2024年10月のブログ
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生命保険を活用した節税のリスクとキャッシュフロー管理の重要性:企業経営者が知っておくべきポイント
2024.10.10
かつて、生命保険を使った節税策は「節税の王道」として多くの経営者に利用されていましたが、
国の規制強化により、その効果は大きく変わってきています。
特に、「バレンタインショック」や「ホワイトデーショック」と呼ばれる規制は、
多くの企業が利用していた「節税保険」と呼ばれていた商品の販売停止を引き起こしました。
このような背景から、生命保険を利用した節税策は、慎重に検討する必要があります。
現在は、節税を売りにした生命保険は、ほぼ全てなくなってしまいましたが
現在でも「1/2損金」みたいな保険は存在しています。
その保険自体が、良い・悪いということではなく、「誤った」もしくは「知らなかった」
ことによる、企業に与えるダメージをお伝えします。
多くの企業はもちろん、生命保険を販売している人間も多くの人たちが
「財務」の知識不足により陥っている部分です。
少なくとも私は、一度もこのことを「生命保険会社の人間」からも聞いたことはありません。
生命保険と節税:過去の規制強化による影響
かつては「節税保険」として、企業が保険料を経費として処理しつつ、
解約時には一定のキャッシュが戻ってくるという仕組みの生命保険が広く使われていました。
しかし、これが税制の「抜け道」として問題視され、国が規制を強化。
これにより、保険会社も販売を停止することを余儀なくされ、「名義変更プラン」なども同様に封じられました。
なかには度が過ぎて、金融庁からお灸を据えられた生命保険会社もあります。
そのため現在の生命保険の「設計書」なるものには、
「この保険は、節税できませんよ」と書いていると思います。
節税より重要な「キャッシュフローの管理」
生命保険の「半損定期保険(1/2損金保険)」などは、保険料の半分を経費として落とし、
残りの半分を資産計上するとなっていますが、この資産に計上している部分の保険料は
決算書のどこに出てくるでしょうか ?
答えは
一般的な中小企業の決算書には「どこにも出てこない」 です。
これが、生命保険に関して言えば、企業経営、特に「現金」に与えるインパクトが大きいところなのです。
何故、大きいのか。 それは
「税引き後の利益から保険料の半分を支払う」からです。
税引き後利益とは、文字の通り税金を支払った後に残ったお金。
つまりは、「手持ちの現金」にあたるお金です。
この税金を含めたすべての支払いが終わった後に残るお金は、
最も代表的なものとして、銀行への借入金の「元本返済金」の支払い原資となります。
多くの会社が、銀行からの借入をして、会社を回していると思います。
そして返済をし、信頼を積み重ねることにより、繰り返し融資を受けていると思います。
そこに、輪をかけて、生命保険の資産計上部分の保険料がのしかかる。
多くの企業がこの事実に気づかずに、また、保険募集人がこの事実を知らずに
生命保険の契約をしているのが残念ながら現実です。
保険料の支払いが会社の資金ショートの原因となるリスクの一つであることを
ご理解いただけたと思います。
正しい保険契約の見直しが会社の健全経営を支える
保険契約は、「保障」を第一に考えつつ、キャッシュフローの管理も忘れないことが重要です。
経営者として、節税目的だけにとらわれず、財務戦略全体の一部として保険を活用するべきです。
保険契約が会社の資金繰りにどのように影響を与えるかを確認し、
不要なキャッシュアウトを避けるための判断が求められます。
もし、「自分の会社はどうなっているのか」確認してみたいという方がいましたら
ホームページの「問い合わせ」から、ご連絡下さい。
たった1枚の紙に書かれた、ブロックを使い、だれでも簡単に自社の財務状態が
一瞬で理解できる資料をお渡しいたします。
「隠れたリスク」発見しませんか?
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節税対策で陥りがちなミスとは?車や備品購入のメリットとデメリット
2024.10.09
決算前に知っておきたい節税の落とし穴:車(備品)の購入は本当にお得か?
