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					「『数字が苦手』は能力の問題じゃない―会社に『青い点』を灯す財務の見える化」
					2025.10.01  忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
かつて「地図が苦手」な人が多かったが、スマホ地図アプリの登場で誰もが簡単に目的地にたどり着けるようになった。
これは、GPSによる「現在地の可視化」「ルート案内」「全体像と詳細の切り替え」「心理的安全性」の4つの機能が理由だ。
経営の財務管理も同じで、決算書や試算表という「紙の地図」ではなく、
スマホのように「今の財務状況」をリアルタイムで可視化し、目標までのルートを示す必要がある。
具体的には、日次の資金残高確認、4週間の出入金予定表作成、危険ラインの設定から始めることで、資金繰りの不安を解消できる。
重要なのは、専門的な分析力ではなく、財務を「誰もが理解できる形」にデザインすることだ。
 
 
本文
なぜ、あれほどいた「地図が苦手な人」は消えたのか?
 
かつて、多くの人が「地図を読むのが苦手で」と口にしていました。
しかし今、スマートフォンの地図アプリを使いこなせない人はほとんど見かけません。一体なぜでしょうか?
人々の空間認識能力が向上したわけではありません。答えはシンプルです。
ツールが「地図を読み解く」という複雑なスキルを不要にし、
誰もが「ナビに従う」だけで目的地にたどり着ける体験に変えたからです。
実はこれ、経営における「財務」にも全く同じことが言えます。
多くの経営者が、決算書や試算表といった専門的な「紙の地図」を前に、
「数字が苦手だ」「どこをどう見ればいいか分からない」と感じています。
しかし、もし会社の財務状況を「スマホの地図」のように、誰もが直感的に理解できる形に変えられたとしたら?
この記事では、スマホ地図の圧倒的なわかりやすさをヒントに、
複雑な財務を「見える化」し、「迷わない経営」を実現する方法をご紹介します。
 
1.最大の違いは「現在地」がわかること
 
スマホ地図が画期的な最大の理由は、GPSで常に「現在地」と「進むべき方向」を示してくれることです。
「自分は今どこにいる?」という、最も重要で、最も不安になる問いに一瞬で答えてくれます。
これを経営に置き換えてみましょう
 	【紙の地図】: 決算書や試算表
先月や先々月の「過去」の地点情報です。数字の羅列から「で、今、うちの会社の状況は良いの?悪いの?」を読み解くには時間がかかります
 	【スマホ地図】:リアルタイムの財務指標
今の現金残高、売上、利益がひと目でわかります。会社の「今」が青い点として明確に示されるため、意思決定のスピードが格段に上がるのです
 
 
 2. 目的地(目標)までの「ルート案内」機能を持つ
スマホ地図は、現在地から目的地までの最適なルートを自動で示してくれます
道を間違えても、すぐに新しいルートを再検索してくれます
これを経営に応用します
 	【紙の地図】 年度の事業計画書、Excelの売上目標
 	目標(目的地)は書いてあるが、そこまでの日々の道のり(ルート)は個人の頭の中にしかない
 	計画と実績がズレても、軌道修正に時間がかかる
 
 	【スマホ地図】 予算実績管理(予実管理)ツール
 	目標(予算)と現状(実績)の差が常に表示される
 	「あと50mで右折です」という音声案内のように、「目標達成まであと〇〇円」「このままでは〇〇円ショートします」といった具体的な指標が示される
 	これにより、迅速な軌道修正が可能になります
「計画を立てて終わり」ではなく、目標達成までの道のりをナビゲートしてくれる仕組みが不可欠です。
 
 3. 「全体像」と「詳細」を自由に行き来する
スマホ地図は、2本の指で広域表示と詳細表示を切り替えられます。
これにより、森(全体像)と木(詳細)の両方を簡単に見ることができます。
 	【紙の地図】 決算書全体と、各勘定科目の元帳
 	両者を見比べるのは手間がかかり、つながりを理解しにくい
 	【スマホ地図】 現代の会計ツール
 	システムを使い売上を確認 → 気になる部分をクリック → どの取引先からの売上が大きいかを表示
→ さらにクリックして個別の請求書データまで確認、といったように、知りたい情報をストレスなく深掘りできる。
この「全体と詳細を自由に行き来できる」環境が、数字に対する心理的なハードルを下げ、問題の早期発見につながります。
 
 4. 「分からない」という心理的な不安を取り除く
「道に迷ったらどうしよう」という不安は、人を臆病にします。
スマホの地図は「いつでも現在地がわかる」「道を間違えても大丈夫」という心理的な安全性を提供してくれるため、
私たちは安心して知らない場所へも踏み出せます。
経営も同じです。
 	「資金繰りは本当に大丈夫か?」
 	「この投資は正しい判断だったか?」
 	「社員に会社の状況を聞かれたら、どう説明しよう?」
 
こうした不安の根源は、「状況が正確にわかっていない」ことにあります。
 財務を「見える化」することは、経営判断の拠り所となり、社長自身、そして社員に対しても
「うちは大丈夫だ」「今はこういう状況だから、次はこの一手を打つ」
と自信を持って説明するための基盤となるのです。
 
 
最初の⼀歩:「資⾦の現在地」を⾒える化する
 
では、何から手をつければいいのでしょうか。多くの会社がPL(損益計算書)を重視しますが、
まず整えるべきは会社の血液である「資金(キャッシュ)」の現在地です。
利益が出ていても資金が尽きれば会社は立ち行かなくなります。
以下の3つを始めるだけで、あなたの会社の地図に「現在地」を示す青い点が灯ります。
 
 	日次残高の記録:メイン口座の実残高を毎朝チェックし、どこにいても確認できるようにする
 	4週間の出入金表の作成:向こう4週間の確定している支払・入金の予定を日付順に並べる
 	危険ラインの設定:会社の規模に応じて「残高〇〇万円を下回ったら黄色信号」といった危険ラインを具体的に決めておく
 
目的は完璧な予測ではありません。「ズレを早く見つけて修正する」ことです。
これだけで、「資金繰りは大丈夫か?」という漠然とした不安が、
「2週間後に資金が厳しくなるから、A社への支払いを相談しよう」や
「3か月後に資金が厳しくなりそうだから、早めに銀行に相談しよう」
という具体的なアクションに変わります。
 
【まとめ】現在地がわかれば、会社は迷わない
 
「数字が苦手」なのではありません。あなたの会社が使っている財務という「地図」が、
読み解くのに特殊なスキルを要する「紙の地図」のままなだけかもしれません。
これからの経営者に必要なのは、財務諸表を読み解く専門的な能力以上に、
会社の状況を「スマホ地図」のように誰もがわかる形にデザインし、チーム全員で目的地へ向かう力です。
まずは、あなたの会社の「現在地」を示す、キャッシュという名の青い点を灯すことから始めてみてはいかがでしょうか。
それだけで、経営の景色は大きく変わるはずです。
 
もし、記事を読まれて「うちの財務も、青い点(現在地)が見えるようにしたい」
そんな方には、1枚の紙で、会社のお金を見える化でき、
売上や利益に関することを、社内全体で共通言語として使える「お金のブロックパズル」
の導入サポートもあります。まずはお気軽にお問い合わせください。
漠然と感じているお金の不安がクリアになりますよ。 忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
かつて「地図が苦手」な人が多かったが、スマホ地図アプリの登場で誰もが簡単に目的地にたどり着けるようになった。
これは、GPSによる「現在地の可視化」「ルート案内」「全体像と詳細の切り替え」「心理的安全性」の4つの機能が理由だ。
経営の財務管理も同じで、決算書や試算表という「紙の地図」ではなく、
スマホのように「今の財務状況」をリアルタイムで可視化し、目標までのルートを示す必要がある。
具体的には、日次の資金残高確認、4週間の出入金予定表作成、危険ラインの設定から始めることで、資金繰りの不安を解消できる。
重要なのは、専門的な分析力ではなく、財務を「誰もが理解できる形」にデザインすることだ。
 
 
本文
なぜ、あれほどいた「地図が苦手な人」は消えたのか?
 
