2025.05.20ブログ
売上・利益・資金を強化!――『分ければ見える』中小企業の経営改善術
いつも、ブログを読んでいただき、有難うございます。
地域はもちろん、「日本中の中小企業を元気にしたい」
そのために、一生懸命書き続けます。
「難問は分割せよ」――ルネ・デカルト
はじめに:難題は“分ければ”必ず動く
フランスの哲学者 デカルトの言葉に
「難問は分割せよ」という言葉があります。
これは、問題解決の方法として、今も昔も
不変の真実と言えます。
では、「企業経営にどういかすのか?」
「売上を上げたい」
「思ったほど利益が残らない」
「会社のお金(数字)が見えづらい」
中小企業の経営者の多くが抱く
この3つの悩みも、
課題を細かく切り分ければ、
手を付けやすいタスクへ変換できます。
この記事では、「細分化 → 1つずつ解決」
というプロセスを採用することにより
あなたのビジネスで即実践できる情報をお届けします。
1. 売上を上げたい
このブログで以前にも書きましたが
売上は、客数・客単価・購買頻度の掛け算で構成されます。
よって、この3要素の「どこを、どれだけ、誰が伸ばすか」
ここを設定できれば、おのずと戦術は決まります。
「そんなの当たり前」と思われた方!
つい営業会議などで「売上目標 対前〇%増」という
目標設定をしていませんか?
幸か不幸か、私の経験上は、「対前」という目標設定しか
されたことはありませんし、コンサルの現場でも
社長に「売上目標は?」とお聞きしても
このような目標設定のされ方がほとんどです。
この目標設定の最大の問題点であり弱点は
営業数字を「個人の力」のみに
頼らざるを得ないところです。
つまりは、「スーパー営業マン」や「エース」
と呼ばれるような営業マンに会社の売上や
会社の明暗を託しているだけなのです。
その上、この「スーパー営業マン」の多くは
「社長自身」であることが多く
これでは、社長が会社を成長させるために
本当にやらなければならないことが
時間的にも体力的にも精神的にもできなくなります。
そこで、会議や1on1などの場では以下のような
「細分化思考」で売上を上げる戦術を考えましょう。
例
【年間売上対前10%アップ】を目標とします。
① 客数
「お客様の数を年間で3%増やす」
例えば、このような目標を立てたとしましょう。
顧客数が100人だったとすれば、「年間3人」
12か月で割れば「4か月に1人」
新規顧客を増やす役割は「営業部」
増やし方(戦術)は「通常の営業活動」と「SNS広告」
「キャンペーン」など
② 客単価
「客単価を3%上げる」
既存のお客様に「アップセル・クロスセル」していく
役割は「営業部」
「高付加価値商品」や「限定商品」の開発
役割は「開発部」や「生産部」
商品ラインナップを見直し「低価格商品の販売停止」
役割は「経営者」
③ 購買頻度
「定期購入者数を3%増やす」
「サブスクリプション」「定期配送」商品の開発
役割は「会社全員」
「会員制度」や「ポイント制度」による「顧客の囲い込み」
役割は「会社全員」
商品購入後のメンテナンスやフォロー体制の構築
役割は「サービス部」や「テレアポ部」
もし、このような「戦略」を立て
全社一丸となって「戦術」を考え実行したのなら
103%(顧客数)✖103%(客単価)✖103%(購入頻度)
=109%≒【年間売上対前10%アップ】
いかがでしょうか?
今時【年間売上対前10%アップ】なんて
通常は難しい目標であり、チャレンジする前から
諦め気味となりそうですが
このように細分化することにより
「これならやれそう」と前向きになりませんか?
