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売上・利益・資金を強化!――『分ければ見える』中小企業の経営改善術
2025.05.20
いつも、ブログを読んでいただき、有難うございます。
地域はもちろん、「日本中の中小企業を元気にしたい」
そのために、一生懸命書き続けます。
「難問は分割せよ」――ルネ・デカルト
はじめに:難題は“分ければ”必ず動く
フランスの哲学者 デカルトの言葉に
「難問は分割せよ」という言葉があります。
これは、問題解決の方法として、今も昔も
不変の真実と言えます。
では、「企業経営にどういかすのか?」
「売上を上げたい」
「思ったほど利益が残らない」
「会社のお金(数字)が見えづらい」
中小企業の経営者の多くが抱く
この3つの悩みも、
課題を細かく切り分ければ、
手を付けやすいタスクへ変換できます。
この記事では、「細分化 → 1つずつ解決」
というプロセスを採用することにより
あなたのビジネスで即実践できる情報をお届けします。
1. 売上を上げたい
このブログで以前にも書きましたが
売上は、客数・客単価・購買頻度の掛け算で構成されます。
よって、この3要素の「どこを、どれだけ、誰が伸ばすか」
ここを設定できれば、おのずと戦術は決まります。
「そんなの当たり前」と思われた方!
つい営業会議などで「売上目標 対前〇%増」という
目標設定をしていませんか?
幸か不幸か、私の経験上は、「対前」という目標設定しか
されたことはありませんし、コンサルの現場でも
社長に「売上目標は?」とお聞きしても
このような目標設定のされ方がほとんどです。
この目標設定の最大の問題点であり弱点は
営業数字を「個人の力」のみに
頼らざるを得ないところです。
つまりは、「スーパー営業マン」や「エース」
と呼ばれるような営業マンに会社の売上や
会社の明暗を託しているだけなのです。
その上、この「スーパー営業マン」の多くは
「社長自身」であることが多く
これでは、社長が会社を成長させるために
本当にやらなければならないことが
時間的にも体力的にも精神的にもできなくなります。
そこで、会議や1on1などの場では以下のような
「細分化思考」で売上を上げる戦術を考えましょう。
例
【年間売上対前10%アップ】を目標とします。
① 客数
「お客様の数を年間で3%増やす」
例えば、このような目標を立てたとしましょう。
顧客数が100人だったとすれば、「年間3人」
12か月で割れば「4か月に1人」
新規顧客を増やす役割は「営業部」
増やし方(戦術)は「通常の営業活動」と「SNS広告」
「キャンペーン」など
② 客単価
「客単価を3%上げる」
既存のお客様に「アップセル・クロスセル」していく
役割は「営業部」
「高付加価値商品」や「限定商品」の開発
役割は「開発部」や「生産部」
商品ラインナップを見直し「低価格商品の販売停止」
役割は「経営者」
③ 購買頻度
「定期購入者数を3%増やす」
「サブスクリプション」「定期配送」商品の開発
役割は「会社全員」
「会員制度」や「ポイント制度」による「顧客の囲い込み」
役割は「会社全員」
商品購入後のメンテナンスやフォロー体制の構築
役割は「サービス部」や「テレアポ部」
もし、このような「戦略」を立て
全社一丸となって「戦術」を考え実行したのなら
103%(顧客数)✖103%(客単価)✖103%(購入頻度)
=109%≒【年間売上対前10%アップ】
いかがでしょうか?
今時【年間売上対前10%アップ】なんて
通常は難しい目標であり、チャレンジする前から
諦め気味となりそうですが
このように細分化することにより
「これならやれそう」と前向きになりませんか?
2. 利益を増やしたい
「売上が伸びても利益が薄い」
その主因は変動費と固定費の膨張です。
まずは 「粗利率」を商品ごとに把握することが大切です。
その結果として
「売れ筋だが粗利率が低い」
「あまり売れてはいないが利益率が高い」
「気づかぬうちに赤字商品」 など
今まで見えていなかった「利益の構造」が見えてきます。
利益の構造を把握することにより
削るべき経費や販売に注力すべき商品などがわかり
それをもとに、次の行動を決めていきます。
① 変動費:原価率と外注コストを最適化
仕入れ交渉・代替材料の検討
歩留まり可視化:在庫ロスや返品コストを把握
外注単価の定期見直し:相見積もり・共同購買
② 固定費:人件費と費用の見直し
業務フローの見直し:DXやAIの利用による「人時生産性UP」
様々な団体などの会費削減
③ 粗利思考:儲かる商品を育てる
商品別P/L作成:利益率の高い商品を優先プロモーション
低採算案件の価格改定 や 撤退判断
損益分岐点の把握:達成率で目標を可視化
現場の人たちに、各々の仕事を棚卸してもらい
部署ごとの改善はもちろん、会社全体で横断的に
仕事を見直すことにより、無駄を省き
「スムーズな流れ」を作り上げることが可能になります。
そのうえで、最終判断を下すのは「経営者」になります。
「価格改定」や「撤退の判断」
「損益分岐点」や「損益分岐点売上高」などの判断や把握など
まさに「戦略」を立てなければいけない部分となります。
3. 会社のお金を見える化したい
さて、ここで質問です。
①「今日の会社の現預金残高はいくらですか?」
②「内部留保の金額はいくらですか?」
この質問を先日、とある経営者にお聞きしたところ
どちらも把握していませんでした。
①は倒産(破産) ②は「債務超過」
つまりは、どちらも会社の生死を分ける数字です。
しかし、逆に言えば「半年後」の数字を予測できていれば
資金ショートや債務超過などの不安は激減します。
もし、銀行員との話の中で「半年後の数字」を
サラっと言えたのなら、評価も上がりますし
融資のタイミングを逃すこともなくなります。
銀行員の方々は、頭が切れますから
こちらより先に最適なタイミングで融資の提案を
してくれると思います。
では、半年後の数字はどのように把握するのでしょうか?
ここでも「細分化」がキーポイントとなります。
「半年後の売上なんて、わかるわけない」
よく聞きます。その通りだと思います。
では、半年後の数字で、わかっている数字はありませんか?
① 銀行への返済の金額も変わらないはずです
② 多少の前後はあるにせよ、どこの会社でも「固定費」は
ほぼ現在とかわらないのではないでしょうか?
③ 粗利率も大きく変わらないと思います
実は、この3つの数字を把握するだけで
経営に必要な数字の大部分は把握できます。
今回は、数字の出し方は書きませんが
① 最低限、稼がねばならない利益額
② ①と「固定費」を足した金額が最低限必要な「粗利額」
③ ①と②から導き出した金額を粗利額で
割り返してやれば、最低限必要な売上高
このように、会社の費用を細分化していれば
あとは逆算することにより、「必達すべき売上高」を
計算できるのです。
現預金の把握も同じように細分化して
ルールを決めましょう。
まず、大前提として最低限「資金繰り表」は
作成しましょう。
これは経営者の役割です。
残念ながら今はまだ作れないのならば
外部の人間を活用しましょう。
私たちコンサルタントは
資金繰り表の作成にとどまらず
それを基にした経営戦略の策定や
銀行交渉まで、社長と共に考えることができますので
相談してみましょう。
「資金繰り表を作るぞ!」と覚悟を決めた上で
会社のお金の見える化のために
下記のようなルールを作りましょう。
請求書等の伝票を毎日整理する
翌日には、ソフトなどに入力する
月明け3営業日以内に、会計事務所に書類提出
毎月15日には、試算表を受け取る
予実の差異の分析をする
資金繰り表の更新日を決める
経理の人間がいない会社などは
正直なかなか厳しいとは思いますが
会社の生命線となりますので
経理の外注化やコンサルタントの利用などしながら
まずは、スタートしてみましょう。
ルールを作り、あとは「習慣化」すれば
自力で、できるようになります。頑張りましょう!
まとめ:今日「ひとつ」動けば、来月には違う景色が見える
売上は「客数・単価・頻度」のどこを伸ばすか決める
利益は「変動費・固定費」など、費用の細分化
資金は「伝票整理など」のルールの策定
自分で書いておいてなんですが
このブログに書いてあることを
いきなり全て着手するのは、やめましょう。
気づいたらできるようになっている秘訣は
「小さく試して、早く学ぶ」こと。
まずは 「なにか1つ」できそうなことから
スタートしましょう。
数字が「動き始めた」「見え始めた」手応えが、
次の一手を加速させてくれます。
もし、「もっと深く知りたい」「社員と共通意識を持ちたい」
という方がいましたら、トップページ右上の
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ただいま、お母さんのクロックス「細分化中」
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「決算賞与を経営戦略に活かす 〜モチベーション維持と財務健全性の両立〜」
2025.04.25
いつも、ブログを読んでいただき、有難うございます。
地域はもちろん、「日本中の中小企業を元気にしたい」
そのために、一生懸命書き続けます。
先日、「お陰様で決算賞与を出すことができた」
と話している経営者の方がいました。
「このご時世に、すごいな
優秀な経営者なんだな」と素直に思った。
しかし、賞与の話の続きで、
こんなことを話されていた。
「売上・利益は横ばい。今後は下がるだろう」
私は、一抹の不安といくつかの疑問を抱いた。
不安要素としては
・今後、決算賞与を出せなくなった際に
従業員のモチベーションはどうなるだろう
疑問点としては
・本当に決算賞与を出せる財務状況なのか
・今後の下降気味の状況への対処対策はあるのか
まず、モチベーションの問題ですが
これは、もらえなくなった時点で、間違いなく下がる。
私が従業員だったら
「今年は、ないのか~ 母ちゃんも期待してるだろうな~
なんて言おうかな~」と少し気分も下がる。
世の旦那さんなら、だれでも
奥さにの顔が1度は頭をよぎるはずだ。
この状況は、避けようがないのか?
いや、ある!
それは、「賞与を支払った理由を明確にする」ことだ。
多くの場合、決算が近づき税理士の先生から
「多額の利益出てます。何か手を打ちませんか?」と
「天使のささやき」があり
その結果として、決算賞与支給の流れが出来上がる。
多くの場合、こんな感じではないだろうか?
