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『収支分岐点と損益分岐点の実務活用法 〜現金と利益の視点から見る経営戦略〜』
2025.01.27
いつも、ブログを読んでいただき、有難うございます。
地域はもちろん、「日本中の中小企業を元気にしたい」
そのために、一生懸命書き続けます。
では、スタート!
前回のブログで「収支分岐点売上高」と「損益分岐点売上高」の
簡単な出し方について書きました。
https://sato-insurance.jp/blog/278/
今回は、計算した数字を、
実際の経営にどのように活かすかについて
書いていこうと思います。
「収支分岐点売上高」と「損益分岐点売上高」の
話の前に、よくある話をします。
「利益」と「現金」の違いです。
わかっている方は、飛ばして下さい。
よく経営者の口から出てくる言葉に
「利益は出ているんだけど、思ったように現金が増えない」
があります。
いわゆる「稼いだ金は、どこに行った?」です。
一言で言えば「利益と現金は違う」となってしまいますが
わかりやすく違いを書きます。
「利益」とは
企業が一定期間(多くは1年間)に得た収入(多くは売上)から、
経費や費用(変動費や固定費)を差し引いた残りの金額です。
これは、企業の経済活動の成果を示す指標であり、
損益計算書に書いてある数字です。
ここで大切なのは、利益は「金額」であり「指標」である
ということです。
言ってみれば「計算上の数字」ということです。
「現金」とは
現金は、企業が手元に持っている実際のお金を指します。
これは、銀行口座にある預金や、手元にある現金など、
すぐに使用できる資産です。
現金は、企業の流動性を示す重要な指標です。
もっと平たく言うと
格闘ゲームでいう「HP」つまり「残りの体力」のことです。
ゲームでも、HPが0になったらゲームオーバーですよね。
それと同じです。
ちなみに、「利益」が0になっても、
一般的な企業は、ゲームオーバーになりませんよね。
もっと言えば赤字になっても、ゲームオーバーとは
ならない方が多いはずです。
それは、実際の体力(HP)ではない証拠です。
ここだけ見ても、利益と現金は違うことがわかると思います。
この概念を踏まえた上で、読んでみてください。
1. 収支分岐点売上高:キャッシュフローの視点
収支分岐点売上高は、
企業の収入と支出が均衡する売上高を示します。
つまり、キャッシュの流入と流出が同額となり、
収支が「トントン」になっている状態を指します。
「トントン」と言えば聞こえはいいですが
実際の会社で言えば「顔が水面ギリギリ」
と言う方が正確だと思います。
すなわち「収支分岐点売上高」を下回った売上しか
上げれなかった場合「溺れる」ことになります。
特徴として
・ キャッシュフローに着目した数字
・ 資金ショートのリスクを把握できる
・ 短期的な経営判断に有効
・売上げ目標数字を立てる時に有効
実務での活用例
1. 経営戦略の策定
収支損益分岐点を把握することで、
企業はどの程度の売上が必要かを明確に理解できます。
これにより、価格設定や販売戦略を見直すことができます。
2. 投資判断
新しいプロジェクトや製品の導入を検討する際、
収支損益分岐点を計算することで、
そのプロジェクトが現金を生むかどうかを判断できます。
3. パフォーマンスのモニタリング
企業や商品のパフォーマンスをモニタリングできます。
原材料などが値上がりしている昨今
「本当の利益」言い換えると「現金」を生み出している
商品かどうかなどを知ることができます。
市場環境やコスト構造が変化が激しい今
この数値を把握することで迅速な対応が可能になります。
4. 価格戦略の見直し
製品やサービスの価格戦略を見直すことができます。
競合他社の価格や市場の需要に応じて、
価格を調整することで、利益を確保することが可能です。
2. 損益分岐点売上高:利益の視点
損益分岐点売上高は、売上高から費用を差し引いた
利益がゼロになる売上高を示します。
つまり、この売上高を超えると利益が生まれ、
下回ると損失が出るという、企業の収益力を示す指標です。
特徴として
・ 利益に着目した数字である
・ 企業の収益構造を把握できる
・ 長期的な経営戦略に有効である
実務での活用例
1. 経営計画の策定
損益分岐点を把握することで、企業は売上目標を設定しやすくなります。
例えば、固定費や変動費を考慮し、
どの程度の売上が必要かを明確にすることで、
現実的な経営計画を立てることができます。
これにより、資金繰りや投資計画も立てやすくなります。
2. 価格設定の戦略
損益分岐点を理解することで、
製品やサービスの価格設定においても
戦略的な判断が可能になります。
例えば、価格を「10円」引き上げるた場合に
どれくらいの利益が生まれるのかや、
競合他社との価格競争の際にも、
どこまでなら下げても「利益」がでるのかなどを
計算できます。
3. コストの管理
損益分岐点を基に、固定費や変動費の管理が行いやすくなります。
コスト削減のための施策を講じる際、
「どの費用を削減」すれば損益分岐点を下げられるかを
シミュレーションすることができます。
これにより、効果的で根拠を持った経費削減が可能になり
企業の成長の妨げになるような経費削減を回避することが可能になります。
4. 売上のシミュレーション
損益分岐点を用いて、異なる売上シナリオを
シミュレーションすることができます。
例えば、売上が10%増加した場合や、逆に5%減少した場合や
仕入れ値を@1円下げた場合、家賃を10%下げたらなど
様々な場面を想定した利益状況を予測が可能になります。
5. 投資判断
新規事業や新製品の導入を検討する際、
損益分岐点を計算することで、
その事業がどの程度の売上を必要とするかを把握できます。
これにより、投資の妥当性を評価し、
投資リスクを最小限に抑えることができます。
6. その他
現在の売上高と損益分岐点売上高を比べることにより
あとどれくらいまで売上が下がっても赤字にならないかや
企業の安全性を示す数値の1つとして「安全余裕率」も
はじき出すことができます。
これらは、企業の営業活動、ようは「売上高」が
赤字になるまでどの程度余裕があるかを示しています。
(利益率を変えない。目標売上高達成のための
値引き販売はしない前提の話です)
また、「目標利益」を達成するための売上高の設定も可能です。
長期の視点で計画を立てる際、
現金の出入りは、不確実性が高いと言えますので
中・長期の計画策定には、こちらの方が適していると言えます。
収支分岐点と損益分岐点を活用した経営戦略
収支分岐点と損益分岐点は、
それぞれ単独で活用するだけでなく、
組み合わせて分析することで、より効果的な経営判断が可能になります。
明確な違いは「現金ベース」か「利益ベース」なのかであり
双方とも、実際の活用方法に大きな差異はみつかりません。
よって例えば、新規事業を立ち上げる場合、
損益分岐点分析で長期的な収益性を評価すると同時に、
収支分岐点分析で短期的な資金繰りの
安全性も確認する必要があります。
また、既存事業においても、
損益分岐点を下げるためのコスト削減や販売価格の見直しを行いながら、
収支分岐点を意識した資金管理を行うことで、
安定した経営基盤を築くことができます。
それぞれの指標の特徴を理解し、
適切に活用することで、企業は収益性と安全性を
両立させた経営を実現することができます。
兄弟(本物の兄弟です)で1つの「目標?」見つめてます
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【社長必見】売上よりも利益を重視すべき理由とは?社員にも分かりやすく解説!