2. 利益を増やしたい
「売上が伸びても利益が薄い」
その主因は変動費と固定費の膨張です。
まずは 「粗利率」を商品ごとに把握することが大切です。
その結果として
「売れ筋だが粗利率が低い」
「あまり売れてはいないが利益率が高い」
「気づかぬうちに赤字商品」 など
今まで見えていなかった「利益の構造」が見えてきます。
利益の構造を把握することにより
削るべき経費や販売に注力すべき商品などがわかり
それをもとに、次の行動を決めていきます。
① 変動費:原価率と外注コストを最適化
-
仕入れ交渉・代替材料の検討
-
歩留まり可視化:在庫ロスや返品コストを把握
-
外注単価の定期見直し:相見積もり・共同購買
② 固定費:人件費と費用の見直し
-
業務フローの見直し:DXやAIの利用による「人時生産性UP」
-
様々な団体などの会費削減
③ 粗利思考:儲かる商品を育てる
-
商品別P/L作成:利益率の高い商品を優先プロモーション
-
低採算案件の価格改定 や 撤退判断
-
損益分岐点の把握:達成率で目標を可視化
現場の人たちに、各々の仕事を棚卸してもらい
部署ごとの改善はもちろん、会社全体で横断的に
仕事を見直すことにより、無駄を省き
「スムーズな流れ」を作り上げることが可能になります。
そのうえで、最終判断を下すのは「経営者」になります。
「価格改定」や「撤退の判断」
「損益分岐点」や「損益分岐点売上高」などの判断や把握など
まさに「戦略」を立てなければいけない部分となります。
3. 会社のお金を見える化したい
さて、ここで質問です。
①「今日の会社の現預金残高はいくらですか?」
②「内部留保の金額はいくらですか?」
この質問を先日、とある経営者にお聞きしたところ
どちらも把握していませんでした。
①は倒産(破産) ②は「債務超過」
つまりは、どちらも会社の生死を分ける数字です。
しかし、逆に言えば「半年後」の数字を予測できていれば
資金ショートや債務超過などの不安は激減します。
もし、銀行員との話の中で「半年後の数字」を
サラっと言えたのなら、評価も上がりますし
融資のタイミングを逃すこともなくなります。
銀行員の方々は、頭が切れますから
こちらより先に最適なタイミングで融資の提案を
してくれると思います。
では、半年後の数字はどのように把握するのでしょうか?
ここでも「細分化」がキーポイントとなります。
「半年後の売上なんて、わかるわけない」
よく聞きます。その通りだと思います。
では、半年後の数字で、わかっている数字はありませんか?
① 銀行への返済の金額も変わらないはずです
② 多少の前後はあるにせよ、どこの会社でも「固定費」は
ほぼ現在とかわらないのではないでしょうか?
③ 粗利率も大きく変わらないと思います
実は、この3つの数字を把握するだけで
経営に必要な数字の大部分は把握できます。
今回は、数字の出し方は書きませんが
① 最低限、稼がねばならない利益額
② ①と「固定費」を足した金額が最低限必要な「粗利額」
③ ①と②から導き出した金額を粗利額で
割り返してやれば、最低限必要な売上高
このように、会社の費用を細分化していれば
あとは逆算することにより、「必達すべき売上高」を
計算できるのです。
現預金の把握も同じように細分化して
ルールを決めましょう。
まず、大前提として最低限「資金繰り表」は
作成しましょう。
これは経営者の役割です。
残念ながら今はまだ作れないのならば
外部の人間を活用しましょう。
私たちコンサルタントは
資金繰り表の作成にとどまらず
それを基にした経営戦略の策定や
銀行交渉まで、社長と共に考えることができますので
相談してみましょう。
「資金繰り表を作るぞ!」と覚悟を決めた上で
会社のお金の見える化のために
下記のようなルールを作りましょう。
請求書等の伝票を毎日整理する
翌日には、ソフトなどに入力する
月明け3営業日以内に、会計事務所に書類提出
毎月15日には、試算表を受け取る
予実の差異の分析をする
資金繰り表の更新日を決める
経理の人間がいない会社などは
正直なかなか厳しいとは思いますが
会社の生命線となりますので
経理の外注化やコンサルタントの利用などしながら
まずは、スタートしてみましょう。
ルールを作り、あとは「習慣化」すれば
自力で、できるようになります。頑張りましょう!
まとめ:今日「ひとつ」動けば、来月には違う景色が見える
-
売上は「客数・単価・頻度」のどこを伸ばすか決める
-
利益は「変動費・固定費」など、費用の細分化
-
資金は「伝票整理など」のルールの策定
自分で書いておいてなんですが
このブログに書いてあることを
いきなり全て着手するのは、やめましょう。
気づいたらできるようになっている秘訣は
「小さく試して、早く学ぶ」こと。
まずは 「なにか1つ」できそうなことから
スタートしましょう。
数字が「動き始めた」「見え始めた」手応えが、
次の一手を加速させてくれます。
もし、「もっと深く知りたい」「社員と共通意識を持ちたい」
という方がいましたら、トップページ右上の
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