つまりは、「偶然の産物」なのである。
では「支払った理由を明確にする」とはどういうことか。
これは、年初の段階で「今期の目標利益を超えた分の
〇〇%を決算賞与として出す」と宣言することだ。
年間収支の計画を立て、上回った分は還元するのだから
「頑張れば、もらえる」ことが確定しているわけだ。
これなら、賞与を出すことができなかった際に
労使双方とも、納得のいく明快な理由となり得るはずだ。
おまけに、この流れでの賞与支給ができているということは
会社の利益も増えているわけだから
労使双方とも「ニコニコ」となる。
次に「疑問点」ですが
その会社決算書を見たわけではないので
正確なところはわかりませんが
一般論として「内部留保の金額」が
コロナ禍やリーマンショックのような不測の事態の時に
十分耐えうるだけの貯えとなっているかということだ。
P/Lだけによる経営判断は、間違いを起こしやすい。
というより、簡潔に言うと「B/Sによる判断が正しい」
内部留保の金額としていくらがいいかは、
それぞれの会社によって違うわけだが、
概ね一般的には「売上の3か月分」だとか
「固定費の6か月分」だとかと言われている。
(どちらが正しいかを議論すること自体が不毛なので割愛します)
とにかく、会社存続が可能なレベルであればいいわけです。
経営者がご自身で考える「安全水域」までは
税金を支払い、内部留保を増やしていくべきだと思う。
節税は、それができてから、いくらでもやればいいのです。
それから、よく勘違いで「それは経理の仕事」
と言われる方がいますが
まさにこれは、経営者にしかできない仕事です。
一般的に言われている言葉で言うと
「P/Lは社員が作り B/Sは社長が作る」
まさに、これです。
今後の下降気味な状況への対処対策ですが
これは、決算賞与を支払い続けることができるように
是非とも、対策を練っていただきたい。
現在在籍している「人財」の離脱防止や
新規採用に関しても、やはり「給料」は重要な部分を
しめるはずですから、頑張って稼いでいただきたい。
目標利益の達成とも関係してきますが
利益の源泉の一つである売上を上げるためには
何をしなければいけないかを会社全体で考えてほしい。
売上=顧客数×顧客単価×リピート率
単純に、この公式通りに、
「顧客数を増やす方法」「顧客数を増やす役割は誰なのか」
「何%増やすのか」
単価も然り、リピート率も然り。
こうやって、細分化すればするほど
目標達成もしやすくなり、売上も利益も増えていきます。
「たわごとばかり言いやがって!」声、聞こえてきます!
売上10%⤴=顧客数4%⤴×単価3%⤴×リピート率3%⤴
どうですか?
100人だったお客様を104人に
100円だった単価を103円に
100人のお客様のうち3人に再販する
1年間かけて、これだけの仕事をすれば
売上が10%上がるのですよ。
不可能っぽいですかね?
机上の空論ですかね?
いやいや、「これならできる」と思った方の方が
多いはずです。
単価にもよりますけど、値上げ交渉だって
「3円だけ上げてください」なら話せそうじゃありませんか?
「成功者」といわれる多くの人が同じことを言っています。
「チャレンジした者にしか、成功はない」
「単価なんて、あげられないよ!」
単価が上げられなかったとしても
売上7%⤴=顧客数4%⤴×単価1×リピート率3%⤴
7%のアップですよ。
経営者なら、チャレンジしない理由、ありませんよね。
では、最後に「決算賞与」についての
お得情報を。
1. 経営者だって、決算賞与をもらうことができます。
もちろん、経費にできます。(注1)
なので、結果的に節税ができます。(注2)
利益が少なければ、利益として会社に残すこともできます。
2. 賞与の支払いは「決算月」ではなく「決算翌月」(注3)に
しましょう。
・決算書の勘定科目は「特別損失」(注4)に計上しましょう
決算書の見た目が傷みません。
つまり、銀行対策になります。(注5)
(注1)定められた期間中に定められた書類を
定められた機関に提出する必要があります
(注2)「節税を目的として」という考え方は
基本的には賛成できません。
あくまで「結果的に」と考えてください
(注3)定められた書類を定められた相手に
通知する必要があります。
その上で、定められた期間中に支払いを済ませる
必要があります。
(注4)税理士の先生により、見解が異なります。
見解のすり合わせをしましょう。
税務署からの指摘があった際に戦ってくれるのは
税理士の先生ですから。
(注5)銀行により、決算書の評価方法等は変わります。
決算書提出時などに、説明してあげましょう。
このように「お得」には手間と義務が課せられます。
税理士の先生と十分話し合った上で、実行しましょう。
あと、社会保険料が労使双方に発生しますから、お忘れなく。
い・いぬには難しすぎます。お父さん。
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『収支分岐点と損益分岐点の実務活用法 〜現金と利益の視点から見る経営戦略〜』
2025.01.27
いつも、ブログを読んでいただき、有難うございます。
地域はもちろん、「日本中の中小企業を元気にしたい」
そのために、一生懸命書き続けます。
では、スタート!
前回のブログで「収支分岐点売上高」と「損益分岐点売上高」の
簡単な出し方について書きました。
https://sato-insurance.jp/blog/278/
今回は、計算した数字を、
実際の経営にどのように活かすかについて
書いていこうと思います。
「収支分岐点売上高」と「損益分岐点売上高」の
話の前に、よくある話をします。
「利益」と「現金」の違いです。
わかっている方は、飛ばして下さい。
よく経営者の口から出てくる言葉に
「利益は出ているんだけど、思ったように現金が増えない」
があります。
いわゆる「稼いだ金は、どこに行った?」です。
一言で言えば「利益と現金は違う」となってしまいますが
わかりやすく違いを書きます。
「利益」とは
企業が一定期間(多くは1年間)に得た収入(多くは売上)から、
経費や費用(変動費や固定費)を差し引いた残りの金額です。
これは、企業の経済活動の成果を示す指標であり、
損益計算書に書いてある数字です。
ここで大切なのは、利益は「金額」であり「指標」である
ということです。
言ってみれば「計算上の数字」ということです。
「現金」とは
現金は、企業が手元に持っている実際のお金を指します。
これは、銀行口座にある預金や、手元にある現金など、
すぐに使用できる資産です。
現金は、企業の流動性を示す重要な指標です。
もっと平たく言うと
格闘ゲームでいう「HP」つまり「残りの体力」のことです。
ゲームでも、HPが0になったらゲームオーバーですよね。
それと同じです。
ちなみに、「利益」が0になっても、
一般的な企業は、ゲームオーバーになりませんよね。
もっと言えば赤字になっても、ゲームオーバーとは
ならない方が多いはずです。
それは、実際の体力(HP)ではない証拠です。
ここだけ見ても、利益と現金は違うことがわかると思います。
この概念を踏まえた上で、読んでみてください。
1. 収支分岐点売上高:キャッシュフローの視点
収支分岐点売上高は、
企業の収入と支出が均衡する売上高を示します。
つまり、キャッシュの流入と流出が同額となり、
収支が「トントン」になっている状態を指します。
「トントン」と言えば聞こえはいいですが
実際の会社で言えば「顔が水面ギリギリ」
と言う方が正確だと思います。
すなわち「収支分岐点売上高」を下回った売上しか
上げれなかった場合「溺れる」ことになります。
特徴として
・ キャッシュフローに着目した数字
・ 資金ショートのリスクを把握できる
・ 短期的な経営判断に有効
・売上げ目標数字を立てる時に有効
実務での活用例
1. 経営戦略の策定
収支損益分岐点を把握することで、
企業はどの程度の売上が必要かを明確に理解できます。
これにより、価格設定や販売戦略を見直すことができます。
2. 投資判断
新しいプロジェクトや製品の導入を検討する際、
収支損益分岐点を計算することで、
そのプロジェクトが現金を生むかどうかを判断できます。
3. パフォーマンスのモニタリング
企業や商品のパフォーマンスをモニタリングできます。
原材料などが値上がりしている昨今
「本当の利益」言い換えると「現金」を生み出している
商品かどうかなどを知ることができます。
市場環境やコスト構造が変化が激しい今
この数値を把握することで迅速な対応が可能になります。
4. 価格戦略の見直し
製品やサービスの価格戦略を見直すことができます。
競合他社の価格や市場の需要に応じて、
価格を調整することで、利益を確保することが可能です。
2. 損益分岐点売上高:利益の視点
損益分岐点売上高は、売上高から費用を差し引いた
利益がゼロになる売上高を示します。
つまり、この売上高を超えると利益が生まれ、
下回ると損失が出るという、企業の収益力を示す指標です。
特徴として
・ 利益に着目した数字である
・ 企業の収益構造を把握できる
・ 長期的な経営戦略に有効である
実務での活用例
1. 経営計画の策定
損益分岐点を把握することで、企業は売上目標を設定しやすくなります。
例えば、固定費や変動費を考慮し、
どの程度の売上が必要かを明確にすることで、
現実的な経営計画を立てることができます。
これにより、資金繰りや投資計画も立てやすくなります。
2. 価格設定の戦略
損益分岐点を理解することで、
製品やサービスの価格設定においても
戦略的な判断が可能になります。
例えば、価格を「10円」引き上げるた場合に
どれくらいの利益が生まれるのかや、
競合他社との価格競争の際にも、
どこまでなら下げても「利益」がでるのかなどを
計算できます。
3. コストの管理
損益分岐点を基に、固定費や変動費の管理が行いやすくなります。
コスト削減のための施策を講じる際、
「どの費用を削減」すれば損益分岐点を下げられるかを
シミュレーションすることができます。
これにより、効果的で根拠を持った経費削減が可能になり
企業の成長の妨げになるような経費削減を回避することが可能になります。
4. 売上のシミュレーション
損益分岐点を用いて、異なる売上シナリオを
シミュレーションすることができます。
例えば、売上が10%増加した場合や、逆に5%減少した場合や
仕入れ値を@1円下げた場合、家賃を10%下げたらなど
様々な場面を想定した利益状況を予測が可能になります。
5. 投資判断
新規事業や新製品の導入を検討する際、
損益分岐点を計算することで、
その事業がどの程度の売上を必要とするかを把握できます。
これにより、投資の妥当性を評価し、
投資リスクを最小限に抑えることができます。
6. その他
現在の売上高と損益分岐点売上高を比べることにより
あとどれくらいまで売上が下がっても赤字にならないかや
企業の安全性を示す数値の1つとして「安全余裕率」も
はじき出すことができます。
これらは、企業の営業活動、ようは「売上高」が
赤字になるまでどの程度余裕があるかを示しています。
(利益率を変えない。目標売上高達成のための
値引き販売はしない前提の話です)
また、「目標利益」を達成するための売上高の設定も可能です。
長期の視点で計画を立てる際、
現金の出入りは、不確実性が高いと言えますので
中・長期の計画策定には、こちらの方が適していると言えます。
収支分岐点と損益分岐点を活用した経営戦略
収支分岐点と損益分岐点は、
それぞれ単独で活用するだけでなく、
組み合わせて分析することで、より効果的な経営判断が可能になります。
明確な違いは「現金ベース」か「利益ベース」なのかであり
双方とも、実際の活用方法に大きな差異はみつかりません。
よって例えば、新規事業を立ち上げる場合、
損益分岐点分析で長期的な収益性を評価すると同時に、
収支分岐点分析で短期的な資金繰りの
安全性も確認する必要があります。
また、既存事業においても、
損益分岐点を下げるためのコスト削減や販売価格の見直しを行いながら、
収支分岐点を意識した資金管理を行うことで、
安定した経営基盤を築くことができます。
それぞれの指標の特徴を理解し、
適切に活用することで、企業は収益性と安全性を
両立させた経営を実現することができます。
兄弟(本物の兄弟です)で1つの「目標?」見つめてます
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【中小企業の利益確保戦略】原価高騰時代を生き抜くための具体的施策
2024.12.02
現代の経済環境では、企業は頻繁に「値上げ」
の選択を考慮しなければならない状況に直面しています。
確かに値上げは、顧客離れのリスクもあり、
簡単に決断できるものではありません。
しかし、原材料費や人件費、光熱費の高騰が続く中、
企業が生き残るためには、
もはや「値上げ」は避けて通れない課題となっています。
この記事では、値上げ以外の選択肢が縮小している現実を、
具体的な数字を用いて解説。
さらに、「1%の改善」の積み重ねで
黒字経営を実現する具体的な戦略をご紹介します。
まずは、基本の図から
利益の「1000万円」が一体どう動くでしょうか?
