な能力以上に、
会社の状況を「スマホ地図」のように誰もがわかる形にデザインし、チーム全員で目的地へ向かう力です。
まずは、あなたの会社の「現在地」を示す、キャッシュという名の青い点を灯すことから始めてみてはいかがでしょうか。
それだけで、経営の景色は大きく変わるはずです。
もし、記事を読まれて「うちの財務も、青い点(現在地)が見えるようにしたい」
そんな方には、1枚の紙で、会社のお金を見える化でき、
売上や利益に関することを、社内全体で共通言語として使える「お金のブロックパズル」
の導入サポートもあります。まずはお気軽にお問い合わせください。
漠然と感じているお金の不安がクリアになりますよ。
2025.09.25

忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
多くの社長が資金に苦しむ根因は、売上偏重でもコスト偏重でもなく、
「会社に必要なお金が手元に残る設計=数字の地図」がないこと。
固定費・返済・戦略費・税や内部留保を賄う必要粗利を明確にし、
粗利率から必要売上を算出、現状とのギャップを客数・単価・リピートなどに分解して打ち手を決める。
戦略費は効くものを守り、効かないものは止める。
入出金の時間差や在庫・回収の管理などキャッシュの視点も欠かせない。
月次で「事実→振り返り→次の一手」を1枚で確認し、全社員と共有することで、ビジョンと資金が両立する経営へ。
数字は答えではなく座標。社長にしかできない視点転換が、組織を自律的に動かす。
本文
「社長であれば、経営の数字をしっかり見ているのが当たり前」
世間の常識はそう言いますが、キャッシュフローコーチとして、経営者の伴走役を担っている中で、
「数字が見えていない社長」が意外に多いというのが実感です。
それはなぜでしょうか?
理由は明快で、お金の流れを全体像で学ぶ機会がなかったからです。
「とにかく売上」と、現場を駆け抜けてきたせいで
売上・人件費・返済などが頭の中でバラバラに存在し、
「売上が上がれば、給料も支払いも返済も何とかなるはず」と「思い込んでいる」ケースが少なくありません。
しかし、現実は単純ではありません。
お金の流れが見えていないため、売上を上げても手元にお金が残らず、
「返済をするために、また借金をする」といった本末転倒な事態が起こります。
精神論だけで頑張り続ける経営は、やがて心身共に限界を迎えてしまうでしょう。
資金繰りが苦しくなったとき、多くの社長は主に二つの解決策を模索します。
本稿では、それらが本当に有効な道なのか、詳しく見ていきます。
1. コスト削減は万能薬ではない
資金繰りが苦しいとき、まず目が行くのは「人件費」ではないでしょうか。
たしかに固定費の大きな割合を占めますが、安易な人員削減には慎重な判断が必要です。
たとえば、勤務態度に不満があった社員を解雇したとします。
一時的に人件費は減るかもしれませんが、その社員が年間2,000万円の粗利を生み出していたとしたら、
人件費500万円のコストが減る以上に2,000万円の粗利が失われる可能性があります。
さらに、社内のモチベーション低下や、残された社員への業務負担増といったデメリットも無視できません。
水道光熱費や事務用品などの地道な節約も大切ですが、収益へのインパクトは限定的です。
となると、最終的に削られやすいのは、将来の売上を生み出すための
「広告宣伝費」や「研究開発費」「教育研修費」といった「戦略費」となります。
しかし、これらを安易に削減すれば、数ヶ月後に売上ダウンを招き、さらなる苦境に陥るリスクがあります。
効かない戦略費は止める、効いている戦略費は守るという線引きが重要なのです。
結局のところ、コスト削減だけでは根本的な解決には至らず、限界があることに気づきます。
2. 「売上アップすれば解決」という幻想
コスト削減だけでは不十分だと気づくと、次に多くの社長が考えるのが「売上アップ」です。
「売上が増えれば、資金繰りの悩みは解決する」と信じている社長は少なくありません。
ならば、資金繰りに苦しむ会社が後を絶たないのはなぜでしょうか?
真の問題は「売上アップの方法がわからない」ことではありません。
実は、社長そして社員一人ひとりが「いくらの売上をつくれば、会社が必要とするお金が手元に残るのか」
を理解していないことが問題なのです。
必要なのは「数字で描く地図」
売上目標を何度も叫んでも、行動は具体化しません。
重要なのは、固定費・返済・戦略費をすべてまかなうために必要な売上(必要粗利)を明確にすることです。
数字が明確になれば、「あといくら必要か」「なぜそれが必要か」が見えるようになります。
社員にも行動の優先順位が伝わるし、自分自身の意思決定もブレにくくなります。
一度、ご自身や社員さんに、こう尋ねてみて下さい。
「当社は売上や利益が、いくら必要ですか?」と。
「多ければ多いほどいい」という曖昧な答えしか返ってこない会社は、行動にはつながりません。
現在地もゴールまでの距離も分からなければ、走り続けるモチベーションは維持できないのと同じです。
つまり多くの会社では、以下の二点が漠然としています。
1.いくらの売上アップが必要か?
