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たった3つの数字で見極める!ラーメン屋で学ぶ価格転嫁の「超」実践法
2025.06.12
いつも、ブログを読んでいただき、有難うございます。
地域はもちろん、「日本中の中小企業を元気にする」
そのために、一生懸命書き続けます。
6/11付けの北海道新聞に
「価格転嫁 悩む道内企業」
という記事が書かれていた。
帝国データバンク札幌支店の調査によると
「もし金利が1%上昇したら」の問いに
「財務体質の改善」「価格転嫁」と答えた割合が
どちらも約25%との回答でした。
また、「経営に悪影響」と答えた割合は56.6%
との回答でした。
「財務体質の改善」中でも「経費削減による改善」は
既に多くの企業で限界を迎えているのではないかと
思われます。それでも「乾ききった雑巾」を
まだ絞るということになりますから
たとえ絞れたとしても、その効果はかなり限られたものに
なるのではないかと思います。
となると、次に来るのが
「価格転嫁」ということになりますが
「顧客離れ」や「販売量の減少」が怖くて
なかなか決断できないというのが
多くの経営者の悩みではないでしょうか。
では、どれくらいの「客離れ」や「売上低下」がおこると
自社が赤字に転落するのでしょうか?
この問いに、「根拠を持った数字」を示せる経営者が
どれくらいいるのでしょうか?
おそらく、1~2割程度ではないかと思われます。
私たち財務コンサルタントは
このような問いに対し、根拠ある数字をもって
値上げの有無や幅を経営者が判断できるように
お手伝いさせていただくわけですが
一般の経営者が、難解な管理会計の教科書を開き
勉強する前に、たった3つの数字を押さえるだけで
意思決定の8割はできるようになる方法を
ラーメン屋さんを題材にお伝えします。
(材料は全て仕入れするものとします)
決算書と電卓を片手に読み進めてみてください。
STEP1 費用を「動く」「動かない」で仕分けする
まずは会社のお金を 変動費(動く費用) と 固定費(動かない費用) に分けます。
ラーメン屋さんの主な変動費は
麺やスープのような材料です。
ラーメンを1杯売れれば使う麵は1玉
ラーメンを2杯売れば2玉
ラーメンが売れなければ0玉
このように「売れた分と連動して増減する」費用が変動費
一方
お客様が1人だけ来店しても
100人来店しても変わらない費用
給料や家賃や利息などのように
「売上に関係なく毎月ほぼ一定」な費用を固定費
決算書に書かれているさまざまな費用を
この2つに振り分けていきます。
ここまでが、第一段階です。
これを専門用語でいうと「固変分解」といいます。
名前を憶えても1円にもなりません。
この作業が終わったら
A4 用紙に次の式を書き出しましょう。
売上高 -変動費 (動く費用) = 手元に残るお金(限界利益)
この「手元に残るお金(限界利益)」が
経営判断を行う上で、とても大切な数字となります。
STEP2 「限界利益率」を算出する
限界利益を売上高で割った数字に100を掛けた数字を
限界利益率 といいます。
例)ラーメン1杯1,000 円
材料費 600 円 → 限界利益額 400 円
限界利益率 = (400 ÷1,000)✖100 = 40%
もし材料費が 10%(60 円)上がり
原価上昇分の60円をそのまま売価に転嫁し
同じ限界利益額 400 円を確保したとすると
限界利益率 = 400 ÷1,060 = 37.7%となり
「額」はキープできても「率」は低下します。
では「率」をキープするためには売価をいくらに
設定する必要があるかですが
限界利益率を(元の水準に)維持するには、
売価を約10%アップさせる必要がありますので、
算式としては
660円(変動費)÷0.6(変動費率)=1,100円
となります。
値上げのシミュレーションは、
「額を守る」か「率を守る」か で変わります。
とはいえ、一般的な中小企業なら、
まずは「額」を重視での判断が優先されるであろうと思います。
しかし、全ての商品や全ての判断基準を
「額」にしてしまうと、後々問題が発生します。
面倒がらずに、商品1品ごとに判断することをお勧めします。
この手間を惜しんで「ドンブリ経営」を続けても
何一つとして良いことは起こりません。
今回は、「額と率」の判断基準までは書きませんので
興味のある方は、ご連絡ください。
STEP3 「どこまで客数が減っても黒字なの?」をチェックする
最後は“赤字ライン”を確認します。
赤字にならない売上高 = 動かない費用 ÷ 限界利益率
(値引きなど、販売条件は変えない前提です)
例:月間固定費300万円、限界利益率40%。
現在の売上高が1000万円で、
限界利益額が400万円のラーメン屋さんであれば、
400万(限界利益額)-300万(固定費)=100万円で、
現在の経常利益は100万円ということになります。
この条件で赤字ラインを計算すると…」
赤字ライン = 300 ÷ 0.4 = 750 万円
現在の売上高 1,000 万円なら、
黒字確保まで、許される売上ダウン金額は
1000万円―750 万円=250万円となり
仮に値上げで売上が 100万円ダウンし、900 万円に落ちても
750 万円を上回るため、まだ黒字圏内です。
黒字確保までの猶予額250 万円を
平均顧客単価で割ってやれば
顧客減数の許容範囲を把握可能となります。
ここまで把握できれば「値上げ幅」と「客離れの許容度」が
数字でクリアになります。
ただし、ここだけは勘違いしないでください!
「売上が10%ダウン」=「経常利益も10%」
ではありません!
「黒字圏内」なだけです!
あくまで「売上―経費」が黒字というだけの話です。
計算式のレベルでいうと「ただの引き算」レベルです。
参考までに、このラーメン屋さんですと
売上が10%ダウンすると
経常利益は40%ダウンの「60万円」となります。
もし、銀行への借入金返済額が月々80万円あった場合
このラーメン屋さんは、「毎月20万円」の現金を
どこからか調達しなければ
銀行への返済ができなくなるということです。
こんなことを続けていれば、どうなるか?