このままでは赤字転落!?中小企業を襲う3つの試練
試練1:原材料費の高騰
「原材料費(変動費)のみ20%上がった場合」
利益は400万円となり「60%ダウン」
現在の物価上昇を考えると、十分現実的ですよね
試練2:固定費の増加
「人件費(固定費)のみ10%上がった場合」
利益は400万円となり「60%ダウン」(偶然の一致です)
現在の人件費の上昇を考えると、こちらも、十分現実的ですよね
試練3:これが現在の「現実」
「原材料費(変動費)が20%上がり」「人件費(固定費)が10%上がった場合」
利益は▲200万円となり、ついに「赤字転落」
現在の経済状況を考えると、この程度の収支構造の変化は、十分現実的ですよね
「決算をしてみたら赤字」なんていう「ドンブリ経営」だと
この状態に気付けませんね。
節税などにより、「内部留保」もしくは「現金」が少ない企業なら
こんな状態が2~3年続いたら、
銀行からの借入も、ままならなくなりませんか?
当然ながら「債務超過」も現実のものとなりかねません。
また、売上のアップは、自助努力だけでは
どうにもならない部分がありますよね。
それでは、経費削減と考えるでしょうが
中小企業は、元々、大企業のように恵まれた福利厚生などが
実施されているわけではないので、こちらも厳しい部分が
多いのではないでしょうか。
なかなか、打つ手が見つからないという状態が
続いているのが現実です。
とはいえ、泣き言ばかり言っていられません!
ならば「どうするか」
この提案なら、努力次第で可能ではありませんか?
売上1%アップ 変動費1%アップ 固定費1%ダウン
いかがでしょうか?
わずか、1%の増減だけで、利益が13%もアップしました。
売上1%アップ 固定費1%ダウンで
原材料費(変動費)が10%アップしたとしても
利益は860万円となります。
「1%改善」の積み重ねが大きな成果を生む
「経費削減1%」「売上アップ1%」「値上げ1%」など、
それぞれわずか1%の改善でも、組み合わせることで、
大きな利益を生み出すことが可能になります。
例えば…
不要な消耗品の見直しや、業務効率化による残業時間削減など、
小さな経費削減を積み重ねる
ターゲットを絞った広告戦略や、顧客満足度向上による
リピート率アップで売上アップを目指す
顧客への丁寧な説明を徹底し、値上げによる価値提供を理解してもらう
これらの取り組みは、一見小さな変化に思えるかもしれません。
しかし、継続的に実践することで、企業の収益力向上に大きく貢献します。
まずはできる「1%改善」から始めよう
中小企業にとって、厳しい経営環境が続きますが、
諦める必要はありません。
数字に基づいた冷静な分析と具体的な戦略によって、
必ず活路を見出すことができます。
まずは、できることから「1%改善」に取り組んでみましょう。
もしも、「自社でやってみたいが、どうやるのかがわからない」
という経営者の方がいらっしゃいましたら
お気軽に、このページの右上の「問い合わせ」からご連絡ください。
初回相談は無料となっております。
いつもは、「トロい」が、私だって
「やる時はやるんだ!」
(実は、走っても遅いのです・・・)
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【図解】売上10%減で利益はどうなる?誰でもわかる利益に直結する収益構造を解説
2024.11.29
やっと、Wordpressにログインすることができました。
助けてくれたみなさん、ありがとうございます。
しかし、相変わらず「図形」は上手く載せられません。
これまた、色々と教えていただいたのですが
私の知識では、上手くできませんでした。
なので、格好は悪いのですが図形は「写真」として
載せることとしました。
いつの日か、図形として載せれるよう頑張ってみたいと思います。
「会社の売上減が利益にどれくらい影響するのか?」
前回は計算式で解説しましたが、
今回はより直感的に理解できるよう図解で解説します。
簡単な図で、売上減少が利益に与えるインパクトを、
視覚的に捉えることができると思います。
前提となる収益構造
まずは、以下の図をご覧ください。
前回の記事と同じ会社です。
売上が1億円
変動費が3000万円
粗利が7000万円
固定費が6000万円
利益が1000万円
(見た目悪いのですが、必死さだけは伝わってください)
売上10%減の場合の利益への影響
売上が10%減少すると、利益はどうなるのでしょうか?
セミナーなどで「利益を倍にするには、売上はいくら必要ですか?」
とお聞きします。
普通に「売上も2倍必要」と言う答えが返ってきます。
となると、「売上10%減は、利益も10%減」となるでしょうか?
答えは
売上10%減により、利益は70%減の300万円に減少しました。
収益構造により、各社、違いはありますが
売上減少の影響が、利益に大きく響いていることがわかります。
売上10%増の場合の利益への影響
では、売上が10%増加した場合はどうなるでしょうか?
もう、「利益も10%増」と思っている方はいませんよね。
答えは
売上10%増により、利益は70%増の1700万円に増加しました。
なんと、利益は、1.7倍です!
売上増加は、利益を大きく伸ばすことがわかります。
収益構造を理解して利益の出し方を見極める
これらの図からわかるように、売上は利益に大きく影響します。
そして、自社の収益構造を理解することが、利益を最大化する鍵となります。
また、事業計画や販売計画を立てる際に、
「対前10%up」や「ライバル社に負けるな!」というような
「根拠のない計画」を避けることができるようになります。
正直、社員さんは社長の気合の入った
「対前10%up」や「ライバル社に負けるな!」を聞いても
私の経験上、残念ながら「またかよ・・・」程度しか捉えていません。
ちきんと立てた目標数字の根拠を示し、そのうえで
目標達成時には「ボーナス」などの見返りがあることを示せれば
当然ですが、頑張りようも変わると思いませんか?
また、売上を上げるだけではなく「経費を見直す」でも
当然、利益は増えます。
しかし、ここに関してもよく聞こえるのが
「経費削減だ」という社長の声
社長は一体、どの経費を下げろ、もしくは下げると
言っているのでしょうか?
上記の図でも、わかるように経費には2種類
変動費(売上原価):売上高に応じて変動する費用
固定費(一般管理費):売上高に関わらず一定額発生する費用
どちらの費用を削減すべきかは、会社の状況によって異なります。
例えば、変動費率が高い場合は、
原材料の見直しや製造工程の効率化など、
売上原価を下げる施策が有効です。
一方、固定費率が高い場合は、
家賃交渉や広告費の見直しなどの施策が効果的です。
重要なのは、自社の収益構造を把握し、適切な対策を講じることです。
当たり前ですが、人件費は一番最後です。
人(人件費)や物(設備投資)を削減するのは
確かに効果が高いのですが、同時に「将来の成長の芽」を
摘むことにもなり、もろ刃の剣と言えます。
次回は「値上げ」について解説
今回は、図解で売上と利益の関係性を解説しました。
次回は、原材料費や人件費の高騰が続く中での「値上げ」について解説します。
「値上げはしたいけど、顧客離れが怖い・・・」
わかります。十分、わかります。
「厳しい現実」と「悩みを解決するヒント」をお届けします。
また「見た目は悪いが中身は充実」の内容です。
「いや~、ブログ再開できて、よかったよかった」
(目の前のケーキに夢中なだけなんですが)
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【経営者必見】売上10%減で会社が危ない?知らないと怖い利益構造の基本と対策
2024.11.11
「来月の売上、10%減少しそうです…」
そんな報告を受けたら、あなたはどうしますか?
「たいしたことない」「来月挽回すればいい」
そう思っていませんか?
しかし、それは危険信号かもしれません。
売上10%減の影には、
会社の経営を揺るがす大きな問題が潜んでいる可能性があるのです。
本記事では、あらゆる業種に共通する利益構造の秘密を、
誰でも理解しやすいように解説します。
今回は、考え方の「概論」です。
何回かに分けて書いていきますので
「利益を増やしたい」「利益を残した」という経営者の方
お見逃しないようにしてください。
ステップ1:費用を「仕分け」するだけで、利益のカラクリが見えてくる!
(~今日からできる利益管理術~)
まず、決算書を用意してください。最低2期、できれば3期分
まずは、決算書を「じっくり」見ます。
「売上があかった! 下がった」「利益が増えた! 減った」
「現預金が増えた! 減った」
余程のプロでもない限り、じっくりと見ても
そこからわかるのは、この程度ではないでしょうか?
私が見ても、そんなもんで限界です。
確かに、増えた減ったは知りたいと思いますが
それを知ったところで「だから?」ではないでしょうか。
経営に必要なことは、決算書の数字の意味や増減ではなく
「なぜ、そうなったのか?」ですよね?