かつて、多くの人が「地図を読むのが苦手で」と口にしていました。
しかし今、スマートフォンの地図アプリを使いこなせない人はほとんど見かけません。一体なぜでしょうか?
人々の空間認識能力が向上したわけではありません。答えはシンプルです。
ツールが「地図を読み解く」という複雑なスキルを不要にし、
誰もが「ナビに従う」だけで目的地にたどり着ける体験に変えたからです。
実はこれ、経営における「財務」にも全く同じことが言えます。
多くの経営者が、決算書や試算表といった専門的な「紙の地図」を前に、
「数字が苦手だ」「どこをどう見ればいいか分からない」と感じています。
しかし、もし会社の財務状況を「スマホの地図」のように、誰もが直感的に理解できる形に変えられたとしたら?
この記事では、スマホ地図の圧倒的なわかりやすさをヒントに、
複雑な財務を「見える化」し、「迷わない経営」を実現する方法をご紹介します。
 
1.最大の違いは「現在地」がわかること
 
スマホ地図が画期的な最大の理由は、GPSで常に「現在地」と「進むべき方向」を示してくれることです。
「自分は今どこにいる?」という、最も重要で、最も不安になる問いに一瞬で答えてくれます。
これを経営に置き換えてみましょう
 	【紙の地図】: 決算書や試算表
先月や先々月の「過去」の地点情報です。数字の羅列から「で、今、うちの会社の状況は良いの?悪いの?」を読み解くには時間がかかります
 	【スマホ地図】:リアルタイムの財務指標
今の現金残高、売上、利益がひと目でわかります。会社の「今」が青い点として明確に示されるため、意思決定のスピードが格段に上がるのです
 
 
 2. 目的地(目標)までの「ルート案内」機能を持つ
スマホ地図は、現在地から目的地までの最適なルートを自動で示してくれます
道を間違えても、すぐに新しいルートを再検索してくれます
これを経営に応用します
 	【紙の地図】 年度の事業計画書、Excelの売上目標
 	目標(目的地)は書いてあるが、そこまでの日々の道のり(ルート)は個人の頭の中にしかない
 	計画と実績がズレても、軌道修正に時間がかかる
 
 	【スマホ地図】 予算実績管理(予実管理)ツール
 	目標(予算)と現状(実績)の差が常に表示される
 	「あと50mで右折です」という音声案内のように、「目標達成まであと〇〇円」「このままでは〇〇円ショートします」といった具体的な指標が示される
 	これにより、迅速な軌道修正が可能になります
「計画を立てて終わり」ではなく、目標達成までの道のりをナビゲートしてくれる仕組みが不可欠です。
 
 3. 「全体像」と「詳細」を自由に行き来する
スマホ地図は、2本の指で広域表示と詳細表示を切り替えられます。
これにより、森(全体像)と木(詳細)の両方を簡単に見ることができます。
 	【紙の地図】 決算書全体と、各勘定科目の元帳
 	両者を見比べるのは手間がかかり、つながりを理解しにくい
 	【スマホ地図】 現代の会計ツール
 	システムを使い売上を確認 → 気になる部分をクリック → どの取引先からの売上が大きいかを表示
→ さらにクリックして個別の請求書データまで確認、といったように、知りたい情報をストレスなく深掘りできる。
この「全体と詳細を自由に行き来できる」環境が、数字に対する心理的なハードルを下げ、問題の早期発見につながります。
 
 4. 「分からない」という心理的な不安を取り除く
「道に迷ったらどうしよう」という不安は、人を臆病にします。
スマホの地図は「いつでも現在地がわかる」「道を間違えても大丈夫」という心理的な安全性を提供してくれるため、
私たちは安心して知らない場所へも踏み出せます。
経営も同じです。
 	「資金繰りは本当に大丈夫か?」
 	「この投資は正しい判断だったか?」
 	「社員に会社の状況を聞かれたら、どう説明しよう?」
 
こうした不安の根源は、「状況が正確にわかっていない」ことにあります。
 財務を「見える化」することは、経営判断の拠り所となり、社長自身、そして社員に対しても
「うちは大丈夫だ」「今はこういう状況だから、次はこの一手を打つ」
と自信を持って説明するための基盤となるのです。
 
 
最初の⼀歩:「資⾦の現在地」を⾒える化する
 
では、何から手をつければいいのでしょうか。多くの会社がPL(損益計算書)を重視しますが、
まず整えるべきは会社の血液である「資金(キャッシュ)」の現在地です。
利益が出ていても資金が尽きれば会社は立ち行かなくなります。
以下の3つを始めるだけで、あなたの会社の地図に「現在地」を示す青い点が灯ります。
 
 	日次残高の記録:メイン口座の実残高を毎朝チェックし、どこにいても確認できるようにする
 	4週間の出入金表の作成:向こう4週間の確定している支払・入金の予定を日付順に並べる
 	危険ラインの設定:会社の規模に応じて「残高〇〇万円を下回ったら黄色信号」といった危険ラインを具体的に決めておく
 
目的は完璧な予測ではありません。「ズレを早く見つけて修正する」ことです。
これだけで、「資金繰りは大丈夫か?」という漠然とした不安が、
「2週間後に資金が厳しくなるから、A社への支払いを相談しよう」や
「3か月後に資金が厳しくなりそうだから、早めに銀行に相談しよう」
という具体的なアクションに変わります。
 
【まとめ】現在地がわかれば、会社は迷わない
 
「数字が苦手」なのではありません。あなたの会社が使っている財務という「地図」が、
読み解くのに特殊なスキルを要する「紙の地図」のままなだけかもしれません。
これからの経営者に必要なのは、財務諸表を読み解く専門的な能力以上に、
会社の状況を「スマホ地図」のように誰もがわかる形にデザインし、チーム全員で目的地へ向かう力です。
まずは、あなたの会社の「現在地」を示す、キャッシュという名の青い点を灯すことから始めてみてはいかがでしょうか。
それだけで、経営の景色は大きく変わるはずです。
 
もし、記事を読まれて「うちの財務も、青い点(現在地)が見えるようにしたい」
そんな方には、1枚の紙で、会社のお金を見える化でき、
売上や利益に関することを、社内全体で共通言語として使える「お金のブロックパズル」
の導入サポートもあります。まずはお気軽にお問い合わせください。
漠然と感じているお金の不安がクリアになりますよ。
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					「いくら稼げばいいか」に即答できる社長になる ビジョンと資金を両立させる経営術
					2025.09.25  忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
多くの社長が資金に苦しむ根因は、売上偏重でもコスト偏重でもなく、
「会社に必要なお金が手元に残る設計=数字の地図」がないこと。
固定費・返済・戦略費・税や内部留保を賄う必要粗利を明確にし、
粗利率から必要売上を算出、現状とのギャップを客数・単価・リピートなどに分解して打ち手を決める。
戦略費は効くものを守り、効かないものは止める。
入出金の時間差や在庫・回収の管理などキャッシュの視点も欠かせない。
月次で「事実→振り返り→次の一手」を1枚で確認し、全社員と共有することで、ビジョンと資金が両立する経営へ。
数字は答えではなく座標。社長にしかできない視点転換が、組織を自律的に動かす。
 
本文
「社長であれば、経営の数字をしっかり見ているのが当たり前」
世間の常識はそう言いますが、キャッシュフローコーチとして、経営者の伴走役を担っている中で、
「数字が見えていない社長」が意外に多いというのが実感です。
それはなぜでしょうか?
理由は明快で、お金の流れを全体像で学ぶ機会がなかったからです。
「とにかく売上」と、現場を駆け抜けてきたせいで
売上・人件費・返済などが頭の中でバラバラに存在し、
「売上が上がれば、給料も支払いも返済も何とかなるはず」と「思い込んでいる」ケースが少なくありません。
 
しかし、現実は単純ではありません。
お金の流れが見えていないため、売上を上げても手元にお金が残らず、
「返済をするために、また借金をする」といった本末転倒な事態が起こります。
精神論だけで頑張り続ける経営は、やがて心身共に限界を迎えてしまうでしょう。
 
資金繰りが苦しくなったとき、多くの社長は主に二つの解決策を模索します。
本稿では、それらが本当に有効な道なのか、詳しく見ていきます。
 
1. コスト削減は万能薬ではない
 
資金繰りが苦しいとき、まず目が行くのは「人件費」ではないでしょうか。
たしかに固定費の大きな割合を占めますが、安易な人員削減には慎重な判断が必要です。
たとえば、勤務態度に不満があった社員を解雇したとします。
一時的に人件費は減るかもしれませんが、その社員が年間2,000万円の粗利を生み出していたとしたら、
人件費500万円のコストが減る以上に2,000万円の粗利が失われる可能性があります。
さらに、社内のモチベーション低下や、残された社員への業務負担増といったデメリットも無視できません。
 