2.それはなぜ必要なのか?
行動を起こすには、このような、根拠のある目標が必要不可欠なのです。
根拠とは、人件費やその他の固定費、返済、そして将来への投資などを全て賄うために
「どれだけの売上(粗利)が必要なのか」という数字です。
この目標と現状のギャップを数字で可視化し、全社員が共有することで、組織は自律的に動きだします。
3. 社長にしかできない「視点の転換」と「数字の地図」づくり
「これまでも長年の経験と勘でやってきたから、計画は不要」という経営者もいます。
でもそれは、すでに地図や地形を熟知した熟練の登山者だからできることです。
社員がいる会社では、計画や目標なしに動けというのは「目隠しして走れ」と言っているようなものです。
私は、凡人の社長だからこそ、計画や目標は必要だと考えます。
目標を立てて毎月軌道修正する会社と、場当たり的に経営する会社では、1年後の結果が異なるのは当然です。
重要なのは「変更はいつでもあり得る」という前提で目標を置くことです。
私自身の例ですが、大学で経済や経営を学んだわけではない私が、
会社の存在意義を明文化し、計画や目標を立て、その上に財務の考え方を積み上げた結果、
内部留保を5年間で5倍以上に増やすことができました。
「悪いところは良くなるだけ」「わからないことは、伸びしろである」と、視点を持ちましょう。
寺田寅彦の言葉を借りれば、「不安」は「希望」の裏返しであり、「苦手」「わからない」は「伸びしろ」の別名です。
数字を見る視点を変え、財務や決算書を「経営判断の力強い味方」に変える。
その第一歩として、今日から「数字の地図」づくりを始めませんか。
今日からできる「数字の地図」づくり(5つのステップ)
固定費の棚卸し: 人件費、地代家賃、減価償却費、借入金返済額など、毎月必ず発生する費用を明確にします。
必要粗利の算定: 上記固定費と、守るべき戦略費の合計額が、最低限必要な粗利額です。自社の粗利率をかけ合わせれば「必要売上」が算出できます。
ギャップの分解: 必要売上と現在の売上の不足額を、「客数×客単価×リピート率」のように数式に分解し、どこに手を打つべきかを見極めます。
「やめる」リストの作成: 効果の薄い施策、赤字案件、安易な値引きなど、先に止めるべきものを明確にします。一方で、効果が出ている戦略費は死守します。
月次の振り返り: 毎月30分でも良いので、「事実→学び→次の一手」のサイクルを回し、見込みと実績、資金状況を一枚で確認する習慣をつけましょう。
数字は、あなたの経営の答えではなく「座標」です。
今どこにいて、どこに向かうのかを教えてくれるナビゲーターです。
「どれだけ頑張ればいいのか」 「なぜ頑張る必要があるのか」
この問いに数字で答えられるようになったとき、売上至上主義でもコスト至上主義でもない、
ビジョンと資金が両立する経営が始まります。
2025.09.22

昨日、世界陸上東京大会の幕が下りた。
毎日、熱戦が繰り広げられ、熱心に見ていた人も多いと思います。
私もその一人なのですが、その中でも一番印象に残り
ずっと「私ならどう声をかけるか」と考えさせられる場面がありました。
あの、村武ラシッド選手の決勝の後のインタビューで発せられた
「何が足りなかったのだろう」です。
私は普段、中小企業の経営者向けに、会社の数字を分かりやすく可視化するツールを使い、
経営の『伴走者』となる仕事をしています。
その中で痛感するのが、『優れた仕組み(システム)だけでは人は動かず、最後の決め手は人の感情だ』
ということです。
経営者の「変わろう」とする強い気持ちや、「何かを変えなければ」という強い決意が
なければ、どんなに優れて簡単なツールでも、どんなに優れた技術論でも「宝の持ち腐れ」となります。
そこで本稿では、自戒の念をたくさん含めた上で
社長や上司はもちろん、学校やスポーツの教育者や指導者、子育て中の親御さんにも
役に立てるような「言葉がけ」について書いていきます。
本稿を読んでいただき、少しでもお役に立てればと思います。
忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約文」
世界陸上でメダルをわずか0.06秒差で逃した村竹ラシッド選手の「何が足りなかったんだろう」という言葉。
この瞬間、コーチや指導者は何を伝えるべきか。
人はシステムだけでは動かない。最後は感情で動く。だからこそ、言葉がけには3つのフェーズが必要だ。
フェーズ1:直後は感情を受け止める
「よくやった。悔しいな。今はそれでいい」