ましてや、決算書は「過去の数字」
経営者が知りたいのは「未来の数字」や「未来への打ち手」
ですよね?
また、決算書は外部のステークホルダー
(税務署・銀行・投資家など)のために作るもので
「経営に生かす」ために作られたものではありません。
確かに、バランスシート(B/S)は、経営目標などの目安に
できるものがたくさん出ていますが
残念ながらB/Sを経営に生かしている経営者は非常に少数。
会計事務所からの決算報告時などでも
説明されることは、ほとんどないのではないため
どう見たらよいのかも、わからないのではないでしょうか。
このような理由から、決算書を穴が開くほど見ても
経営判断に役立つ数字は、ほぼ見つけられないと言えます。
では、どうするか。
まずは、損益計算書(P/L)に出ている項目(勘定科目)を
「固定費」と「変動費」に分ける作業をします。
固定費とは「売上が0でも、かかる経費」
(人件費・家賃・光熱費など)
変動費とは「売上に比例して増減する経費」
(仕入れ原価・材料費・外注費など)
この2つのどちらかに、経費を分けます。
そんなに難しくはありません。
(〇〇原価報告書がある業種だけは、注意が必要)
変動費なら変動費をピックアップしたら
それ以外は「固定費」にしてしまうくらいで
問題ありません。
大切なのは「脱 完璧主義」
つい、完璧にやりたくなりますが
はじめから完璧を求めると前に進みません。
まずは、深く考えず分けてみましょう。
1つだけ、顧問先で、よく出る質問があります。
パートさんの人件費です。
海の家を経営してるとかなら、勘案する必要性がありそうですが
「忙しい時に増員する」程度なら固定費で問題ありません。
最近は「すき間バイト」なるものが出てきましたが
考え方として
「売上が2倍(1/2)になったら、バイト賃金が2倍(1/2)になるのか?」
と考えてみてください。通常はならないはずです。
では、このシリーズでの前提となる企業を最後書きます。
固定費と変動費を分けたスタイルで書きます。
具体例(前提条件):
売上:1億円
変動費:3000万円(仕入れ原価) 原価率(変動費率)30%
固定費:6500万円
(内訳)
給与総額:5000万円
家賃:500万円
その他経費:1000万円
利益 500万円
慣れるまでは、これくらいの分け方で十分です。
では、次回から、この企業の売上の増減が
経営にどれほどの影響を及ぼすかをお見せします。
数字に強くない方でもわかるように書きたいと思いますので
「会社の数字が、わかるようになりたい」という方
ブックマークをお忘れなく。
見えなかったものが
ドンドン見えてきます
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中小企業経営における計画作成と実行の重要性:成功へのステップと目標設定法
2024.10.18
前回の記事でお伝えしたように、「計画」は必要な利益から逆算して作ることがお勧めです。
しかし、計画を立てるだけでは不十分で、実際に「実行」されることで初めて意味を持ちます。
特に、中小企業にとって、この実行が大きな課題になることが少なくありません。
ここでは、計画を立て、実行することによる効果を解説します。
1.計画が実現困難な場合の課題と解決策
まず多くの中小企業が直面する課題の一つに「目標設定が高すぎる」という問題があります。
例えば、売上目標を前年度比で毎年10%増加させたり、
固定費を20%削減するような計画を立てると、
社員さん達に、スタート時点で「到達不可能」と思われてしまいます。
こうならないよう、何度も必要なキャッシュや利益や
かかる経費を見直し、計画を調整することが必要です。
しかし、このプロセスを社長一人で行うのは非常に負担が大きいため
コンサルタントや経営数字の立て方に詳しい士業の先生と共に計画を立てることをお勧めします。
2.経営計画の結果が「決算書」その重要性
1年間会社一丸となり、立てた計画に基づいて
ゴールに向けて頑張った結果を表すのが「決算書」です。
この決算書は、銀行融資や信用取引の判断材料としても使用されるため、その重要性は高いものです。
例えば、銀行からの融資を受ける際、多くの場合、
1番の判断資料は昔も今も「決算書」です。
金融庁も銀行に対し、過去の成績(決算書)だけでなく
将来性を判断基準に入れるよう指導していますが、現実的には、そうはなってません。
理由の1つとして銀行員は、計画がその通りに進むことは稀であることを知っています。
だからこそ、未来向けた計画に重点を置き、融資の可否を判断するのは難しいとなるのです。
3.計画は過去の積み重ねを基に作る
経営計画は、新規開業企業でない限り、現状の延長線上に成り立っています。
過去の成績が悪かった会社が、急に「優良企業」になることは通常期待できませんから
計画上、「毎年10%アップで成長や回復します」なんて計画書は信用度が低いとなります。
計画は未来を描くもののように見えますが、
実際には「過去の悪い部分をどう改善するか」を考え、計画に落とし込む作業と言えます。
そのため、現実離れした計画ではなく、
現状を踏まえた実現可能な計画を立てることが重要ですし
そのような計画書は、銀行をはじめとした、
ステークホルダー側も受け入れやすいものとなります。
4.成功するためのスタートは小さな目標から
計画を立てる際、目標とするゴールを「無理だ」と思うような
高い設定にすることはお勧めできません。
「これならできるかも」というレベルから始めることが大切です。
小さな成功体験を積み重ねることで、大きな目標達成への道が開けます。
中小企業の場合、この「小さな成功体験」を計画的に体験させることができるのは
多くの場合、社長なのではないかと思います。
そして、成功の味を知った社員さんたちが、会社を支え、部下を育ててくれる。
このような流れができてしまえば、会社は自ずと成長するはずです。
このように、計画を立てることも、実行することも大変な作業と言えますが
トライアンドエラーを繰り返す根拠も、小さな成功を味わうことができるのも
計画書や、そこに書かれたゴールがあるからこそなのです。
そして、スタートラインである「計画の立案・作成」は「社長の仕事」なのです。
「よし!やるぞ!」と思った社長さん。全力応援しますよ。
根拠ある目標があれば
みんな同じ方向を向ける
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計画作成で成果を最大化!逆算思考で売上目標と利益を明確にする方法
2024.10.17
本日は、会社経営における、「計画の立て方」について。
売上目標計画や利益計画を立てる際に、みなさんはどのように考えて策定しますか?
多く見られるのが「対前年〇%アップ」もしくは、ライバル社等の「他社対比」ではないでしょうか?
もちろん、それ自体が悪いとはいいません。
しかし、そのような目標数字に対して社員さんから「なぜ、その売上が必要なのですか?」
と聞かれた際に、明確に根拠を説明できるでしょうか?
また、そのような根拠の薄い目標に対し、社員さんは「よし!やるぞ!」と
高いモチベーションを持ち、1年間走り続けることができるでしょうか?
そこで、今回は、「社長さんも社員さんも納得」の目標の立て方の1例を書きます。
1. 会社に必要な最低限の「利益」
みなさんの会社を維持するために、最低限必要な利益はどれくらいなのかを計算したことありますか?
考え方としては、「売上が0であっても出ていくお金」のことです。
その会社により、多少の違いはありますが、代表的なものとして
・銀行借り入れに対する元本返済額 ・人件費 ・家賃 ・その他固定費
その以外にも、投資のためのお金 万が一などへの備えのお金 生命保険料の資産計上分 など
があります。青字の3つは、最悪0の場合もあるでしょうが
赤字の3つは、会社が存続している以上、ほぼ必ず必要となるお金でしょう。
まず、ここがスタートラインとなります。
人の出入りや社屋の引っ越しなどがなければ、この部分の昨年の数字を拾うだけですから
難しくはありませんよね。
では、次のステップ
2. 計画は「逆算の思考」で考える
先ほど書いた
銀行借り入れに対する元本返済額 投資のためのお金 万が一などへの備えのお金 生命保険料の資産計上分
このお金は決算書のどの部分から出ていくお金でしょうか?
そうなんです。決算書には書いていない「お金の出」なのです。
決算書で言うのならば「税引き後利益」から出ていくお金なのです。
この部分の金額を計算し、その金額に法人税を勘案してあげると「税引き前利益」となります。
本来は、ここに「減価償却費」や「営業外の損益」を足し引きしてあげるのですが
ここでは、わかりやすくするために割愛します。
(「少しでも正確に知りたい」という方は、お問い合わせください)
上記の数字に人件費や家賃や法定福利費などの「固定費」を足してあげます。
そうすると、これらを賄うために必要な「最低限の利益額」≒「粗利」が出てきます。
ここまで来たら、あと1歩です。
出てきた「粗利」に昨年度などの「粗利率」で、割り返えしてあげます。
例 粗利 6000 粗利率 60% なら
6000÷0.6=10000
この10000が、最低限必要な「売上」となります。
3.お金のブロックパズルで会社のお金が見える
一度、逆算による計画立案をマスターすれば、今後も長期間にわたって効果的なビジネス戦略を立てることができます。
この手法は、中小企業の経営者にとって特に有効です。
年初の計画時と、年度末に下記の図を再度作成してみてください。
「売上目標は達成したのに、利益がない」理由が一目でわかります。
イメージしやすいように図形を載せておきます。
この図形を「お金のブロックパズル」といいます。
私たち、日本キャッシュコーチ協会に所属する「キャッシュフローコーチ」は
この図をそれぞれに工夫し駆使して、コンサルティングに役立てています。
本日のブログ記事は、この図を右下から左上に逆算したことを文字にしています。
4.「社長」も「社員」も喜ぶ計画とは
さて、ここまでの作業で出来上がった計画は、いってみれば最低限の計画です。
ここから、計画に「夢と希望」を注入しましょう!
今回は、「お金のブロックパズル」自体の説明ではありませんので詳しくは書きません。
(この内容は、セミナーや顧問先でお話させていただいております。
ご希望の方は、トップページ右上のお問い合わせよりご連絡下さい)
今出した「最低限の売上」を10%アップしてみましょう。
上記の図で説明します。
売上10%アップすると
・売上 110
・粗利 88
・人件費 44
・利益 14
!!!
人件費は10%アップ
利益は 40%アップ
どうでしょう。社長さんも社員さんも「みんな喜ぶ計画」に変身していませんか?
「売上対前年比〇%アップが目標だ と言われて「勘弁してよ~」と思ってしまう社員さんが
頑張れば報われることが、はっきりとわかるとモチベーションアップしませんか?