決算が近づくと、会計事務所や税理士から「今期、利益が出ていますよ」とアドバイスを受けることがあります。
その際、多くの経営者が「節税のために何か買おうか」と考え、
車の購入や備品の購入、生命保険の加入を検討することも少なくありません。
決算直前の車購入が持つ意外な落とし穴
例えば、決算前に急いで車を購入するケースを考えてみましょう。
一見、節税効果が期待できそうに見えますが、実は「減価償却」という壁が存在します。
車などの高額な固定資産は、購入した年に全額を経費として計上できず、
数年間にわたって少しずつ経費化されます。
特に決算直前の購入では、その年の経費に計上できるのは、決算日までの「月割り」分だけ。
したがって、期待していたほどの節税効果が得られないばかりか、
手元の現金が大幅に減ってしまっただけなんてことになりかねません。
節税対策としてのキャッシュ管理の重要性
手元資金が十分に潤沢であれば、節税のために大きな買い物をすることも問題ありません。
しかし、内部留保が十分ではない場合には、慎重な判断が必要です。
コロナの時や自然災害など、売上が一時的にゼロ、もしくは激減した場合を考えてみましょう。
自然災害や予期せぬトラブル、SNSによる風評被害など、いつどこで企業の収益が一時停止するかは予測できません。
実際に、ペヤングソース焼きそばの、消費者からの異物混入の訴えへの対応では
6か月間も工場を閉鎖しました。それでも従業員の給与を支払い続けられたのは、手元に現金を確保していたからです。
車のローン購入や中古車の選択肢は本当に得策か?
一度に、多額の現金が手元からなくならないようにするために、キャッシュアウトは頭金程度とし
「車を借入をして買えばいいのでは?」と考えるかもしれませんが、
翌年以降の税負担や保険料など、必ず発生する経費があります。
また、借入金の元本返済額は経費にはならないため、
税引き後利益からの「キャッシュアウト」となります。
また、中古車を購入する選択肢も一部では有効な戦略ですが、
それでも翌年以降の固定資産税や保険料の負担は避けられません。
結果的に、短期的な節税を狙った買い物が、長期的には企業のキャッシュフローを圧迫する可能性があるわけです。
「節税」という名の「お買い物」
節税と言えば響きはイイですが、要は「お買い物」です。
そして、大きな買い物をすれば、「何を買ったのか」の記録が残ります。
そう、決算書の貸借対照表(B/S)と言われる紙に。
もし、家計簿や、お小遣い帳に「これって、ほんとに必要なのかな?」という買い物が
書き込まれていたら、どうでしょうか?
下駄箱に入りきれないほど大量の靴があるのに、靴を買って帰ってきたら、どう思うでしょうか?
私も零細企業とはいえ、経営者ですから
「自分のお金」と「会社のお金」に対する、妙な感覚の違いを感じます。
なので最近は、会社のお金を使う時には、いい意味で「自分のお金感覚」を
意識するようにしています。
悪い意味での「自分のお金」感覚には、くれぐれもご注意くださいね。
関連記事
正しい節税とは?社長!確認してください!節税戦略とリスク ① – (有)佐藤保険事務所 (sato-insurance.jp)
社長!確認してください!会社にとって必要な節税戦略とリスク ② – (有)佐藤保険事務所 (sato-insurance.jp)
犬に合羽は必要か?