フェーズ2:努力を承認し、視点を変える
「この悔しさを、どう伸びしろに変えるか。一緒に考えよう」
フェーズ3:冷静に振り返り、未来へ
「この経験が、次の成功に必要な財産だ」
社長、上司、教育者、親。誰かの「そばにいる立場」のあなたの一言は、人生を左右する力を持っている。
悔しさを成長の燃料に変えられるのは、信頼関係のある「あなたの言葉」だけなのだ。
本文
はじめに
男子110mハードル・世界陸上決勝。
わずか0.06秒差でメダルを逃した村武ラシッド選手が、号泣しながら語った言葉に、心を打たれた人は多かったと思います。
「何が足りなかったんだろう」
この一言に込められた悔しさ、孤独、そして責任感。
この瞬間、彼のそばにいて、一緒にここまで歩んできた人々が何を伝えるか。
それは、競技結果以上に大切な「人生の節目」であり、コーチングの真価が問われる場面でもあります。
今回は、コーチの立場からの声かけを、3つのフェーズに分けて考えてみます。
これはアスリートに限らず、企業のリーダーや教育者にも響く、「言葉と問いの使い方」のヒントになるはずです。
🔹フェーズ1:レース直後 ― 感情を受け止める
この瞬間に必要なのは、「分析」や「反省」ではありません。
「ただそこにいて、感情に寄り添い、一人じゃないと伝えること」
これが必要になると思います。
かける言葉の例
「よくやった。悔しいな。今は、それでいい」
「俺も悔しい。でも、最高の走りだった。胸を張ろう」
「今は何も考えなくていい。まずは、しっかりクールダウンしよう」
ポイントは、「前を向け」ではなく「今のままでいいよ」と伝えること。
涙を流せるほどの本気に、評価も分析もいらない。ただ、「隣にいること」がすべて
だと思います。相手の感情をそのまま素直に全て受け止めましょう。
ここで焦って指導やアドバイスに入ると、心は閉じます。
🔹フェーズ2:感情が落ち着いたタイミング ― 努力を承認し、視点を変える
一晩明け、少し冷静さが戻ってきた頃、
このタイミングでは、これまでの努力やプロセスをしっかりと認めた上で、
「一緒に振り返ろう」と未来への入り口を開きます。
かける言葉の例
「この一年、お前がどれだけやってきたか、私が一番よく見てる。世界5位だぞ。誇りに思う」
「『何が足りなかったんだろう』その答え、これから一緒に見つけていこう」
「あの0.06秒をどうやって削るか。面白い挑戦がまた始まったな」
悔しさを「課題」ではなく「伸びしろ」に変換し、
「敗北」を「進化の起点」にする、すなわち、「ここからまたスタート」しようと
顔を上げ、前を向かせるような言葉がけが大切になります。
🔹フェーズ3:数日後の自己分析 ― 冷静に振り返り、未来へ
心身が整った後、ようやく技術的な振り返りと未来の設計に入ります。
このフェーズでは、一方的な分析やデータを伝えるのではなく、
対話を通じ、冷静な自己分析から始めることが大切です。
その上で、自己分析から出てきた課題に対してデータを提示し
「一緒に考えていく」姿勢が必要です。
「アドバイス」ではなく「自分の言葉」で話してもらうことが重要です。
かける言葉の例
「さて、レースを振り返ろう。あなた自身はどう感じてた?何でも聞かせて」
「データを見ると、ここは完璧。でも、この部分が足りていないようだ。どう修正していくか、考えよう。」
「よし!この悔しさが、最後のピースだったかもしれん。つぎこそ成功するために必要な財産を、今日手に入れたんだ。」
技術的な話も、本人の感じたことを起点にする。
そして最後には、「この経験が財産になる」という意味づけを行い、再び目を前に向けさせます。
主観→客観→対策の順で組み立て、「誰が・いつ・何を・どう測るか」まで落とし込む。
ここまで来て初めて、必要と思われる行動や技術、そして数値やデータが活きます。
■ おわりに
村武選手が流した悔し涙。しかし、信頼する周りの人々の言葉によって、
その涙はきっと次の舞台へ向かうための『最高の燃料』に変わるはずです。
私たちもまた、誰かの『伴走者』です。
社長や上司、先生や親の言葉は、単なる「慰め」や「励まし」ではありません。
それは、感情に寄り添い、努力を承認し、未来への光をともす「伴走者としての言葉」です。
あなたが誰かの「そばにいる立場」だとしたら
その一言は、時に人生を左右する力を持っています。
悔しさを燃料に変えさせ、点火させることができるのは、
信頼関係ができている、「あなた」であり「あなたの言葉」なのです。
今日、あなたが向き合う大切な人に、どんな言葉をかけますか?