2024.12.03
「会社にとって大切なのは売上と利益、どっち?」
そう聞かれたら、多くの社長は「利益」と答えるでしょう。
しかし、社員は「売上」を重視しがちなのが現実です。
なぜなら会社や上司の口から出てくるのは「売上目標」ばかり
そのため、結果的に「利益」の重要性が社員まで
浸透していないケースが多くなります。
この記事では、会社にとって「利益」がなぜ重要なのか
そして、その重要性を社員にも理解してもらうための
分かりやすい説明方法をご紹介します。
売上よりも利益を重視すべき理由
「売上」は会社の規模を示す指標になりますが、
利益が出なければ会社は存続できません。
利益こそが、事業を継続し、成長させるための源泉となるのです。
よくメディアでは「売上〇〇億の会社経営者」などと紹介されていますが
正直、私は「そうなんだ~頑張ってますね」としか思いません。
確かに売上が大きいのは、凄いと思いますが
そこに利益が伴わなければ、売上の大きさは意味をなしません。
では、なぜ多くの会社で「売上」が重視されるのでしょうか?
それは、
「売上は目標設定しやすく、進捗を把握しやすい」
「売上は目に見える成果として評価しやすい」
といった理由が考えられます。
その為、売上を上げることが重要視され、
本来企業存続に最も必要なはずである「利益」に対する意識が
希薄になってしまうのではないでしょうか。
売上重視の落とし穴
売上を重視しすぎると「落とし穴」にハマってしまいます。
その典型例が「安売り競争」です。
安売り競争に陥ると、売上は上がっても
利益は減ってしまう可能性があります。
平常時に
仕入れ値が50円のボールペンを売価100円で売ったとしましょう。
100本売ったとしたら
(100-50) ×100=5000円の利益
ライバル店が80円で販売開始
負けてたまるかと70円で販売したところ
200本も売れました
(70-50) ×200=4000円の利益
倍の数量を売りさばいても利益は減っています。
「それでも利益が出てるんだからいいじゃん」なんて
経営者なら考えませんよね?
社員さんたちは、そう考えてしまうことが多いのではないでしょうか?
そうです。ここで出た利益は「粗利」です。
現実の会社では、この粗利から人件費や光熱費等の「固定費」が
出ていくわけです。
もし、この会社の普段の労働分配率(粗利に対する人件費の割合)が
60%ならば人件費は3000円(5000×60%)
その他固定費が1000円とすると
経常利益は「5000円-3000円-1000円=1000円」
安売り競争に参入してしまうと
経常利益は「4000円-3000円-1000円=0円」
「よかった~赤字にならなくて」なんて
経営者なら「まさか」思いませんよね?
そうです。この経常利益から
法人税が引かれ、更にそこから銀行から借り入れたお金の
「元本返済分」や生命保険の「資産計上分」が
引かれていくわけですよね。
この会社が安売り競争に参入し
頑張って普段の2倍の数量を販売したとしても
この会社の現金は確実に減ってしまうのです。
そうです。この部分が「キャッシュフロー」と呼ばれるもの考え方です。
キャッシュフローがマイナスの会社の運命は「破産」に向かっている
わけですから、その状態を放置しておくわけにはいかないはずです。
これが「安売りの落とし穴」なのです。
「安売り合戦」の勝者は1人
安売りをするということは、「薄利多売」により
利益を稼ぎ出す戦略です。
突き詰めていくと安売りや薄利多売型のビジネスモデルには
勝者は1人しかいないことがわかります。
では、それは誰なのでしょう。
答えは
「業界のトップ企業」です。
資金力と販売力により消耗戦に持ち込めばいいだけの話です。
相手は、耐えることができなくなり、消えていきます。
市場の寡占化防止のため、実際にはそんなことは起きませんが
理論的には、最も体力がある会社しか生き残れません。
つまり「安売り競争」や「薄利多売」は、
資金力のある大手企業だからできる戦略なのです。
中小企業が安易に価格競争に飛び込むと、
あっと言う間に、体力を消耗し、
最悪の場合、破産に追い込まれてしまこととなります。
社員に利益の重要性を理解させる方法
社員に利益の重要性を理解してもらうためには、
以下の2点を分かりやすく説明することが重要です。
1. 会社の利益の仕組み
2. 利益と給与の関係
1. 利益の仕組みを分かりやすくする!