まぁ~ 可愛いからいいか
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社長!確認してください!会社にとって必要な節税戦略とリスク ②
2024.10.08
いつもご訪問ありがとうございます。
今日は、世の中で広く言われている「節税」の際のポイントや
誤解されがちな点について、解説していきます。
節税の基本: 利益を抑えるだけでは不十分
節税の基本的な考え方は「利益を抑える」ことにあります。
しかし、ここで重要なのは、「キャッシュフローを確保しつつ節税を行う」という視点を忘れてはならない点です。
法人税は「所得」に基づき計算されるため、税負担を抑えるために利益を調整することは有効ですが、
現金(キャッシュ)を失ってしまうような節税策は企業にとって逆効果になりかねません。
しかし、残念ながら「キャッシュアウト」を伴わない節税対策と呼ばれているものは非常に少なく、
また、「利益の繰り延べ」にしかなっていない節税対策なるものは大変多く見られます。
キャッシュフローを優先する節税の重要性
会社が倒産する最大の理由は「キャッシュが途切れたとき」です。
そのため、節税を考える際に最も重要なことは「キャッシュを一定程度維持しながら、税負担を減らすこと」です。
また、利益を投資などで繰り延べる節税策がありますが、これは長期的な視点で判断する必要があります。
企業経営は、山あり谷ありです。赤字の際にも続けていくべき対策なのか
赤字の際に活用できるリソースとして(赤字の補填)、使えるものなのかなど、あらかじめ確認しておくことが大切です。
決算書に表れない隠れた出費に注意
節税を行う際には、決算書上に出てこない「隠れたコスト」にも注意が必要です。
たとえば、借入金の返済や損金算入できない生命保険料などは大きな出費となり得ます。
これらを無視して節税を行うと、結果的にキャッシュが不足し、「自転車操業」に陥るリスクが高まります。
キャッシュを守る節税を
節税策を検討する際には、「利益を抑えるだけ」ではなく、キャッシュフローを守りつつ実行することが不可欠です。
また、節税のタイミングや方法については、経営者が慎重に判断する必要があります。
しっかりとした財務戦略を持ち、企業の成長を促進するための節税を実践しましょう。
関連ページ
正しい節税とは?社長!確認してください!節税戦略とリスク ① – (有)佐藤保険事務所 (sato-insurance.jp)
まじめに書いてます!
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正しい節税とは?社長!確認してください!節税戦略とリスク ①
2024.10.07
世の中には、さまざまな「節税方法」が存在しますが、その多くが誤解されていることも少なくありません。
この記事では、正しい節税の考え方や、それが企業成長にどう関わるのかについて解説していきます。
一度では書ききれないので、数回シリーズにして、お送り致します。
節税の定義とは?
まず、「節税」とは何か? その基本的な定義を確認しましょう。
節税とは、法律に基づいて合法的に税負担を軽減する行為のことを指します。
重要なのは、税法の「範囲内」で行うことが条件であり、範囲を超えた行為は当然「脱税」と見なされます。
税法は時折見直され、今までの節税方法が使えなくなることもあります。
最新の情報を確認することが必要です。
また、税務署や税理士の前では、「節税」という言葉を避け、
「適正な税負担」と表現するのがマナーです。
節税に関する注意点
近年、YouTubeなどやSNSでも節税に関する情報が数多く配信されていますが、
全ての情報が信頼できるわけではありません。
また、YouTubeで紹介された節税方法が税制の変更に影響を与えたケースがあるくらい、
最近は、国をも動かすほどの影響力をもった番組まで現れましたので
全てを鵜呑みにせず、最新の情報を信頼できる人間と一緒にチェックすることも大切です。
会社のステージに応じた節税戦略
節税が効果的かどうか、必要かどうかなどは、会社の成長段階によって異なります。
企業は「誕生期」「成長期」「安定期」「衰退期」「消滅期」のようなステージを辿り、
それぞれの段階に応じた財務戦略が求められます。
このタイミングを誤ると、将来的に「こうしておけばよかった」と後悔する場面が出てきますし
利益が出ているにも関わらず、いつまでたっても「体力がなく」「体質の弱い」会社から脱することができず
しいては、銀行からの借入れの際にも、思ったような額や条件で借りられなかったり
コロナや災害の発生時や〇〇ショックといわれる「10年に一度」程度の間隔で発生する
自分の力では、どうにもできない災害や不況の際に、簡単に苦境に陥ってしまいます。
「今期、利益が出たから節税する」が来期以降の会社の苦境の際にあだとならぬよう
「税務」に詳しいではなく「財務」詳しい人間と関わりをもつことは、とても重要です。
あま~い囁き「節税できますよ」の誘い文句
「節税になります」「節税できますよ」の誘い文句には、十分気を付けましょう。
節税と言われるものの多くは「税金は安くなる」が安くなる税金の額より多くのお金がなくなる
なんてものが、多いのは事実です。それでは、「本末転倒」ですよね。
節税すべき状態や環境かどうか、もしくは、社長自身が、一番守りたいものや
どのような会社にしたいのかなどによって、節税をするしないは勿論
どのような節税をするかも、変わってきます。
その決断ができるのは、まさに「社長たったひとり」なのです。
慎重には慎重を重ねて、お考え下さいね。
では、明日以降、具体的な話を交えながら、書き進めていこうと思います。
晴れた日に、見通しが良くても
一度立ち止まり「確認、確認」
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銀行との賢い付き合い方:晴れた日にこそ備えるべき理由とは?