私も、まだまだ「言葉の力」磨いていきます。
2025.09.19

みなさんも、「世界陸上」ご覧になってますか?
私は毎晩、興奮気味に見ています。
競技自体はもちろんですが、競技終了後のインタビューは
「質問のプロ」の教材として見ています。
たとえば、110mハードルの村武ラシッド選手の、あの言葉
「何が足りなかったんだろう」
後に続ける言葉を考えることは、経営者や部下を持つ方々、
子育て中の方にとって、とても役に立つと思います。
さて、本日は「聴く姿勢」について書いていきます。
本文は経営者・幹部をメインターゲットとして書いていますが、
この考え方は部下や同僚、さらには家庭など、あらゆる人間関係に応用できます。
まずは、触れていただき、周りの方々との、良好な信頼関係を築くためにお使い下さい。
忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約文」
部下の本音が出てこない、顧客の不満が溜まってしまう。
こうした悩みは、リーダーが「受け止める」と「受け入れる」を混同していることが原因かもしれません。
「受け止める」とは、相手の意見や感情を否定せず、なぜそう思うのかを理解しようとする「傾聴」の姿勢です。
一方、「受け入れる」とは、その意見を承認し、実行を決める「判断」の行動です。
大切なのは、まず相手の声を最後まで「受け止める」こと。
これにより相手は安心感を抱き、信頼関係が生まれます。
その上で、リーダーとして会社の理念や状況を鑑み、冷静に「受け入れるか」を判断するのです。
この「受け止めてから判断する」プロセスが、組織の心理的安全性を高め、
売上アップや社員の自発的な成長を促す好循環を生み出します。
本文
社員や顧客の声、あなたは本当に「聴けていますか?」
「部下の意見を聞いているはずが、どうも本音が出てこない」
「お客様の要望を聴いているつもりなのに、いつの間にか不満が募っている」
経営者やチームを率いる幹部の方々から、こんな悩みを耳にすることがあります。
その原因の一つに、「受け止める」と「受け入れる」の混同があるかもしれません。
一見似ているようで、この二つの言葉には明確な違いがあります。
この違いを理解し、適切に使い分けることができれば、組織の心理的安全性は高まり、
より良い意思決定へと繋がり、結果として企業の成長を加速させる強力な武器となります。
本日は、コンサルティング現場の具体例を交えながら、
この「受け止める」と「受け入れる」の違いとその実践方法について深く掘り下げていきます。
1. コンサル現場に見る「受け止める」と「受け入れる」の決定的な違い
まずは、私たちが日々のコンサルティングでクライアントの経営者と接する中で意識している、
この二つの姿勢の違いから見ていきましょう。
🔹 受け止める姿勢:相手の「なぜ?」を深く理解する傾聴
「受け止める」とは、相手の言葉や感情、意見をそのまますべて一度、自分の中に招き入れ、理解しようとする態度を指します。
重要なのは、その場で賛成か反対かを判断しないこと。
「この人はなぜそう考えるのだろう?」「その背景には何があるのだろう?」といった探求心を持って耳を傾けます。
この姿勢によって、相手は「自分の話をちゃんと聴いてもらえた」「理解しようとしてくれている」と感じ、
深い信頼を寄せてくれるようになります。
【具体例】
社長:「うちは値上げなんてしたら、今いるお客さんがみんな離れてしまうよ!」
コンサル:「なるほど、そう感じておられるのですね。
具体的に、どんなタイプのお客さんが、どのような理由で離れていくことをイメージされていますか?」
この例でコンサルタントは、社長の「値上げへの懸念」を否定も肯定もしていません。
ただ、その感情や意見の背景にある具体的なイメージや懸念を掘り下げようとしています。
これが「受け止める」という行為です。
🔹 受け入れる姿勢:自分の意思で「採用・承認」する判断
一方、「受け入れる」とは、相手の意見や方針を自分自身も「良い」と判断し、実際に採用・承認する態度を意味します。
つまり、その意見を「自分ごと」として取り込み、実行に移すことを決める段階です。
「受け止める」ことと「受け入れる」ことは必ずしもセットではありません。
相手の意見をしっかりと受け止めて理解した上で、最終的に受け入れるかどうかは別の話です。