水道光熱費や事務用品などの地道な節約も大切ですが、収益へのインパクトは限定的です。
となると、最終的に削られやすいのは、将来の売上を生み出すための
「広告宣伝費」や「研究開発費」「教育研修費」といった「戦略費」となります。
しかし、これらを安易に削減すれば、数ヶ月後に売上ダウンを招き、さらなる苦境に陥るリスクがあります。
効かない戦略費は止める、効いている戦略費は守るという線引きが重要なのです。
結局のところ、コスト削減だけでは根本的な解決には至らず、限界があることに気づきます。
 
2. 「売上アップすれば解決」という幻想
 
コスト削減だけでは不十分だと気づくと、次に多くの社長が考えるのが「売上アップ」です。
「売上が増えれば、資金繰りの悩みは解決する」と信じている社長は少なくありません。
ならば、資金繰りに苦しむ会社が後を絶たないのはなぜでしょうか?
真の問題は「売上アップの方法がわからない」ことではありません。
実は、社長そして社員一人ひとりが「いくらの売上をつくれば、会社が必要とするお金が手元に残るのか」
を理解していないことが問題なのです。
 
必要なのは「数字で描く地図」
売上目標を何度も叫んでも、行動は具体化しません。
重要なのは、固定費・返済・戦略費をすべてまかなうために必要な売上(必要粗利)を明確にすることです。
数字が明確になれば、「あといくら必要か」「なぜそれが必要か」が見えるようになります。
社員にも行動の優先順位が伝わるし、自分自身の意思決定もブレにくくなります。
一度、ご自身や社員さんに、こう尋ねてみて下さい。
「当社は売上や利益が、いくら必要ですか?」と。
「多ければ多いほどいい」という曖昧な答えしか返ってこない会社は、行動にはつながりません。
現在地もゴールまでの距離も分からなければ、走り続けるモチベーションは維持できないのと同じです。
つまり多くの会社では、以下の二点が漠然としています。
1.いくらの売上アップが必要か?
2.それはなぜ必要なのか?
行動を起こすには、このような、根拠のある目標が必要不可欠なのです。
根拠とは、人件費やその他の固定費、返済、そして将来への投資などを全て賄うために
「どれだけの売上(粗利)が必要なのか」という数字です。
この目標と現状のギャップを数字で可視化し、全社員が共有することで、組織は自律的に動きだします。
 
3. 社長にしかできない「視点の転換」と「数字の地図」づくり
 
「これまでも長年の経験と勘でやってきたから、計画は不要」という経営者もいます。
でもそれは、すでに地図や地形を熟知した熟練の登山者だからできることです。
社員がいる会社では、計画や目標なしに動けというのは「目隠しして走れ」と言っているようなものです。
私は、凡人の社長だからこそ、計画や目標は必要だと考えます。
目標を立てて毎月軌道修正する会社と、場当たり的に経営する会社では、1年後の結果が異なるのは当然です。
重要なのは「変更はいつでもあり得る」という前提で目標を置くことです。
私自身の例ですが、大学で経済や経営を学んだわけではない私が、
会社の存在意義を明文化し、計画や目標を立て、その上に財務の考え方を積み上げた結果、
内部留保を5年間で5倍以上に増やすことができました。
 
「悪いところは良くなるだけ」「わからないことは、伸びしろである」と、視点を持ちましょう。
寺田寅彦の言葉を借りれば、「不安」は「希望」の裏返しであり、「苦手」「わからない」は「伸びしろ」の別名です。
数字を見る視点を変え、財務や決算書を「経営判断の力強い味方」に変える。
その第一歩として、今日から「数字の地図」づくりを始めませんか。
 
今日からできる「数字の地図」づくり(5つのステップ)
 
 	固定費の棚卸し: 人件費、地代家賃、減価償却費、借入金返済額など、毎月必ず発生する費用を明確にします。
 	必要粗利の算定: 上記固定費と、守るべき戦略費の合計額が、最低限必要な粗利額です。自社の粗利率をかけ合わせれば「必要売上」が算出できます。
 	ギャップの分解: 必要売上と現在の売上の不足額を、「客数×客単価×リピート率」のように数式に分解し、どこに手を打つべきかを見極めます。
 	「やめる」リストの作成: 効果の薄い施策、赤字案件、安易な値引きなど、先に止めるべきものを明確にします。一方で、効果が出ている戦略費は死守します。
 	月次の振り返り: 毎月30分でも良いので、「事実→学び→次の一手」のサイクルを回し、見込みと実績、資金状況を一枚で確認する習慣をつけましょう。
 
数字は、あなたの経営の答えではなく「座標」です。
今どこにいて、どこに向かうのかを教えてくれるナビゲーターです。
「どれだけ頑張ればいいのか」 「なぜ頑張る必要があるのか」
この問いに数字で答えられるようになったとき、売上至上主義でもコスト至上主義でもない、
ビジョンと資金が両立する経営が始まります。 忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
多くの社長が資金に苦しむ根因は、売上偏重でもコスト偏重でもなく、
「会社に必要なお金が手元に残る設計=数字の地図」がないこと。
固定費・返済・戦略費・税や内部留保を賄う必要粗利を明確にし、
粗利率から必要売上を算出、現状とのギャップを客数・単価・リピートなどに分解して打ち手を決める。
戦略費は効くものを守り、効かないものは止める。
入出金の時間差や在庫・回収の管理などキャッシュの視点も欠かせない。
月次で「事実→振り返り→次の一手」を1枚で確認し、全社員と共有することで、ビジョンと資金が両立する経営へ。
数字は答えではなく座標。社長にしかできない視点転換が、組織を自律的に動かす。
 
本文
「社長であれば、経営の数字をしっかり見ているのが当たり前」
世間の常識はそう言いますが、キャッシュフローコーチとして、経営者の伴走役を担っている中で、
「数字が見えていない社長」が意外に多いというのが実感です。
それはなぜでしょうか?
理由は明快で、お金の流れを全体像で学ぶ機会がなかったからです。
「とにかく売上」と、現場を駆け抜けてきたせいで
売上・人件費・返済などが頭の中でバラバラに存在し、
「売上が上がれば、給料も支払いも返済も何とかなるはず」と「思い込んでいる」ケースが少なくありません。
 
しかし、現実は単純ではありません。
お金の流れが見えていないため、売上を上げても手元にお金が残らず、
「返済をするために、また借金をする」といった本末転倒な事態が起こります。
精神論だけで頑張り続ける経営は、やがて心身共に限界を迎えてしまうでしょう。
 
資金繰りが苦しくなったとき、多くの社長は主に二つの解決策を模索します。
本稿では、それらが本当に有効な道なのか、詳しく見ていきます。
 
1. コスト削減は万能薬ではない
 
資金繰りが苦しいとき、まず目が行くのは「人件費」ではないでしょうか。
たしかに固定費の大きな割合を占めますが、安易な人員削減には慎重な判断が必要です。
たとえば、勤務態度に不満があった社員を解雇したとします。
一時的に人件費は減るかもしれませんが、その社員が年間2,000万円の粗利を生み出していたとしたら、
人件費500万円のコストが減る以上に2,000万円の粗利が失われる可能性があります。
さらに、社内のモチベーション低下や、残された社員への業務負担増といったデメリットも無視できません。
 
水道光熱費や事務用品などの地道な節約も大切ですが、収益へのインパクトは限定的です。
となると、最終的に削られやすいのは、将来の売上を生み出すための
「広告宣伝費」や「研究開発費」「教育研修費」といった「戦略費」となります。
しかし、これらを安易に削減すれば、数ヶ月後に売上ダウンを招き、さらなる苦境に陥るリスクがあります。
効かない戦略費は止める、効いている戦略費は守るという線引きが重要なのです。
結局のところ、コスト削減だけでは根本的な解決には至らず、限界があることに気づきます。
 
2. 「売上アップすれば解決」という幻想
 
コスト削減だけでは不十分だと気づくと、次に多くの社長が考えるのが「売上アップ」です。
「売上が増えれば、資金繰りの悩みは解決する」と信じている社長は少なくありません。
ならば、資金繰りに苦しむ会社が後を絶たないのはなぜでしょうか?
真の問題は「売上アップの方法がわからない」ことではありません。
実は、社長そして社員一人ひとりが「いくらの売上をつくれば、会社が必要とするお金が手元に残るのか」
を理解していないことが問題なのです。
 