2024.10.04
「銀行は晴れた日に傘を貸し、雨の日には取り上げる」とよく言われます。
これは、経営が順調な時には融資が受けやすいのに、経営に陰りが出てくると
急に融資が難しくなるという状況を表しています。
言い換えれば、銀行は「返済が確実にできる状態でないとお金を貸さない」
というごく当たり前のビジネスを行っていることを指しています。
では、企業経営において「晴れた日」とはどのような状態でしょうか?
それは「業績が好調で資金に余裕がある状態」を指します。
しかし、皮肉なことに、この「晴れた日」には
急激に売り上げが伸びたなどではない限り
融資を必要としない、考えないことが多いものです。
一方で、「雨の日」とは業績が悪化し、資金繰りが厳しい時。
こんなときには借入が難しく、もし借りられたとしても金利が高く、条件が厳しいことが多いのです。
銀行との良好な関係を維持し、資金調達を円滑にするためには、
好調な時期にこそ「雨に備えた借入」を検討することが賢明です。
晴れた日に借入を行うメリット
1.借入がしやすい:経営が好調な時期には、銀行からの評価が高く、スムーズに融資を受けることが可能です。
2.低金利で借りられる:会社の財務状況や企業の信用度が高ければ、金利も低く抑えられます。
3.資金繰りが安定する:余裕がある時期に手元資金を確保しておくことで、アクシデントに備えられます。
4.経営者保証が外れやすい:経営状況が良好であれば、経営者の個人保証を外せる可能性があります。
5.プロパー融資が受けられる:銀行が保証なしで直接融資する「プロパー融資」も、条件が整えば受けやすくなります。
雨の日に借入を行うリスク
逆に、業績が悪化している「雨の日」には以下のようなリスクが伴います
1.借入が難しくなる:信用が低下し、融資のハードルが高くなります。
2.金利が高くなる:回収リスクが高いと判断されるため、金利が上昇します。
3.経営者保証が必要になる:銀行から個人保証や担保を求められることが増えます。
4.審査が厳しくなる:借入自体ができなくなる可能性が高まります。
金利は「保険料」と考える
「余計な金利を払いたくない」という経営者の声もあります。
十分、理解はできます。とはいえ、借りやすい時に借りておくことのメリットは大きい。
「わかっちゃいるけど~」という経営者の方へ、こんな考え方をご提案します。
晴れた日に、お金を借りておき、手元資金を厚くしておくことは、
会社に降ってくるかもしれない「事故」に備えるようなものです。
ですから、「余計と思われる金利」は、まさに「保険料」
その上、金利は経費として扱われるため、節税効果もあります。
節税になるということは、金利の約3割は国が負担してくれているようなものです。
どうでしょう? 少しは前向きに考えられませんか?