【具体例】
社長:「会社のキャッシュが厳しいから、従業員の賞与をゼロにするしかないと考えている。」
コンサル:「なるほど、財務状況を考えると、それほど厳しいご決断を迫られているのですね。
会社の存続を最優先される社長のお気持ち、お察しいたします。
その覚悟を受け止めた上で、まずはその方針で進めることが今は必要かもしれません。
その上で、来季に従業員のモチベーションをどう回復していくか、
具体的な改善策も合わせて検討しましょう」
このケースでは、コンサルタントは社長の「賞与ゼロ」という厳しい意見を「受け入れて」います。
その上で「来季に向けて」と提案することで、前向きな姿勢に持っていこうとしています。
2. 経営者・幹部が実践すべき「使い分け」の極意
この二つの姿勢は、経営者やチームを率いる幹部の方々にとって、日々のマネジメントにおいて非常に重要な意味を持ちます。
(1) 社員や部下の声は、まず「受け止める」ことから始める
組織において、心理的安全性の高さは生産性やエンゲージメントに直結します。
社員や部下が安心して意見を言える環境を作るためには、
彼らの発言や不満やアイデアを「まずは否定せずに聴き切る」という姿勢が不可欠です。
たとえそれが、経営方針と異なる意見であっても、感情的な不満であっても、
まずは「そう感じているんだな」「そういう考え方もあるのか」と、
彼らの内面を理解しようと努めることが、彼らが「ちゃんと聴いてもらえた」と感じる第一歩です。
(2) 最終的な判断で「受け入れる」かどうかを決める
しかし、「受け止める」ことのすべてが「受け入れる」ことではありません。
組織のトップである経営者や幹部には、最終的な意思決定を下す責任があります。
すべての意見を受け入れてしまっては、経営判断がブレたり、
組織全体の方向性を見失ったりするリスクがあります。
社員や部下の意見を十分に受け止めた上で、
会社の理念・ビジョン、数字的な持続可能性、他の選択肢との比較など、多角的な視点から総合的に判断し、
最終的に「受け入れるかどうか」を決定することが重要です。
このプロセスこそが、リーダーシップの発揮される瞬間です。
3. 今日から実践!「受け止める」ための質問と「受け入れる」判断の視点
では、具体的にどのように実践していけば良いのでしょうか。
🔹 「受け止める」ための質問例
相手の言葉の奥にある意図や感情を引き出すために、以下のような質問が有効です。
「なるほど、そう考えるようになった理由は、具体的に何ですか?」
「そのとき、あなたはどんな気持ちでしたか?」「どんな思いでしたか?」
「今の状況で、一番心配していることは何ですか?」
🔹 「受け入れる」判断の視点
社員や部下の意見を受け止めた上で、最終的に「受け入れるか否か」を判断する際には、以下の視点を参考にしてみてください。
会社の理念・ビジョンに合致するか? 長期的な会社の方向性と一致しているか。
数字的に持続可能か? コスト、収益、リソースなど、具体的な数字に基づいて実行可能か。
他の選択肢と比べて最善か? 最も効果的で合理的な選択肢であるか。
4. まとめ:「受け止める」から始まる、信頼と成長のサイクル
「受け止める」とは、相手への理解と傾聴の姿勢です。「受け入れる」とは、その理解を基にした承認と決定の行動です。
経営者や幹部として組織を導く上で最も大切なのは、
社員や顧客の声に対して「いきなり受け入れるかどうか」を決めないことです。
まずは相手の意見や感情を「受け止め」、その背景と意図を深く理解しようと努める。
そして、その上で経営者としての責任と判断基準に基づき、「受け入れるか否か」を冷静に決定する。
この「受け止めてから受け入れる」というプロセスこそが、
組織内の信頼関係を強固にし、従業員のエンゲージメントを高め、
結果として売上アップや社員の自立性向上、定着率の増加を可能にする鍵となります。
「ちゃんと聴いてもらえた」という安心感が、次の建設的な意見を生み、それがまた組織の成長を促す。
このポジティブなサイクルを回し続けるために、今日からあなたの「聴く姿勢」に意識を向けてみませんか。
「心」も「体」も「聴く姿勢」が大切です!「こら! その体勢!」
2025.09.16

「数字に強い人」と聞くと、計算が速い、統計に詳しいといったイメージがありませんか?
