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ドンブリ勘定から卒業!現役経営者が教える「使える利益」の見極め方
2025.10.27
忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
「利益率が5%に落ちた」——この言葉、本当に危険なサインでしょうか?
実は「利益」には種類があり、どの利益を見ているかで意味は全く異なります。
この記事は、複雑な利益の種類を「現役経営者」の視点から超実践的に解説します。
「受注や値引き」の判断には限界利益、「会社の体力診断」には営業利益、
「資金力」を測るにはEBITDAといったように、どの利益をいつ使うべきかが一目瞭然。
さらに、「値引き上限の決め方」や「損益分岐点」の計算例も具体的で、すぐに自社で活用できます。
数字が苦手な経営者でも感覚的に理解でき、
ドンブリ勘定から脱却して「儲かる会社」へ体質改善するための、最初の一歩となる内容です。
本文
テレビから、こんな話が聞こえてきた。
「鳥インフルエンザにより鶏が大量に殺処分。卵の価格が高騰か」
以前は「物価の優等生」といわれた卵ですが
ここ数年は、スーパーで見ても、簡単に手が出ないほどの価格になっている。
卵をよく使う、とある飲食店に取材で訪れ、話を聞いていたのだが
その飲食店の店主さんが「卵の高騰は痛い。以前は利益率10%だったのが
今や5%しかない」と話していた。
それを聞いて、私の頭の中は「ん???」
「その利益率、どの利益率?」となったわけです。
もし、「粗利益率」が5~10%なら、普通の飲食店なら、とっくに閉店しているはずだ。
「経常利益率」がその数値なら、中小企業なら、十分優秀な会社と言えるし
ましてや、税引き後利益が、その数値なら「超優良企業」と言える。
このように会社を経営していく上で目にする「利益」や「利益率」と言われる数値ですが
数種類、存在しています。そしてその「用途」も様々。
そこで、本日から数回に分けて、この「利益」と言われるものを
会社経営をする上で、必要と思われる順番に、その「意味」や「用途」を
できるだけ専門用語を使わずに、記事にしていこうと思います。
「無資格・無免許・現役の経営者」の私だからこその感覚を生かしていきますので
「有資格・有免許」の方から見ると「不正確」なところはありますが
実際の経営の現場で、「そのまま」そして「感覚的に」使えるような記事にしたいと思います。
では、本日は「総論」です。
「わかっている」という方は、斜め読みでかまいません。
忙しいのに儲からない。値引きが常態化する。どこから手を付けるべきか。
その混乱は「利益の種類」と「使いどころ」が曖昧なことから生まれます。
まずは、判断の拠り所になる「利益の全体図」を描きます。
1. 5分でつかむ「利益の系譜」
売上 − 変動費 = 限界利益
限界利益=「売上から、売るたびに増える費用を引いた残りの利益」のこと
この残りで固定費(家賃や基本人件費)をまかなって、残った分が利益になります
使いどころ:受注可否・値引き・撤退の即断
注:変動費=売上に比例して増えるコスト(材料費、出来高外注、配送、決済手数料など)
売上 − 売上原価 = 粗利(売上総利益)
売上原価の中身
小売・卸:期首商品棚卸高+当期仕入−期末商品棚卸高(+仕入運賃など付随費用)
製造:期首製品棚卸高+当期製造原価−期末製品棚卸高
使いどころ:商品・顧客選び、在庫・仕入の計画策定
注:売上原価=「売れた分」に対応する仕入・製造コスト
粗利 − 販管費 = 営業利益
販管費=販売管理費=「販売するために使った費用(販売員の給与・広告費など)
「会社を管理・運営するために使った費用「役員給与・減価償却費など」
使いどころ:固定費(人・広告・オフィス・サブスク)の重さが戦略に合っているかの体質診断
営業利益 + 減価償却 = EBITDA(イービットディーエー イービッダー)
EBITDA=会社が「本業で生み出す現金の力」 現金そのものではないが、それに近いもの
使いどころ:返済余力・投資余力=キャッシュ創出力の目安
注:減価償却=設備の分割費用 実際に現金は出ていない「会計上の費用」
営業利益 ± 営業外収支 = 経常利益
使いどころ:金利・為替等を含む「平時の稼ぐ力」
特別損益調整 → 税引前利益 → 当期純利益
使いどころ:内部留保・配当・次の投資配分の源泉
一言でまとめると:意思決定は限界利益 体質は営業利益 資金はEBITDA
2. どの利益を「いつ」使うのか(30秒フロー)