結論は、見えていますよね。
応用編:一律ではなく「厚い商品」から値上げ
「限界利益率が高い」つまり「粗利の厚い」商品ほど値上げによる
客離れの痛手も小さくて済みます。
多くの場合、利幅が大きい商品は、競合が真似しづらいサービスや機能
また、ファンの多い看板商品が多いと思われます。
よって優先的に改定しても受け入れられやすい
「価格耐久性」が高い商品と言えます。
すべての商品を一律に上げるのではなく
商品ごとの細かな調整を考えていきましょう。
まとめ:たった3つを明確にし決断力アップ
1.費用を「動く/動かない」に分類
2.限界利益率と額を確認
3.赤字にならない売上高を計算し、顧客離れ余裕度を把握
以上、わずか3ステップにより
数字という「事実」を把握することで
値上げへの不安はぐっと小さくなります。
一刻も早く「勘による値決め」から卒業し
「根拠ある経営」にステージアップしていきましょう。
数字はあなたの背中を押す最強の味方です!
小さな利益の積み重ねが大切ですね
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「失敗を恐れる心の正体~損失回避の法則を味方につける経営戦略~」
2025.06.06
いつも、ブログを読んでいただき、有難うございます。
地域はもちろん、「日本中の中小企業を元気にする」
そのために、一生懸命書き続けます。
今朝のテレビで一瞬だったのですが
こんなことを相談している小学生がいました。
「失敗すると、それが気になり集中できない」
「え!小学生が!」私はショックを受けました。
同時に、違うかもしれませんが
あの子は失敗するたびに、周りの大人に
「なぜ、失敗したのか」みたいな言葉を
幼いころから投げかけられていたのかなと思い
とても、残念に思いました。
(個人の勝手な思いです)
もし、失敗という事実は受け止め
チャレンジした過程を褒めていたら
「うまくいかなかったね、残念。
でも、このチャレンジをしたあなたは
すごいと思うよ」
こう語りかけていたら
きっと、あの子はそんな質問しないだろうな~と
勝手に考えてしまいました。
今日のブログは、その想いから生まれ出たものです。
振り返ってみると、私自身も含め
「それ、アカンやろー」という言葉を発しているなと思い
自戒の念も含めて書いてみました。
前段からは想像もつかない程
ビジネス寄りの内容です。
「もし失敗したらどうしよう」
新しい挑戦を前に足が止まるとき、
あなたの頭に浮かぶのは成功のイメージよりも、
失敗して失うかもしれない時間やお金ではないでしょうか。
これは性格の弱さではなく、人類に共通する心理的傾向です。
行動経済学者ダニエル・カーネマンと
エイモス・トヴェルスキーが提唱した
プロスペクト理論によれば、
人は利益よりも損失を約2~2.5倍強く感じ取ると言われています。
この現象を「損失回避の法則(Loss Aversion)」と呼びます。
ビジネスの世界でも、この法則に則ってしまい
チャンスを逸することが少なくありません。
申し訳ないのですが、行政のやることは
私が見ている限り「ほぼ100%」、この法則にハマります。
「仕方ない」と言えばそれまでですが
あらゆる世界の概念が急速に変わっている今
行政だけが、「以前のまま」でいいわけはありません。
特に、衰退が激しい地方都市の自治体においては
「損失回避の法則」を勇気をもって打ち破らなければ
また、そのような文化を育成しなければ
衰退の速度が増し、手遅れとなると思われます。
(そうです。私の住んでる街「函館」のことを
言っているのです)
では、「何をどうすればいいのか」ですが
ブログを読み進めていってもらえれば
そのヒントが書いてあります。
1. 数字で味わう損失の痛み
あなたに二つの選択肢があるとします。
A:確実に1万円もらえる
B:50%の確率で2万円もらえるが、50%の確率で0円
多くの人はAを選びます。
Bの期待値は1万円で同じにもかかわらず、
「もらえない」リスクを避けたいからです。
ところが場面を「損失」に変えると判断は逆転します。
C:確実に1万円失う
D:50%の確率で2万円失うが、50%の確率で0円
今度はDを選ぶ人が増えます。
確実な損失を避けるために、
ギャンブル的な選択に手を伸ばすのです。
利益と損失で意思決定の軸が入れ替わる典型例と言えます。
2.ビジネス現場に潜む損失回避
損失回避は会議室でもコンビニのレジ前でも姿を現します。
導入決定が遅れる
新しい商品の市場への導入は
導入効果より「売れなかったら大損」という
不安で棚上げされがちです。
もちろん、限界利益など
採算をとるために最低限必要な売上高や売上個数を
事前に把握するためにも「管理会計」の導入は
必要不可欠ですが、
そのような「数字の裏付け」があっても
「予定通りにいかなかった場合」つまりは
「損失」のことが頭の中を支配し
なかなか前に進めないことが少なくありません。
値決め戦略が保守的になる
価格を上げれば利益率向上が見込めても、
「顧客離れ」という損失が怖くて踏み切れない。
これも、多くの中小企業で起きている現象です。
大手と言われるところは、消費者からすると
「問答無用」状態で値上げし
確実に利益を確保しています。
そうしなければ、顧客へのサービスや
商品提供ができなくなるからです。
そうするかどうかは、個別の判断ですが
今は値上げし、原価等が下がったら
値下げをし顧客に喜んでいただく。
こうやって、世の中に合わせ、フレキシブルに
値決めをしていくことが、必要なのかもしれません。
マーケティング的にいうのなら「今だけ」が効く
「本日終了」「残り3席」といった表現は、
得を逃す=損失と感じさせ、購買率を高めます。
昔で言えば、万年「閉店セール」ですね。
(これ知ってる人は、それなりの年齢の方だけですね)
また、日付や席数や個数など
目に見えるものだけではなく
最近では「特別な経験」など
形のないものでも、購買意欲を高める手法が
使われています。
やはり「限定」や「あなただけに」は
心揺さぶられますよね。
「このチャンスを逸しては損だ」という心理を
ついているわけです。
3.損失回避を乗り越える4つのステップ
1.リスクを数字で「見える化」する
感情ではなくデータで判断する癖をつけましょう。
その為にも、やはり「管理会計」の導入は
企業経営には必須です。
例を書きます。
決算書の「損益計算書」を思い浮かべてください。
新商品のお菓子を発売したとしましょう。
今回は、わかりやすいように
今回発売する「お菓子のみ」しか扱っていない会社とします。
売上600万-製造原価300万=利益300万
つい、このように考えてしまいませんか?