社長さんもどうでしょう。利益が1.4倍ですよ!
将来に向けての夢や希望が膨らみませんか?
さぁ、いますぐ計画策定に取り掛かりましょう!
みんな「笑顔」
2025.05.20

いつも、ブログを読んでいただき、有難うございます。
地域はもちろん、「日本中の中小企業を元気にしたい」
そのために、一生懸命書き続けます。
「難問は分割せよ」――ルネ・デカルト
はじめに:難題は“分ければ”必ず動く
フランスの哲学者 デカルトの言葉に
「難問は分割せよ」という言葉があります。
これは、問題解決の方法として、今も昔も
不変の真実と言えます。
では、「企業経営にどういかすのか?」
「売上を上げたい」
「思ったほど利益が残らない」
「会社のお金(数字)が見えづらい」
中小企業の経営者の多くが抱く
この3つの悩みも、
課題を細かく切り分ければ、
手を付けやすいタスクへ変換できます。
この記事では、「細分化 → 1つずつ解決」
というプロセスを採用することにより
あなたのビジネスで即実践できる情報をお届けします。
1. 売上を上げたい
このブログで以前にも書きましたが
売上は、客数・客単価・購買頻度の掛け算で構成されます。
よって、この3要素の「どこを、どれだけ、誰が伸ばすか」
ここを設定できれば、おのずと戦術は決まります。
「そんなの当たり前」と思われた方!
つい営業会議などで「売上目標 対前〇%増」という
目標設定をしていませんか?
幸か不幸か、私の経験上は、「対前」という目標設定しか
されたことはありませんし、コンサルの現場でも
社長に「売上目標は?」とお聞きしても
このような目標設定のされ方がほとんどです。
この目標設定の最大の問題点であり弱点は
営業数字を「個人の力」のみに
頼らざるを得ないところです。
つまりは、「スーパー営業マン」や「エース」
と呼ばれるような営業マンに会社の売上や
会社の明暗を託しているだけなのです。
その上、この「スーパー営業マン」の多くは
「社長自身」であることが多く
これでは、社長が会社を成長させるために
本当にやらなければならないことが
時間的にも体力的にも精神的にもできなくなります。
そこで、会議や1on1などの場では以下のような
「細分化思考」で売上を上げる戦術を考えましょう。
例
【年間売上対前10%アップ】を目標とします。
① 客数
「お客様の数を年間で3%増やす」
例えば、このような目標を立てたとしましょう。
顧客数が100人だったとすれば、「年間3人」
12か月で割れば「4か月に1人」
新規顧客を増やす役割は「営業部」
増やし方(戦術)は「通常の営業活動」と「SNS広告」
「キャンペーン」など
② 客単価
「客単価を3%上げる」
既存のお客様に「アップセル・クロスセル」していく
役割は「営業部」
「高付加価値商品」や「限定商品」の開発
役割は「開発部」や「生産部」
商品ラインナップを見直し「低価格商品の販売停止」
役割は「経営者」
③ 購買頻度
「定期購入者数を3%増やす」
「サブスクリプション」「定期配送」商品の開発
役割は「会社全員」
「会員制度」や「ポイント制度」による「顧客の囲い込み」
役割は「会社全員」
商品購入後のメンテナンスやフォロー体制の構築
役割は「サービス部」や「テレアポ部」
もし、このような「戦略」を立て
全社一丸となって「戦術」を考え実行したのなら
103%(顧客数)✖103%(客単価)✖103%(購入頻度)
=109%≒【年間売上対前10%アップ】
いかがでしょうか?
今時【年間売上対前10%アップ】なんて
通常は難しい目標であり、チャレンジする前から
諦め気味となりそうですが
このように細分化することにより
「これならやれそう」と前向きになりませんか?
2. 利益を増やしたい
「売上が伸びても利益が薄い」
その主因は変動費と固定費の膨張です。
まずは 「粗利率」を商品ごとに把握することが大切です。
その結果として
「売れ筋だが粗利率が低い」
「あまり売れてはいないが利益率が高い」
「気づかぬうちに赤字商品」 など
今まで見えていなかった「利益の構造」が見えてきます。
利益の構造を把握することにより
削るべき経費や販売に注力すべき商品などがわかり
それをもとに、次の行動を決めていきます。
① 変動費:原価率と外注コストを最適化
仕入れ交渉・代替材料の検討
歩留まり可視化:在庫ロスや返品コストを把握
外注単価の定期見直し:相見積もり・共同購買
② 固定費:人件費と費用の見直し
業務フローの見直し:DXやAIの利用による「人時生産性UP」
様々な団体などの会費削減
③ 粗利思考:儲かる商品を育てる
商品別P/L作成:利益率の高い商品を優先プロモーション
低採算案件の価格改定 や 撤退判断
損益分岐点の把握:達成率で目標を可視化
現場の人たちに、各々の仕事を棚卸してもらい
部署ごとの改善はもちろん、会社全体で横断的に
仕事を見直すことにより、無駄を省き
「スムーズな流れ」を作り上げることが可能になります。
そのうえで、最終判断を下すのは「経営者」になります。
「価格改定」や「撤退の判断」
「損益分岐点」や「損益分岐点売上高」などの判断や把握など
まさに「戦略」を立てなければいけない部分となります。
3. 会社のお金を見える化したい
さて、ここで質問です。
①「今日の会社の現預金残高はいくらですか?」
②「内部留保の金額はいくらですか?」
この質問を先日、とある経営者にお聞きしたところ
どちらも把握していませんでした。
①は倒産(破産) ②は「債務超過」
つまりは、どちらも会社の生死を分ける数字です。
しかし、逆に言えば「半年後」の数字を予測できていれば
資金ショートや債務超過などの不安は激減します。
もし、銀行員との話の中で「半年後の数字」を
サラっと言えたのなら、評価も上がりますし
融資のタイミングを逃すこともなくなります。
銀行員の方々は、頭が切れますから
こちらより先に最適なタイミングで融資の提案を
してくれると思います。
では、半年後の数字はどのように把握するのでしょうか?
ここでも「細分化」がキーポイントとなります。
「半年後の売上なんて、わかるわけない」
よく聞きます。その通りだと思います。
では、半年後の数字で、わかっている数字はありませんか?
① 銀行への返済の金額も変わらないはずです
② 多少の前後はあるにせよ、どこの会社でも「固定費」は
ほぼ現在とかわらないのではないでしょうか?
③ 粗利率も大きく変わらないと思います
実は、この3つの数字を把握するだけで
経営に必要な数字の大部分は把握できます。
今回は、数字の出し方は書きませんが
① 最低限、稼がねばならない利益額
② ①と「固定費」を足した金額が最低限必要な「粗利額」
③ ①と②から導き出した金額を粗利額で
割り返してやれば、最低限必要な売上高
このように、会社の費用を細分化していれば
あとは逆算することにより、「必達すべき売上高」を
計算できるのです。
現預金の把握も同じように細分化して
ルールを決めましょう。
まず、大前提として最低限「資金繰り表」は
作成しましょう。
これは経営者の役割です。
残念ながら今はまだ作れないのならば
外部の人間を活用しましょう。
私たちコンサルタントは
資金繰り表の作成にとどまらず
それを基にした経営戦略の策定や
銀行交渉まで、社長と共に考えることができますので
相談してみましょう。
「資金繰り表を作るぞ!」と覚悟を決めた上で
会社のお金の見える化のために
下記のようなルールを作りましょう。
請求書等の伝票を毎日整理する
翌日には、ソフトなどに入力する
月明け3営業日以内に、会計事務所に書類提出
毎月15日には、試算表を受け取る
予実の差異の分析をする
資金繰り表の更新日を決める
経理の人間がいない会社などは
正直なかなか厳しいとは思いますが
会社の生命線となりますので
経理の外注化やコンサルタントの利用などしながら
まずは、スタートしてみましょう。
ルールを作り、あとは「習慣化」すれば
自力で、できるようになります。頑張りましょう!
まとめ:今日「ひとつ」動けば、来月には違う景色が見える
売上は「客数・単価・頻度」のどこを伸ばすか決める
利益は「変動費・固定費」など、費用の細分化
資金は「伝票整理など」のルールの策定
自分で書いておいてなんですが
このブログに書いてあることを
いきなり全て着手するのは、やめましょう。
気づいたらできるようになっている秘訣は
「小さく試して、早く学ぶ」こと。
まずは 「なにか1つ」できそうなことから
スタートしましょう。
数字が「動き始めた」「見え始めた」手応えが、
次の一手を加速させてくれます。
もし、「もっと深く知りたい」「社員と共通意識を持ちたい」
という方がいましたら、トップページ右上の
お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
無料のオンライン相談や
社員向けの「会社のお金と自分の給与の繋がり」がわかる
無料セミナーの開催もしております。
ただいま、お母さんのクロックス「細分化中」
2025.04.25

いつも、ブログを読んでいただき、有難うございます。
地域はもちろん、「日本中の中小企業を元気にしたい」
そのために、一生懸命書き続けます。
先日、「お陰様で決算賞与を出すことができた」
と話している経営者の方がいました。
「このご時世に、すごいな
優秀な経営者なんだな」と素直に思った。
しかし、賞与の話の続きで、
こんなことを話されていた。
「売上・利益は横ばい。今後は下がるだろう」
私は、一抹の不安といくつかの疑問を抱いた。
不安要素としては
・今後、決算賞与を出せなくなった際に
従業員のモチベーションはどうなるだろう
疑問点としては
・本当に決算賞与を出せる財務状況なのか
・今後の下降気味の状況への対処対策はあるのか
まず、モチベーションの問題ですが
これは、もらえなくなった時点で、間違いなく下がる。
私が従業員だったら
「今年は、ないのか~ 母ちゃんも期待してるだろうな~
なんて言おうかな~」と少し気分も下がる。
世の旦那さんなら、だれでも
奥さにの顔が1度は頭をよぎるはずだ。
この状況は、避けようがないのか?
いや、ある!
それは、「賞与を支払った理由を明確にする」ことだ。
多くの場合、決算が近づき税理士の先生から
「多額の利益出てます。何か手を打ちませんか?」と
「天使のささやき」があり
その結果として、決算賞与支給の流れが出来上がる。
多くの場合、こんな感じではないだろうか?