必要なのは「数字で描く地図」
売上目標を何度も叫んでも、行動は具体化しません。
重要なのは、固定費・返済・戦略費をすべてまかなうために必要な売上(必要粗利)を明確にすることです。
数字が明確になれば、「あといくら必要か」「なぜそれが必要か」が見えるようになります。
社員にも行動の優先順位が伝わるし、自分自身の意思決定もブレにくくなります。
一度、ご自身や社員さんに、こう尋ねてみて下さい。
「当社は売上や利益が、いくら必要ですか?」と。
「多ければ多いほどいい」という曖昧な答えしか返ってこない会社は、行動にはつながりません。
現在地もゴールまでの距離も分からなければ、走り続けるモチベーションは維持できないのと同じです。
つまり多くの会社では、以下の二点が漠然としています。
1.いくらの売上アップが必要か?
2.それはなぜ必要なのか?
行動を起こすには、このような、根拠のある目標が必要不可欠なのです。
根拠とは、人件費やその他の固定費、返済、そして将来への投資などを全て賄うために
「どれだけの売上(粗利)が必要なのか」という数字です。
この目標と現状のギャップを数字で可視化し、全社員が共有することで、組織は自律的に動きだします。
 
3. 社長にしかできない「視点の転換」と「数字の地図」づくり
 
「これまでも長年の経験と勘でやってきたから、計画は不要」という経営者もいます。
でもそれは、すでに地図や地形を熟知した熟練の登山者だからできることです。
社員がいる会社では、計画や目標なしに動けというのは「目隠しして走れ」と言っているようなものです。
私は、凡人の社長だからこそ、計画や目標は必要だと考えます。
目標を立てて毎月軌道修正する会社と、場当たり的に経営する会社では、1年後の結果が異なるのは当然です。
重要なのは「変更はいつでもあり得る」という前提で目標を置くことです。
私自身の例ですが、大学で経済や経営を学んだわけではない私が、
会社の存在意義を明文化し、計画や目標を立て、その上に財務の考え方を積み上げた結果、
内部留保を5年間で5倍以上に増やすことができました。
 
「悪いところは良くなるだけ」「わからないことは、伸びしろである」と、視点を持ちましょう。
寺田寅彦の言葉を借りれば、「不安」は「希望」の裏返しであり、「苦手」「わからない」は「伸びしろ」の別名です。
数字を見る視点を変え、財務や決算書を「経営判断の力強い味方」に変える。
その第一歩として、今日から「数字の地図」づくりを始めませんか。
 
今日からできる「数字の地図」づくり(5つのステップ)
 
 	固定費の棚卸し: 人件費、地代家賃、減価償却費、借入金返済額など、毎月必ず発生する費用を明確にします。
 	必要粗利の算定: 上記固定費と、守るべき戦略費の合計額が、最低限必要な粗利額です。自社の粗利率をかけ合わせれば「必要売上」が算出できます。
 	ギャップの分解: 必要売上と現在の売上の不足額を、「客数×客単価×リピート率」のように数式に分解し、どこに手を打つべきかを見極めます。
 	「やめる」リストの作成: 効果の薄い施策、赤字案件、安易な値引きなど、先に止めるべきものを明確にします。一方で、効果が出ている戦略費は死守します。
 	月次の振り返り: 毎月30分でも良いので、「事実→学び→次の一手」のサイクルを回し、見込みと実績、資金状況を一枚で確認する習慣をつけましょう。
 
数字は、あなたの経営の答えではなく「座標」です。
今どこにいて、どこに向かうのかを教えてくれるナビゲーターです。
「どれだけ頑張ればいいのか」 「なぜ頑張る必要があるのか」
この問いに数字で答えられるようになったとき、売上至上主義でもコスト至上主義でもない、
ビジョンと資金が両立する経営が始まります。
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					数字に強い人が持つ『3つの視点』~ビジネスで本当に必要な「数字力」の正体~
					2025.09.16  「数字に強い人」と聞くと、計算が速い、統計に詳しいといったイメージがありませんか?
しかし、ビジネスの現場で本当に求められる「数字力」は、それだけではありません。
数字を使って未来の姿を描き、データに基づいて冷静に判断できる力こそが、
これからの時代を生き抜くビジネスパーソンにとって不可欠なスキルです。
この記事では、経営者と社員、それぞれの視点から「本当に数字に強い」とはどういうことなのか、
その本質を解き明かしていきます。
この記事でわかること
 	数字で語る人が、なぜ立場を問わず信頼されるのか
 	数字を使って未来を予測し、ビジネスの精度を上げる方法
 	厳しい状況でも、数字を味方につけて冷静に行動するコツ
 
忙しいあなたへ【1分で読めるAI要約】
ビジネスで本当に役立つ「数字力」の本質
 
ビジネスで「数字に強い」とは、計算が速いことではありません。
数字を使って「信頼を築き」「未来を予測し」「冷静に判断する」力があることを指します。
これは経営者から新入社員まで、すべてのビジネスパーソンに必須のスキルと言えます。
その理由は、以下の3つの効果に集約されます。
 
1. 数字で語ると「信頼」される
 
「頑張ります」といった曖昧な言葉ではなく、「売上目標10億円」「先月比15%増」
のように具体的な数字で話すと、発言に客観的な説得力が生まれます。
これにより、経営者は組織を動かしやすくなり、社員は上司や顧客からの信頼を得やすくなります。
 
2. 数字で「未来を予測」できる
 
数字は過去の記録だけでなく、未来を予測する道具です。
「価格を5%上げたら利益はどうなるか」といったシミュレーションで最適な経営判断を下したり、
「このままでは目標未達になる」と予測して先手を打ったりと、
ビジネスの精度を格段に向上させることができます。
 
3. 数字を味方にすると「冷静」でいられる
 
赤字や目標未達といった厳しい状況でも、感情的になる必要はありません。
数字は「改善すべき点」を教えてくれる冷静なパートナーです。
数字を深掘りして「なぜそうなったのか」を分析すれば、次に打つべき具体的な一手が見えてきます。
 
まとめ
 
「数字力」とは、感覚ではなく根拠をもって語る力です。
日々の会話や報告に一つ数字を交える習慣をつけるだけで、誰でもこの強力な武器を身につけることができます。
 
 
本文
 
1. なぜ「数字で語る」だけで信頼されるのか?
 
ビジネスにおける信頼は、客観的な事実から生まれます。その最も強力なツールが「数字」です。
たとえば経営者が、ただ「売上を伸ばすぞ」と檄を飛ばしても、社員は何をすべきか分からず、組織は動きません。
【経営者の場合】
「3年で売上10億円、市場シェア15%を目指す。そのために、まず半年で新規顧客を100社開拓する」
このように具体的な数字で目標を示すことで、初めて組織全体が同じゴールを見て、
具体的なアクションプランを共有できるのです。
 
これは社員やビジネスパーソンにとっても同じです。
上司への報告で「頑張っています、成果は出ています」と伝えるだけでは、あなたの評価は上がりません。
【社員の場合】
「担当案件の進捗ですが、施策Aによって追加の発注が先月比で15%増えました」
このように数字で語れる人は、上司や顧客に対して
「客観的な事実に基づいて仕事を進められる人材だ」という信頼を簡単に得ることができます。
 
コラム
私たち「コンサルタント」と名乗る人間にも実は同じことが言えます。
よく、決算書や試算表を元に「〇〇比率」や、格好のいいカタカナや英語の「数値」を
「見栄えのいい資料」として提示している人がいるようですが
経営者の知りたいことは、その数値ではありませんし
数値を良くすることが経営目標ではありませんよね。
経営者が立てた目標、その達成のために、「数字」を「役に立つ数字に」変換し
専門的なことなど知らなくても、「やるべき事の判断材料を提示」できるような
コンサルタントやコーチを「伴走者」として選択しましょう。
 
また、会社全員の間に「売上」「コスト」「利益」などに関する「共通言語」が
存在している会社と、そうではない会社では、その成長速度や社内の雰囲気も
全く変わってきます。その結果は、目標達成率や社員満足度にも大きく影響を及ぼします。
実際に「お金のブロックパズル」を社内に導入することは
「お金の見える化」だけにとどまらず、社員の利益やコストに対する意識を高め
全社一丸で目標に向かって進んでいくことの一助となります。
 