製造し、すぐに市場に投入し、一瞬で完売なら
ほぼ、この計算で間違いありません。
では、完売まで3か月かかったらどうなるでしょうか?
実は利益がグッと下がります。
なぜなら、製造していなくても原価が増えるからです。
何が増えるのか?
そうです。人件費です。
たとえ工場が止まっていても、工場で働く人の
給料は、発生し続けます。
これが、損益計算書(P/L)経営の落とし穴なのです。
このような計算ミスを防ぐためにも
会社経営には「管理会計」が必須なのです。
2.スモールスタート
大きな変化ではなく、少しずつ試し
失敗コストを最小化し
心理的ハードルを下げることが大切です。
いきなりの設備投資や人員増強は避け
「失敗しても痛くない」もしくは
「失敗しても会社の経営に支障はない」程度から
スタートしましょう。
では、「痛くない」や「経営に支障がない」投資金額て
どれくらいなのでしょう?
ここでも、「感情」による判断をしてはいけません。
やはり「数字」による判断が必要です。
具体的には、というより論理的には
今度は「貸借対照表」(B/S)の数字で判断します。
どの数字か?
そうです。一番右下の「繰越利益剰余金」です。
この金額の範囲内なら、たとえ新事業が失敗しても
会社が「債務超過」などに陥ることはありません。
(ただし、あくまで会計上のお金ですから
いわゆる「現金」とは違います)
3.損失の上限を設計
「最悪でもここでやめる」という出口戦略を決めましょう。
つまりは「引き際」をはじめから設定しておくのです。
ここでもつい「損したくない」「損を取り返した」
「せめて投資額だけでも、回収したい」という
損失回避の法則が働きます。
しかし、その判断もやはり「感情」による判断と言えます。
やはりここでも「1000万損失を出したら撤退」など
数字による明確な意思決定が大切です。
撤退の金額の目安は、先ほど書いた通りです。
4.学習コストという投資思考
失敗=損ではなく、
次の成功確率を上げるデータ取得と捉えましょう。
この考え方を腹落ちさせると
理論上は世の中から失敗はなくなります。
トライ&エラーを恐れず繰り返し
知識資産を蓄積しましょう。
4.現状維持バイアスとの関係
損失回避は「現状維持が一番安全」
という誤解を強化します。
しかし環境が変わり続ける現代において、
現状維持は実質的な後退です。
短期的な安心と引き換えに、
中長期的な機会損失を抱え込むリスクに
気づく必要があります。
これが冒頭に書いた「行政機関」の陥っている穴の正体です。
民間企業である私たちは、
是非とも「現状維持バイアス」の居心地の良さに打ち勝ち
前進し続けていきましょう。
5.最後に──恐怖の正体を数字で照らす
「失敗したらどうしよう」という声が聞こえたら、
それは損失回避の法則が働いている証拠です。
その声を無視するのではなく、
認識し、分析し、そして活用しましょう。
リスクを数値化し、段階的に進み、
学習機会として捉える。
そして時には、損失回避の力を借りて、
より良い習慣や仕組みを作る。
私たちの脳に組み込まれた
この古代からの警報システムを理解することで、
より賢明な選択ができるようになるのです。
「恐怖に支配されるのではなく、恐怖と共に前進する。」
それが、現代を生きる私たちに求められる知恵なのかもしれません。
「真っ黒だけど、いつもの私です」
みなさん、熱中症には、気を付けて下さいね~
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「決算書は、よくわからん」とお考えの経営者必見!たった2割の数字で会社の経営判断ができる
2025.01.28
いつも、ブログを読んでいただき、有難うございます。
地域はもちろん、「日本中の中小企業を元気にしたい」
そのために、一生懸命書き続けます。
では、スタート!
「うちの会社、このままでいいのかな・・・?」
「なんで、黒字なのに、お金がないのだろう・・・?」
「今、銀行が手を引いたら、うちの会社どうなるだろう・・・?」
そんな不安を抱えていませんか?
多くの経営者は、決算書が黒字であれば安心し、
具体的な数字の裏側にある、会社の真実に気づいていません。
では、「会社の真の姿」は
どうすれば見えるようになるのでしょうか?
思ったような姿になるためには、何をすればよいのでしょうか?
その答えの多くは「決算書」の中に、そのヒントが隠れています。
しかし、
「決算書を読むのは難しい」
「何度も、セミナーを受けているが、なかなか身に付かない」
という方が、大多数ではないでしょうか?
何を隠そう、私も10年ほど前は、
まさに「大多数の1人」でした。
そんな私がだからこそ、お伝えできる
決算書内の2割の数字を使い8割の経営判断ができる
「決算書の数字にとらわれず、会社の真の姿
を見極める方法を解説します。
目次
1. 黒字倒産!?決算書の落とし穴
2. 会社を強くする「利益の法則」
3. 利益は多ければいいってもんじゃない!?
4. 経営計画で「儲かる仕組み」を考える
5. 「お金をためる経営」で未来を勝ち取れ!
6. 銀行が「お金を貸したくなる」会社になるには?