受注・値引き:限界利益がプラスか?(マイナスなら単価交渉・撤退を検討)
商品ラインナップ:粗利率 × 回転(低粗利でも高速回転は武器)
固定費の重さ:営業利益率で体質を点検(重すぎる固定費は要検討)
資金余力:EBITDAで返済余力・投資の天井を把握(どこまで借りられる・攻められるか)
3. 数字を「使える化」するツール
限界利益表(商品別・ 顧客別)を作成・更新
営業・購買など社内全体で同じ表を見る(コスト意識の向上)
損益分岐点を全員で共有
「損益分岐点」とは「 利益がちょうど0円になるところ」
つまり、±0になる価格のこと
損益分岐点売上:固定費÷限界利益率(売上ベース・売上個数ベースの2種類)
粗利マトリクス(粗利率 × 回転)
在庫・仕入・販促の優先順位と直結
「@あたりの粗利率が小さいが販売個数や回転がよい商品」
「販売個数や回転率は悪いが@あたりの粗利率がよい商品」
どちらに注力し営業をするのかの経営判断ができる
簡易EBITDA表
返済予定と比べる。
投資余力=EBITDA − 年間返済
お金のブロックパズル
会社のお金をたった1枚の紙で直観的に誰もが理解できるようになるツール
経営判断の際に用いるのは無論、会社全体の「共通言語」として使用することにより
経営層から現場まで、意思決定に際し、ブレが少なくなる
4. ミニ例:値引き上限を「秒」で決める
単価1,000円、変動費600円 → 限界利益400円(限界利益率40%)
固定費が月200万円なら、損益分岐点売上高:200万円÷40%=500万円
値引き相談が来たら:
限界利益ゼロの単価=変動費=600円
実務は配送・決済手数料で変動費が膨らむため、安全マージンを引いた「最低販売価格」を部門で統一
計算例
変動費600円+配送/決済等50円=実務変動費650円 マージン20円 → 最低販売価格=670円(ここを絶対に割らない)
ちなみに「損益分岐点売上の500万円を超えて売上が立った場合
500万円を超えた売上のうち、変動費を差し引いた部分が、そのまま利益になる
ポイント:限界利益が見えていれば、感情ではなく数字で「線」が引けます。
5. よくある誤解と処方箋
誤解:粗利が高ければ正義
処方箋:粗利率だけでなく「回転」と「在庫滞留」を同時に見る
誤解:売上のために値引きは仕方ない
処方箋:限界利益のゼロ点を可視化し、超えてはいけない線を現場に渡す
誤解:黒字なら安心
処方箋:EBITDAと運転資金(売掛・在庫・買掛)を見て、キャッシュで判断
黒字は「利益」の話であり、「現金」の話ではないことを理解する
6. 今日からのチェックリスト
自社の「変動費」の定義を決める
上位3商品・3顧客の限界利益率を算出(毎月更新)
固定費と損益分岐点売上を全社共有(壁に貼る)
経営会議で「EBITDAと年間返済予定」を同じ紙で確認
次回から各論で「限界利益 → 粗利 → 営業利益 → EBITDA → 経常・純利益」を深掘りします。
まずは「利益の全体図」を作成し、会社のお金の流れを全社員で共有。
コスト意識が醸成され、利益を生みやすい体質へと変えましょう。
何故かアップしたいイラストがアップできません。
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無借金経営を目指すべきか?借金は本当に悪いのか?
2024.10.01
忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
「無借金経営=良い会社」「借金が多い=悪い会社」ではありません。
重要なのは、借金の有無ではなく「返済できるか」「お金を増やす投資に使えているか」です。
同じ自己資金ゼロでも、借入1億円・現金1億円のA社と、借入ゼロ・現金ゼロのB社では、
資金に余裕があるA社の方が安全です。
借金は将来の利益を先取りして投資に回すための道具であり、
「赤字の穴埋め」に使うとお金が溶けてなくなります。
理想は、現預金と有利子負債が同程度ある「実質無借金経営」。
銀行から「今すぐ全額返して」と言われても返せる状態です。
こうした余力を持ちながら銀行と継続的に取引し、「借りて・返す」関係を維持することで、
いざというときに素早く資金調達でき、チャンスもつかみやすくなります。
経営者の本来の仕事は「借金を返すこと」ではなく、「借りたお金を投資して増やすこと」。
自社の返済能力を把握し、借入を前提にした資金運用とキャッシュフロー管理を行うことが、長期的な成長につながります。
本文
「無借金経営をしたい!」と思うのは、多くの経営者にとって目標です。
では逆に、借入金が多い会社はダメな会社でしょうか?