普段私は、社員さんたちに対して図形を使い
会社の会計と個人の家計を連動させて説明しています。
すると、社員さんたちにも理解しやすくなります。
この図形を連動させるのです。
項目を家庭用に下記のように変えてあげるだけです。
売値 = 給与支給額
変動費 = 所得税などの税金や社会保険料
粗利 = 手取り
固定費 = 食費や家賃など
利益 = 遊興費や貯金
このように会社の図形と個人の図形を並べてあげたうえで
「一番、増やしたいところは、どのブロックですか?」
と尋ねます。
多くの方は、自分の懐に入るお金である「手取り」と答えます。
確かに「手取り」の源泉は「支給額」ですが
税金や社会保険料のしくみが階段状になっていることを
知っていれば、支給額アップにより税率や社保の保険料が
上がってしまい、手取りが減ることがわかるはずです。
今流行りの言葉で言えば「103万の壁」や「130万の壁」です。
このように、会社の収益構造と家計を対比してみると
「粗利=手取り」が一番大切なことが理解してもらえます。
2. 利益と給与の関係性を明確に!
「粗利が大きくなれば、給与もアップする、賞与も増える」
という関係性を明確に示すことが重要です。
これも、上記の図形を見ると一目瞭然となります。
給与等の人件費は中小企業の場合
「固定費」の中の大部分を占めます。
つまり、「粗利」を大きくすることが
人件費を大きくすることにつながります。
(労働分配率を下げないという前提です。
下げるのは経営判断となりますが
「頑張っても、報われない」こととなり
社員さんの雇用や、やる気に悪影響が出かねません)
売上ばかりを追求し、安易な安売りや値引きをしてしまうと、
会社の利益は減少し、結果的に給与や賞与にも
悪影響があることを理解してもらいましょう。
利益を追求し、会社も社員も共に成長を!
今回は、会社にとって「利益」がなぜ重要なのか、
そして、その重要性を社員にも理解してもらうための
分かりやすい説明方法をご紹介しました。
利益を追求することは、会社を成長させ、
社員の待遇を向上させることに繋がります。
ぜひ、本記事を参考にして、
社員一人ひとりが「利益」を意識して行動できるような
社内体制を構築していきましょう。
み~んな「笑顔」✨
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コスト高騰時代における価格戦略:データとストラック図で利益を守る方法
2024.10.23
近年、仕入れコストや原材料費の増加、円安の影響、異常気象、
さらには各地での紛争によるガソリン価格の高騰など、企業を取り巻く経済環境は厳しさを増しています。
また、人手不足に伴う人材獲得競争と、それに伴う人件費の上昇、
さらに2024年問題と、経営を圧迫する問題をあげたらきりがありません。
こうした背景で、企業の「費用」や「経費」の高騰はもはや限界を超え、
企業努力だけでは乗り越えられない問題となっていることが現実です。
結果として、販売価格の見直し、すなわち「値上げ」を行わざるを得ない企業も少なくありません。
一部では、「値上げしない企業は生き残れない」という声も聞かれ、
値上げ交渉が活発化しています。
しかし、このような状況下であっても、「値上げ」に対する恐怖はつきまといます。
それをうまく乗り越えるためにはデータ分析や価格設定に対する正しいアプローチが必要です。
1. 値上げ前後のデータをとろう
値上げを行う際、まずはデータを基に状況を正確に把握することが重要です。
以下のデータを最低半年間、過去のデータと比較して継続的にモニタリングすることをお勧めします。
1.値上げ前後の日別・週別・月別・年別の売上データ
2.商品別の販売個数
3.天気やライバル店の状況など、外的要因
これらを分析することで、「一時的な影響」なのか「持続的なトレンド」なのかを判断したり、
値上げにより、離れたと予想される顧客が再び戻ってきているかどうかなども確認できます。
また、現場の声による状況把握も併せて行いましょう。
2. 売上高の構成要素と値上げの壁を乗り越えるために
多くの企業が値上げによる、売上減少や顧客喪失を恐れていますが、
むやみに恐れるのではなく、上記のようなデータに基づき
こまやかな分析と対応策を考える必要があります。
例えば、売上高は「販売単価×販売数量×リピート回数」で成り立っており、
どの要素に問題があるのかを正確に理解することが必要です。
考え方の要点ですが
自社や自社製品の価値を見直す
自社の製品やサービスが顧客に与える価値を言語化する
値上げの理由や性能やサービスの向上した点を文章化する
などの施策が必要となります。
(出典 コンサルタントの父が大学生の娘に教えるシンプルな会計 和仁達也著)
値上げに対する顧客の理解を得るためには、「なぜ値上げが必要なのか」を
明確に伝える必要があります。
3. 数字に裏付けされた経営判断とは
値上げ以外にも利益を増やす、もしくは減らさない代表的な方法として
次の2つがあります。
1.固定費や変動費の見直し
2.ステルス値上げ(価格据え置きで内容量やサービスを減らす)
当たり前のことなのですが
実際にこの2つの施策を行った場合の具体的な効果を
きちんと把握した上で、「数字に裏付けされた経営判断」をすることが必要です。
よく「経費削減」と言う言葉を耳にします。
しかし、この「経費」は、大きく分けて2種類にわけられます。
1.「固定費」
2.「変動費」
まず、会社の経費をこの2つに分ける必要があります。
固定費とは、たとえ売り上げが0円であっても、かかる経費
変動費とは、売上の増減に比例し増えたり減ったりする経費
ザックリと言ってしまえば、はじめは「固定費以外の経費」
と考えていただくのがいいと思います。
この2つの費用の比率は、会社や業種によって、まちまちです。
また、どちらに振り分けられるのかも、まちまちです。
振り分けるに際し大切なことは「脱 完璧主義」であることです。
例えば、人件費などは、厳密に分ける方法もありますが
中小企業の場合、そこまでの精度は必要ありません。
必要なのは「経営者自身が、はじき出せるようになること」と「そのスビート」です。
まずは、P/Lをもとに、上記の分け方を参考に、分けてみてください。