しかし、ビジネスの現場で本当に求められる「数字力」は、それだけではありません。
数字を使って未来の姿を描き、データに基づいて冷静に判断できる力こそが、
これからの時代を生き抜くビジネスパーソンにとって不可欠なスキルです。
この記事では、経営者と社員、それぞれの視点から「本当に数字に強い」とはどういうことなのか、
その本質を解き明かしていきます。
この記事でわかること
数字で語る人が、なぜ立場を問わず信頼されるのか
数字を使って未来を予測し、ビジネスの精度を上げる方法
厳しい状況でも、数字を味方につけて冷静に行動するコツ
忙しいあなたへ【1分で読めるAI要約】
ビジネスで本当に役立つ「数字力」の本質
ビジネスで「数字に強い」とは、計算が速いことではありません。
数字を使って「信頼を築き」「未来を予測し」「冷静に判断する」力があることを指します。
これは経営者から新入社員まで、すべてのビジネスパーソンに必須のスキルと言えます。
その理由は、以下の3つの効果に集約されます。
1. 数字で語ると「信頼」される
「頑張ります」といった曖昧な言葉ではなく、「売上目標10億円」「先月比15%増」
のように具体的な数字で話すと、発言に客観的な説得力が生まれます。
これにより、経営者は組織を動かしやすくなり、社員は上司や顧客からの信頼を得やすくなります。
2. 数字で「未来を予測」できる
数字は過去の記録だけでなく、未来を予測する道具です。
「価格を5%上げたら利益はどうなるか」といったシミュレーションで最適な経営判断を下したり、
「このままでは目標未達になる」と予測して先手を打ったりと、
ビジネスの精度を格段に向上させることができます。
3. 数字を味方にすると「冷静」でいられる
赤字や目標未達といった厳しい状況でも、感情的になる必要はありません。
数字は「改善すべき点」を教えてくれる冷静なパートナーです。
数字を深掘りして「なぜそうなったのか」を分析すれば、次に打つべき具体的な一手が見えてきます。
まとめ
「数字力」とは、感覚ではなく根拠をもって語る力です。
日々の会話や報告に一つ数字を交える習慣をつけるだけで、誰でもこの強力な武器を身につけることができます。
本文
1. なぜ「数字で語る」だけで信頼されるのか?
ビジネスにおける信頼は、客観的な事実から生まれます。その最も強力なツールが「数字」です。
たとえば経営者が、ただ「売上を伸ばすぞ」と檄を飛ばしても、社員は何をすべきか分からず、組織は動きません。
【経営者の場合】
「3年で売上10億円、市場シェア15%を目指す。そのために、まず半年で新規顧客を100社開拓する」
このように具体的な数字で目標を示すことで、初めて組織全体が同じゴールを見て、
具体的なアクションプランを共有できるのです。
これは社員やビジネスパーソンにとっても同じです。
上司への報告で「頑張っています、成果は出ています」と伝えるだけでは、あなたの評価は上がりません。
【社員の場合】
「担当案件の進捗ですが、施策Aによって追加の発注が先月比で15%増えました」
このように数字で語れる人は、上司や顧客に対して
「客観的な事実に基づいて仕事を進められる人材だ」という信頼を簡単に得ることができます。
コラム
私たち「コンサルタント」と名乗る人間にも実は同じことが言えます。
よく、決算書や試算表を元に「〇〇比率」や、格好のいいカタカナや英語の「数値」を
「見栄えのいい資料」として提示している人がいるようですが
経営者の知りたいことは、その数値ではありませんし
数値を良くすることが経営目標ではありませんよね。
経営者が立てた目標、その達成のために、「数字」を「役に立つ数字に」変換し
専門的なことなど知らなくても、「やるべき事の判断材料を提示」できるような
コンサルタントやコーチを「伴走者」として選択しましょう。
また、会社全員の間に「売上」「コスト」「利益」などに関する「共通言語」が
存在している会社と、そうではない会社では、その成長速度や社内の雰囲気も
全く変わってきます。その結果は、目標達成率や社員満足度にも大きく影響を及ぼします。
実際に「お金のブロックパズル」を社内に導入することは
「お金の見える化」だけにとどまらず、社員の利益やコストに対する意識を高め
全社一丸で目標に向かって進んでいくことの一助となります。
※「お金のブロックパズル」とは
会社の利益構造をシンプルに図式化し、
「どこに手を打てば利益が出るか」
「その利益額は、どのくらいの金額か」
「新規投資時の判断基準の明確化」
「未来の収益計画の立案」などを
決算書が読めなくても誰でも、視覚的に理解可能にする会計ツールです
2. 数字で未来を予測し、最適な一手を選ぶ
数字は過去の結果を記録するだけのものではありません。
未来を予測し、進むべき道を照らす「羅針盤」の役割を果たします。
経営者にとって、意思決定の場面で数字は強力な根拠となります。
感覚や経験則だけに頼った判断は、大きなリスクを伴います。
【経営者の場合】
「価格を5%上げた場合、既存顧客が1割離れても、粗利益は年間で500万円のプラスに転じる」
「お金のブロックパズル」などを用いて、このようなシミュレーションができれば、