※「お金のブロックパズル」とは
会社の利益構造をシンプルに図式化し、
「どこに手を打てば利益が出るか」
「その利益額は、どのくらいの金額か」
「新規投資時の判断基準の明確化」
「未来の収益計画の立案」などを
決算書が読めなくても誰でも、視覚的に理解可能にする会計ツールです
 
 
 
2. 数字で未来を予測し、最適な一手を選ぶ
 
数字は過去の結果を記録するだけのものではありません。
未来を予測し、進むべき道を照らす「羅針盤」の役割を果たします。
経営者にとって、意思決定の場面で数字は強力な根拠となります。
感覚や経験則だけに頼った判断は、大きなリスクを伴います。
【経営者の場合】
「価格を5%上げた場合、既存顧客が1割離れても、粗利益は年間で500万円のプラスに転じる」
「お金のブロックパズル」などを用いて、このようなシミュレーションができれば、
自信を持って価格改定の意思決定ができます。
 
社員が周囲から一目置かれる存在になるためにも、未来の予測は欠かせません。
 
【社員の場合】
「現在の進捗率だと、3か月後の四半期目標達成率は80%に留まる可能性が高いです。
今のうちから施策Bを追加で実施することを提案します」
このように、数字を使って少し先の未来を描き、先手を打つ提案ができれば、
単なる「作業者」から「戦略を考えるパートナー」へとステップアップできるでしょう。
 
3. 数字を「冷静なパートナー」とし、感情に流されない
 
赤字、売上減少、目標未達。こうした厳しい数字を突きつけられると、
多くの人は焦りや不安を感じてしまいます。しかし、本当に数字に強い人は、そんな時こそ冷静です。
彼らは、ネガティブな数字を「終わり」のサインではなく、
「改善すべき点を教えてくれるヒント」として捉えます。
【経営者の場合】
赤字決算という結果に対し、「どの部門のコストが最大の要因か」「テコ入れすべき事業はどこか」
「広告宣伝の有効性は」「新商品開発の必要性は」「人件費の最適化には」
と数字をさらに深掘りし、次の一手を冷静に導き出します。
 
これは社員にとっても、成長の大きなチャンスです。
【社員の場合】
重要業績評価指標(KPI)が未達、結果、売上目標も未達だったとしても、
「なぜ届かなかったのか」「どの活動量が足りなかったのか」
を数字で客観的に振り返り、次のアクションを具体的に改善できます。
数字はあなたを責める敵ではありません。常に客観的な事実を伝え、
次に進むべき道を教えてくれる、最も信頼できるパートナーなのです。
 
まとめ:数字は、立場を超えて最強の武器になる
 
本記事で解説した「数字力」は、役職や立場を超えて、すべてのビジネスパーソンにとって強力な武器となります。
 	経営者にとっては → 社員を導く「説得力」と、未来を切り拓く「冷静な意思決定」の源泉となる。
 	若手ビジネスパーソンにとっては → 上司や顧客から信頼を勝ち取り、キャリアを飛躍させるための「武器」となる。
数字に強い人とは、未来を「感覚」ではなく「根拠」をもって語れる人です。
日々の業務報告や会議での発言に、一つでも数字を交える習慣をつけることから、
誰でも「数字に強いビジネスパーソン」へと成長できます。
数字を恐れるのではなく、ぜひあなたのキャリアの味方にしてみませんか。
 
さあ、今日の会議でまずは一度、「数字」を使って発言してみましょう! 「数字に強い人」と聞くと、計算が速い、統計に詳しいといったイメージがありませんか?
しかし、ビジネスの現場で本当に求められる「数字力」は、それだけではありません。
数字を使って未来の姿を描き、データに基づいて冷静に判断できる力こそが、
これからの時代を生き抜くビジネスパーソンにとって不可欠なスキルです。
この記事では、経営者と社員、それぞれの視点から「本当に数字に強い」とはどういうことなのか、
その本質を解き明かしていきます。
この記事でわかること
 	数字で語る人が、なぜ立場を問わず信頼されるのか
 	数字を使って未来を予測し、ビジネスの精度を上げる方法
 	厳しい状況でも、数字を味方につけて冷静に行動するコツ
 
忙しいあなたへ【1分で読めるAI要約】
ビジネスで本当に役立つ「数字力」の本質
 
ビジネスで「数字に強い」とは、計算が速いことではありません。
数字を使って「信頼を築き」「未来を予測し」「冷静に判断する」力があることを指します。
これは経営者から新入社員まで、すべてのビジネスパーソンに必須のスキルと言えます。
その理由は、以下の3つの効果に集約されます。
 
1. 数字で語ると「信頼」される
 
「頑張ります」といった曖昧な言葉ではなく、「売上目標10億円」「先月比15%増」
のように具体的な数字で話すと、発言に客観的な説得力が生まれます。
これにより、経営者は組織を動かしやすくなり、社員は上司や顧客からの信頼を得やすくなります。
 
2. 数字で「未来を予測」できる
 
数字は過去の記録だけでなく、未来を予測する道具です。
「価格を5%上げたら利益はどうなるか」といったシミュレーションで最適な経営判断を下したり、
「このままでは目標未達になる」と予測して先手を打ったりと、
ビジネスの精度を格段に向上させることができます。
 
3. 数字を味方にすると「冷静」でいられる
 
赤字や目標未達といった厳しい状況でも、感情的になる必要はありません。
数字は「改善すべき点」を教えてくれる冷静なパートナーです。
数字を深掘りして「なぜそうなったのか」を分析すれば、次に打つべき具体的な一手が見えてきます。
 
まとめ
 
「数字力」とは、感覚ではなく根拠をもって語る力です。
日々の会話や報告に一つ数字を交える習慣をつけるだけで、誰でもこの強力な武器を身につけることができます。
 
 
本文
 
1. なぜ「数字で語る」だけで信頼されるのか?
 
ビジネスにおける信頼は、客観的な事実から生まれます。その最も強力なツールが「数字」です。
たとえば経営者が、ただ「売上を伸ばすぞ」と檄を飛ばしても、社員は何をすべきか分からず、組織は動きません。
【経営者の場合】
「3年で売上10億円、市場シェア15%を目指す。そのために、まず半年で新規顧客を100社開拓する」
このように具体的な数字で目標を示すことで、初めて組織全体が同じゴールを見て、
具体的なアクションプランを共有できるのです。
 
これは社員やビジネスパーソンにとっても同じです。
上司への報告で「頑張っています、成果は出ています」と伝えるだけでは、あなたの評価は上がりません。
【社員の場合】
「担当案件の進捗ですが、施策Aによって追加の発注が先月比で15%増えました」
このように数字で語れる人は、上司や顧客に対して
「客観的な事実に基づいて仕事を進められる人材だ」という信頼を簡単に得ることができます。
 
コラム
私たち「コンサルタント」と名乗る人間にも実は同じことが言えます。
よく、決算書や試算表を元に「〇〇比率」や、格好のいいカタカナや英語の「数値」を
「見栄えのいい資料」として提示している人がいるようですが
経営者の知りたいことは、その数値ではありませんし
数値を良くすることが経営目標ではありませんよね。
経営者が立てた目標、その達成のために、「数字」を「役に立つ数字に」変換し
専門的なことなど知らなくても、「やるべき事の判断材料を提示」できるような
コンサルタントやコーチを「伴走者」として選択しましょう。
 
また、会社全員の間に「売上」「コスト」「利益」などに関する「共通言語」が
存在している会社と、そうではない会社では、その成長速度や社内の雰囲気も
全く変わってきます。その結果は、目標達成率や社員満足度にも大きく影響を及ぼします。
実際に「お金のブロックパズル」を社内に導入することは
「お金の見える化」だけにとどまらず、社員の利益やコストに対する意識を高め
全社一丸で目標に向かって進んでいくことの一助となります。
 
※「お金のブロックパズル」とは
会社の利益構造をシンプルに図式化し、
「どこに手を打てば利益が出るか」
「その利益額は、どのくらいの金額か」
「新規投資時の判断基準の明確化」
「未来の収益計画の立案」などを
決算書が読めなくても誰でも、視覚的に理解可能にする会計ツールです
 
 
 