4.ストラック図を活用した経営判断
固定費と変動費に経費を分けたら
次にやることは「ストラック図」にその数値を入れていくことです。
ストラック図の説明は、web検索してみてください。
また、ストラック図の見本やフォームは、web上にたくさんありますので
ダウンロードしてみてください。
ストラック図を使うことにより
1. 会社全体もしくは商品別、部門別などの「粗利率」「労働分配率」「経常利益」
2. 値上げや値下げによる利益の変化
3. 会社を維持するために最低限必要な売上高
その他にも、たくさんの「経営判断に必要な数字」が簡単に手に入ります。
このように計算やシミュレーションを行うことにより
経営者は、数字に基づいた最適な判断を下すことが可能になります。
また、複数年にわたる会社の「儲けのからくり」を可視化することにより
数年前の会社の状態と現在の状態はもちろん
未来の会社の状況も予測することができますので、ぜひ導入を検討してみてください。
ちなみに、私たちキャッシュフローコーチは、このストラック図を
更に発展させたものを用いて、経営者の右腕として、
経営判断に必要な数字をサポートしていますので
わからない点や導入時のサポートなど必要ありましたら、お問い合わせください。
本日は、値上げに関する、お金の話と外部対応の話をしました。
このように、値上げの際には「経営者」や「営業部門」はもちろん
商品価値の向上などのために必要な「製造部門」
サービス向上などのために必要な「アフターサービス部門」
削減できる経費はないか考える「管理部門」 など
全社員が一丸となって取り組む必要があります。
「うちは、値上げは難しいね~」
コンサルの現場で、値上げの話をすると、必ずこの言葉がでます。
見方を変えれば、値上げできる企業なんてないということになります。
そうなると、経費を削減するしか利益を確保する方法はなくなります。
「では、削れる経費はありますか?」とお聞きすると
「もう、削れるものは削ったよ~」と返ってきます。
こうなると、残された手段は
「新規の顧客を獲得する」か「既存客に、もっと買ってもらう」
しかなくなります。
「値上げ」「経費削減」「販売強化」
このどれか1つを強烈に推進することは、
「客離れ」「将来の利益の喪失」「社員の離職」を
進めることになりかねません。
では!
「1%の値上げ」「1%の経費削減」「1%の売り上げ増加」
この3つを実現したら、利益が10%程度伸びるとしたら
どう思いますか?
「そんなはずない」と思われた方!
ストラック図使ってみてください!
利益の増加割合に驚きますよ。
え!
利益が増えたら私のごはん「マシマシ」でお願いします!
-
付加価値で差をつける!効果的な値決め方法と成功事例
2024.10.21
値決めは経営者の仕事
商品やサービスの値段を決定すること、いわゆる「値決め」は、
経営者にしかできない非常に重要な仕事です。
もし、営業担当が自由に値段を決めてしまい、
売上目標を達成するために原価割れで販売するようなことがあれば、
会社の利益は減少し、最悪の場合は経営が成り立たなくなります。
京セラの創業者であり、JALを再建した「稲盛和夫氏」の言葉です。
ご存じの方も多いと思います。
「値決めは経営である」
自分の製品の価値を正確に認識した上で、
量と利幅との積が極大値になる一点を求めることです。
その点はまた、お客様にとっても京セラにとっても、
共にハッピーである値でなければなりません。
この一点を求めて値決めは熟慮を重ねて行われなければならないのです。
(稲盛和夫 OFFICIAL SITE より抜粋)
実際、どのようにして値段を決めるべきか?
多くの企業では、「仕入れ値や原価に〇〇%の利益を乗せて価格を設定する」
という方法が一般的です。
しかし、この利益は「付加価値」とも呼ばれています。
つまりは、「原価に付加価値分を上乗せしたもの」を
「価格」と考えることもできます。
そう考えると同じ商品であっても、どんな付加価値を乗せるのかによって
値段に差がついてくるのは当然のこととなります。
お客様にその価値を認めてもらえれば、高い単価設定が可能になり
高い利益率の商品となります。
もちろん、最低限かかる原価と費用を見込んだうえで
「利益を乗せる」という感覚から「付加価値を乗せる」という感覚へ
変革できれば、価格競争からの脱出の第一歩となります。
余談となりますが、営業トークにも変化が起きます。
付加価値が値段に与える影響
例えば、魚で考えてみましょう。
海で泳いでいる魚の価値は「0円」です。
漁師さんが知恵や経験を活かして捕まえた瞬間、価値が生まれます。
言い方を変えれば、俗にいう「浜値」は全額、
漁師さんがつけた付加価値の金額ともいえます。
さらに、魚を生きたまま運んだり、お店で鮮度を保った状態や
上手に熟成や下処理し提供することで、
価格はどんどん上がっていきます。
つまり、同じ魚でも「付加価値」によって最終的な売価は大きく変わるのです。
商品の付加価値を高める方法
コンビニのおにぎりのCMを例に挙げましょう。
少し、古いCMですが某コンビニのおにぎりのCMのキャッチフレーズで
『〇〇のおにぎりは、「おいしい」から「うっまい」へ』というものがありました。
みなさんは、「おいしい おにぎり」と「うっまい おにぎり」
どちらの方がおいしそうに感じますか?
私は「うっまい」ですね。多くの方は同じだと思います。
もちろん、中身もおいしくなったとは思いますが、
このように表現の変更により、より美味しそうな印象を与え、
価格アップの理由を正当化することができるのです。
このように、商品そのものだけでなく、
伝え方を工夫することで付加価値を増やし、価格設定に反映させることができます。
世界中で大ヒットした「レッドブル」は「翼を授ける~」というフレーズにより
エナジードリンク市場で圧倒的な地位を確立しまた。
その他にも、携帯電話・アミューズメント施設・コーヒーショップなどなど
同じような商品で値段も高いにも関わらず、他社を圧倒するような企業は
少なからず存在しています。
意識的にテレビのCMを見るだけでも
付加価値をアップさせ、他社との差別化もでき
しいては売価や利益率のアップにつながるヒントが
隠されているかもしれませんね。
そんなに「うっま!」そうですか?