最後になりますが、決して「借金の勧め」をしているわけでも
「銀行のフォロー」をしているわけでもありません。
いつかは、無借金経営でも、会社が回り、発展するのがベストです。
ですが、そこにたどり着くには「順番」や「段階」があるのです。
「経営者」は「消費者」ではありません。
お金を消費するのではなく、上手にお金を使い、増やしつつ
会社や従業員さんたちを守り、成長させていきましょう。
晴れてる時には、一服したい・・・。でも、休んじゃいられない・・・
会社経営て大変ですね
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気づかぬ財務悪化のリスクに備える!在庫管理の重要性
2024.10.02
資金繰りの悪化の予兆を見逃さないために大切なことの1つに、「在庫管理」があります。
以下では、在庫増加が引き起こすリスクと、決算書の落とし穴について説明します。
1. 在庫増加のリスク
販売不振による影響
販売が計画通りに進まないと、在庫が積み上がります。これが続くと、デッドストックが増え、いずれ廃棄や値下げが必要になり、損失を生みます。
デッドストックのコスト
売れ残った商品はただの在庫ではありません。管理費や保管スペースのコストがかさみ、結果的に利益を圧迫する要因になります。
資金繰りの悪化
在庫を増やすことで、仕入れ代金の支払いが先行し、現金が減少します。
特に「支払いが先、回収が後」という一般的な商流の中で、現金が気づかぬうちに減っていきます。
2. 在庫管理とキャッシュフローの重要性
運転資金はビジネスの生命線の1つです。
商品が売れなければ、現金が在庫に変わるだけで、資金繰りがどんどん悪化します。
そのため、在庫管理を怠らず、現金と在庫の増減を定期的に確認することが重要です。
3. 決算書だけでは見えないリスク
損益計算書(P/L)や貸借対照表(B/S)は経営状態を表す重要な資料ですが、これだけでは全てのリスクを把握できません。
特に在庫や資金の流れを細かく見ていないと、足元に迫る危機に気づけないことがあります。
なぜか。決算書などの財務諸表の「勘定科目」の並び方が、そうさせるのです。
P/L(損益計算書)の一番上(トップライン)は「売上高」
そこから、仕入れ値や様々な経費が引かれていくかのように書かれています。
勘のいい方なら、もうお気づきですよね。トップラインの時点で、実際の商売とはかけ離れているわけです。
「代金回収が先」「支払いが後」と書いてあるわけです。
B/S(貸借対照表)でいうと、今度は左側の一番下「資産の合計額」
現金が在庫に化けただけですから、科目が現金と商品だけなら、合計額は変わりません。
もちろん、現金と商品在庫の数字を見れば、増減はわかりますが、
「対前年」や「対前月」という見比べ方をしていなければ気づきません。
どうでしょうか。P/LとB/Sだけ見ていると、一見順調に見えても、足元には危険が忍び寄ってる。
「全てのお客様の注文に対応したい」「チャンスを逸したくない」
気持ちは、十分わかります。
ですが、適切な在庫数の管理と商品ラインナップの見直しは常に必要となります。
「在庫」は「財庫」 お金が形を変えただけです。
「在庫」は「罪庫」 これくらいならいいだろうが、後々大変なことになりかねません。
いかがでしたか?
在庫管理の大切さと決算書(財務諸表)を鵜呑みにすることの危うさにお気づきいただけたでしょうか。
現場の状況や資金の動きを把握することは、健全な経営の鍵です。
「現場に任せている」「経理に任せている」「税理士の先生に任せている」
現場も経理の人も、ましてや、税理士の先生も、あなたの会社を管理してくれません。
当然ですが、責任もとってくれません。
社員さんや税理士さんの出してくれた数字の意味を「理解」し「活用する」ことは
経営者にしかできない仕事です。
経営者って、大変なお仕事なんですね(時期ズレですが)
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無借金経営を目指すべきか?借金は本当に悪いのか?
2024.10.01
「無借金経営をしたい!」と思うのは、多くの経営者にとって目標です。
では逆に、借入金が多い会社はダメな会社でしょうか?
答えは「NO」です。
借入金の有無やその額が、会社の良し悪し判断する理由とはなりません。
借入金と会社の実態:A社 vs. B社
例を挙げてみましょう。
A社: 借入金1億円、現金1億円
B社: 借入金0円、現金0円
新規で取引するとしたら、どちらの会社と取引したいですか? 答えは明らかでしょう。
どちらも自前の資金はゼロですが、B社とは取引したくないはずです。
A社は現金があり、借入金を全額返しても資産は残らなくとも倒産しない状況です。
一方B社は、ほんの少しのアクシデントや予定外があっただけで、一瞬で資金ショートします。
このように、借入自体が悪いわけではありません。
「借りたお金を返せない」とが問題となるです。
だから、将来の利益を見込んでの借入は健全な資金運用といえます。
借金を溶かさないことが大事
借入は「将来の利益の先食い」と言われることがありますが、
それは、銀行が「将来的に返済できるだけの利益を生むだろう」と見込んで貸していることから見ても明らかです。
借りたお金を事業拡大や新製品開発に使い、結果として利益を生めば問題ありません。
しかし、赤字補填のために借入金を使うと、資金が溶けてしまい、お金がなくなります。
だから、経営が苦しい時に「お金を貸してくれ」と頼んでも、
銀行はお金を貸せないのです。お金が消えてしまう(溶けてしまう)リスクを理解しているからです。
その観点からみて、「コロナ融資」は異常な融資であると言えます。
はじめから、溶けてなくなったお金を補填する目的の融資です。
だからこそ、「返済不能」に陥る企業が増えるぞと言われているわけです。
将来生まれるであろう「利益」を見込んでの融資ではないのですから
そうなるのは、当然とも言えます。
実質無借金経営のすすめ
では、中小企業が目指すべき、財務状況とは、どんな状態でしょうか?
