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有限会社佐藤保険事務所

2025.09.25ブログ

「いくら稼げばいいか」に即答できる社長になる ビジョンと資金を両立させる経営術

忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」

多くの社長が資金に苦しむ根因は、売上偏重でもコスト偏重でもなく、

「会社に必要なお金が手元に残る設計=数字の地図」がないこと。

固定費・返済・戦略費・税や内部留保を賄う必要粗利を明確にし、

粗利率から必要売上を算出、現状とのギャップを客数・単価・リピートなどに分解して打ち手を決める。

戦略費は効くものを守り、効かないものは止める。

入出金の時間差や在庫・回収の管理などキャッシュの視点も欠かせない。

月次で「事実→振り返り→次の一手」を1枚で確認し、全社員と共有することで、ビジョンと資金が両立する経営へ。

数字は答えではなく座標。社長にしかできない視点転換が、組織を自律的に動かす。

 

本文

「社長であれば、経営の数字をしっかり見ているのが当たり前」

世間の常識はそう言いますが、キャッシュフローコーチとして、経営者の伴走役を担っている中で、

「数字が見えていない社長」が意外に多いというのが実感です。

それはなぜでしょうか?

理由は明快で、お金の流れを全体像で学ぶ機会がなかったからです。

「とにかく売上」と、現場を駆け抜けてきたせいで

売上・人件費・返済などが頭の中でバラバラに存在し、

「売上が上がれば、給料も支払いも返済も何とかなるはず」と「思い込んでいる」ケースが少なくありません。

 

しかし、現実は単純ではありません。

お金の流れが見えていないため、売上を上げても手元にお金が残らず、

「返済をするために、また借金をする」といった本末転倒な事態が起こります。

精神論だけで頑張り続ける経営は、やがて心身共に限界を迎えてしまうでしょう。

 

資金繰りが苦しくなったとき、多くの社長は主に二つの解決策を模索します。

本稿では、それらが本当に有効な道なのか、詳しく見ていきます。

 

1. コスト削減は万能薬ではない

 

資金繰りが苦しいとき、まず目が行くのは「人件費」ではないでしょうか。

たしかに固定費の大きな割合を占めますが、安易な人員削減には慎重な判断が必要です。

たとえば、勤務態度に不満があった社員を解雇したとします。

一時的に人件費は減るかもしれませんが、その社員が年間2,000万円の粗利を生み出していたとしたら、

人件費500万円のコストが減る以上に2,000万円の粗利が失われる可能性があります。

さらに、社内のモチベーション低下や、残された社員への業務負担増といったデメリットも無視できません。

 

水道光熱費や事務用品などの地道な節約も大切ですが、収益へのインパクトは限定的です。

となると、最終的に削られやすいのは、将来の売上を生み出すための

「広告宣伝費」や「研究開発費」「教育研修費」といった「戦略費」となります。

しかし、これらを安易に削減すれば、数ヶ月後に売上ダウンを招き、さらなる苦境に陥るリスクがあります。

効かない戦略費は止める、効いている戦略費は守るという線引きが重要なのです。

結局のところ、コスト削減だけでは根本的な解決には至らず、限界があることに気づきます。

 

2. 「売上アップすれば解決」という幻想

 

コスト削減だけでは不十分だと気づくと、次に多くの社長が考えるのが「売上アップ」です。

「売上が増えれば、資金繰りの悩みは解決する」と信じている社長は少なくありません。

ならば、資金繰りに苦しむ会社が後を絶たないのはなぜでしょうか?

真の問題は「売上アップの方法がわからない」ことではありません。

実は、社長そして社員一人ひとりが「いくらの売上をつくれば、会社が必要とするお金が手元に残るのか」

を理解していないことが問題なのです。

 

必要なのは「数字で描く地図」

売上目標を何度も叫んでも、行動は具体化しません。

重要なのは、固定費・返済・戦略費をすべてまかなうために必要な売上(必要粗利)を明確にすることです。

数字が明確になれば、「あといくら必要か」「なぜそれが必要か」が見えるようになります。

社員にも行動の優先順位が伝わるし、自分自身の意思決定もブレにくくなります。

一度、ご自身や社員さんに、こう尋ねてみて下さい。

「当社は売上や利益が、いくら必要ですか?」と。

「多ければ多いほどいい」という曖昧な答えしか返ってこない会社は、行動にはつながりません。

現在地もゴールまでの距離も分からなければ、走り続けるモチベーションは維持できないのと同じです。

つまり多くの会社では、以下の二点が漠然としています。

1.いくらの売上アップが必要か?

2.それはなぜ必要なのか?

行動を起こすには、このような、根拠のある目標が必要不可欠なのです。

根拠とは、人件費やその他の固定費、返済、そして将来への投資などを全て賄うために

「どれだけの売上(粗利)が必要なのか」という数字です。

この目標と現状のギャップを数字で可視化し、全社員が共有することで、組織は自律的に動きだします。

 

3. 社長にしかできない「視点の転換」と「数字の地図」づくり

 

「これまでも長年の経験と勘でやってきたから、計画は不要」という経営者もいます。

でもそれは、すでに地図や地形を熟知した熟練の登山者だからできることです。

社員がいる会社では、計画や目標なしに動けというのは「目隠しして走れ」と言っているようなものです。

私は、凡人の社長だからこそ、計画や目標は必要だと考えます。

目標を立てて毎月軌道修正する会社と、場当たり的に経営する会社では、1年後の結果が異なるのは当然です。

重要なのは「変更はいつでもあり得る」という前提で目標を置くことです。

私自身の例ですが、大学で経済や経営を学んだわけではない私が、

会社の存在意義を明文化し、計画や目標を立て、その上に財務の考え方を積み上げた結果、

内部留保を5年間で5倍以上に増やすことができました。

 

「悪いところは良くなるだけ」「わからないことは、伸びしろである」と、視点を持ちましょう。

寺田寅彦の言葉を借りれば、「不安」は「希望」の裏返しであり、「苦手」「わからない」は「伸びしろ」の別名です。

数字を見る視点を変え、財務や決算書を「経営判断の力強い味方」に変える。

その第一歩として、今日から「数字の地図」づくりを始めませんか。

 

今日からできる「数字の地図」づくり(5つのステップ)

 

  1. 固定費の棚卸し: 人件費、地代家賃、減価償却費、借入金返済額など、毎月必ず発生する費用を明確にします。
  2. 必要粗利の算定: 上記固定費と、守るべき戦略費の合計額が、最低限必要な粗利額です。自社の粗利率をかけ合わせれば「必要売上」が算出できます。
  3. ギャップの分解: 必要売上と現在の売上の不足額を、「客数×客単価×リピート率」のように数式に分解し、どこに手を打つべきかを見極めます。
  4. 「やめる」リストの作成: 効果の薄い施策、赤字案件、安易な値引きなど、先に止めるべきものを明確にします。一方で、効果が出ている戦略費は死守します。
  5. 月次の振り返り: 毎月30分でも良いので、「事実→学び→次の一手」のサイクルを回し、見込みと実績、資金状況を一枚で確認する習慣をつけましょう。

 

数字は、あなたの経営の答えではなく「座標」です。

今どこにいて、どこに向かうのかを教えてくれるナビゲーターです。

「どれだけ頑張ればいいのか」 「なぜ頑張る必要があるのか」

この問いに数字で答えられるようになったとき、売上至上主義でもコスト至上主義でもない、

ビジョンと資金が両立する経営が始まります。

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