2025.01.27

いつも、ブログを読んでいただき、有難うございます。
地域はもちろん、「日本中の中小企業を元気にしたい」
そのために、一生懸命書き続けます。
では、スタート!
前回のブログで「収支分岐点売上高」と「損益分岐点売上高」の
簡単な出し方について書きました。
https://sato-insurance.jp/blog/278/
今回は、計算した数字を、
実際の経営にどのように活かすかについて
書いていこうと思います。
「収支分岐点売上高」と「損益分岐点売上高」の
話の前に、よくある話をします。
「利益」と「現金」の違いです。
わかっている方は、飛ばして下さい。
よく経営者の口から出てくる言葉に
「利益は出ているんだけど、思ったように現金が増えない」
があります。
いわゆる「稼いだ金は、どこに行った?」です。
一言で言えば「利益と現金は違う」となってしまいますが
わかりやすく違いを書きます。
「利益」とは
企業が一定期間(多くは1年間)に得た収入(多くは売上)から、
経費や費用(変動費や固定費)を差し引いた残りの金額です。
これは、企業の経済活動の成果を示す指標であり、
損益計算書に書いてある数字です。
ここで大切なのは、利益は「金額」であり「指標」である
ということです。
言ってみれば「計算上の数字」ということです。
「現金」とは
現金は、企業が手元に持っている実際のお金を指します。
これは、銀行口座にある預金や、手元にある現金など、
すぐに使用できる資産です。
現金は、企業の流動性を示す重要な指標です。
もっと平たく言うと
格闘ゲームでいう「HP」つまり「残りの体力」のことです。
ゲームでも、HPが0になったらゲームオーバーですよね。
それと同じです。
ちなみに、「利益」が0になっても、
一般的な企業は、ゲームオーバーになりませんよね。
もっと言えば赤字になっても、ゲームオーバーとは
ならない方が多いはずです。
それは、実際の体力(HP)ではない証拠です。
ここだけ見ても、利益と現金は違うことがわかると思います。
この概念を踏まえた上で、読んでみてください。
1. 収支分岐点売上高:キャッシュフローの視点
収支分岐点売上高は、
企業の収入と支出が均衡する売上高を示します。
つまり、キャッシュの流入と流出が同額となり、
収支が「トントン」になっている状態を指します。
「トントン」と言えば聞こえはいいですが
実際の会社で言えば「顔が水面ギリギリ」
と言う方が正確だと思います。
すなわち「収支分岐点売上高」を下回った売上しか
上げれなかった場合「溺れる」ことになります。
特徴として
・ キャッシュフローに着目した数字
・ 資金ショートのリスクを把握できる
・ 短期的な経営判断に有効
・売上げ目標数字を立てる時に有効
実務での活用例
1. 経営戦略の策定
収支損益分岐点を把握することで、
企業はどの程度の売上が必要かを明確に理解できます。
これにより、価格設定や販売戦略を見直すことができます。
2. 投資判断
新しいプロジェクトや製品の導入を検討する際、
収支損益分岐点を計算することで、
そのプロジェクトが現金を生むかどうかを判断できます。
3. パフォーマンスのモニタリング
企業や商品のパフォーマンスをモニタリングできます。
原材料などが値上がりしている昨今
「本当の利益」言い換えると「現金」を生み出している
商品かどうかなどを知ることができます。
市場環境やコスト構造が変化が激しい今
この数値を把握することで迅速な対応が可能になります。
4. 価格戦略の見直し
製品やサービスの価格戦略を見直すことができます。
競合他社の価格や市場の需要に応じて、
価格を調整することで、利益を確保することが可能です。
2. 損益分岐点売上高:利益の視点
損益分岐点売上高は、売上高から費用を差し引いた
利益がゼロになる売上高を示します。
つまり、この売上高を超えると利益が生まれ、
下回ると損失が出るという、企業の収益力を示す指標です。
特徴として
・ 利益に着目した数字である
・ 企業の収益構造を把握できる
・ 長期的な経営戦略に有効である
実務での活用例
1. 経営計画の策定
損益分岐点を把握することで、企業は売上目標を設定しやすくなります。
例えば、固定費や変動費を考慮し、
どの程度の売上が必要かを明確にすることで、
現実的な経営計画を立てることができます。
これにより、資金繰りや投資計画も立てやすくなります。
2. 価格設定の戦略
損益分岐点を理解することで、
製品やサービスの価格設定においても
戦略的な判断が可能になります。
例えば、価格を「10円」引き上げるた場合に
どれくらいの利益が生まれるのかや、
競合他社との価格競争の際にも、
どこまでなら下げても「利益」がでるのかなどを
計算できます。
3. コストの管理
損益分岐点を基に、固定費や変動費の管理が行いやすくなります。
コスト削減のための施策を講じる際、
「どの費用を削減」すれば損益分岐点を下げられるかを
シミュレーションすることができます。
これにより、効果的で根拠を持った経費削減が可能になり
企業の成長の妨げになるような経費削減を回避することが可能になります。
4. 売上のシミュレーション
損益分岐点を用いて、異なる売上シナリオを
シミュレーションすることができます。
例えば、売上が10%増加した場合や、逆に5%減少した場合や
仕入れ値を@1円下げた場合、家賃を10%下げたらなど
様々な場面を想定した利益状況を予測が可能になります。
5. 投資判断
新規事業や新製品の導入を検討する際、
損益分岐点を計算することで、
その事業がどの程度の売上を必要とするかを把握できます。
これにより、投資の妥当性を評価し、
投資リスクを最小限に抑えることができます。
6. その他
現在の売上高と損益分岐点売上高を比べることにより
あとどれくらいまで売上が下がっても赤字にならないかや