つまりは、「偶然の産物」なのである。
では「支払った理由を明確にする」とはどういうことか。
これは、年初の段階で「今期の目標利益を超えた分の
〇〇%を決算賞与として出す」と宣言することだ。
年間収支の計画を立て、上回った分は還元するのだから
「頑張れば、もらえる」ことが確定しているわけだ。
これなら、賞与を出すことができなかった際に
労使双方とも、納得のいく明快な理由となり得るはずだ。
おまけに、この流れでの賞与支給ができているということは
会社の利益も増えているわけだから
労使双方とも「ニコニコ」となる。
次に「疑問点」ですが
その会社決算書を見たわけではないので
正確なところはわかりませんが
一般論として「内部留保の金額」が
コロナ禍やリーマンショックのような不測の事態の時に
十分耐えうるだけの貯えとなっているかということだ。
P/Lだけによる経営判断は、間違いを起こしやすい。
というより、簡潔に言うと「B/Sによる判断が正しい」
内部留保の金額としていくらがいいかは、
それぞれの会社によって違うわけだが、
概ね一般的には「売上の3か月分」だとか
「固定費の6か月分」だとかと言われている。
(どちらが正しいかを議論すること自体が不毛なので割愛します)
とにかく、会社存続が可能なレベルであればいいわけです。
経営者がご自身で考える「安全水域」までは
税金を支払い、内部留保を増やしていくべきだと思う。
節税は、それができてから、いくらでもやればいいのです。
それから、よく勘違いで「それは経理の仕事」
と言われる方がいますが
まさにこれは、経営者にしかできない仕事です。
一般的に言われている言葉で言うと
「P/Lは社員が作り B/Sは社長が作る」
まさに、これです。
今後の下降気味な状況への対処対策ですが
これは、決算賞与を支払い続けることができるように
是非とも、対策を練っていただきたい。
現在在籍している「人財」の離脱防止や
新規採用に関しても、やはり「給料」は重要な部分を
しめるはずですから、頑張って稼いでいただきたい。
目標利益の達成とも関係してきますが
利益の源泉の一つである売上を上げるためには
何をしなければいけないかを会社全体で考えてほしい。
売上=顧客数×顧客単価×リピート率
単純に、この公式通りに、
「顧客数を増やす方法」「顧客数を増やす役割は誰なのか」
「何%増やすのか」
単価も然り、リピート率も然り。
こうやって、細分化すればするほど
目標達成もしやすくなり、売上も利益も増えていきます。
「たわごとばかり言いやがって!」声、聞こえてきます!
売上10%⤴=顧客数4%⤴×単価3%⤴×リピート率3%⤴
どうですか?
100人だったお客様を104人に
100円だった単価を103円に
100人のお客様のうち3人に再販する
1年間かけて、これだけの仕事をすれば
売上が10%上がるのですよ。
不可能っぽいですかね?
机上の空論ですかね?
いやいや、「これならできる」と思った方の方が
多いはずです。
単価にもよりますけど、値上げ交渉だって
「3円だけ上げてください」なら話せそうじゃありませんか?
「成功者」といわれる多くの人が同じことを言っています。
「チャレンジした者にしか、成功はない」
「単価なんて、あげられないよ!」
単価が上げられなかったとしても
売上7%⤴=顧客数4%⤴×単価1×リピート率3%⤴
7%のアップですよ。
経営者なら、チャレンジしない理由、ありませんよね。
では、最後に「決算賞与」についての
お得情報を。
1. 経営者だって、決算賞与をもらうことができます。
もちろん、経費にできます。(注1)
なので、結果的に節税ができます。(注2)
利益が少なければ、利益として会社に残すこともできます。
2. 賞与の支払いは「決算月」ではなく「決算翌月」(注3)に
しましょう。
・決算書の勘定科目は「特別損失」(注4)に計上しましょう
決算書の見た目が傷みません。
つまり、銀行対策になります。(注5)
(注1)定められた期間中に定められた書類を
定められた機関に提出する必要があります
(注2)「節税を目的として」という考え方は
基本的には賛成できません。
あくまで「結果的に」と考えてください
(注3)定められた書類を定められた相手に
通知する必要があります。
その上で、定められた期間中に支払いを済ませる
必要があります。
(注4)税理士の先生により、見解が異なります。
見解のすり合わせをしましょう。
税務署からの指摘があった際に戦ってくれるのは
税理士の先生ですから。
(注5)銀行により、決算書の評価方法等は変わります。
決算書提出時などに、説明してあげましょう。
このように「お得」には手間と義務が課せられます。
税理士の先生と十分話し合った上で、実行しましょう。
あと、社会保険料が労使双方に発生しますから、お忘れなく。
い・いぬには難しすぎます。お父さん。
2025.01.27

いつも、ブログを読んでいただき、有難うございます。
地域はもちろん、「日本中の中小企業を元気にしたい」
そのために、一生懸命書き続けます。
では、スタート!
前回のブログで「収支分岐点売上高」と「損益分岐点売上高」の
簡単な出し方について書きました。
https://sato-insurance.jp/blog/278/
今回は、計算した数字を、
実際の経営にどのように活かすかについて
書いていこうと思います。
「収支分岐点売上高」と「損益分岐点売上高」の
話の前に、よくある話をします。
「利益」と「現金」の違いです。
わかっている方は、飛ばして下さい。
よく経営者の口から出てくる言葉に
「利益は出ているんだけど、思ったように現金が増えない」
があります。
いわゆる「稼いだ金は、どこに行った?」です。
一言で言えば「利益と現金は違う」となってしまいますが
わかりやすく違いを書きます。
「利益」とは
企業が一定期間(多くは1年間)に得た収入(多くは売上)から、
経費や費用(変動費や固定費)を差し引いた残りの金額です。
これは、企業の経済活動の成果を示す指標であり、
損益計算書に書いてある数字です。
ここで大切なのは、利益は「金額」であり「指標」である
ということです。
言ってみれば「計算上の数字」ということです。
「現金」とは
現金は、企業が手元に持っている実際のお金を指します。
これは、銀行口座にある預金や、手元にある現金など、
すぐに使用できる資産です。
現金は、企業の流動性を示す重要な指標です。
もっと平たく言うと
格闘ゲームでいう「HP」つまり「残りの体力」のことです。
ゲームでも、HPが0になったらゲームオーバーですよね。
それと同じです。
ちなみに、「利益」が0になっても、
一般的な企業は、ゲームオーバーになりませんよね。
もっと言えば赤字になっても、ゲームオーバーとは
ならない方が多いはずです。
それは、実際の体力(HP)ではない証拠です。
ここだけ見ても、利益と現金は違うことがわかると思います。
この概念を踏まえた上で、読んでみてください。
1. 収支分岐点売上高:キャッシュフローの視点
収支分岐点売上高は、
企業の収入と支出が均衡する売上高を示します。
つまり、キャッシュの流入と流出が同額となり、
収支が「トントン」になっている状態を指します。
「トントン」と言えば聞こえはいいですが
実際の会社で言えば「顔が水面ギリギリ」
と言う方が正確だと思います。
すなわち「収支分岐点売上高」を下回った売上しか
上げれなかった場合「溺れる」ことになります。
特徴として
・ キャッシュフローに着目した数字
・ 資金ショートのリスクを把握できる
・ 短期的な経営判断に有効
・売上げ目標数字を立てる時に有効
実務での活用例
1. 経営戦略の策定
収支損益分岐点を把握することで、
企業はどの程度の売上が必要かを明確に理解できます。
これにより、価格設定や販売戦略を見直すことができます。
2. 投資判断
新しいプロジェクトや製品の導入を検討する際、
収支損益分岐点を計算することで、
そのプロジェクトが現金を生むかどうかを判断できます。
3. パフォーマンスのモニタリング
企業や商品のパフォーマンスをモニタリングできます。
原材料などが値上がりしている昨今
「本当の利益」言い換えると「現金」を生み出している
商品かどうかなどを知ることができます。
市場環境やコスト構造が変化が激しい今
この数値を把握することで迅速な対応が可能になります。
4. 価格戦略の見直し
製品やサービスの価格戦略を見直すことができます。
競合他社の価格や市場の需要に応じて、
価格を調整することで、利益を確保することが可能です。
2. 損益分岐点売上高:利益の視点
損益分岐点売上高は、売上高から費用を差し引いた
利益がゼロになる売上高を示します。
つまり、この売上高を超えると利益が生まれ、
下回ると損失が出るという、企業の収益力を示す指標です。
特徴として
・ 利益に着目した数字である
・ 企業の収益構造を把握できる
・ 長期的な経営戦略に有効である
実務での活用例
1. 経営計画の策定
損益分岐点を把握することで、企業は売上目標を設定しやすくなります。
例えば、固定費や変動費を考慮し、
どの程度の売上が必要かを明確にすることで、
現実的な経営計画を立てることができます。
これにより、資金繰りや投資計画も立てやすくなります。
2. 価格設定の戦略
損益分岐点を理解することで、
製品やサービスの価格設定においても
戦略的な判断が可能になります。
例えば、価格を「10円」引き上げるた場合に
どれくらいの利益が生まれるのかや、
競合他社との価格競争の際にも、
どこまでなら下げても「利益」がでるのかなどを
計算できます。
3. コストの管理
損益分岐点を基に、固定費や変動費の管理が行いやすくなります。
コスト削減のための施策を講じる際、
「どの費用を削減」すれば損益分岐点を下げられるかを
シミュレーションすることができます。
これにより、効果的で根拠を持った経費削減が可能になり
企業の成長の妨げになるような経費削減を回避することが可能になります。
4. 売上のシミュレーション
損益分岐点を用いて、異なる売上シナリオを
シミュレーションすることができます。
例えば、売上が10%増加した場合や、逆に5%減少した場合や
仕入れ値を@1円下げた場合、家賃を10%下げたらなど
様々な場面を想定した利益状況を予測が可能になります。
5. 投資判断
新規事業や新製品の導入を検討する際、
損益分岐点を計算することで、
その事業がどの程度の売上を必要とするかを把握できます。
これにより、投資の妥当性を評価し、
投資リスクを最小限に抑えることができます。
6. その他
現在の売上高と損益分岐点売上高を比べることにより
あとどれくらいまで売上が下がっても赤字にならないかや
企業の安全性を示す数値の1つとして「安全余裕率」も
はじき出すことができます。
これらは、企業の営業活動、ようは「売上高」が
赤字になるまでどの程度余裕があるかを示しています。
(利益率を変えない。目標売上高達成のための
値引き販売はしない前提の話です)
また、「目標利益」を達成するための売上高の設定も可能です。
長期の視点で計画を立てる際、
現金の出入りは、不確実性が高いと言えますので
中・長期の計画策定には、こちらの方が適していると言えます。
収支分岐点と損益分岐点を活用した経営戦略
収支分岐点と損益分岐点は、
それぞれ単独で活用するだけでなく、
組み合わせて分析することで、より効果的な経営判断が可能になります。
明確な違いは「現金ベース」か「利益ベース」なのかであり
双方とも、実際の活用方法に大きな差異はみつかりません。
よって例えば、新規事業を立ち上げる場合、
損益分岐点分析で長期的な収益性を評価すると同時に、
収支分岐点分析で短期的な資金繰りの
安全性も確認する必要があります。
また、既存事業においても、
損益分岐点を下げるためのコスト削減や販売価格の見直しを行いながら、
収支分岐点を意識した資金管理を行うことで、
安定した経営基盤を築くことができます。
それぞれの指標の特徴を理解し、
適切に活用することで、企業は収益性と安全性を
両立させた経営を実現することができます。
兄弟(本物の兄弟です)で1つの「目標?」見つめてます
2024.12.02

現代の経済環境では、企業は頻繁に「値上げ」
の選択を考慮しなければならない状況に直面しています。
確かに値上げは、顧客離れのリスクもあり、
簡単に決断できるものではありません。
しかし、原材料費や人件費、光熱費の高騰が続く中、
企業が生き残るためには、
もはや「値上げ」は避けて通れない課題となっています。
この記事では、値上げ以外の選択肢が縮小している現実を、
具体的な数字を用いて解説。
さらに、「1%の改善」の積み重ねで
黒字経営を実現する具体的な戦略をご紹介します。
まずは、基本の図から
利益の「1000万円」が一体どう動くでしょうか?