もちろん最終的には、運転資金から設備投資まで全てを自己資金で補えるのが理想ですが
そんな簡単なものではないとことは、みなさん承知だと思います。
では、まず目指すべき姿はといえば、やはり 「実質無借金経営」ではないでしょうか。
多くの専門家も推奨しています。
これは、現預金と有利子負債がバランスする状態を指します。
たとえば、A社のように、手元資金が借入金と同額ある状態を指します。
専門用語など使わずに言えば
銀行から「すぐに、融資したお金、全額返して」と言われても
「はい、どうぞ」と返せる状態です。
余談になりますが、全額返すと手元資金が「ゼロ」となりますが
銀行からすれば、銀行の収益である「利息」が「ゼロ」となりますから
困ってしまうのは銀行となります。
企業は、別の銀行から借りればいいだけの話です。
銀行との付き合いの重要性
前段で少し銀行をディスってしまいましたが、銀行との健全なお付き合いは大変重要です。
健全なお付き合いとは、「お金を借りて、ちゃんと返す」こと。
「無借金経営」は一見魅力的ですが、「実質無借金経営」の方が「健全なお付き合い」ができます。
理由は、銀行との取引関係が維持されているからです。
銀行との健全な関係がなければ、急な資金調達が必要な際に審査に時間がかかり、
ビジネスチャンスを逃すことがあります。
健全なお付き合いを保ったうえで、定期的に資金繰り表を提出するなど、
日頃から銀行との健全な関係を築いておくことが重要です。
最後に
借りたお金を返すことは、当たり前ですが大切です。
しかし、経営者の仕事は、借りたお金を返すことではありません。
借りたお金を必要なところに投資し、「さらに増やす」ことにあります。
ですから、無用に借金を怖がる必要はありません。
自社の体力(返済能力や資金力)に応じた借入金を把握した上で
正しい資金運用とキャッシュフロー管理が、会社の長期的な成長に繋がります。
まずは、自社の状況をしっかり確認してみよう
2024.10.10

かつて、生命保険を使った節税策は「節税の王道」として多くの経営者に利用されていましたが、
国の規制強化により、その効果は大きく変わってきています。
特に、「バレンタインショック」や「ホワイトデーショック」と呼ばれる規制は、
多くの企業が利用していた「節税保険」と呼ばれていた商品の販売停止を引き起こしました。
このような背景から、生命保険を利用した節税策は、慎重に検討する必要があります。
現在は、節税を売りにした生命保険は、ほぼ全てなくなってしまいましたが
現在でも「1/2損金」みたいな保険は存在しています。
その保険自体が、良い・悪いということではなく、「誤った」もしくは「知らなかった」
ことによる、企業に与えるダメージをお伝えします。
多くの企業はもちろん、生命保険を販売している人間も多くの人たちが
「財務」の知識不足により陥っている部分です。
少なくとも私は、一度もこのことを「生命保険会社の人間」からも聞いたことはありません。
生命保険と節税:過去の規制強化による影響
かつては「節税保険」として、企業が保険料を経費として処理しつつ、
解約時には一定のキャッシュが戻ってくるという仕組みの生命保険が広く使われていました。
しかし、これが税制の「抜け道」として問題視され、国が規制を強化。
これにより、保険会社も販売を停止することを余儀なくされ、「名義変更プラン」なども同様に封じられました。
なかには度が過ぎて、金融庁からお灸を据えられた生命保険会社もあります。
そのため現在の生命保険の「設計書」なるものには、
「この保険は、節税できませんよ」と書いていると思います。
節税より重要な「キャッシュフローの管理」
生命保険の「半損定期保険(1/2損金保険)」などは、保険料の半分を経費として落とし、
残りの半分を資産計上するとなっていますが、この資産に計上している部分の保険料は
決算書のどこに出てくるでしょうか ?
