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2025.09.22ブログ

悔しさを燃料に変える言葉のかけ方 ~世界陸上選手の涙から学ぶ、3つのコーチングフェーズ

昨日、世界陸上東京大会の幕が下りた。

毎日、熱戦が繰り広げられ、熱心に見ていた人も多いと思います。

私もその一人なのですが、その中でも一番印象に残り

ずっと「私ならどう声をかけるか」と考えさせられる場面がありました。

あの、村武ラシッド選手の決勝の後のインタビューで発せられた

「何が足りなかったのだろう」です。

 

私は普段、中小企業の経営者向けに、会社の数字を分かりやすく可視化するツールを使い、

経営の『伴走者』となる仕事をしています。

その中で痛感するのが、『優れた仕組み(システム)だけでは人は動かず、最後の決め手は人の感情だ』

ということです。

経営者の「変わろう」とする強い気持ちや、「何かを変えなければ」という強い決意

なければ、どんなに優れて簡単なツールでも、どんなに優れた技術論でも「宝の持ち腐れ」となります。

 

そこで本稿では、自戒の念をたくさん含めた上で

社長や上司はもちろん、学校やスポーツの教育者や指導者、子育て中の親御さんにも

役に立てるような「言葉がけ」について書いていきます。

本稿を読んでいただき、少しでもお役に立てればと思います。

 

忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約文」

世界陸上でメダルをわずか0.06秒差で逃した村竹ラシッド選手の「何が足りなかったんだろう」という言葉。

この瞬間、コーチや指導者は何を伝えるべきか。

人はシステムだけでは動かない。最後は感情で動く。だからこそ、言葉がけには3つのフェーズが必要だ。

フェーズ1:直後は感情を受け止める

「よくやった。悔しいな。今はそれでいい」

フェーズ2:努力を承認し、視点を変える

「この悔しさを、どう伸びしろに変えるか。一緒に考えよう」

フェーズ3:冷静に振り返り、未来へ

「この経験が、次の成功に必要な財産だ」

社長、上司、教育者、親。誰かの「そばにいる立場」のあなたの一言は、人生を左右する力を持っている。

悔しさを成長の燃料に変えられるのは、信頼関係のある「あなたの言葉」だけなのだ。

 

本文

 

 はじめに

男子110mハードル・世界陸上決勝。

わずか0.06秒差でメダルを逃した村武ラシッド選手が、号泣しながら語った言葉に、心を打たれた人は多かったと思います。

「何が足りなかったんだろう」

この一言に込められた悔しさ、孤独、そして責任感。

この瞬間、彼のそばにいて、一緒にここまで歩んできた人々が何を伝えるか

それは、競技結果以上に大切な「人生の節目」であり、コーチングの真価が問われる場面でもあります。

今回は、コーチの立場からの声かけを、3つのフェーズに分けて考えてみます。

これはアスリートに限らず、企業のリーダーや教育者にも響く、「言葉と問いの使い方」のヒントになるはずです。


🔹フェーズ1:レース直後 ― 感情を受け止める

この瞬間に必要なのは、「分析」や「反省」ではありません。

「ただそこにいて、感情に寄り添い、一人じゃないと伝えること」

これが必要になると思います。

 

 かける言葉の例

  • 「よくやった。悔しいな。今は、それでいい」
  • 「俺も悔しい。でも、最高の走りだった。胸を張ろう」
  • 「今は何も考えなくていい。まずは、しっかりクールダウンしよう」

ポイントは、「前を向け」ではなく「今のままでいいよ」と伝えること。

涙を流せるほどの本気に、評価も分析もいらない。ただ、隣にいること」がすべて

だと思います。相手の感情をそのまま素直に全て受け止めましょう。

ここで焦って指導やアドバイスに入ると、心は閉じます。


🔹フェーズ2:感情が落ち着いたタイミング ― 努力を承認し、視点を変える

一晩明け、少し冷静さが戻ってきた頃、

このタイミングでは、これまでの努力やプロセスをしっかりと認めた上で、

「一緒に振り返ろう」と未来への入り口を開きます。

 

 かける言葉の例

  • 「この一年、お前がどれだけやってきたか、私が一番よく見てる。世界5位だぞ。誇りに思う」
  • 「『何が足りなかったんだろう』その答え、これから一緒に見つけていこう」
  • 「あの0.06秒をどうやって削るか。面白い挑戦がまた始まったな」

悔しさを「課題」ではなく「伸びしろ」に変換し、

「敗北」を「進化の起点」にする、すなわち、「ここからまたスタート」しようと

顔を上げ、前を向かせるような言葉がけが大切になります。


🔹フェーズ3:数日後の自己分析 ― 冷静に振り返り、未来へ

心身が整った後、ようやく技術的な振り返りと未来の設計に入ります。

このフェーズでは、一方的な分析やデータを伝えるのではなく、

対話を通じ、冷静な自己分析から始めることが大切です。

その上で、自己分析から出てきた課題に対してデータを提示し

「一緒に考えていく」姿勢が必要です。

「アドバイス」ではなく「自分の言葉」で話してもらうことが重要です。

 かける言葉の例

  • 「さて、レースを振り返ろう。あなた自身はどう感じてた?何でも聞かせて」
  • 「データを見ると、ここは完璧。でも、この部分が足りていないようだ。どう修正していくか、考えよう。」
  • 「よし!この悔しさが、最後のピースだったかもしれん。つぎこそ成功するために必要な財産を、今日手に入れたんだ。」

技術的な話も、本人の感じたことを起点にする。

そして最後には、「この経験が財産になる」という意味づけを行い、再び目を前に向けさせます。

主観→客観→対策の順で組み立て、「誰が・いつ・何を・どう測るか」まで落とし込む。

ここまで来て初めて、必要と思われる行動や技術、そして数値やデータが活きます。


■ おわりに

村武選手が流した悔し涙。しかし、信頼する周りの人々の言葉によって、

その涙はきっと次の舞台へ向かうための『最高の燃料』に変わるはずです。

私たちもまた、誰かの『伴走者』です。

社長や上司、先生や親の言葉は、単なる「慰め」や「励まし」ではありません。

それは、感情に寄り添い、努力を承認し、未来への光をともす「伴走者としての言葉」です

あなたが誰かの「そばにいる立場」だとしたら

その一言は、時に人生を左右する力を持っています。

悔しさを燃料に変えさせ、点火させることができるのは、

信頼関係ができている、「あなた」であり「あなたの言葉」なのです。

今日、あなたが向き合う大切な人に、どんな言葉をかけますか?

私も、まだまだ「言葉の力」磨いていきます。

 

 

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