このままでは赤字転落!?中小企業を襲う3つの試練
試練1:原材料費の高騰
「原材料費(変動費)のみ20%上がった場合」
利益は400万円となり「60%ダウン」
現在の物価上昇を考えると、十分現実的ですよね
試練2:固定費の増加
「人件費(固定費)のみ10%上がった場合」
利益は400万円となり「60%ダウン」(偶然の一致です)
現在の人件費の上昇を考えると、こちらも、十分現実的ですよね
試練3:これが現在の「現実」
「原材料費(変動費)が20%上がり」「人件費(固定費)が10%上がった場合」
利益は▲200万円となり、ついに「赤字転落」
現在の経済状況を考えると、この程度の収支構造の変化は、十分現実的ですよね
「決算をしてみたら赤字」なんていう「ドンブリ経営」だと
この状態に気付けませんね。
節税などにより、「内部留保」もしくは「現金」が少ない企業なら
こんな状態が2~3年続いたら、
銀行からの借入も、ままならなくなりませんか?
当然ながら「債務超過」も現実のものとなりかねません。
また、売上のアップは、自助努力だけでは
どうにもならない部分がありますよね。
それでは、経費削減と考えるでしょうが
中小企業は、元々、大企業のように恵まれた福利厚生などが
実施されているわけではないので、こちらも厳しい部分が
多いのではないでしょうか。
なかなか、打つ手が見つからないという状態が
続いているのが現実です。
とはいえ、泣き言ばかり言っていられません!
ならば「どうするか」
この提案なら、努力次第で可能ではありませんか?
売上1%アップ 変動費1%アップ 固定費1%ダウン
いかがでしょうか?
わずか、1%の増減だけで、利益が13%もアップしました。
売上1%アップ 固定費1%ダウンで
原材料費(変動費)が10%アップしたとしても
利益は860万円となります。
「1%改善」の積み重ねが大きな成果を生む
「経費削減1%」「売上アップ1%」「値上げ1%」など、
それぞれわずか1%の改善でも、組み合わせることで、
大きな利益を生み出すことが可能になります。
例えば…
不要な消耗品の見直しや、業務効率化による残業時間削減など、
小さな経費削減を積み重ねる
ターゲットを絞った広告戦略や、顧客満足度向上による
リピート率アップで売上アップを目指す
顧客への丁寧な説明を徹底し、値上げによる価値提供を理解してもらう
これらの取り組みは、一見小さな変化に思えるかもしれません。
しかし、継続的に実践することで、企業の収益力向上に大きく貢献します。
まずはできる「1%改善」から始めよう
中小企業にとって、厳しい経営環境が続きますが、
諦める必要はありません。
数字に基づいた冷静な分析と具体的な戦略によって、
必ず活路を見出すことができます。
まずは、できることから「1%改善」に取り組んでみましょう。
もしも、「自社でやってみたいが、どうやるのかがわからない」
という経営者の方がいらっしゃいましたら
お気軽に、このページの右上の「問い合わせ」からご連絡ください。
初回相談は無料となっております。
いつもは、「トロい」が、私だって
「やる時はやるんだ!」
(実は、走っても遅いのです・・・)
2024.11.29

やっと、Wordpressにログインすることができました。
助けてくれたみなさん、ありがとうございます。
しかし、相変わらず「図形」は上手く載せられません。
これまた、色々と教えていただいたのですが
私の知識では、上手くできませんでした。
なので、格好は悪いのですが図形は「写真」として
載せることとしました。
いつの日か、図形として載せれるよう頑張ってみたいと思います。
「会社の売上減が利益にどれくらい影響するのか?」
前回は計算式で解説しましたが、
今回はより直感的に理解できるよう図解で解説します。
簡単な図で、売上減少が利益に与えるインパクトを、
視覚的に捉えることができると思います。
前提となる収益構造
まずは、以下の図をご覧ください。
前回の記事と同じ会社です。
売上が1億円
変動費が3000万円
粗利が7000万円
固定費が6000万円
利益が1000万円
(見た目悪いのですが、必死さだけは伝わってください)
売上10%減の場合の利益への影響
売上が10%減少すると、利益はどうなるのでしょうか?
セミナーなどで「利益を倍にするには、売上はいくら必要ですか?」
とお聞きします。
普通に「売上も2倍必要」と言う答えが返ってきます。
となると、「売上10%減は、利益も10%減」となるでしょうか?
答えは
売上10%減により、利益は70%減の300万円に減少しました。
収益構造により、各社、違いはありますが
売上減少の影響が、利益に大きく響いていることがわかります。
売上10%増の場合の利益への影響
では、売上が10%増加した場合はどうなるでしょうか?
もう、「利益も10%増」と思っている方はいませんよね。
答えは
売上10%増により、利益は70%増の1700万円に増加しました。
なんと、利益は、1.7倍です!
売上増加は、利益を大きく伸ばすことがわかります。
収益構造を理解して利益の出し方を見極める
これらの図からわかるように、売上は利益に大きく影響します。
そして、自社の収益構造を理解することが、利益を最大化する鍵となります。
また、事業計画や販売計画を立てる際に、
「対前10%up」や「ライバル社に負けるな!」というような
「根拠のない計画」を避けることができるようになります。
正直、社員さんは社長の気合の入った
「対前10%up」や「ライバル社に負けるな!」を聞いても
私の経験上、残念ながら「またかよ・・・」程度しか捉えていません。
ちきんと立てた目標数字の根拠を示し、そのうえで
目標達成時には「ボーナス」などの見返りがあることを示せれば
当然ですが、頑張りようも変わると思いませんか?
また、売上を上げるだけではなく「経費を見直す」でも
当然、利益は増えます。
しかし、ここに関してもよく聞こえるのが
「経費削減だ」という社長の声
社長は一体、どの経費を下げろ、もしくは下げると
言っているのでしょうか?
上記の図でも、わかるように経費には2種類
変動費(売上原価):売上高に応じて変動する費用
固定費(一般管理費):売上高に関わらず一定額発生する費用
どちらの費用を削減すべきかは、会社の状況によって異なります。
例えば、変動費率が高い場合は、
原材料の見直しや製造工程の効率化など、
売上原価を下げる施策が有効です。
一方、固定費率が高い場合は、
家賃交渉や広告費の見直しなどの施策が効果的です。
重要なのは、自社の収益構造を把握し、適切な対策を講じることです。
当たり前ですが、人件費は一番最後です。
人(人件費)や物(設備投資)を削減するのは
確かに効果が高いのですが、同時に「将来の成長の芽」を
摘むことにもなり、もろ刃の剣と言えます。
次回は「値上げ」について解説
今回は、図解で売上と利益の関係性を解説しました。
次回は、原材料費や人件費の高騰が続く中での「値上げ」について解説します。
「値上げはしたいけど、顧客離れが怖い・・・」
わかります。十分、わかります。
「厳しい現実」と「悩みを解決するヒント」をお届けします。
また「見た目は悪いが中身は充実」の内容です。
「いや~、ブログ再開できて、よかったよかった」
(目の前のケーキに夢中なだけなんですが)
2024.11.11

「来月の売上、10%減少しそうです…」
そんな報告を受けたら、あなたはどうしますか?
「たいしたことない」「来月挽回すればいい」
そう思っていませんか?
しかし、それは危険信号かもしれません。
売上10%減の影には、
会社の経営を揺るがす大きな問題が潜んでいる可能性があるのです。
本記事では、あらゆる業種に共通する利益構造の秘密を、
誰でも理解しやすいように解説します。
今回は、考え方の「概論」です。
何回かに分けて書いていきますので
「利益を増やしたい」「利益を残した」という経営者の方
お見逃しないようにしてください。
ステップ1:費用を「仕分け」するだけで、利益のカラクリが見えてくる!
(~今日からできる利益管理術~)
まず、決算書を用意してください。最低2期、できれば3期分
まずは、決算書を「じっくり」見ます。
「売上があかった! 下がった」「利益が増えた! 減った」
「現預金が増えた! 減った」
余程のプロでもない限り、じっくりと見ても
そこからわかるのは、この程度ではないでしょうか?
私が見ても、そんなもんで限界です。
確かに、増えた減ったは知りたいと思いますが
それを知ったところで「だから?」ではないでしょうか。
経営に必要なことは、決算書の数字の意味や増減ではなく
「なぜ、そうなったのか?」ですよね?