2. 数字で未来を予測し、最適な一手を選ぶ
 
数字は過去の結果を記録するだけのものではありません。
未来を予測し、進むべき道を照らす「羅針盤」の役割を果たします。
経営者にとって、意思決定の場面で数字は強力な根拠となります。
感覚や経験則だけに頼った判断は、大きなリスクを伴います。
【経営者の場合】
「価格を5%上げた場合、既存顧客が1割離れても、粗利益は年間で500万円のプラスに転じる」
「お金のブロックパズル」などを用いて、このようなシミュレーションができれば、
自信を持って価格改定の意思決定ができます。
 
社員が周囲から一目置かれる存在になるためにも、未来の予測は欠かせません。
 
【社員の場合】
「現在の進捗率だと、3か月後の四半期目標達成率は80%に留まる可能性が高いです。
今のうちから施策Bを追加で実施することを提案します」
このように、数字を使って少し先の未来を描き、先手を打つ提案ができれば、
単なる「作業者」から「戦略を考えるパートナー」へとステップアップできるでしょう。
 
3. 数字を「冷静なパートナー」とし、感情に流されない
 
赤字、売上減少、目標未達。こうした厳しい数字を突きつけられると、
多くの人は焦りや不安を感じてしまいます。しかし、本当に数字に強い人は、そんな時こそ冷静です。
彼らは、ネガティブな数字を「終わり」のサインではなく、
「改善すべき点を教えてくれるヒント」として捉えます。
【経営者の場合】
赤字決算という結果に対し、「どの部門のコストが最大の要因か」「テコ入れすべき事業はどこか」
「広告宣伝の有効性は」「新商品開発の必要性は」「人件費の最適化には」
と数字をさらに深掘りし、次の一手を冷静に導き出します。
 
これは社員にとっても、成長の大きなチャンスです。
【社員の場合】
重要業績評価指標(KPI)が未達、結果、売上目標も未達だったとしても、
「なぜ届かなかったのか」「どの活動量が足りなかったのか」
を数字で客観的に振り返り、次のアクションを具体的に改善できます。
数字はあなたを責める敵ではありません。常に客観的な事実を伝え、
次に進むべき道を教えてくれる、最も信頼できるパートナーなのです。
 
まとめ:数字は、立場を超えて最強の武器になる
 
本記事で解説した「数字力」は、役職や立場を超えて、すべてのビジネスパーソンにとって強力な武器となります。
 	経営者にとっては → 社員を導く「説得力」と、未来を切り拓く「冷静な意思決定」の源泉となる。
 	若手ビジネスパーソンにとっては → 上司や顧客から信頼を勝ち取り、キャリアを飛躍させるための「武器」となる。
数字に強い人とは、未来を「感覚」ではなく「根拠」をもって語れる人です。
日々の業務報告や会議での発言に、一つでも数字を交える習慣をつけることから、
誰でも「数字に強いビジネスパーソン」へと成長できます。
数字を恐れるのではなく、ぜひあなたのキャリアの味方にしてみませんか。
 
さあ、今日の会議でまずは一度、「数字」を使って発言してみましょう!
2025.10.01
 
						
							
忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
かつて「地図が苦手」な人が多かったが、スマホ地図アプリの登場で誰もが簡単に目的地にたどり着けるようになった。
これは、GPSによる「現在地の可視化」「ルート案内」「全体像と詳細の切り替え」「心理的安全性」の4つの機能が理由だ。
経営の財務管理も同じで、決算書や試算表という「紙の地図」ではなく、
スマホのように「今の財務状況」をリアルタイムで可視化し、目標までのルートを示す必要がある。
具体的には、日次の資金残高確認、4週間の出入金予定表作成、危険ラインの設定から始めることで、資金繰りの不安を解消できる。
重要なのは、専門的な分析力ではなく、財務を「誰もが理解できる形」にデザインすることだ。
 
 
本文
なぜ、あれほどいた「地図が苦手な人」は消えたのか?
 
かつて、多くの人が「地図を読むのが苦手で」と口にしていました。
しかし今、スマートフォンの地図アプリを使いこなせない人はほとんど見かけません。一体なぜでしょうか?
人々の空間認識能力が向上したわけではありません。答えはシンプルです。
ツールが「地図を読み解く」という複雑なスキルを不要にし、
誰もが「ナビに従う」だけで目的地にたどり着ける体験に変えたからです。
実はこれ、経営における「財務」にも全く同じことが言えます。
多くの経営者が、決算書や試算表といった専門的な「紙の地図」を前に、
「数字が苦手だ」「どこをどう見ればいいか分からない」と感じています。
しかし、もし会社の財務状況を「スマホの地図」のように、誰もが直感的に理解できる形に変えられたとしたら?
この記事では、スマホ地図の圧倒的なわかりやすさをヒントに、
複雑な財務を「見える化」し、「迷わない経営」を実現する方法をご紹介します。
 
1.最大の違いは「現在地」がわかること
 
スマホ地図が画期的な最大の理由は、GPSで常に「現在地」と「進むべき方向」を示してくれることです。
「自分は今どこにいる?」という、最も重要で、最も不安になる問いに一瞬で答えてくれます。
これを経営に置き換えてみましょう
 	【紙の地図】: 決算書や試算表
先月や先々月の「過去」の地点情報です。数字の羅列から「で、今、うちの会社の状況は良いの?悪いの?」を読み解くには時間がかかります
 	【スマホ地図】:リアルタイムの財務指標
今の現金残高、売上、利益がひと目でわかります。会社の「今」が青い点として明確に示されるため、意思決定のスピードが格段に上がるのです
 
 
 2. 目的地(目標)までの「ルート案内」機能を持つ
スマホ地図は、現在地から目的地までの最適なルートを自動で示してくれます
道を間違えても、すぐに新しいルートを再検索してくれます
これを経営に応用します
 	【紙の地図】 年度の事業計画書、Excelの売上目標
 	目標(目的地)は書いてあるが、そこまでの日々の道のり(ルート)は個人の頭の中にしかない
 	計画と実績がズレても、軌道修正に時間がかかる
 
 	【スマホ地図】 予算実績管理(予実管理)ツール
 	目標(予算)と現状(実績)の差が常に表示される
 	「あと50mで右折です」という音声案内のように、「目標達成まであと〇〇円」「このままでは〇〇円ショートします」といった具体的な指標が示される
 	これにより、迅速な軌道修正が可能になります
「計画を立てて終わり」ではなく、目標達成までの道のりをナビゲートしてくれる仕組みが不可欠です。
 
 3. 「全体像」と「詳細」を自由に行き来する
スマホ地図は、2本の指で広域表示と詳細表示を切り替えられます。
これにより、森(全体像)と木(詳細)の両方を簡単に見ることができます。
 	【紙の地図】 決算書全体と、各勘定科目の元帳
 	両者を見比べるのは手間がかかり、つながりを理解しにくい
 	【スマホ地図】 現代の会計ツール
 	システムを使い売上を確認 → 気になる部分をクリック → どの取引先からの売上が大きいかを表示
→ さらにクリックして個別の請求書データまで確認、といったように、知りたい情報をストレスなく深掘りできる。
この「全体と詳細を自由に行き来できる」環境が、数字に対する心理的なハードルを下げ、問題の早期発見につながります。
 
 4. 「分からない」という心理的な不安を取り除く
「道に迷ったらどうしよう」という不安は、人を臆病にします。
スマホの地図は「いつでも現在地がわかる」「道を間違えても大丈夫」という心理的な安全性を提供してくれるため、
私たちは安心して知らない場所へも踏み出せます。
経営も同じです。
 	「資金繰りは本当に大丈夫か?」
 	「この投資は正しい判断だったか?」
 	「社員に会社の状況を聞かれたら、どう説明しよう?」
 
こうした不安の根源は、「状況が正確にわかっていない」ことにあります。
 財務を「見える化」することは、経営判断の拠り所となり、社長自身、そして社員に対しても
「うちは大丈夫だ」「今はこういう状況だから、次はこの一手を打つ」
と自信を持って説明するための基盤となるのです。
 
 
最初の⼀歩:「資⾦の現在地」を⾒える化する
 
では、何から手をつければいいのでしょうか。多くの会社がPL(損益計算書)を重視しますが、
まず整えるべきは会社の血液である「資金(キャッシュ)」の現在地です。
利益が出ていても資金が尽きれば会社は立ち行かなくなります。
以下の3つを始めるだけで、あなたの会社の地図に「現在地」を示す青い点が灯ります。
 
