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2025.06.12ブログ

たった3つの数字で見極める!ラーメン屋で学ぶ価格転嫁の「超」実践法

いつも、ブログを読んでいただき、有難うございます。

地域はもちろん、「日本中の中小企業を元気にする」

そのために、一生懸命書き続けます。

 

6/11付けの北海道新聞に

「価格転嫁 悩む道内企業」

という記事が書かれていた。

帝国データバンク札幌支店の調査によると

「もし金利が1%上昇したら」の問いに

「財務体質の改善」「価格転嫁」と答えた割合が

どちらも約25%との回答でした。

また、「経営に悪影響」と答えた割合は56.6%

との回答でした。

 

「財務体質の改善」中でも「経費削減による改善」

既に多くの企業で限界を迎えているのではないかと

思われます。それでも「乾ききった雑巾」を

まだ絞るということになりますから

たとえ絞れたとしても、その効果はかなり限られたものに

なるのではないかと思います。

 

となると、次に来るのが

「価格転嫁」ということになりますが

「顧客離れ」や「販売量の減少」が怖くて

なかなか決断できないというのが

多くの経営者の悩みではないでしょうか。

 

では、どれくらいの「客離れ」や「売上低下」がおこると

自社が赤字に転落するのでしょうか?

この問いに、「根拠を持った数字」を示せる経営者が

どれくらいいるのでしょうか?

おそらく、1~2割程度ではないかと思われます。

私たち財務コンサルタントは

このような問いに対し、根拠ある数字をもって

値上げの有無や幅を経営者が判断できるように

お手伝いさせていただくわけですが

一般の経営者が、難解な管理会計の教科書を開き

勉強する前に、たった3つの数字を押さえるだけで

意思決定の8割はできるようになる方法を

ラーメン屋さんを題材にお伝えします。

(材料は全て仕入れするものとします)

決算書と電卓を片手に読み進めてみてください。

 

STEP1 費用を「動く」「動かない」で仕分けする

まずは会社のお金を 変動費(動く費用)固定費(動かない費用) に分けます。

 

ラーメン屋さんの主な変動費は

麺やスープのような材料です。

ラーメンを1杯売れれば使う麵は1玉

ラーメンを2杯売れば2玉

ラーメンが売れなければ0玉

このように「売れた分と連動して増減する」費用が変動費

 

一方

お客様が1人だけ来店しても

100人来店しても変わらない費用

給料や家賃や利息などのように

「売上に関係なく毎月ほぼ一定」な費用を固定費

 

決算書に書かれているさまざまな費用を

この2つに振り分けていきます。

ここまでが、第一段階です。

これを専門用語でいうと「固変分解」といいます。

名前を憶えても1円にもなりません。

 

この作業が終わったら

A4 用紙に次の式を書き出しましょう。

 

売上高 -変動費 (動く費用) = 手元に残るお金(限界利益)

 

この「手元に残るお金(限界利益)」が

経営判断を行う上で、とても大切な数字となります。

 

STEP2 「限界利益率」を算出する

限界利益を売上高で割った数字に100を掛けた数字を

限界利益率 といいます。

 

例)ラーメン1杯1,000 円

材料費 600 円 → 限界利益額 400 円

限界利益率 = (400 ÷1,000)✖100 = 40%

 

もし材料費が 10%(60 円)上がり

原価上昇分の60円をそのまま売価に転嫁

同じ限界利益額 400 円を確保したとすると

限界利益率 = 400 ÷1,060 = 37.7%となり

「額」はキープできても「率」は低下します。

 

では「率」をキープするためには売価をいくらに

設定する必要があるかですが

限界利益率を(元の水準に)維持するには、

売価を約10%アップさせる必要がありますので、

算式としては

660円(変動費)÷0.6(変動費率)=1,100円

となります。

 

値上げのシミュレーションは、

「額を守る」か「率を守る」か で変わります。

とはいえ、一般的な中小企業なら、

まずは「額」を重視での判断が優先されるであろうと思います。

しかし、全ての商品や全ての判断基準を

「額」にしてしまうと、後々問題が発生します。

面倒がらずに、商品1品ごとに判断することをお勧めします。

この手間を惜しんで「ドンブリ経営」を続けても

何一つとして良いことは起こりません

今回は、「額と率」の判断基準までは書きませんので

興味のある方は、ご連絡ください。

 

STEP3 「どこまで客数が減っても黒字なの?」をチェックする

最後は“赤字ライン”を確認します。

赤字にならない売上高 = 動かない費用 ÷ 限界利益率

(値引きなど、販売条件は変えない前提です)

例:月間固定費300万円、限界利益率40%。

現在の売上高が1000万円で、

限界利益額が400万円のラーメン屋さんであれば、

400万(限界利益額)-300万(固定費)=100万円で、

現在の経常利益は100万円ということになります。

この条件で赤字ラインを計算すると…」

 

赤字ライン = 300 ÷ 0.4 = 750 万円

 

現在の売上高 1,000 万円なら、

黒字確保まで、許される売上ダウン金額は

1000万円―750 万円=250万円となり

仮に値上げで売上が 100万円ダウンし、900 万円に落ちても

750 万円を上回るため、まだ黒字圏内です。

 

黒字確保までの猶予額250 万円を

平均顧客単価で割ってやれば

客減数の許容範囲を把握可能となります。

ここまで把握できれば「値上げ幅」と「客離れの許容度」が

数字でクリアになります。

 

ただし、ここだけは勘違いしないでください!

「売上が10%ダウン」=「経常利益も10%」

ではありません!

「黒字圏内」なだけです!

あくまで「売上―経費」が黒字というだけの話です。

計算式のレベルでいうと「ただの引き算」レベルです。

参考までに、このラーメン屋さんですと

売上が10%ダウンすると

経常利益は40%ダウンの「60万円」となります。

もし、銀行への借入金返済額が月々80万円あった場合

このラーメン屋さんは、「毎月20万円」の現金を

どこからか調達しなければ

銀行への返済ができなくなるということです。

こんなことを続けていれば、どうなるか?

結論は、見えていますよね。

 

応用編:一律ではなく「厚い商品」から値上げ

「限界利益率が高い」つまり「粗利の厚い」商品ほど値上げによる

客離れの痛手も小さくて済みます。

多くの場合、利幅が大きい商品は、競合が真似しづらいサービスや機能

また、ファンの多い看板商品が多いと思われます。

よって優先的に改定しても受け入れられやすい

「価格耐久性」が高い商品と言えます。

すべての商品を一律に上げるのではなく

商品ごとの細かな調整を考えていきましょう。

 

まとめ:たった3つを明確にし決断力アップ

1.費用を「動く/動かない」に分類

2.限界利益率と額を確認

3.赤字にならない売上高を計算し、顧客離れ余裕度を把握

 

以上、わずか3ステップにより

数字という「事実」を把握することで

値上げへの不安はぐっと小さくなります。

一刻も早く「勘による値決め」から卒業

「根拠ある経営」にステージアップしていきましょう。

数字はあなたの背中を押す最強の味方です!

 

 

小さな利益の積み重ねが大切ですね

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