値決めは経営者の仕事
商品やサービスの値段を決定すること、いわゆる「値決め」は、
経営者にしかできない非常に重要な仕事です。
もし、営業担当が自由に値段を決めてしまい、
売上目標を達成するために原価割れで販売するようなことがあれば、
会社の利益は減少し、最悪の場合は経営が成り立たなくなります。
京セラの創業者であり、JALを再建した「稲盛和夫氏」の言葉です。
ご存じの方も多いと思います。
「値決めは経営である」
自分の製品の価値を正確に認識した上で、
量と利幅との積が極大値になる一点を求めることです。
その点はまた、お客様にとっても京セラにとっても、
共にハッピーである値でなければなりません。
この一点を求めて値決めは熟慮を重ねて行われなければならないのです。
(稲盛和夫 OFFICIAL SITE より抜粋)
実際、どのようにして値段を決めるべきか?
多くの企業では、「仕入れ値や原価に〇〇%の利益を乗せて価格を設定する」
という方法が一般的です。
しかし、この利益は「付加価値」とも呼ばれています。
つまりは、「原価に付加価値分を上乗せしたもの」を
「価格」と考えることもできます。
そう考えると同じ商品であっても、どんな付加価値を乗せるのかによって
値段に差がついてくるのは当然のこととなります。
お客様にその価値を認めてもらえれば、高い単価設定が可能になり
高い利益率の商品となります。
もちろん、最低限かかる原価と費用を見込んだうえで
「利益を乗せる」という感覚から「付加価値を乗せる」という感覚へ
変革できれば、価格競争からの脱出の第一歩となります。
余談となりますが、営業トークにも変化が起きます。
付加価値が値段に与える影響
例えば、魚で考えてみましょう。
海で泳いでいる魚の価値は「0円」です。
漁師さんが知恵や経験を活かして捕まえた瞬間、価値が生まれます。
言い方を変えれば、俗にいう「浜値」は全額、
漁師さんがつけた付加価値の金額ともいえます。
さらに、魚を生きたまま運んだり、お店で鮮度を保った状態や
上手に熟成や下処理し提供することで、
価格はどんどん上がっていきます。
つまり、同じ魚でも「付加価値」によって最終的な売価は大きく変わるのです。
商品の付加価値を高める方法
コンビニのおにぎりのCMを例に挙げましょう。
少し、古いCMですが某コンビニのおにぎりのCMのキャッチフレーズで
『〇〇のおにぎりは、「おいしい」から「うっまい」へ』というものがありました。
みなさんは、「おいしい おにぎり」と「うっまい おにぎり」
どちらの方がおいしそうに感じますか?
私は「うっまい」ですね。多くの方は同じだと思います。
もちろん、中身もおいしくなったとは思いますが、
このように表現の変更により、より美味しそうな印象を与え、
価格アップの理由を正当化することができるのです。
このように、商品そのものだけでなく、
伝え方を工夫することで付加価値を増やし、価格設定に反映させることができます。
世界中で大ヒットした「レッドブル」は「翼を授ける~」というフレーズにより
エナジードリンク市場で圧倒的な地位を確立しまた。
その他にも、携帯電話・アミューズメント施設・コーヒーショップなどなど
同じような商品で値段も高いにも関わらず、他社を圧倒するような企業は
少なからず存在しています。
意識的にテレビのCMを見るだけでも
付加価値をアップさせ、他社との差別化もでき
しいては売価や利益率のアップにつながるヒントが
隠されているかもしれませんね。
そんなに「うっま!」そうですか?