1.黒字倒産!?決算書の落とし穴
決算書が黒字でも、安心はできません。
なぜなら、多くの経営者が、決算書の本当の意味を理解していないからです。
わずかな黒字では、会社の未来を築くことはできません。
銀行から融資を受けやすく、税金も抑えられるかもしれませんが、
それは一時しのぎに過ぎません。
大切なのは、「会社を強くする利益」を生み出しているか?
その答えは、決算書を組み替えると見えてきます。
2.会社を強くする「利益の法則」
利益の金額や売上高経常利益率などの指数は、
会社の規模や業種によって大きく異なるため、
自社が順調なのかどうかを計る上で、適切な指標とは言えません。
ましてや、売上の大小は、会社の健全経営にとっては
何の意味もなしません。
もし、売上の大小が会社を強くしているのなら
株式を上場している会社の倒産はあり得ないことになります。
真の「儲ける力」を測る上で、最も簡単な数字の1つに
「限界利益」があります。
限界利益とは、売上から直接的に外部へ支払ったコスト
商品の仕入れ代金や原価などを差し引いた利益のこと。
そして、この限界利益から固定費を差し引いたものが経常利益となります。
目安として
「 経常利益÷限界利益 = 20%以上」
この式が、会社を強くする「利益の法則」です。
つまり、限界利益の80%で固定費をまかない、
20%以上を残すことができれば、会社は安定した利益を確保し、
未来への投資を継続できるということです。
限界利益率20%という目標は、
すべての業種に共通した目標と言えます。
是非一度、自社の数値が何%あるのか
はじき出してみてください。
この「20%」を達成することで、
盤石な経営基盤を築くことができます。
3.利益は多ければいいってもんじゃない!?
では、限界利益率や経常利益は
高ければ高いほど良いのでしょうか?
答えはNOです。
過剰な利益追求は、将来への投資を阻害し、
会社の成長を止めてしまう可能性があります。
必要なのは、「未来への投資」と「安定した利益」のバランスです。
仕入れ先への過度な値下げ交渉は
結局は自社のサプライチェーンを弱らせますし
品質の低下をも招く可能性があります。
また、人件費の削減や将来への投資を控えることは
「未来の利益」を先細りさせている可能性があり
結局は、会社の成長を阻害することとなります。
確かに、「人件費の削減」などは、
早期で短期の財務改善にはなりますが
「未来の会社」という観点から見ると
悪影響を及ぼしかねません。
これらの経費削減策は
「もろ刃の剣」であることを確認しておきましょう。
4.経営計画で「儲かる仕組み」を考える
多くの中小企業では、経営計画書を作成していません。
簡単に言えば「目的地がない旅に出ている」と言えます。
このように言えば、かっこよく聞こえますが
ようは、社員も取引先も「路頭に迷わせている」だけです。
「利益がいくら出るのか」はおろか
「利益が出るのかどうか」もわからない。
「期末までのお楽しみ~」
これでは、「売上をあげろ」と言われた社員さんも
たまったもんじゃありません。
経営計画は、会社の未来を創造する羅針盤です。
さまざまなアイデアや施策を検討し、
売上を最大化し、コストを最小化する
「儲かる仕組み」を作り上げましょう。
5.「お金をためる経営」で未来を勝ち取れ!
利益を最大化し、お金をためる経営を実践することで、
・ 従業員の給与アップ
・ 設備投資による生産性向上
・ 新規事業への挑戦
など、会社を成長させるための原資を確保することができます。
では、「貯まったお金」はどこに書いてあるのでしょうか?
そうです。貸借対照表(バランスシート B/S)の
一番左上と2段目に書いてあります。
「現金」「預金」です。これは、ご存じですよね。
では、なぜB/Sの一番左上(トップライン)に書いてあるのでしょうか?
答えは「一番大切だから」です。
基本的な考え方として
ここが、0円以下になれば、会社は死んでしまいます。
6.銀行が「お金を貸したくなる」会社になるには?
金融機関は、会社の将来性を見据えて融資を行います。
とはいえ、あくまでも「未来は過去の延長線上にある」
という考え方です。
簡単に言えば「決算書」で可否を判断するということです。
当たり前ですよね。
昨日まで、販売不振だった会社が
今日いきなり、売上NO.1になる確率は、限りなく0に近い。
私たちが誰かにお金を貸すとしたら
同じような判断をすると思います。
そして、B/Sの現預金は、決算書上は年1回しか動きません。
つまりは、1年前、2年前、3年前・・・・・と
過去の積み重ねによってしか、増えていかない数字なのです。
よって、安定した収益力と成長性を持つことや
一定の条件を満たす前に、節税という名の誘惑に負けないことは
融資を受けやすくなるだけでなく、
有利な条件を引き出すことにつながります。
ここまでのことを実行するために必要なことをまとめます。
1. 損益計算書(P/L)から、固定費を拾う
2. その他の経費は「変動費」とする
3. 売上高を確認
4. 経常利益を確認
5. 貸借対照表(B/S)の現預金を確認
これだけです。
1だけは、手作業になりますが、固定費を拾うだけなら5分もかかりません。
2は、費用全体から1を引くだけ。引き算ですから小学生でもできます。
3・4・5は、一度も決算書を見たことがないという方でなければ
わかるはずです。ましてや、3はP/Lの、5はB/Sのトップライン
左上の一番最初ですから、探せないはずはありません。
いかがですか?冒頭に書いた通り
決算書の2割程度しか、使ってませんよね?
その上で、会社の成長度合いや、健全性、将来への投資の判断
人件費アップの判断など、正確な判断には、
私たち財務の専門家の力をもう少しだけ借りる必要性はありますが
投資や人件費アップなどを実行できそうかどうかの判断は
十分可能だと思います。
あとは、「やってみるかどうか」それだけの問題です。
「強くて、どんどん大きくなって、
銀行からお金を借りてほしいと頼まれる」
そんな会社になってみませんか? 応援します!!!
