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2分で読めるAI要約
大前提(合言葉)
目的 → 金額 → 商品 → 税務(この順番を崩さない)
保険は手段。まず「何のために・いくら必要か」を数値化し、その後に商品・税務を当てはめる。
“お付き合い”で契約先を選ぶのは危険(とくに法人)。金額設定ミス/受取人設計ミス/税務理解不足は、ムダ契約・資金繰り悪化に直結。
法人契約と個人契約は目的も役割も別物として設計する。
第1章:法人契約の生命保険 ― 目的と正しい金額設定
法人契約の主目的(3つ)
事業保障・運転資金の確保
社長不在時の信用低下・借入一括返済リスク・売上減少に備える資金を確保。
役員退職慰労金の準備
将来の大口支出(退職金)を計画的に積み立て。商品によっては税務メリットも。
事業承継対策
自社株の買い取り資金、相続税の納税資金を準備。
※自社株評価や後継者選定・手続き確認などの事前整備が必須。誤ると多額の負債承継リスク。
必要保障額の考え方
【内訳】
A. 死亡退職金・弔慰金(規程:最終月額報酬×在任年数×功績倍率 など)
B. 借入返済資金(税引後で足りる額)
法人受取の保険金には法人税が課税。借入残高そのままでは不足。
⇒ 設定式:借入残高 ÷(1 − 実効税率)
例:残高1億円、税率30% → 1億 ÷ 0.7 = 約1.43億円
C. 当面の運転資金(目安:月商3〜6か月分、または固定費6か月分)
D. 会社の自己資金(即時に使える現預金等。不動産など換金困難資産は除外)
総額式:
必要保障額 =(A + B(税考慮後)+ C)− D
運用上の注意
会社は変化する。成長・借入増減に応じて定期見直しが不可欠。
多くの契約は請求・支払いに手続き要件がある。整備不足は支給遅延や不足の原因。
事業承継・相続はプラスもマイナスも承継。慎重に。
本文
生命保険を選ぶ際の「大前提」
合言葉:目的 → 金額 → 商品 → 税務(順番を逆にしない)
保険は「手段」まず何のために、いくら必要かを数字で決め、その後に商品と税務を当てはめます。
また、残念なことですが「保険募集人」が持つ知識レベルには大きな差があります。
「お付き合い」を保険募集人や契約の判断基準とするのは法人契約の場合
最悪「会社の生死」を「お付き合い」に任せるのと同じことと言えます。
実際に現場では「保険金額の設定ミス」「契約者や保険金受取人の設定ミス」
「初歩的な税務知識を基にした保険販売による財務の棄損」など
想像をはるかに超える数の、実態やニーズに合っていない生命保険契約が存在しています。
つまり、この大前提を外すと、ムダ契約・資金繰り悪化・受取人設計ミスに直結することになります。
また、「法人契約」と「個人契約」とでは、その「目的」も「はたすべき役割も」異なります。
全くの別物として考える必要があります。
では、はじめに「法人契約」の生命保険から見ていきましょう。
第1章:法人契約の生命保険 - その目的と正しい保険金額の設定方法
法人で契約する生命保険は、社長個人やその家族のためではなく、
あくまで「会社を守るため」のものです。主な目的は以下の3つに大別されます。
1. 事業保障や運転資金の確保
社長に万が一のことがあった場合、会社の信用は大きく揺らぎます。
金融機関からの一括返済を求められたり、取引先との関係が悪化したりするリスクも考えられます。
こうした事態に備え、会社を存続させるための資金を確保します。
また、中小企業の場合、社長の存在は売上の減少に直結するリスクが
少なからず存在します。そのような事態を見据えた資金確保が必要です。
2. 役員退職慰労金の準備
役員の退職金を計画的に準備するための資金です。
保険を活用することで、将来の大きな支出に備えつつ、
保険の種類によっては税務上のメリットを得られる場合があります。
3. 事業承継対策
後継者が自社株を買い取るための資金や、相続に伴う納税資金などを準備します。
また、生命保険の活用の前に「自社株対策」「次期経営者の選定と育成」
「現社長の死亡に伴う、新社長選任の手続き方法の確認」など
しっかりと準備しておく必要があります。
このように複数の条件が整わなければ、生命保険の保険金の請求などが
迅速にできないようになっている契約がほとんどですので注意が必要です。
さらに最悪、1つ手続きを間違えただけで「多額の借金」を背負うことにもなりかねません。
事業承継や相続は基本的に「プラスだけ」を引き継ぐものではなく
「マイナス」も引き継ぐものと考え、慎重に対処する必要があります。
正しい保険金額の算出方法
では、具体的にどれくらいの保険金があれば会社を守れるのでしょうか?
「事業保障資金」を例に、必要な保障額の目安を計算してみましょう。
【事業保障に必要な資金の内訳】
A. 死亡退職金・弔慰金
役員退職慰労金規程に基づきます。(例:最終月額報酬 × 在任年数 × 功績倍率)
既定がない場合などは、議事録の作成など手間が増えます。
B. 借入金の返済資金
社長に万が一のことがあった際、金融機関からの借入金を返済するための資金です。
ここで最も注意すべき点は、法人が受け取る死亡保険金には法人税が課税されるということです。
したがって、借入金の残高と同額の保険金を用意するだけでは、
納税後に資金が不足し、完済できなくなってしまいます。
税金を支払った後に、借入金を全額返済できるだけの資金が手元に残るように、
以下の計算式で保険金額を設定する必要があります。
計算式と具体例: 借入金残高1億円、法人税の実効税率30%の場合
1億円÷(1-0.3)=1億4300万円
となり、約1億4300万円の保険金が必要となります
C. 当面の運転資金
売上が回復するまでの運転資金。一般的に月商の3〜6ヶ月分
もしくは、固定費の6か月分を目安にしましょう
D. 会社の自己資金
会社が保有する現金・預金など、すぐに使える資金
すぐに現金化できる、商品や設備などを含める場合もあります。
不動産等、すぐには現金化できない資産は勘案してはいけません。
【必要保障額の計算式】
必要保障額=(A+B(税金考慮後の金額)+C)−D
この計算式を基に、自社の財務状況を当てはめてみてください。
また、会社は生き物です。成長もしますし、
それに伴い借入金が変動するのが当たり前です。
保障額は適宜見直すことが非常に重要です。
長くなりましたので次回
『社長個人の生命保険設計:家族と会社を同時に守る方法』と題して
お届けします。