自信を持って価格改定の意思決定ができます。
社員が周囲から一目置かれる存在になるためにも、未来の予測は欠かせません。
【社員の場合】
「現在の進捗率だと、3か月後の四半期目標達成率は80%に留まる可能性が高いです。
今のうちから施策Bを追加で実施することを提案します」
このように、数字を使って少し先の未来を描き、先手を打つ提案ができれば、
単なる「作業者」から「戦略を考えるパートナー」へとステップアップできるでしょう。
3. 数字を「冷静なパートナー」とし、感情に流されない
赤字、売上減少、目標未達。こうした厳しい数字を突きつけられると、
多くの人は焦りや不安を感じてしまいます。しかし、本当に数字に強い人は、そんな時こそ冷静です。
彼らは、ネガティブな数字を「終わり」のサインではなく、
「改善すべき点を教えてくれるヒント」として捉えます。
【経営者の場合】
赤字決算という結果に対し、「どの部門のコストが最大の要因か」「テコ入れすべき事業はどこか」
「広告宣伝の有効性は」「新商品開発の必要性は」「人件費の最適化には」
と数字をさらに深掘りし、次の一手を冷静に導き出します。
これは社員にとっても、成長の大きなチャンスです。
【社員の場合】
重要業績評価指標(KPI)が未達、結果、売上目標も未達だったとしても、
「なぜ届かなかったのか」「どの活動量が足りなかったのか」
を数字で客観的に振り返り、次のアクションを具体的に改善できます。
数字はあなたを責める敵ではありません。常に客観的な事実を伝え、
次に進むべき道を教えてくれる、最も信頼できるパートナーなのです。
まとめ:数字は、立場を超えて最強の武器になる
本記事で解説した「数字力」は、役職や立場を超えて、すべてのビジネスパーソンにとって強力な武器となります。
経営者にとっては → 社員を導く「説得力」と、未来を切り拓く「冷静な意思決定」の源泉となる。
若手ビジネスパーソンにとっては → 上司や顧客から信頼を勝ち取り、キャリアを飛躍させるための「武器」となる。
数字に強い人とは、未来を「感覚」ではなく「根拠」をもって語れる人です。
日々の業務報告や会議での発言に、一つでも数字を交える習慣をつけることから、
誰でも「数字に強いビジネスパーソン」へと成長できます。
数字を恐れるのではなく、ぜひあなたのキャリアの味方にしてみませんか。
さあ、今日の会議でまずは一度、「数字」を使って発言してみましょう!
2025.09.10

さて、昨日は現代の若者が求めている「相談型」の人材育成について
その基礎となる考え方を書きました。
本稿は実践編ですが、前回の記事では『信頼関係の構築が全ての土台である』という考え方について解説しました。
本稿だけでもご理解いただけますが、合わせてお読みいただくとより効果的です。
https://sato-insurance.jp/blog/1003/
忙しいあなたへ。1分で読める要約文
現代の若手社員(20〜30代)は「納得感」を重視し、
一方的な指示ではなく目的を理解した上で自ら考えて動くことにやりがいを感じます。
彼らの主体性を引き出すには、マネジメントスタイルを「指示」から「対話」へとアップデートする必要があります。
その鍵となるのが「問いかけ」です。効果的な問いかけは、まず「感情」に触れることから始めます。
「この仕事は楽しい?」「不安はない?」といった感情への問いかけから入り、
次に「あなたならどうする?」という思考を促す質問へと進みます。この順序が重要です。
問いかけを職場文化として根付かせるための3ステップは:
1.部下の話を急かさず、まず3分間真剣に「聴く」
2.仕事の目的と基本ルールだけを伝え、手段は「任せる」
3.質問後、すぐに答えやアドバイスせず、相手の言葉を「待つ」
この「問いかけ」アプローチにより、若手社員の思考力が育ち、自発的な行動が増え、チーム内の信頼関係が深まります。
最初の一歩として、明日から「仕事は楽しい?」「どこから始められそう?」「改善点は?」といった問いかけを試してみましょう。
部下の表情の変化こそが、あなたのチームの未来を映す鏡です。
本文
【若手が動かない】「指示待ち部下」が自ら動き出す【問いかけ】の技術
「最近の若手は受け身で困る…」「もっと主体的に動いてほしいのに、言われたことしかやらない…」
多くの経営者や管理職が、このような悩みを抱えています。
しかし、それは本当に若手社員だけの問題なのでしょうか。
もしかすると、彼らに主体性がないのではなく、
あなたの職場に「主体性を発揮できる場」がないだけなのかもしれません。
なぜ、あなたの部下は「指示待ち」になってしまうのか?
かつては「背中を見て学べ」「言われたことを正確にやるのが仕事だ」という価値観が当たり前でした。
しかし、今の20〜30代は「納得感」を何よりも重視します。
一方的に命令されるのではなく、目的を理解し、
自分で考えて動くことにやりがいを感じる世代なのです。
つまり、これからのリーダーに求められるのは、
コミュニケーションのあり方を「指示」から「対話」へとアップデートすること。
その鍵こそが「問いかけ」なのです。
主体性を引き出す魔法のスイッチ、「問いかけ」とは?