 	日次残高の記録:メイン口座の実残高を毎朝チェックし、どこにいても確認できるようにする
 	4週間の出入金表の作成:向こう4週間の確定している支払・入金の予定を日付順に並べる
 	危険ラインの設定:会社の規模に応じて「残高〇〇万円を下回ったら黄色信号」といった危険ラインを具体的に決めておく
 
目的は完璧な予測ではありません。「ズレを早く見つけて修正する」ことです。
これだけで、「資金繰りは大丈夫か?」という漠然とした不安が、
「2週間後に資金が厳しくなるから、A社への支払いを相談しよう」や
「3か月後に資金が厳しくなりそうだから、早めに銀行に相談しよう」
という具体的なアクションに変わります。
 
【まとめ】現在地がわかれば、会社は迷わない
 
「数字が苦手」なのではありません。あなたの会社が使っている財務という「地図」が、
読み解くのに特殊なスキルを要する「紙の地図」のままなだけかもしれません。
これからの経営者に必要なのは、財務諸表を読み解く専門的な能力以上に、
会社の状況を「スマホ地図」のように誰もがわかる形にデザインし、チーム全員で目的地へ向かう力です。
まずは、あなたの会社の「現在地」を示す、キャッシュという名の青い点を灯すことから始めてみてはいかがでしょうか。
それだけで、経営の景色は大きく変わるはずです。
 
もし、記事を読まれて「うちの財務も、青い点(現在地)が見えるようにしたい」
そんな方には、1枚の紙で、会社のお金を見える化でき、
売上や利益に関することを、社内全体で共通言語として使える「お金のブロックパズル」
の導入サポートもあります。まずはお気軽にお問い合わせください。
漠然と感じているお金の不安がクリアになりますよ。
 
						
					2025.09.25
 
						
							
忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
多くの社長が資金に苦しむ根因は、売上偏重でもコスト偏重でもなく、
「会社に必要なお金が手元に残る設計=数字の地図」がないこと。
固定費・返済・戦略費・税や内部留保を賄う必要粗利を明確にし、
粗利率から必要売上を算出、現状とのギャップを客数・単価・リピートなどに分解して打ち手を決める。
戦略費は効くものを守り、効かないものは止める。
入出金の時間差や在庫・回収の管理などキャッシュの視点も欠かせない。
月次で「事実→振り返り→次の一手」を1枚で確認し、全社員と共有することで、ビジョンと資金が両立する経営へ。
数字は答えではなく座標。社長にしかできない視点転換が、組織を自律的に動かす。
 
本文
「社長であれば、経営の数字をしっかり見ているのが当たり前」
世間の常識はそう言いますが、キャッシュフローコーチとして、経営者の伴走役を担っている中で、
「数字が見えていない社長」が意外に多いというのが実感です。
それはなぜでしょうか?
理由は明快で、お金の流れを全体像で学ぶ機会がなかったからです。
「とにかく売上」と、現場を駆け抜けてきたせいで
売上・人件費・返済などが頭の中でバラバラに存在し、
「売上が上がれば、給料も支払いも返済も何とかなるはず」と「思い込んでいる」ケースが少なくありません。
 
しかし、現実は単純ではありません。
お金の流れが見えていないため、売上を上げても手元にお金が残らず、
「返済をするために、また借金をする」といった本末転倒な事態が起こります。
精神論だけで頑張り続ける経営は、やがて心身共に限界を迎えてしまうでしょう。
 
資金繰りが苦しくなったとき、多くの社長は主に二つの解決策を模索します。
本稿では、それらが本当に有効な道なのか、詳しく見ていきます。
 
1. コスト削減は万能薬ではない
 
資金繰りが苦しいとき、まず目が行くのは「人件費」ではないでしょうか。
たしかに固定費の大きな割合を占めますが、安易な人員削減には慎重な判断が必要です。
たとえば、勤務態度に不満があった社員を解雇したとします。
一時的に人件費は減るかもしれませんが、その社員が年間2,000万円の粗利を生み出していたとしたら、
人件費500万円のコストが減る以上に2,000万円の粗利が失われる可能性があります。
さらに、社内のモチベーション低下や、残された社員への業務負担増といったデメリットも無視できません。
 
水道光熱費や事務用品などの地道な節約も大切ですが、収益へのインパクトは限定的です。
となると、最終的に削られやすいのは、将来の売上を生み出すための
「広告宣伝費」や「研究開発費」「教育研修費」といった「戦略費」となります。
しかし、これらを安易に削減すれば、数ヶ月後に売上ダウンを招き、さらなる苦境に陥るリスクがあります。
効かない戦略費は止める、効いている戦略費は守るという線引きが重要なのです。
結局のところ、コスト削減だけでは根本的な解決には至らず、限界があることに気づきます。
 
2. 「売上アップすれば解決」という幻想
 
コスト削減だけでは不十分だと気づくと、次に多くの社長が考えるのが「売上アップ」です。
「売上が増えれば、資金繰りの悩みは解決する」と信じている社長は少なくありません。
ならば、資金繰りに苦しむ会社が後を絶たないのはなぜでしょうか?
真の問題は「売上アップの方法がわからない」ことではありません。
実は、社長そして社員一人ひとりが「いくらの売上をつくれば、会社が必要とするお金が手元に残るのか」
を理解していないことが問題なのです。
 
必要なのは「数字で描く地図」
売上目標を何度も叫んでも、行動は具体化しません。
重要なのは、固定費・返済・戦略費をすべてまかなうために必要な売上(必要粗利)を明確にすることです。
数字が明確になれば、「あといくら必要か」「なぜそれが必要か」が見えるようになります。
社員にも行動の優先順位が伝わるし、自分自身の意思決定もブレにくくなります。
一度、ご自身や社員さんに、こう尋ねてみて下さい。
「当社は売上や利益が、いくら必要ですか?」と。
「多ければ多いほどいい」という曖昧な答えしか返ってこない会社は、行動にはつながりません。
現在地もゴールまでの距離も分からなければ、走り続けるモチベーションは維持できないのと同じです。
つまり多くの会社では、以下の二点が漠然としています。
1.いくらの売上アップが必要か?
2.それはなぜ必要なのか?
行動を起こすには、このような、根拠のある目標が必要不可欠なのです。
根拠とは、人件費やその他の固定費、返済、そして将来への投資などを全て賄うために
「どれだけの売上(粗利)が必要なのか」という数字です。
この目標と現状のギャップを数字で可視化し、全社員が共有することで、組織は自律的に動きだします。
 
3. 社長にしかできない「視点の転換」と「数字の地図」づくり
 
「これまでも長年の経験と勘でやってきたから、計画は不要」という経営者もいます。
でもそれは、すでに地図や地形を熟知した熟練の登山者だからできることです。
社員がいる会社では、計画や目標なしに動けというのは「目隠しして走れ」と言っているようなものです。
私は、凡人の社長だからこそ、計画や目標は必要だと考えます。
目標を立てて毎月軌道修正する会社と、場当たり的に経営する会社では、1年後の結果が異なるのは当然です。
重要なのは「変更はいつでもあり得る」という前提で目標を置くことです。
私自身の例ですが、大学で経済や経営を学んだわけではない私が、
会社の存在意義を明文化し、計画や目標を立て、その上に財務の考え方を積み上げた結果、
内部留保を5年間で5倍以上に増やすことができました。
 
「悪いところは良くなるだけ」「わからないことは、伸びしろである」と、視点を持ちましょう。
寺田寅彦の言葉を借りれば、「不安」は「希望」の裏返しであり、「苦手」「わからない」は「伸びしろ」の別名です。
数字を見る視点を変え、財務や決算書を「経営判断の力強い味方」に変える。
その第一歩として、今日から「数字の地図」づくりを始めませんか。
 
今日からできる「数字の地図」づくり(5つのステップ)
 
 	固定費の棚卸し: 人件費、地代家賃、減価償却費、借入金返済額など、毎月必ず発生する費用を明確にします。
 	必要粗利の算定: 上記固定費と、守るべき戦略費の合計額が、最低限必要な粗利額です。自社の粗利率をかけ合わせれば「必要売上」が算出できます。
 	ギャップの分解: 必要売上と現在の売上の不足額を、「客数×客単価×リピート率」のように数式に分解し、どこに手を打つべきかを見極めます。
 	「やめる」リストの作成: 効果の薄い施策、赤字案件、安易な値引きなど、先に止めるべきものを明確にします。一方で、効果が出ている戦略費は死守します。
 	月次の振り返り: 毎月30分でも良いので、「事実→学び→次の一手」のサイクルを回し、見込みと実績、資金状況を一枚で確認する習慣をつけましょう。
 