答えは「NO」です。
借入金の有無やその額が、会社の良し悪し判断する理由とはなりません。
借入金と会社の実態:A社 vs. B社
例を挙げてみましょう。
A社: 借入金1億円、現金1億円
B社: 借入金0円、現金0円
新規で取引するとしたら、どちらの会社と取引したいですか? 答えは明らかでしょう。
どちらも自前の資金はゼロですが、B社とは取引したくないはずです。
A社は現金があり、借入金を全額返しても資産は残らなくとも倒産しない状況です。
一方B社は、ほんの少しのアクシデントや予定外があっただけで、一瞬で資金ショートします。
このように、借入自体が悪いわけではありません。
「借りたお金を返せない」とが問題となるです。
だから、将来の利益を見込んでの借入は健全な資金運用といえます。
借金を溶かさないことが大事
借入は「将来の利益の先食い」と言われることがありますが、
それは、銀行が「将来的に返済できるだけの利益を生むだろう」と見込んで貸していることから見ても明らかです。
借りたお金を事業拡大や新製品開発に使い、結果として利益を生めば問題ありません。
しかし、赤字補填のために借入金を使うと、資金が溶けてしまい、お金がなくなります。
だから、経営が苦しい時に「お金を貸してくれ」と頼んでも、
銀行はお金を貸せないのです。お金が消えてしまう(溶けてしまう)リスクを理解しているからです。
その観点からみて、「コロナ融資」は異常な融資であると言えます。
はじめから、溶けてなくなったお金を補填する目的の融資です。
だからこそ、「返済不能」に陥る企業が増えるぞと言われているわけです。
将来生まれるであろう「利益」を見込んでの融資ではないのですから
そうなるのは、当然とも言えます。
実質無借金経営のすすめ
では、中小企業が目指すべき、財務状況とは、どんな状態でしょうか?
もちろん最終的には、運転資金から設備投資まで全てを自己資金で補えるのが理想ですが
そんな簡単なものではないとことは、みなさん承知だと思います。
では、まず目指すべき姿はといえば、やはり 「実質無借金経営」ではないでしょうか。
多くの専門家も推奨しています。
これは、現預金と有利子負債がバランスする状態を指します。
たとえば、A社のように、手元資金が借入金と同額ある状態を指します。
専門用語など使わずに言えば
銀行から「すぐに、融資したお金、全額返して」と言われても
「はい、どうぞ」と返せる状態です。
余談になりますが、全額返すと手元資金が「ゼロ」となりますが
銀行からすれば、銀行の収益である「利息」が「ゼロ」となりますから
困ってしまうのは銀行となります。
企業は、別の銀行から借りればいいだけの話です。
銀行との付き合いの重要性
前段で少し銀行をディスってしまいましたが、銀行との健全なお付き合いは大変重要です。
健全なお付き合いとは、「お金を借りて、ちゃんと返す」こと。
「無借金経営」は一見魅力的ですが、「実質無借金経営」の方が「健全なお付き合い」ができます。
理由は、銀行との取引関係が維持されているからです。
銀行との健全な関係がなければ、急な資金調達が必要な際に審査に時間がかかり、
ビジネスチャンスを逃すことがあります。
健全なお付き合いを保ったうえで、定期的に資金繰り表を提出するなど、
日頃から銀行との健全な関係を築いておくことが重要です。
最後に
借りたお金を返すことは、当たり前ですが大切です。
しかし、経営者の仕事は、借りたお金を返すことではありません。
借りたお金を必要なところに投資し、「さらに増やす」ことにあります。
ですから、無用に借金を怖がる必要はありません。
自社の体力(返済能力や資金力)に応じた借入金を把握した上で
正しい資金運用とキャッシュフロー管理が、会社の長期的な成長に繋がります。
まずは、自社の状況をしっかり確認してみよう
2025.10.27
忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
「利益率が5%に落ちた」——この言葉、本当に危険なサインでしょうか?