「食べて・寝て・遊んで」 今では30kgになりました!
2025.06.12

いつも、ブログを読んでいただき、有難うございます。
地域はもちろん、「日本中の中小企業を元気にする」
そのために、一生懸命書き続けます。
6/11付けの北海道新聞に
「価格転嫁 悩む道内企業」
という記事が書かれていた。
帝国データバンク札幌支店の調査によると
「もし金利が1%上昇したら」の問いに
「財務体質の改善」「価格転嫁」と答えた割合が
どちらも約25%との回答でした。
また、「経営に悪影響」と答えた割合は56.6%
との回答でした。
「財務体質の改善」中でも「経費削減による改善」は
既に多くの企業で限界を迎えているのではないかと
思われます。それでも「乾ききった雑巾」を
まだ絞るということになりますから
たとえ絞れたとしても、その効果はかなり限られたものに
なるのではないかと思います。
となると、次に来るのが
「価格転嫁」ということになりますが
「顧客離れ」や「販売量の減少」が怖くて
なかなか決断できないというのが
多くの経営者の悩みではないでしょうか。
では、どれくらいの「客離れ」や「売上低下」がおこると
自社が赤字に転落するのでしょうか?
この問いに、「根拠を持った数字」を示せる経営者が
どれくらいいるのでしょうか?
おそらく、1~2割程度ではないかと思われます。
私たち財務コンサルタントは
このような問いに対し、根拠ある数字をもって
値上げの有無や幅を経営者が判断できるように
お手伝いさせていただくわけですが
一般の経営者が、難解な管理会計の教科書を開き
勉強する前に、たった3つの数字を押さえるだけで
意思決定の8割はできるようになる方法を
ラーメン屋さんを題材にお伝えします。
(材料は全て仕入れするものとします)
決算書と電卓を片手に読み進めてみてください。
STEP1 費用を「動く」「動かない」で仕分けする
まずは会社のお金を 変動費(動く費用) と 固定費(動かない費用) に分けます。
ラーメン屋さんの主な変動費は
麺やスープのような材料です。
ラーメンを1杯売れれば使う麵は1玉
ラーメンを2杯売れば2玉
ラーメンが売れなければ0玉
このように「売れた分と連動して増減する」費用が変動費
一方
お客様が1人だけ来店しても
100人来店しても変わらない費用
給料や家賃や利息などのように
「売上に関係なく毎月ほぼ一定」な費用を固定費
決算書に書かれているさまざまな費用を
この2つに振り分けていきます。
ここまでが、第一段階です。
これを専門用語でいうと「固変分解」といいます。
名前を憶えても1円にもなりません。
この作業が終わったら
A4 用紙に次の式を書き出しましょう。
売上高 -変動費 (動く費用) = 手元に残るお金(限界利益)
この「手元に残るお金(限界利益)」が
経営判断を行う上で、とても大切な数字となります。
STEP2 「限界利益率」を算出する
限界利益を売上高で割った数字に100を掛けた数字を
限界利益率 といいます。
例)ラーメン1杯1,000 円
材料費 600 円 → 限界利益額 400 円
限界利益率 = (400 ÷1,000)✖100 = 40%
もし材料費が 10%(60 円)上がり
原価上昇分の60円をそのまま売価に転嫁し
同じ限界利益額 400 円を確保したとすると
限界利益率 = 400 ÷1,060 = 37.7%となり
「額」はキープできても「率」は低下します。
では「率」をキープするためには売価をいくらに
設定する必要があるかですが
限界利益率を(元の水準に)維持するには、
売価を約10%アップさせる必要がありますので、
算式としては
660円(変動費)÷0.6(変動費率)=1,100円
となります。
値上げのシミュレーションは、
「額を守る」か「率を守る」か で変わります。
とはいえ、一般的な中小企業なら、
まずは「額」を重視での判断が優先されるであろうと思います。
しかし、全ての商品や全ての判断基準を
「額」にしてしまうと、後々問題が発生します。
面倒がらずに、商品1品ごとに判断することをお勧めします。
この手間を惜しんで「ドンブリ経営」を続けても
何一つとして良いことは起こりません。
今回は、「額と率」の判断基準までは書きませんので
興味のある方は、ご連絡ください。
STEP3 「どこまで客数が減っても黒字なの?」をチェックする
最後は“赤字ライン”を確認します。
赤字にならない売上高 = 動かない費用 ÷ 限界利益率
(値引きなど、販売条件は変えない前提です)
例:月間固定費300万円、限界利益率40%。
現在の売上高が1000万円で、
限界利益額が400万円のラーメン屋さんであれば、
400万(限界利益額)-300万(固定費)=100万円で、
現在の経常利益は100万円ということになります。
この条件で赤字ラインを計算すると…」
赤字ライン = 300 ÷ 0.4 = 750 万円
現在の売上高 1,000 万円なら、
黒字確保まで、許される売上ダウン金額は
1000万円―750 万円=250万円となり
仮に値上げで売上が 100万円ダウンし、900 万円に落ちても
750 万円を上回るため、まだ黒字圏内です。
黒字確保までの猶予額250 万円を
平均顧客単価で割ってやれば
顧客減数の許容範囲を把握可能となります。
ここまで把握できれば「値上げ幅」と「客離れの許容度」が
数字でクリアになります。
ただし、ここだけは勘違いしないでください!
「売上が10%ダウン」=「経常利益も10%」
ではありません!
「黒字圏内」なだけです!
あくまで「売上―経費」が黒字というだけの話です。
計算式のレベルでいうと「ただの引き算」レベルです。
参考までに、このラーメン屋さんですと
売上が10%ダウンすると
経常利益は40%ダウンの「60万円」となります。
もし、銀行への借入金返済額が月々80万円あった場合
このラーメン屋さんは、「毎月20万円」の現金を
どこからか調達しなければ
銀行への返済ができなくなるということです。
こんなことを続けていれば、どうなるか?