企業の安全性を示す数値の1つとして「安全余裕率」も
はじき出すことができます。
これらは、企業の営業活動、ようは「売上高」が
赤字になるまでどの程度余裕があるかを示しています。
(利益率を変えない。目標売上高達成のための
値引き販売はしない前提の話です)
また、「目標利益」を達成するための売上高の設定も可能です。
長期の視点で計画を立てる際、
現金の出入りは、不確実性が高いと言えますので
中・長期の計画策定には、こちらの方が適していると言えます。
収支分岐点と損益分岐点を活用した経営戦略
収支分岐点と損益分岐点は、
それぞれ単独で活用するだけでなく、
組み合わせて分析することで、より効果的な経営判断が可能になります。
明確な違いは「現金ベース」か「利益ベース」なのかであり
双方とも、実際の活用方法に大きな差異はみつかりません。
よって例えば、新規事業を立ち上げる場合、
損益分岐点分析で長期的な収益性を評価すると同時に、
収支分岐点分析で短期的な資金繰りの
安全性も確認する必要があります。
また、既存事業においても、
損益分岐点を下げるためのコスト削減や販売価格の見直しを行いながら、
収支分岐点を意識した資金管理を行うことで、
安定した経営基盤を築くことができます。
それぞれの指標の特徴を理解し、
適切に活用することで、企業は収益性と安全性を
両立させた経営を実現することができます。
兄弟(本物の兄弟です)で1つの「目標?」見つめてます
2024.12.03

「会社にとって大切なのは売上と利益、どっち?」
そう聞かれたら、多くの社長は「利益」と答えるでしょう。
しかし、社員は「売上」を重視しがちなのが現実です。
なぜなら会社や上司の口から出てくるのは「売上目標」ばかり
そのため、結果的に「利益」の重要性が社員まで
浸透していないケースが多くなります。
この記事では、会社にとって「利益」がなぜ重要なのか
そして、その重要性を社員にも理解してもらうための
分かりやすい説明方法をご紹介します。
売上よりも利益を重視すべき理由
「売上」は会社の規模を示す指標になりますが、
利益が出なければ会社は存続できません。
利益こそが、事業を継続し、成長させるための源泉となるのです。
よくメディアでは「売上〇〇億の会社経営者」などと紹介されていますが
正直、私は「そうなんだ~頑張ってますね」としか思いません。
確かに売上が大きいのは、凄いと思いますが
そこに利益が伴わなければ、売上の大きさは意味をなしません。
では、なぜ多くの会社で「売上」が重視されるのでしょうか?
それは、
「売上は目標設定しやすく、進捗を把握しやすい」
「売上は目に見える成果として評価しやすい」
といった理由が考えられます。
その為、売上を上げることが重要視され、
本来企業存続に最も必要なはずである「利益」に対する意識が
希薄になってしまうのではないでしょうか。
売上重視の落とし穴
売上を重視しすぎると「落とし穴」にハマってしまいます。
その典型例が「安売り競争」です。
安売り競争に陥ると、売上は上がっても
利益は減ってしまう可能性があります。
平常時に
仕入れ値が50円のボールペンを売価100円で売ったとしましょう。
100本売ったとしたら
(100-50) ×100=5000円の利益
ライバル店が80円で販売開始
負けてたまるかと70円で販売したところ
200本も売れました
(70-50) ×200=4000円の利益
倍の数量を売りさばいても利益は減っています。
「それでも利益が出てるんだからいいじゃん」なんて
経営者なら考えませんよね?
社員さんたちは、そう考えてしまうことが多いのではないでしょうか?
そうです。ここで出た利益は「粗利」です。
現実の会社では、この粗利から人件費や光熱費等の「固定費」が
出ていくわけです。
もし、この会社の普段の労働分配率(粗利に対する人件費の割合)が
60%ならば人件費は3000円(5000×60%)
その他固定費が1000円とすると
経常利益は「5000円-3000円-1000円=1000円」
安売り競争に参入してしまうと
経常利益は「4000円-3000円-1000円=0円」
「よかった~赤字にならなくて」なんて
経営者なら「まさか」思いませんよね?
そうです。この経常利益から
法人税が引かれ、更にそこから銀行から借り入れたお金の
「元本返済分」や生命保険の「資産計上分」が
引かれていくわけですよね。
この会社が安売り競争に参入し
頑張って普段の2倍の数量を販売したとしても
この会社の現金は確実に減ってしまうのです。
そうです。この部分が「キャッシュフロー」と呼ばれるもの考え方です。
キャッシュフローがマイナスの会社の運命は「破産」に向かっている
わけですから、その状態を放置しておくわけにはいかないはずです。
これが「安売りの落とし穴」なのです。
「安売り合戦」の勝者は1人
安売りをするということは、「薄利多売」により
利益を稼ぎ出す戦略です。
突き詰めていくと安売りや薄利多売型のビジネスモデルには
勝者は1人しかいないことがわかります。
では、それは誰なのでしょう。
答えは
「業界のトップ企業」です。
資金力と販売力により消耗戦に持ち込めばいいだけの話です。
相手は、耐えることができなくなり、消えていきます。
市場の寡占化防止のため、実際にはそんなことは起きませんが
理論的には、最も体力がある会社しか生き残れません。
つまり「安売り競争」や「薄利多売」は、
資金力のある大手企業だからできる戦略なのです。
中小企業が安易に価格競争に飛び込むと、
あっと言う間に、体力を消耗し、
最悪の場合、破産に追い込まれてしまこととなります。
社員に利益の重要性を理解させる方法
社員に利益の重要性を理解してもらうためには、
以下の2点を分かりやすく説明することが重要です。
1. 会社の利益の仕組み
2. 利益と給与の関係
1. 利益の仕組みを分かりやすくする!