実は「利益」には種類があり、どの利益を見ているかで意味は全く異なります。
この記事は、複雑な利益の種類を「現役経営者」の視点から超実践的に解説します。
「受注や値引き」の判断には限界利益、「会社の体力診断」には営業利益、
「資金力」を測るにはEBITDAといったように、どの利益をいつ使うべきかが一目瞭然。
さらに、「値引き上限の決め方」や「損益分岐点」の計算例も具体的で、すぐに自社で活用できます。
数字が苦手な経営者でも感覚的に理解でき、
ドンブリ勘定から脱却して「儲かる会社」へ体質改善するための、最初の一歩となる内容です。
本文
テレビから、こんな話が聞こえてきた。
「鳥インフルエンザにより鶏が大量に殺処分。卵の価格が高騰か」
以前は「物価の優等生」といわれた卵ですが
ここ数年は、スーパーで見ても、簡単に手が出ないほどの価格になっている。
卵をよく使う、とある飲食店に取材で訪れ、話を聞いていたのだが
その飲食店の店主さんが「卵の高騰は痛い。以前は利益率10%だったのが
今や5%しかない」と話していた。
それを聞いて、私の頭の中は「ん???」
「その利益率、どの利益率?」となったわけです。
もし、「粗利益率」が5~10%なら、普通の飲食店なら、とっくに閉店しているはずだ。
「経常利益率」がその数値なら、中小企業なら、十分優秀な会社と言えるし
ましてや、税引き後利益が、その数値なら「超優良企業」と言える。
このように会社を経営していく上で目にする「利益」や「利益率」と言われる数値ですが
数種類、存在しています。そしてその「用途」も様々。
そこで、本日から数回に分けて、この「利益」と言われるものを
会社経営をする上で、必要と思われる順番に、その「意味」や「用途」を
できるだけ専門用語を使わずに、記事にしていこうと思います。
「無資格・無免許・現役の経営者」の私だからこその感覚を生かしていきますので
「有資格・有免許」の方から見ると「不正確」なところはありますが
実際の経営の現場で、「そのまま」そして「感覚的に」使えるような記事にしたいと思います。
では、本日は「総論」です。
「わかっている」という方は、斜め読みでかまいません。
忙しいのに儲からない。値引きが常態化する。どこから手を付けるべきか。
その混乱は「利益の種類」と「使いどころ」が曖昧なことから生まれます。
まずは、判断の拠り所になる「利益の全体図」を描きます。
1. 5分でつかむ「利益の系譜」
売上 − 変動費 = 限界利益
限界利益=「売上から、売るたびに増える費用を引いた残りの利益」のこと
この残りで固定費(家賃や基本人件費)をまかなって、残った分が利益になります
使いどころ:受注可否・値引き・撤退の即断
注:変動費=売上に比例して増えるコスト(材料費、出来高外注、配送、決済手数料など)
売上 − 売上原価 = 粗利(売上総利益)
売上原価の中身
小売・卸:期首商品棚卸高+当期仕入−期末商品棚卸高(+仕入運賃など付随費用)
製造:期首製品棚卸高+当期製造原価−期末製品棚卸高
使いどころ:商品・顧客選び、在庫・仕入の計画策定
注:売上原価=「売れた分」に対応する仕入・製造コスト
粗利 − 販管費 = 営業利益
販管費=販売管理費=「販売するために使った費用(販売員の給与・広告費など)
「会社を管理・運営するために使った費用「役員給与・減価償却費など」
使いどころ:固定費(人・広告・オフィス・サブスク)の重さが戦略に合っているかの体質診断
営業利益 + 減価償却 = EBITDA(イービットディーエー イービッダー)
EBITDA=会社が「本業で生み出す現金の力」 現金そのものではないが、それに近いもの
使いどころ:返済余力・投資余力=キャッシュ創出力の目安
注:減価償却=設備の分割費用 実際に現金は出ていない「会計上の費用」
営業利益 ± 営業外収支 = 経常利益
使いどころ:金利・為替等を含む「平時の稼ぐ力」
特別損益調整 → 税引前利益 → 当期純利益
使いどころ:内部留保・配当・次の投資配分の源泉
一言でまとめると:意思決定は限界利益 体質は営業利益 資金はEBITDA
2. どの利益を「いつ」使うのか(30秒フロー)
受注・値引き:限界利益がプラスか?(マイナスなら単価交渉・撤退を検討)
商品ラインナップ:粗利率 × 回転(低粗利でも高速回転は武器)
