2025.10.01ブログ
「『数字が苦手』は能力の問題じゃない―会社に『青い点』を灯す財務の見える化」
忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
かつて「地図が苦手」な人が多かったが、スマホ地図アプリの登場で誰もが簡単に目的地にたどり着けるようになった。
これは、GPSによる「現在地の可視化」「ルート案内」「全体像と詳細の切り替え」「心理的安全性」の4つの機能が理由だ。
経営の財務管理も同じで、決算書や試算表という「紙の地図」ではなく、
スマホのように「今の財務状況」をリアルタイムで可視化し、目標までのルートを示す必要がある。
具体的には、日次の資金残高確認、4週間の出入金予定表作成、危険ラインの設定から始めることで、資金繰りの不安を解消できる。
重要なのは、専門的な分析力ではなく、財務を「誰もが理解できる形」にデザインすることだ。
本文
なぜ、あれほどいた「地図が苦手な人」は消えたのか?
かつて、多くの人が「地図を読むのが苦手で」と口にしていました。
しかし今、スマートフォンの地図アプリを使いこなせない人はほとんど見かけません。一体なぜでしょうか?
人々の空間認識能力が向上したわけではありません。答えはシンプルです。
ツールが「地図を読み解く」という複雑なスキルを不要にし、
誰もが「ナビに従う」だけで目的地にたどり着ける体験に変えたからです。
実はこれ、経営における「財務」にも全く同じことが言えます。
多くの経営者が、決算書や試算表といった専門的な「紙の地図」を前に、
「数字が苦手だ」「どこをどう見ればいいか分からない」と感じています。
しかし、もし会社の財務状況を「スマホの地図」のように、誰もが直感的に理解できる形に変えられたとしたら?
この記事では、スマホ地図の圧倒的なわかりやすさをヒントに、
複雑な財務を「見える化」し、「迷わない経営」を実現する方法をご紹介します。
1.最大の違いは「現在地」がわかること
スマホ地図が画期的な最大の理由は、GPSで常に「現在地」と「進むべき方向」を示してくれることです。
「自分は今どこにいる?」という、最も重要で、最も不安になる問いに一瞬で答えてくれます。
これを経営に置き換えてみましょう
- 【紙の地図】: 決算書や試算表
先月や先々月の「過去」の地点情報です。数字の羅列から「で、今、うちの会社の状況は良いの?悪いの?」を読み解くには時間がかかります
- 【スマホ地図】:リアルタイムの財務指標
今の現金残高、売上、利益がひと目でわかります。会社の「今」が青い点として明確に示されるため、意思決定のスピードが格段に上がるのです
2. 目的地(目標)までの「ルート案内」機能を持つ
スマホ地図は、現在地から目的地までの最適なルートを自動で示してくれます
道を間違えても、すぐに新しいルートを再検索してくれます
これを経営に応用します
- 【紙の地図】 年度の事業計画書、Excelの売上目標
- 目標(目的地)は書いてあるが、そこまでの日々の道のり(ルート)は個人の頭の中にしかない
- 計画と実績がズレても、軌道修正に時間がかかる
- 【スマホ地図】 予算実績管理(予実管理)ツール
- 目標(予算)と現状(実績)の差が常に表示される
- 「あと50mで右折です」という音声案内のように、「目標達成まであと〇〇円」「このままでは〇〇円ショートします」といった具体的な指標が示される
- これにより、迅速な軌道修正が可能になります
「計画を立てて終わり」ではなく、目標達成までの道のりをナビゲートしてくれる仕組みが不可欠です。
3. 「全体像」と「詳細」を自由に行き来する
スマホ地図は、2本の指で広域表示と詳細表示を切り替えられます。
これにより、森(全体像)と木(詳細)の両方を簡単に見ることができます。
- 【紙の地図】 決算書全体と、各勘定科目の元帳
- 両者を見比べるのは手間がかかり、つながりを理解しにくい
- 【スマホ地図】 現代の会計ツール
- システムを使い売上を確認 → 気になる部分をクリック → どの取引先からの売上が大きいかを表示
→ さらにクリックして個別の請求書データまで確認、といったように、知りたい情報をストレスなく深掘りできる。
この「全体と詳細を自由に行き来できる」環境が、数字に対する心理的なハードルを下げ、問題の早期発見につながります。
4. 「分からない」という心理的な不安を取り除く
「道に迷ったらどうしよう」という不安は、人を臆病にします。
スマホの地図は「いつでも現在地がわかる」「道を間違えても大丈夫」という心理的な安全性を提供してくれるため、
私たちは安心して知らない場所へも踏み出せます。
経営も同じです。
- 「資金繰りは本当に大丈夫か?」
- 「この投資は正しい判断だったか?」
- 「社員に会社の状況を聞かれたら、どう説明しよう?」
こうした不安の根源は、「状況が正確にわかっていない」ことにあります。
財務を「見える化」することは、経営判断の拠り所となり、社長自身、そして社員に対しても
「うちは大丈夫だ」「今はこういう状況だから、次はこの一手を打つ」
と自信を持って説明するための基盤となるのです。
最初の⼀歩:「資⾦の現在地」を⾒える化する
では、何から手をつければいいのでしょうか。多くの会社がPL(損益計算書)を重視しますが、
まず整えるべきは会社の血液である「資金(キャッシュ)」の現在地です。
利益が出ていても資金が尽きれば会社は立ち行かなくなります。
以下の3つを始めるだけで、あなたの会社の地図に「現在地」を示す青い点が灯ります。
- 日次残高の記録:メイン口座の実残高を毎朝チェックし、どこにいても確認できるようにする
- 4週間の出入金表の作成:向こう4週間の確定している支払・入金の予定を日付順に並べる
- 危険ラインの設定:会社の規模に応じて「残高〇〇万円を下回ったら黄色信号」といった危険ラインを具体的に決めておく
目的は完璧な予測ではありません。「ズレを早く見つけて修正する」ことです。
これだけで、「資金繰りは大丈夫か?」という漠然とした不安が、
「2週間後に資金が厳しくなるから、A社への支払いを相談しよう」や
「3か月後に資金が厳しくなりそうだから、早めに銀行に相談しよう」
という具体的なアクションに変わります。
【まとめ】現在地がわかれば、会社は迷わない
「数字が苦手」なのではありません。あなたの会社が使っている財務という「地図」が、
読み解くのに特殊なスキルを要する「紙の地図」のままなだけかもしれません。
これからの経営者に必要なのは、財務諸表を読み解く専門的な能力以上に、
会社の状況を「スマホ地図」のように誰もがわかる形にデザインし、チーム全員で目的地へ向かう力です。
まずは、あなたの会社の「現在地」を示す、キャッシュという名の青い点を灯すことから始めてみてはいかがでしょうか。
それだけで、経営の景色は大きく変わるはずです。
もし、記事を読まれて「うちの財務も、青い点(現在地)が見えるようにしたい」
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