会議などの場で、経験の少ない若手社員は
「こんなこと言ったら、なんて思われるだろう」「笑われるんじゃないだろうか」
という感情を抱いてしまいがちです。
ですから、決して否定せず、まずは全てを受け止める姿勢や空気を作りましょう。
「何を言っても、笑われないんだ」「経験の差抜きに、意見を聞いてもらえるんだ」
という安心感や信頼感の醸成はとても大切です。
その上で、部下に「やれ」と命令する代わりに、「考えるきっかけ」を渡します。
これだけで、若手社員や社内の空気は驚くほど変わります。
<問いかけの具体例>
「どうだい?この仕事(プロジェクト)、楽しい?」
「この仕事(プロジェクト)を進めるうえで、不安や悩みはない?」
「あなたなら、どんなやり方を試してみたい?」
「その方法がベストだと考えた理由は?」
こうした問いを投げかけることで、
部下は「自分の頭で考えていいんだ」「意見を持っていいんだ」と安心し、思考が回り始めます。
ここで、間違ってはいけないポイントは「話す順番」です
実は上の4つのセリフですが、適当に並べているわけではありません。
「楽しい」「不安」といったような「感情」を問うことから始めています。
ここがポイントの1つです。
昭和世代の私たちに対するマネジメントは「行動」に対するものでした。
私のサラリーマン時代でいうと
理由や意味も伝えられず「1日最低50件の飛び込みをしろ」と。
もちろん、大量行動は、成功へ近づくための手段の1つですから
それ自体は、決して間違っているわけではありません。
しかし、現代の人たちはそのような「体育会系」の教育を受けていません。
昭和世代と比べると「頭脳派」なのです。
とはいえ人間は理論や理屈だけでは、動きません。
「あの人、好み!」⇒「どうやったら話しかけれるだろう?」⇒「こうやってみよう!」
恋愛に限らず、ほぼ全ての行動は、このような流れで行われているはずです。
ですから、まずは「感情をマネジメントする」
実は、行動を起こしてほしければ、感情を動かすことが近道なのです。
「問いかけ」がもたらす3つの効果
1.思考力が育つ
2.自発的な行動が増える
3.チームの信頼が深まる
データも証明「採用」と同じくらい重要な「育成」という課題
中小企業基盤整備機構の調査(2025年3月発表)では、
人手不足の要因として「人材確保・採用(63.3%)」に次いで、
「人材育成(49.1%)」が挙げられています。
採用と同じかそれ以上に、「採用した人材をいかに育てるか」が、企業の未来を左右するのです。
【実践編】「問いの文化」を職場に根づかせる3つのステップ
では、具体的にどうすれば「問いの文化」は根付くのでしょうか。
明日から意識できる3つのステップをご紹介します。
ステップ1:『聴く』を選ぶ
部下が話し始めたら、結論を急がさずに、まず3分間、真剣に耳を傾けてみましょう。
ステップ2:『任せる』を決める
仕事の「目的」と「決まり」だけを明確に伝え、具体的な「手段」は本人に任せてみましょう。
ステップ3:『待つ』を習慣にする
問いを投げかけたら、すぐに答えやアドバイスをせず、
相手が自分の言葉で話し始めるのをじっと待ってみましょう。
「自分でやったほうが早い」という気持ちを一度、脇に置いてみてください。
待つ時間は、未来へのリターンが大きい「人への投資」と考えましょう。
お金もかからない、最高の投資ですよね。
経営者の覚悟が、若手の挑戦に火をつける
リーダーが「話す」ことよりも「聴く」ことを選び、
「教える」ことよりも「引き出す」ことを大切にする。
これは簡単なようで、実は大きな意識改革であり、決断です。
ましてや、はじめは双方とも違和感すら覚えますし、企業文化として根付くには
時間が必要となります。
しかし、この一歩を踏み出したリーダーのもとから、若い力が躍動し、未来が創られていきます。
最後に 〜あなたのチームを変えるための第一歩〜
この記事を読んで、何から始めればいいか迷うかもしれません。
まずは、以下の「3つの問い」の中から一つだけ選び、明日の朝礼や1on1で使ってみませんか?
「最近仕事は、楽しい?困っていることはないかい?」
「その問題、最初の一歩として、何から始められそう?」
「一度やってみてどうだった?どこか改善できそうなところないかな?」
そして、最後にあなた自身に問いかけてみてください。
あなたの「問いかけ」を聞くとき、部下はどんな表情をしていますか?
その表情こそが、あなたのチームの未来を映す鏡なのかもしれません。
この記事で紹介した問いかけは、あくまでチームを変える第一歩です。
あなたの組織に合わせた、より具体的な育成プランにご興味があれば、
トップページ右上より、お気軽にご相談ください。