固定費の重さ:営業利益率で体質を点検(重すぎる固定費は要検討)
資金余力:EBITDAで返済余力・投資の天井を把握(どこまで借りられる・攻められるか)
3. 数字を「使える化」するツール
限界利益表(商品別・ 顧客別)を作成・更新
営業・購買など社内全体で同じ表を見る(コスト意識の向上)
損益分岐点を全員で共有
「損益分岐点」とは「 利益がちょうど0円になるところ」
つまり、±0になる価格のこと
損益分岐点売上:固定費÷限界利益率(売上ベース・売上個数ベースの2種類)
粗利マトリクス(粗利率 × 回転)
在庫・仕入・販促の優先順位と直結
「@あたりの粗利率が小さいが販売個数や回転がよい商品」
「販売個数や回転率は悪いが@あたりの粗利率がよい商品」
どちらに注力し営業をするのかの経営判断ができる
簡易EBITDA表
返済予定と比べる。
投資余力=EBITDA − 年間返済
お金のブロックパズル
会社のお金をたった1枚の紙で直観的に誰もが理解できるようになるツール
経営判断の際に用いるのは無論、会社全体の「共通言語」として使用することにより
経営層から現場まで、意思決定に際し、ブレが少なくなる
4. ミニ例:値引き上限を「秒」で決める
単価1,000円、変動費600円 → 限界利益400円(限界利益率40%)
固定費が月200万円なら、損益分岐点売上高:200万円÷40%=500万円
値引き相談が来たら:
限界利益ゼロの単価=変動費=600円
実務は配送・決済手数料で変動費が膨らむため、安全マージンを引いた「最低販売価格」を部門で統一
計算例
変動費600円+配送/決済等50円=実務変動費650円 マージン20円 → 最低販売価格=670円(ここを絶対に割らない)
ちなみに「損益分岐点売上の500万円を超えて売上が立った場合
500万円を超えた売上のうち、変動費を差し引いた部分が、そのまま利益になる
ポイント:限界利益が見えていれば、感情ではなく数字で「線」が引けます。
5. よくある誤解と処方箋
誤解:粗利が高ければ正義
処方箋:粗利率だけでなく「回転」と「在庫滞留」を同時に見る
誤解:売上のために値引きは仕方ない
処方箋:限界利益のゼロ点を可視化し、超えてはいけない線を現場に渡す
誤解:黒字なら安心
処方箋:EBITDAと運転資金(売掛・在庫・買掛)を見て、キャッシュで判断
黒字は「利益」の話であり、「現金」の話ではないことを理解する
6. 今日からのチェックリスト
自社の「変動費」の定義を決める
上位3商品・3顧客の限界利益率を算出(毎月更新)
固定費と損益分岐点売上を全社共有(壁に貼る)
経営会議で「EBITDAと年間返済予定」を同じ紙で確認
次回から各論で「限界利益 → 粗利 → 営業利益 → EBITDA → 経常・純利益」を深掘りします。
まずは「利益の全体図」を作成し、会社のお金の流れを全社員で共有。
コスト意識が醸成され、利益を生みやすい体質へと変えましょう。
何故かアップしたいイラストがアップできません。
2024.10.01
忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」
「無借金経営=良い会社」「借金が多い=悪い会社」ではありません。
重要なのは、借金の有無ではなく「返済できるか」「お金を増やす投資に使えているか」です。
同じ自己資金ゼロでも、借入1億円・現金1億円のA社と、借入ゼロ・現金ゼロのB社では、
資金に余裕があるA社の方が安全です。
借金は将来の利益を先取りして投資に回すための道具であり、
「赤字の穴埋め」に使うとお金が溶けてなくなります。
理想は、現預金と有利子負債が同程度ある「実質無借金経営」。
銀行から「今すぐ全額返して」と言われても返せる状態です。
こうした余力を持ちながら銀行と継続的に取引し、「借りて・返す」関係を維持することで、
いざというときに素早く資金調達でき、チャンスもつかみやすくなります。
経営者の本来の仕事は「借金を返すこと」ではなく、「借りたお金を投資して増やすこと」。
自社の返済能力を把握し、借入を前提にした資金運用とキャッシュフロー管理を行うことが、長期的な成長につながります。
本文
「無借金経営をしたい!」と思うのは、多くの経営者にとって目標です。
では逆に、借入金が多い会社はダメな会社でしょうか?