普段私は、社員さんたちに対して図形を使い
会社の会計と個人の家計を連動させて説明しています。
すると、社員さんたちにも理解しやすくなります。
この図形を連動させるのです。
項目を家庭用に下記のように変えてあげるだけです。
売値 = 給与支給額
変動費 = 所得税などの税金や社会保険料
粗利 = 手取り
固定費 = 食費や家賃など
利益 = 遊興費や貯金
このように会社の図形と個人の図形を並べてあげたうえで
「一番、増やしたいところは、どのブロックですか?」
と尋ねます。
多くの方は、自分の懐に入るお金である「手取り」と答えます。
確かに「手取り」の源泉は「支給額」ですが
税金や社会保険料のしくみが階段状になっていることを
知っていれば、支給額アップにより税率や社保の保険料が
上がってしまい、手取りが減ることがわかるはずです。
今流行りの言葉で言えば「103万の壁」や「130万の壁」です。
このように、会社の収益構造と家計を対比してみると
「粗利=手取り」が一番大切なことが理解してもらえます。
2. 利益と給与の関係性を明確に!
「粗利が大きくなれば、給与もアップする、賞与も増える」
という関係性を明確に示すことが重要です。
これも、上記の図形を見ると一目瞭然となります。
給与等の人件費は中小企業の場合
「固定費」の中の大部分を占めます。
つまり、「粗利」を大きくすることが
人件費を大きくすることにつながります。
(労働分配率を下げないという前提です。
下げるのは経営判断となりますが
「頑張っても、報われない」こととなり
社員さんの雇用や、やる気に悪影響が出かねません)
売上ばかりを追求し、安易な安売りや値引きをしてしまうと、
会社の利益は減少し、結果的に給与や賞与にも
悪影響があることを理解してもらいましょう。
利益を追求し、会社も社員も共に成長を!
今回は、会社にとって「利益」がなぜ重要なのか、
そして、その重要性を社員にも理解してもらうための
分かりやすい説明方法をご紹介しました。
利益を追求することは、会社を成長させ、
社員の待遇を向上させることに繋がります。
ぜひ、本記事を参考にして、
社員一人ひとりが「利益」を意識して行動できるような
社内体制を構築していきましょう。
み~んな「笑顔」✨
2024.10.23

近年、仕入れコストや原材料費の増加、円安の影響、異常気象、
さらには各地での紛争によるガソリン価格の高騰など、企業を取り巻く経済環境は厳しさを増しています。
また、人手不足に伴う人材獲得競争と、それに伴う人件費の上昇、
さらに2024年問題と、経営を圧迫する問題をあげたらきりがありません。
こうした背景で、企業の「費用」や「経費」の高騰はもはや限界を超え、
企業努力だけでは乗り越えられない問題となっていることが現実です。
結果として、販売価格の見直し、すなわち「値上げ」を行わざるを得ない企業も少なくありません。
一部では、「値上げしない企業は生き残れない」という声も聞かれ、
値上げ交渉が活発化しています。
しかし、このような状況下であっても、「値上げ」に対する恐怖はつきまといます。
それをうまく乗り越えるためにはデータ分析や価格設定に対する正しいアプローチが必要です。
1. 値上げ前後のデータをとろう
値上げを行う際、まずはデータを基に状況を正確に把握することが重要です。
以下のデータを最低半年間、過去のデータと比較して継続的にモニタリングすることをお勧めします。
1.値上げ前後の日別・週別・月別・年別の売上データ
2.商品別の販売個数
3.天気やライバル店の状況など、外的要因
これらを分析することで、「一時的な影響」なのか「持続的なトレンド」なのかを判断したり、
値上げにより、離れたと予想される顧客が再び戻ってきているかどうかなども確認できます。
また、現場の声による状況把握も併せて行いましょう。
2. 売上高の構成要素と値上げの壁を乗り越えるために
多くの企業が値上げによる、売上減少や顧客喪失を恐れていますが、
むやみに恐れるのではなく、上記のようなデータに基づき
こまやかな分析と対応策を考える必要があります。
例えば、売上高は「販売単価×販売数量×リピート回数」で成り立っており、
どの要素に問題があるのかを正確に理解することが必要です。
考え方の要点ですが
自社や自社製品の価値を見直す
自社の製品やサービスが顧客に与える価値を言語化する
値上げの理由や性能やサービスの向上した点を文章化する
などの施策が必要となります。
(出典 コンサルタントの父が大学生の娘に教えるシンプルな会計 和仁達也著)
値上げに対する顧客の理解を得るためには、「なぜ値上げが必要なのか」を
明確に伝える必要があります。
3. 数字に裏付けされた経営判断とは
値上げ以外にも利益を増やす、もしくは減らさない代表的な方法として
次の2つがあります。
1.固定費や変動費の見直し
2.ステルス値上げ(価格据え置きで内容量やサービスを減らす)
当たり前のことなのですが
実際にこの2つの施策を行った場合の具体的な効果を
きちんと把握した上で、「数字に裏付けされた経営判断」をすることが必要です。
よく「経費削減」と言う言葉を耳にします。
しかし、この「経費」は、大きく分けて2種類にわけられます。
1.「固定費」
2.「変動費」
まず、会社の経費をこの2つに分ける必要があります。
固定費とは、たとえ売り上げが0円であっても、かかる経費
変動費とは、売上の増減に比例し増えたり減ったりする経費
ザックリと言ってしまえば、はじめは「固定費以外の経費」
と考えていただくのがいいと思います。
この2つの費用の比率は、会社や業種によって、まちまちです。
また、どちらに振り分けられるのかも、まちまちです。
振り分けるに際し大切なことは「脱 完璧主義」であることです。
例えば、人件費などは、厳密に分ける方法もありますが
中小企業の場合、そこまでの精度は必要ありません。
必要なのは「経営者自身が、はじき出せるようになること」と「そのスビート」です。
まずは、P/Lをもとに、上記の分け方を参考に、分けてみてください。
4.ストラック図を活用した経営判断
固定費と変動費に経費を分けたら