ましてや、決算書は「過去の数字」
経営者が知りたいのは「未来の数字」や「未来への打ち手」
ですよね?
また、決算書は外部のステークホルダー
(税務署・銀行・投資家など)のために作るもので
「経営に生かす」ために作られたものではありません。
確かに、バランスシート(B/S)は、経営目標などの目安に
できるものがたくさん出ていますが
残念ながらB/Sを経営に生かしている経営者は非常に少数。
会計事務所からの決算報告時などでも
説明されることは、ほとんどないのではないため
どう見たらよいのかも、わからないのではないでしょうか。
このような理由から、決算書を穴が開くほど見ても
経営判断に役立つ数字は、ほぼ見つけられないと言えます。
では、どうするか。
まずは、損益計算書(P/L)に出ている項目(勘定科目)を
「固定費」と「変動費」に分ける作業をします。
固定費とは「売上が0でも、かかる経費」
(人件費・家賃・光熱費など)
変動費とは「売上に比例して増減する経費」
(仕入れ原価・材料費・外注費など)
この2つのどちらかに、経費を分けます。
そんなに難しくはありません。
(〇〇原価報告書がある業種だけは、注意が必要)
変動費なら変動費をピックアップしたら
それ以外は「固定費」にしてしまうくらいで
問題ありません。
大切なのは「脱 完璧主義」
つい、完璧にやりたくなりますが
はじめから完璧を求めると前に進みません。
まずは、深く考えず分けてみましょう。
1つだけ、顧問先で、よく出る質問があります。
パートさんの人件費です。
海の家を経営してるとかなら、勘案する必要性がありそうですが
「忙しい時に増員する」程度なら固定費で問題ありません。
最近は「すき間バイト」なるものが出てきましたが
考え方として
「売上が2倍(1/2)になったら、バイト賃金が2倍(1/2)になるのか?」
と考えてみてください。通常はならないはずです。
では、このシリーズでの前提となる企業を最後書きます。
固定費と変動費を分けたスタイルで書きます。
具体例(前提条件):
売上:1億円
変動費:3000万円(仕入れ原価) 原価率(変動費率)30%
固定費:6500万円
(内訳)
給与総額:5000万円
家賃:500万円
その他経費:1000万円
利益 500万円
慣れるまでは、これくらいの分け方で十分です。
では、次回から、この企業の売上の増減が
経営にどれほどの影響を及ぼすかをお見せします。
数字に強くない方でもわかるように書きたいと思いますので
「会社の数字が、わかるようになりたい」という方
ブックマークをお忘れなく。
見えなかったものが
ドンドン見えてきます
2024.10.18

前回の記事でお伝えしたように、「計画」は必要な利益から逆算して作ることがお勧めです。
しかし、計画を立てるだけでは不十分で、実際に「実行」されることで初めて意味を持ちます。
特に、中小企業にとって、この実行が大きな課題になることが少なくありません。
ここでは、計画を立て、実行することによる効果を解説します。
1.計画が実現困難な場合の課題と解決策
まず多くの中小企業が直面する課題の一つに「目標設定が高すぎる」という問題があります。
例えば、売上目標を前年度比で毎年10%増加させたり、
固定費を20%削減するような計画を立てると、
社員さん達に、スタート時点で「到達不可能」と思われてしまいます。
こうならないよう、何度も必要なキャッシュや利益や
かかる経費を見直し、計画を調整することが必要です。
しかし、このプロセスを社長一人で行うのは非常に負担が大きいため
コンサルタントや経営数字の立て方に詳しい士業の先生と共に計画を立てることをお勧めします。
2.経営計画の結果が「決算書」その重要性
1年間会社一丸となり、立てた計画に基づいて
ゴールに向けて頑張った結果を表すのが「決算書」です。
この決算書は、銀行融資や信用取引の判断材料としても使用されるため、その重要性は高いものです。
例えば、銀行からの融資を受ける際、多くの場合、
1番の判断資料は昔も今も「決算書」です。
金融庁も銀行に対し、過去の成績(決算書)だけでなく
将来性を判断基準に入れるよう指導していますが、現実的には、そうはなってません。
理由の1つとして銀行員は、計画がその通りに進むことは稀であることを知っています。
だからこそ、未来向けた計画に重点を置き、融資の可否を判断するのは難しいとなるのです。
3.計画は過去の積み重ねを基に作る
経営計画は、新規開業企業でない限り、現状の延長線上に成り立っています。
過去の成績が悪かった会社が、急に「優良企業」になることは通常期待できませんから
計画上、「毎年10%アップで成長や回復します」なんて計画書は信用度が低いとなります。
計画は未来を描くもののように見えますが、
実際には「過去の悪い部分をどう改善するか」を考え、計画に落とし込む作業と言えます。
そのため、現実離れした計画ではなく、
現状を踏まえた実現可能な計画を立てることが重要ですし
そのような計画書は、銀行をはじめとした、
ステークホルダー側も受け入れやすいものとなります。
4.成功するためのスタートは小さな目標から
計画を立てる際、目標とするゴールを「無理だ」と思うような
高い設定にすることはお勧めできません。
「これならできるかも」というレベルから始めることが大切です。
小さな成功体験を積み重ねることで、大きな目標達成への道が開けます。
中小企業の場合、この「小さな成功体験」を計画的に体験させることができるのは
多くの場合、社長なのではないかと思います。
そして、成功の味を知った社員さんたちが、会社を支え、部下を育ててくれる。
このような流れができてしまえば、会社は自ずと成長するはずです。
このように、計画を立てることも、実行することも大変な作業と言えますが
トライアンドエラーを繰り返す根拠も、小さな成功を味わうことができるのも
計画書や、そこに書かれたゴールがあるからこそなのです。
そして、スタートラインである「計画の立案・作成」は「社長の仕事」なのです。
「よし!やるぞ!」と思った社長さん。全力応援しますよ。
根拠ある目標があれば
みんな同じ方向を向ける
2024.10.17

本日は、会社経営における、「計画の立て方」について。
売上目標計画や利益計画を立てる際に、みなさんはどのように考えて策定しますか?
多く見られるのが「対前年〇%アップ」もしくは、ライバル社等の「他社対比」ではないでしょうか?
もちろん、それ自体が悪いとはいいません。
しかし、そのような目標数字に対して社員さんから「なぜ、その売上が必要なのですか?」
と聞かれた際に、明確に根拠を説明できるでしょうか?
また、そのような根拠の薄い目標に対し、社員さんは「よし!やるぞ!」と
高いモチベーションを持ち、1年間走り続けることができるでしょうか?
そこで、今回は、「社長さんも社員さんも納得」の目標の立て方の1例を書きます。
1. 会社に必要な最低限の「利益」
みなさんの会社を維持するために、最低限必要な利益はどれくらいなのかを計算したことありますか?
考え方としては、「売上が0であっても出ていくお金」のことです。
その会社により、多少の違いはありますが、代表的なものとして
・銀行借り入れに対する元本返済額 ・人件費 ・家賃 ・その他固定費
その以外にも、投資のためのお金 万が一などへの備えのお金 生命保険料の資産計上分 など
があります。青字の3つは、最悪0の場合もあるでしょうが
赤字の3つは、会社が存続している以上、ほぼ必ず必要となるお金でしょう。
まず、ここがスタートラインとなります。
人の出入りや社屋の引っ越しなどがなければ、この部分の昨年の数字を拾うだけですから
難しくはありませんよね。
では、次のステップ
2. 計画は「逆算の思考」で考える
先ほど書いた
銀行借り入れに対する元本返済額 投資のためのお金 万が一などへの備えのお金 生命保険料の資産計上分
このお金は決算書のどの部分から出ていくお金でしょうか?
そうなんです。決算書には書いていない「お金の出」なのです。
決算書で言うのならば「税引き後利益」から出ていくお金なのです。
この部分の金額を計算し、その金額に法人税を勘案してあげると「税引き前利益」となります。
本来は、ここに「減価償却費」や「営業外の損益」を足し引きしてあげるのですが
ここでは、わかりやすくするために割愛します。
(「少しでも正確に知りたい」という方は、お問い合わせください)
上記の数字に人件費や家賃や法定福利費などの「固定費」を足してあげます。
そうすると、これらを賄うために必要な「最低限の利益額」≒「粗利」が出てきます。
ここまで来たら、あと1歩です。
出てきた「粗利」に昨年度などの「粗利率」で、割り返えしてあげます。
例 粗利 6000 粗利率 60% なら
6000÷0.6=10000
この10000が、最低限必要な「売上」となります。
3.お金のブロックパズルで会社のお金が見える
一度、逆算による計画立案をマスターすれば、今後も長期間にわたって効果的なビジネス戦略を立てることができます。
この手法は、中小企業の経営者にとって特に有効です。
年初の計画時と、年度末に下記の図を再度作成してみてください。
「売上目標は達成したのに、利益がない」理由が一目でわかります。
イメージしやすいように図形を載せておきます。
この図形を「お金のブロックパズル」といいます。
私たち、日本キャッシュコーチ協会に所属する「キャッシュフローコーチ」は
この図をそれぞれに工夫し駆使して、コンサルティングに役立てています。
本日のブログ記事は、この図を右下から左上に逆算したことを文字にしています。
4.「社長」も「社員」も喜ぶ計画とは
さて、ここまでの作業で出来上がった計画は、いってみれば最低限の計画です。
ここから、計画に「夢と希望」を注入しましょう!
今回は、「お金のブロックパズル」自体の説明ではありませんので詳しくは書きません。
(この内容は、セミナーや顧問先でお話させていただいております。
ご希望の方は、トップページ右上のお問い合わせよりご連絡下さい)
今出した「最低限の売上」を10%アップしてみましょう。
上記の図で説明します。
売上10%アップすると
・売上 110
・粗利 88
・人件費 44
・利益 14
!!!
人件費は10%アップ
利益は 40%アップ
どうでしょう。社長さんも社員さんも「みんな喜ぶ計画」に変身していませんか?
「売上対前年比〇%アップが目標だ と言われて「勘弁してよ~」と思ってしまう社員さんが
頑張れば報われることが、はっきりとわかるとモチベーションアップしませんか?
社長さんもどうでしょう。利益が1.4倍ですよ!
将来に向けての夢や希望が膨らみませんか?
さぁ、いますぐ計画策定に取り掛かりましょう!
みんな「笑顔」