結論は、見えていますよね。
応用編:一律ではなく「厚い商品」から値上げ
「限界利益率が高い」つまり「粗利の厚い」商品ほど値上げによる
客離れの痛手も小さくて済みます。
多くの場合、利幅が大きい商品は、競合が真似しづらいサービスや機能
また、ファンの多い看板商品が多いと思われます。
よって優先的に改定しても受け入れられやすい
「価格耐久性」が高い商品と言えます。
すべての商品を一律に上げるのではなく
商品ごとの細かな調整を考えていきましょう。
まとめ:たった3つを明確にし決断力アップ
1.費用を「動く/動かない」に分類
2.限界利益率と額を確認
3.赤字にならない売上高を計算し、顧客離れ余裕度を把握
以上、わずか3ステップにより
数字という「事実」を把握することで
値上げへの不安はぐっと小さくなります。
一刻も早く「勘による値決め」から卒業し
「根拠ある経営」にステージアップしていきましょう。
数字はあなたの背中を押す最強の味方です!
小さな利益の積み重ねが大切ですね
2025.06.06

いつも、ブログを読んでいただき、有難うございます。
地域はもちろん、「日本中の中小企業を元気にする」
そのために、一生懸命書き続けます。
今朝のテレビで一瞬だったのですが
こんなことを相談している小学生がいました。
「失敗すると、それが気になり集中できない」
「え!小学生が!」私はショックを受けました。
同時に、違うかもしれませんが
あの子は失敗するたびに、周りの大人に
「なぜ、失敗したのか」みたいな言葉を
幼いころから投げかけられていたのかなと思い
とても、残念に思いました。
(個人の勝手な思いです)
もし、失敗という事実は受け止め
チャレンジした過程を褒めていたら
「うまくいかなかったね、残念。
でも、このチャレンジをしたあなたは
すごいと思うよ」
こう語りかけていたら
きっと、あの子はそんな質問しないだろうな~と
勝手に考えてしまいました。
今日のブログは、その想いから生まれ出たものです。
振り返ってみると、私自身も含め
「それ、アカンやろー」という言葉を発しているなと思い
自戒の念も含めて書いてみました。
前段からは想像もつかない程
ビジネス寄りの内容です。
「もし失敗したらどうしよう」
新しい挑戦を前に足が止まるとき、
あなたの頭に浮かぶのは成功のイメージよりも、
失敗して失うかもしれない時間やお金ではないでしょうか。
これは性格の弱さではなく、人類に共通する心理的傾向です。
行動経済学者ダニエル・カーネマンと
エイモス・トヴェルスキーが提唱した
プロスペクト理論によれば、
人は利益よりも損失を約2~2.5倍強く感じ取ると言われています。
この現象を「損失回避の法則(Loss Aversion)」と呼びます。
ビジネスの世界でも、この法則に則ってしまい
チャンスを逸することが少なくありません。
申し訳ないのですが、行政のやることは
私が見ている限り「ほぼ100%」、この法則にハマります。
「仕方ない」と言えばそれまでですが
あらゆる世界の概念が急速に変わっている今
行政だけが、「以前のまま」でいいわけはありません。
特に、衰退が激しい地方都市の自治体においては
「損失回避の法則」を勇気をもって打ち破らなければ
また、そのような文化を育成しなければ
衰退の速度が増し、手遅れとなると思われます。
(そうです。私の住んでる街「函館」のことを
言っているのです)
では、「何をどうすればいいのか」ですが
ブログを読み進めていってもらえれば
そのヒントが書いてあります。
1. 数字で味わう損失の痛み
あなたに二つの選択肢があるとします。
A:確実に1万円もらえる
B:50%の確率で2万円もらえるが、50%の確率で0円
多くの人はAを選びます。
Bの期待値は1万円で同じにもかかわらず、
「もらえない」リスクを避けたいからです。
ところが場面を「損失」に変えると判断は逆転します。
C:確実に1万円失う
D:50%の確率で2万円失うが、50%の確率で0円
今度はDを選ぶ人が増えます。
確実な損失を避けるために、
ギャンブル的な選択に手を伸ばすのです。
利益と損失で意思決定の軸が入れ替わる典型例と言えます。
2.ビジネス現場に潜む損失回避
損失回避は会議室でもコンビニのレジ前でも姿を現します。
導入決定が遅れる
新しい商品の市場への導入は
導入効果より「売れなかったら大損」という
不安で棚上げされがちです。
もちろん、限界利益など
採算をとるために最低限必要な売上高や売上個数を
事前に把握するためにも「管理会計」の導入は
必要不可欠ですが、
そのような「数字の裏付け」があっても
「予定通りにいかなかった場合」つまりは
「損失」のことが頭の中を支配し
なかなか前に進めないことが少なくありません。
値決め戦略が保守的になる
価格を上げれば利益率向上が見込めても、
「顧客離れ」という損失が怖くて踏み切れない。
これも、多くの中小企業で起きている現象です。
大手と言われるところは、消費者からすると
「問答無用」状態で値上げし
確実に利益を確保しています。
そうしなければ、顧客へのサービスや
商品提供ができなくなるからです。
そうするかどうかは、個別の判断ですが
今は値上げし、原価等が下がったら
値下げをし顧客に喜んでいただく。
こうやって、世の中に合わせ、フレキシブルに
値決めをしていくことが、必要なのかもしれません。
マーケティング的にいうのなら「今だけ」が効く
「本日終了」「残り3席」といった表現は、
得を逃す=損失と感じさせ、購買率を高めます。
昔で言えば、万年「閉店セール」ですね。
(これ知ってる人は、それなりの年齢の方だけですね)
また、日付や席数や個数など
目に見えるものだけではなく
最近では「特別な経験」など
形のないものでも、購買意欲を高める手法が
使われています。
やはり「限定」や「あなただけに」は
心揺さぶられますよね。
「このチャンスを逸しては損だ」という心理を
ついているわけです。
3.損失回避を乗り越える4つのステップ
1.リスクを数字で「見える化」する
感情ではなくデータで判断する癖をつけましょう。
その為にも、やはり「管理会計」の導入は
企業経営には必須です。
例を書きます。
決算書の「損益計算書」を思い浮かべてください。
新商品のお菓子を発売したとしましょう。
今回は、わかりやすいように
今回発売する「お菓子のみ」しか扱っていない会社とします。
売上600万-製造原価300万=利益300万
つい、このように考えてしまいませんか?