次にやることは「ストラック図」にその数値を入れていくことです。
ストラック図の説明は、web検索してみてください。
また、ストラック図の見本やフォームは、web上にたくさんありますので
ダウンロードしてみてください。
ストラック図を使うことにより
1. 会社全体もしくは商品別、部門別などの「粗利率」「労働分配率」「経常利益」
2. 値上げや値下げによる利益の変化
3. 会社を維持するために最低限必要な売上高
その他にも、たくさんの「経営判断に必要な数字」が簡単に手に入ります。
このように計算やシミュレーションを行うことにより
経営者は、数字に基づいた最適な判断を下すことが可能になります。
また、複数年にわたる会社の「儲けのからくり」を可視化することにより
数年前の会社の状態と現在の状態はもちろん
未来の会社の状況も予測することができますので、ぜひ導入を検討してみてください。
ちなみに、私たちキャッシュフローコーチは、このストラック図を
更に発展させたものを用いて、経営者の右腕として、
経営判断に必要な数字をサポートしていますので
わからない点や導入時のサポートなど必要ありましたら、お問い合わせください。
本日は、値上げに関する、お金の話と外部対応の話をしました。
このように、値上げの際には「経営者」や「営業部門」はもちろん
商品価値の向上などのために必要な「製造部門」
サービス向上などのために必要な「アフターサービス部門」
削減できる経費はないか考える「管理部門」 など
全社員が一丸となって取り組む必要があります。
「うちは、値上げは難しいね~」
コンサルの現場で、値上げの話をすると、必ずこの言葉がでます。
見方を変えれば、値上げできる企業なんてないということになります。
そうなると、経費を削減するしか利益を確保する方法はなくなります。
「では、削れる経費はありますか?」とお聞きすると
「もう、削れるものは削ったよ~」と返ってきます。
こうなると、残された手段は
「新規の顧客を獲得する」か「既存客に、もっと買ってもらう」
しかなくなります。
「値上げ」「経費削減」「販売強化」
このどれか1つを強烈に推進することは、
「客離れ」「将来の利益の喪失」「社員の離職」を
進めることになりかねません。
では!
「1%の値上げ」「1%の経費削減」「1%の売り上げ増加」
この3つを実現したら、利益が10%程度伸びるとしたら
どう思いますか?
「そんなはずない」と思われた方!
ストラック図使ってみてください!
利益の増加割合に驚きますよ。
え!
利益が増えたら私のごはん「マシマシ」でお願いします!
2024.10.21

値決めは経営者の仕事
商品やサービスの値段を決定すること、いわゆる「値決め」は、
経営者にしかできない非常に重要な仕事です。
もし、営業担当が自由に値段を決めてしまい、
売上目標を達成するために原価割れで販売するようなことがあれば、
会社の利益は減少し、最悪の場合は経営が成り立たなくなります。
京セラの創業者であり、JALを再建した「稲盛和夫氏」の言葉です。
ご存じの方も多いと思います。
「値決めは経営である」
自分の製品の価値を正確に認識した上で、
量と利幅との積が極大値になる一点を求めることです。
その点はまた、お客様にとっても京セラにとっても、
共にハッピーである値でなければなりません。
この一点を求めて値決めは熟慮を重ねて行われなければならないのです。
(稲盛和夫 OFFICIAL SITE より抜粋)
実際、どのようにして値段を決めるべきか?
多くの企業では、「仕入れ値や原価に〇〇%の利益を乗せて価格を設定する」
という方法が一般的です。
しかし、この利益は「付加価値」とも呼ばれています。
つまりは、「原価に付加価値分を上乗せしたもの」を
「価格」と考えることもできます。
そう考えると同じ商品であっても、どんな付加価値を乗せるのかによって
値段に差がついてくるのは当然のこととなります。
お客様にその価値を認めてもらえれば、高い単価設定が可能になり
高い利益率の商品となります。
もちろん、最低限かかる原価と費用を見込んだうえで
「利益を乗せる」という感覚から「付加価値を乗せる」という感覚へ
変革できれば、価格競争からの脱出の第一歩となります。
余談となりますが、営業トークにも変化が起きます。
付加価値が値段に与える影響
例えば、魚で考えてみましょう。
海で泳いでいる魚の価値は「0円」です。
漁師さんが知恵や経験を活かして捕まえた瞬間、価値が生まれます。
言い方を変えれば、俗にいう「浜値」は全額、
漁師さんがつけた付加価値の金額ともいえます。
さらに、魚を生きたまま運んだり、お店で鮮度を保った状態や
上手に熟成や下処理し提供することで、
価格はどんどん上がっていきます。
つまり、同じ魚でも「付加価値」によって最終的な売価は大きく変わるのです。
商品の付加価値を高める方法
コンビニのおにぎりのCMを例に挙げましょう。
少し、古いCMですが某コンビニのおにぎりのCMのキャッチフレーズで
『〇〇のおにぎりは、「おいしい」から「うっまい」へ』というものがありました。
みなさんは、「おいしい おにぎり」と「うっまい おにぎり」
どちらの方がおいしそうに感じますか?
私は「うっまい」ですね。多くの方は同じだと思います。
もちろん、中身もおいしくなったとは思いますが、
このように表現の変更により、より美味しそうな印象を与え、
価格アップの理由を正当化することができるのです。
このように、商品そのものだけでなく、
伝え方を工夫することで付加価値を増やし、価格設定に反映させることができます。
世界中で大ヒットした「レッドブル」は「翼を授ける~」というフレーズにより
エナジードリンク市場で圧倒的な地位を確立しまた。
その他にも、携帯電話・アミューズメント施設・コーヒーショップなどなど
同じような商品で値段も高いにも関わらず、他社を圧倒するような企業は
少なからず存在しています。
意識的にテレビのCMを見るだけでも
付加価値をアップさせ、他社との差別化もでき
しいては売価や利益率のアップにつながるヒントが
隠されているかもしれませんね。
そんなに「うっま!」そうですか?