数字は、あなたの経営の答えではなく「座標」です。
今どこにいて、どこに向かうのかを教えてくれるナビゲーターです。
「どれだけ頑張ればいいのか」 「なぜ頑張る必要があるのか」
この問いに数字で答えられるようになったとき、売上至上主義でもコスト至上主義でもない、
ビジョンと資金が両立する経営が始まります。
						
					2025.09.16
 
						
							
「数字に強い人」と聞くと、計算が速い、統計に詳しいといったイメージがありませんか?
しかし、ビジネスの現場で本当に求められる「数字力」は、それだけではありません。
数字を使って未来の姿を描き、データに基づいて冷静に判断できる力こそが、
これからの時代を生き抜くビジネスパーソンにとって不可欠なスキルです。
この記事では、経営者と社員、それぞれの視点から「本当に数字に強い」とはどういうことなのか、
その本質を解き明かしていきます。
この記事でわかること
 	数字で語る人が、なぜ立場を問わず信頼されるのか
 	数字を使って未来を予測し、ビジネスの精度を上げる方法
 	厳しい状況でも、数字を味方につけて冷静に行動するコツ
 
忙しいあなたへ【1分で読めるAI要約】
ビジネスで本当に役立つ「数字力」の本質
 
ビジネスで「数字に強い」とは、計算が速いことではありません。
数字を使って「信頼を築き」「未来を予測し」「冷静に判断する」力があることを指します。
これは経営者から新入社員まで、すべてのビジネスパーソンに必須のスキルと言えます。
その理由は、以下の3つの効果に集約されます。
 
1. 数字で語ると「信頼」される
 
「頑張ります」といった曖昧な言葉ではなく、「売上目標10億円」「先月比15%増」
のように具体的な数字で話すと、発言に客観的な説得力が生まれます。
これにより、経営者は組織を動かしやすくなり、社員は上司や顧客からの信頼を得やすくなります。
 
2. 数字で「未来を予測」できる
 
数字は過去の記録だけでなく、未来を予測する道具です。
「価格を5%上げたら利益はどうなるか」といったシミュレーションで最適な経営判断を下したり、
「このままでは目標未達になる」と予測して先手を打ったりと、
ビジネスの精度を格段に向上させることができます。
 
3. 数字を味方にすると「冷静」でいられる
 
赤字や目標未達といった厳しい状況でも、感情的になる必要はありません。
数字は「改善すべき点」を教えてくれる冷静なパートナーです。
数字を深掘りして「なぜそうなったのか」を分析すれば、次に打つべき具体的な一手が見えてきます。
 
まとめ
 
「数字力」とは、感覚ではなく根拠をもって語る力です。
日々の会話や報告に一つ数字を交える習慣をつけるだけで、誰でもこの強力な武器を身につけることができます。
 
 
本文
 
1. なぜ「数字で語る」だけで信頼されるのか?
 
ビジネスにおける信頼は、客観的な事実から生まれます。その最も強力なツールが「数字」です。
たとえば経営者が、ただ「売上を伸ばすぞ」と檄を飛ばしても、社員は何をすべきか分からず、組織は動きません。
【経営者の場合】
「3年で売上10億円、市場シェア15%を目指す。そのために、まず半年で新規顧客を100社開拓する」
このように具体的な数字で目標を示すことで、初めて組織全体が同じゴールを見て、
具体的なアクションプランを共有できるのです。
 
これは社員やビジネスパーソンにとっても同じです。
上司への報告で「頑張っています、成果は出ています」と伝えるだけでは、あなたの評価は上がりません。
【社員の場合】
「担当案件の進捗ですが、施策Aによって追加の発注が先月比で15%増えました」
このように数字で語れる人は、上司や顧客に対して
「客観的な事実に基づいて仕事を進められる人材だ」という信頼を簡単に得ることができます。
 
コラム
私たち「コンサルタント」と名乗る人間にも実は同じことが言えます。
よく、決算書や試算表を元に「〇〇比率」や、格好のいいカタカナや英語の「数値」を
「見栄えのいい資料」として提示している人がいるようですが
経営者の知りたいことは、その数値ではありませんし
数値を良くすることが経営目標ではありませんよね。
経営者が立てた目標、その達成のために、「数字」を「役に立つ数字に」変換し
専門的なことなど知らなくても、「やるべき事の判断材料を提示」できるような
コンサルタントやコーチを「伴走者」として選択しましょう。
 
また、会社全員の間に「売上」「コスト」「利益」などに関する「共通言語」が
存在している会社と、そうではない会社では、その成長速度や社内の雰囲気も
全く変わってきます。その結果は、目標達成率や社員満足度にも大きく影響を及ぼします。
実際に「お金のブロックパズル」を社内に導入することは
「お金の見える化」だけにとどまらず、社員の利益やコストに対する意識を高め
全社一丸で目標に向かって進んでいくことの一助となります。
 
※「お金のブロックパズル」とは
会社の利益構造をシンプルに図式化し、
「どこに手を打てば利益が出るか」
「その利益額は、どのくらいの金額か」
「新規投資時の判断基準の明確化」
「未来の収益計画の立案」などを
決算書が読めなくても誰でも、視覚的に理解可能にする会計ツールです
 
 
 
2. 数字で未来を予測し、最適な一手を選ぶ
 
数字は過去の結果を記録するだけのものではありません。
未来を予測し、進むべき道を照らす「羅針盤」の役割を果たします。
経営者にとって、意思決定の場面で数字は強力な根拠となります。
感覚や経験則だけに頼った判断は、大きなリスクを伴います。
【経営者の場合】
「価格を5%上げた場合、既存顧客が1割離れても、粗利益は年間で500万円のプラスに転じる」
「お金のブロックパズル」などを用いて、このようなシミュレーションができれば、
自信を持って価格改定の意思決定ができます。
 
社員が周囲から一目置かれる存在になるためにも、未来の予測は欠かせません。
 
【社員の場合】
「現在の進捗率だと、3か月後の四半期目標達成率は80%に留まる可能性が高いです。
今のうちから施策Bを追加で実施することを提案します」
このように、数字を使って少し先の未来を描き、先手を打つ提案ができれば、
単なる「作業者」から「戦略を考えるパートナー」へとステップアップできるでしょう。
 
3. 数字を「冷静なパートナー」とし、感情に流されない
 
赤字、売上減少、目標未達。こうした厳しい数字を突きつけられると、
多くの人は焦りや不安を感じてしまいます。しかし、本当に数字に強い人は、そんな時こそ冷静です。
彼らは、ネガティブな数字を「終わり」のサインではなく、
「改善すべき点を教えてくれるヒント」として捉えます。
【経営者の場合】
赤字決算という結果に対し、「どの部門のコストが最大の要因か」「テコ入れすべき事業はどこか」
「広告宣伝の有効性は」「新商品開発の必要性は」「人件費の最適化には」
と数字をさらに深掘りし、次の一手を冷静に導き出します。
 
これは社員にとっても、成長の大きなチャンスです。
【社員の場合】
重要業績評価指標(KPI)が未達、結果、売上目標も未達だったとしても、
「なぜ届かなかったのか」「どの活動量が足りなかったのか」
を数字で客観的に振り返り、次のアクションを具体的に改善できます。
数字はあなたを責める敵ではありません。常に客観的な事実を伝え、
次に進むべき道を教えてくれる、最も信頼できるパートナーなのです。
 
まとめ:数字は、立場を超えて最強の武器になる
 
本記事で解説した「数字力」は、役職や立場を超えて、すべてのビジネスパーソンにとって強力な武器となります。
 	経営者にとっては → 社員を導く「説得力」と、未来を切り拓く「冷静な意思決定」の源泉となる。
 	若手ビジネスパーソンにとっては → 上司や顧客から信頼を勝ち取り、キャリアを飛躍させるための「武器」となる。
数字に強い人とは、未来を「感覚」ではなく「根拠」をもって語れる人です。
日々の業務報告や会議での発言に、一つでも数字を交える習慣をつけることから、
誰でも「数字に強いビジネスパーソン」へと成長できます。
数字を恐れるのではなく、ぜひあなたのキャリアの味方にしてみませんか。
 
さあ、今日の会議でまずは一度、「数字」を使って発言してみましょう!