答えは「NO」です。
借入金の有無やその額が、会社の良し悪し判断する理由とはなりません。
借入金と会社の実態:A社 vs. B社
例を挙げてみましょう。
A社: 借入金1億円、現金1億円
B社: 借入金0円、現金0円
新規で取引するとしたら、どちらの会社と取引したいですか? 答えは明らかでしょう。
どちらも自前の資金はゼロですが、B社とは取引したくないはずです。
A社は現金があり、借入金を全額返しても資産は残らなくとも倒産しない状況です。
一方B社は、ほんの少しのアクシデントや予定外があっただけで、一瞬で資金ショートします。
このように、借入自体が悪いわけではありません。
「借りたお金を返せない」とが問題となるです。
だから、将来の利益を見込んでの借入は健全な資金運用といえます。
借金を溶かさないことが大事
借入は「将来の利益の先食い」と言われることがありますが、
それは、銀行が「将来的に返済できるだけの利益を生むだろう」と見込んで貸していることから見ても明らかです。
借りたお金を事業拡大や新製品開発に使い、結果として利益を生めば問題ありません。
しかし、赤字補填のために借入金を使うと、資金が溶けてしまい、お金がなくなります。
だから、経営が苦しい時に「お金を貸してくれ」と頼んでも、
銀行はお金を貸せないのです。お金が消えてしまう(溶けてしまう)リスクを理解しているからです。
その観点からみて、「コロナ融資」は異常な融資であると言えます。
はじめから、溶けてなくなったお金を補填する目的の融資です。
だからこそ、「返済不能」に陥る企業が増えるぞと言われているわけです。
将来生まれるであろう「利益」を見込んでの融資ではないのですから
そうなるのは、当然とも言えます。
実質無借金経営のすすめ
では、中小企業が目指すべき、財務状況とは、どんな状態でしょうか?
もちろん最終的には、運転資金から設備投資まで全てを自己資金で補えるのが理想ですが
そんな簡単なものではないとことは、みなさん承知だと思います。
では、まず目指すべき姿はといえば、やはり 「実質無借金経営」ではないでしょうか。
多くの専門家も推奨しています。
これは、現預金と有利子負債がバランスする状態を指します。
たとえば、A社のように、手元資金が借入金と同額ある状態を指します。
専門用語など使わずに言えば
銀行から「すぐに、融資したお金、全額返して」と言われても
「はい、どうぞ」と返せる状態です。
余談になりますが、全額返すと手元資金が「ゼロ」となりますが
銀行からすれば、銀行の収益である「利息」が「ゼロ」となりますから
困ってしまうのは銀行となります。
企業は、別の銀行から借りればいいだけの話です。
銀行との付き合いの重要性
前段で少し銀行をディスってしまいましたが、銀行との健全なお付き合いは大変重要です。
健全なお付き合いとは、「お金を借りて、ちゃんと返す」こと。
「無借金経営」は一見魅力的ですが、「実質無借金経営」の方が「健全なお付き合い」ができます。
理由は、銀行との取引関係が維持されているからです。
銀行との健全な関係がなければ、急な資金調達が必要な際に審査に時間がかかり、
ビジネスチャンスを逃すことがあります。
健全なお付き合いを保ったうえで、定期的に資金繰り表を提出するなど、
日頃から銀行との健全な関係を築いておくことが重要です。
最後に
借りたお金を返すことは、当たり前ですが大切です。
しかし、経営者の仕事は、借りたお金を返すことではありません。
借りたお金を必要なところに投資し、「さらに増やす」ことにあります。
ですから、無用に借金を怖がる必要はありません。
自社の体力(返済能力や資金力)に応じた借入金を把握した上で
正しい資金運用とキャッシュフロー管理が、会社の長期的な成長に繋がります。
まずは、自社の状況をしっかり確認してみよう