製造し、すぐに市場に投入し、一瞬で完売なら
ほぼ、この計算で間違いありません。
では、完売まで3か月かかったらどうなるでしょうか?
実は利益がグッと下がります。
なぜなら、製造していなくても原価が増えるからです。
何が増えるのか?
そうです。人件費です。
たとえ工場が止まっていても、工場で働く人の
給料は、発生し続けます。
これが、損益計算書(P/L)経営の落とし穴なのです。
このような計算ミスを防ぐためにも
会社経営には「管理会計」が必須なのです。
2.スモールスタート
大きな変化ではなく、少しずつ試し
失敗コストを最小化し
心理的ハードルを下げることが大切です。
いきなりの設備投資や人員増強は避け
「失敗しても痛くない」もしくは
「失敗しても会社の経営に支障はない」程度から
スタートしましょう。
では、「痛くない」や「経営に支障がない」投資金額て
どれくらいなのでしょう?
ここでも、「感情」による判断をしてはいけません。
やはり「数字」による判断が必要です。
具体的には、というより論理的には
今度は「貸借対照表」(B/S)の数字で判断します。
どの数字か?
そうです。一番右下の「繰越利益剰余金」です。
この金額の範囲内なら、たとえ新事業が失敗しても
会社が「債務超過」などに陥ることはありません。
(ただし、あくまで会計上のお金ですから
いわゆる「現金」とは違います)
3.損失の上限を設計
「最悪でもここでやめる」という出口戦略を決めましょう。
つまりは「引き際」をはじめから設定しておくのです。
ここでもつい「損したくない」「損を取り返した」
「せめて投資額だけでも、回収したい」という
損失回避の法則が働きます。
しかし、その判断もやはり「感情」による判断と言えます。
やはりここでも「1000万損失を出したら撤退」など
数字による明確な意思決定が大切です。
撤退の金額の目安は、先ほど書いた通りです。
4.学習コストという投資思考
失敗=損ではなく、
次の成功確率を上げるデータ取得と捉えましょう。
この考え方を腹落ちさせると
理論上は世の中から失敗はなくなります。
トライ&エラーを恐れず繰り返し
知識資産を蓄積しましょう。
4.現状維持バイアスとの関係
損失回避は「現状維持が一番安全」
という誤解を強化します。
しかし環境が変わり続ける現代において、
現状維持は実質的な後退です。
短期的な安心と引き換えに、
中長期的な機会損失を抱え込むリスクに
気づく必要があります。
これが冒頭に書いた「行政機関」の陥っている穴の正体です。
民間企業である私たちは、
是非とも「現状維持バイアス」の居心地の良さに打ち勝ち
前進し続けていきましょう。
5.最後に──恐怖の正体を数字で照らす
「失敗したらどうしよう」という声が聞こえたら、
それは損失回避の法則が働いている証拠です。
その声を無視するのではなく、
認識し、分析し、そして活用しましょう。
リスクを数値化し、段階的に進み、
学習機会として捉える。
そして時には、損失回避の力を借りて、
より良い習慣や仕組みを作る。
私たちの脳に組み込まれた
この古代からの警報システムを理解することで、
より賢明な選択ができるようになるのです。
「恐怖に支配されるのではなく、恐怖と共に前進する。」
それが、現代を生きる私たちに求められる知恵なのかもしれません。
「真っ黒だけど、いつもの私です」
みなさん、熱中症には、気を付けて下さいね~
2025.01.28

いつも、ブログを読んでいただき、有難うございます。
地域はもちろん、「日本中の中小企業を元気にしたい」
そのために、一生懸命書き続けます。
では、スタート!
「うちの会社、このままでいいのかな・・・?」
「なんで、黒字なのに、お金がないのだろう・・・?」
「今、銀行が手を引いたら、うちの会社どうなるだろう・・・?」
そんな不安を抱えていませんか?
多くの経営者は、決算書が黒字であれば安心し、
具体的な数字の裏側にある、会社の真実に気づいていません。
では、「会社の真の姿」は
どうすれば見えるようになるのでしょうか?
思ったような姿になるためには、何をすればよいのでしょうか?
その答えの多くは「決算書」の中に、そのヒントが隠れています。
しかし、
「決算書を読むのは難しい」
「何度も、セミナーを受けているが、なかなか身に付かない」
という方が、大多数ではないでしょうか?
何を隠そう、私も10年ほど前は、
まさに「大多数の1人」でした。
そんな私がだからこそ、お伝えできる
決算書内の2割の数字を使い8割の経営判断ができる
「決算書の数字にとらわれず、会社の真の姿
を見極める方法を解説します。
目次
1. 黒字倒産!?決算書の落とし穴
2. 会社を強くする「利益の法則」
3. 利益は多ければいいってもんじゃない!?
4. 経営計画で「儲かる仕組み」を考える
5. 「お金をためる経営」で未来を勝ち取れ!
6. 銀行が「お金を貸したくなる」会社になるには?
1.黒字倒産!?決算書の落とし穴
決算書が黒字でも、安心はできません。
なぜなら、多くの経営者が、決算書の本当の意味を理解していないからです。
わずかな黒字では、会社の未来を築くことはできません。
銀行から融資を受けやすく、税金も抑えられるかもしれませんが、
それは一時しのぎに過ぎません。
大切なのは、「会社を強くする利益」を生み出しているか?
その答えは、決算書を組み替えると見えてきます。
2.会社を強くする「利益の法則」
利益の金額や売上高経常利益率などの指数は、
会社の規模や業種によって大きく異なるため、
自社が順調なのかどうかを計る上で、適切な指標とは言えません。
ましてや、売上の大小は、会社の健全経営にとっては
何の意味もなしません。
もし、売上の大小が会社を強くしているのなら
株式を上場している会社の倒産はあり得ないことになります。
真の「儲ける力」を測る上で、最も簡単な数字の1つに
「限界利益」があります。
限界利益とは、売上から直接的に外部へ支払ったコスト
商品の仕入れ代金や原価などを差し引いた利益のこと。
そして、この限界利益から固定費を差し引いたものが経常利益となります。
目安として
「 経常利益÷限界利益 = 20%以上」
この式が、会社を強くする「利益の法則」です。
つまり、限界利益の80%で固定費をまかない、
20%以上を残すことができれば、会社は安定した利益を確保し、
未来への投資を継続できるということです。
限界利益率20%という目標は、
すべての業種に共通した目標と言えます。
是非一度、自社の数値が何%あるのか
はじき出してみてください。
この「20%」を達成することで、
盤石な経営基盤を築くことができます。
3.利益は多ければいいってもんじゃない!?
では、限界利益率や経常利益は
高ければ高いほど良いのでしょうか?
答えはNOです。
過剰な利益追求は、将来への投資を阻害し、
会社の成長を止めてしまう可能性があります。
必要なのは、「未来への投資」と「安定した利益」のバランスです。
仕入れ先への過度な値下げ交渉は
結局は自社のサプライチェーンを弱らせますし
品質の低下をも招く可能性があります。
また、人件費の削減や将来への投資を控えることは
「未来の利益」を先細りさせている可能性があり
結局は、会社の成長を阻害することとなります。
確かに、「人件費の削減」などは、
早期で短期の財務改善にはなりますが
「未来の会社」という観点から見ると
悪影響を及ぼしかねません。
これらの経費削減策は
「もろ刃の剣」であることを確認しておきましょう。
4.経営計画で「儲かる仕組み」を考える
多くの中小企業では、経営計画書を作成していません。
簡単に言えば「目的地がない旅に出ている」と言えます。
このように言えば、かっこよく聞こえますが
ようは、社員も取引先も「路頭に迷わせている」だけです。
「利益がいくら出るのか」はおろか
「利益が出るのかどうか」もわからない。
「期末までのお楽しみ~」
これでは、「売上をあげろ」と言われた社員さんも
たまったもんじゃありません。
経営計画は、会社の未来を創造する羅針盤です。
さまざまなアイデアや施策を検討し、
売上を最大化し、コストを最小化する
「儲かる仕組み」を作り上げましょう。
5.「お金をためる経営」で未来を勝ち取れ!
利益を最大化し、お金をためる経営を実践することで、
・ 従業員の給与アップ
・ 設備投資による生産性向上
・ 新規事業への挑戦
など、会社を成長させるための原資を確保することができます。
では、「貯まったお金」はどこに書いてあるのでしょうか?
そうです。貸借対照表(バランスシート B/S)の
一番左上と2段目に書いてあります。
「現金」「預金」です。これは、ご存じですよね。
では、なぜB/Sの一番左上(トップライン)に書いてあるのでしょうか?
答えは「一番大切だから」です。
基本的な考え方として
ここが、0円以下になれば、会社は死んでしまいます。
6.銀行が「お金を貸したくなる」会社になるには?
金融機関は、会社の将来性を見据えて融資を行います。
とはいえ、あくまでも「未来は過去の延長線上にある」
という考え方です。
簡単に言えば「決算書」で可否を判断するということです。
当たり前ですよね。
昨日まで、販売不振だった会社が
今日いきなり、売上NO.1になる確率は、限りなく0に近い。
私たちが誰かにお金を貸すとしたら
同じような判断をすると思います。
そして、B/Sの現預金は、決算書上は年1回しか動きません。
つまりは、1年前、2年前、3年前・・・・・と
過去の積み重ねによってしか、増えていかない数字なのです。
よって、安定した収益力と成長性を持つことや
一定の条件を満たす前に、節税という名の誘惑に負けないことは
融資を受けやすくなるだけでなく、
有利な条件を引き出すことにつながります。
ここまでのことを実行するために必要なことをまとめます。
1. 損益計算書(P/L)から、固定費を拾う
2. その他の経費は「変動費」とする
3. 売上高を確認
4. 経常利益を確認
5. 貸借対照表(B/S)の現預金を確認
これだけです。
1だけは、手作業になりますが、固定費を拾うだけなら5分もかかりません。
2は、費用全体から1を引くだけ。引き算ですから小学生でもできます。
3・4・5は、一度も決算書を見たことがないという方でなければ
わかるはずです。ましてや、3はP/Lの、5はB/Sのトップライン
左上の一番最初ですから、探せないはずはありません。
いかがですか?冒頭に書いた通り
決算書の2割程度しか、使ってませんよね?
その上で、会社の成長度合いや、健全性、将来への投資の判断
人件費アップの判断など、正確な判断には、
私たち財務の専門家の力をもう少しだけ借りる必要性はありますが
投資や人件費アップなどを実行できそうかどうかの判断は
十分可能だと思います。
あとは、「やってみるかどうか」それだけの問題です。
「強くて、どんどん大きくなって、
銀行からお金を借りてほしいと頼まれる」
そんな会社になってみませんか? 応援します!!!
「食べて・寝て・遊んで」 今では30kgになりました!