答えは
一般的な中小企業の決算書には「どこにも出てこない」 です。
これが、生命保険に関して言えば、企業経営、特に「現金」に与えるインパクトが大きいところなのです。
何故、大きいのか。 それは
「税引き後の利益から保険料の半分を支払う」からです。
税引き後利益とは、文字の通り税金を支払った後に残ったお金。
つまりは、「手持ちの現金」にあたるお金です。
この税金を含めたすべての支払いが終わった後に残るお金は、
最も代表的なものとして、銀行への借入金の「元本返済金」の支払い原資となります。
多くの会社が、銀行からの借入をして、会社を回していると思います。
そして返済をし、信頼を積み重ねることにより、繰り返し融資を受けていると思います。
そこに、輪をかけて、生命保険の資産計上部分の保険料がのしかかる。
多くの企業がこの事実に気づかずに、また、保険募集人がこの事実を知らずに
生命保険の契約をしているのが残念ながら現実です。
保険料の支払いが会社の資金ショートの原因となるリスクの一つであることを
ご理解いただけたと思います。
正しい保険契約の見直しが会社の健全経営を支える
保険契約は、「保障」を第一に考えつつ、キャッシュフローの管理も忘れないことが重要です。
経営者として、節税目的だけにとらわれず、財務戦略全体の一部として保険を活用するべきです。
保険契約が会社の資金繰りにどのように影響を与えるかを確認し、
不要なキャッシュアウトを避けるための判断が求められます。
もし、「自分の会社はどうなっているのか」確認してみたいという方がいましたら
ホームページの「問い合わせ」から、ご連絡下さい。
たった1枚の紙に書かれた、ブロックを使い、だれでも簡単に自社の財務状態が
一瞬で理解できる資料をお渡しいたします。
「隠れたリスク」発見しませんか?
2024.10.09

決算前に知っておきたい節税の落とし穴:車(備品)の購入は本当にお得か?
決算が近づくと、会計事務所や税理士から「今期、利益が出ていますよ」とアドバイスを受けることがあります。
その際、多くの経営者が「節税のために何か買おうか」と考え、
車の購入や備品の購入、生命保険の加入を検討することも少なくありません。
決算直前の車購入が持つ意外な落とし穴
例えば、決算前に急いで車を購入するケースを考えてみましょう。
一見、節税効果が期待できそうに見えますが、実は「減価償却」という壁が存在します。
車などの高額な固定資産は、購入した年に全額を経費として計上できず、
数年間にわたって少しずつ経費化されます。
特に決算直前の購入では、その年の経費に計上できるのは、決算日までの「月割り」分だけ。
したがって、期待していたほどの節税効果が得られないばかりか、
手元の現金が大幅に減ってしまっただけなんてことになりかねません。
節税対策としてのキャッシュ管理の重要性
手元資金が十分に潤沢であれば、節税のために大きな買い物をすることも問題ありません。
しかし、内部留保が十分ではない場合には、慎重な判断が必要です。
コロナの時や自然災害など、売上が一時的にゼロ、もしくは激減した場合を考えてみましょう。
自然災害や予期せぬトラブル、SNSによる風評被害など、いつどこで企業の収益が一時停止するかは予測できません。
実際に、ペヤングソース焼きそばの、消費者からの異物混入の訴えへの対応では
6か月間も工場を閉鎖しました。それでも従業員の給与を支払い続けられたのは、手元に現金を確保していたからです。
車のローン購入や中古車の選択肢は本当に得策か?
一度に、多額の現金が手元からなくならないようにするために、キャッシュアウトは頭金程度とし
「車を借入をして買えばいいのでは?」と考えるかもしれませんが、
翌年以降の税負担や保険料など、必ず発生する経費があります。
また、借入金の元本返済額は経費にはならないため、
税引き後利益からの「キャッシュアウト」となります。
また、中古車を購入する選択肢も一部では有効な戦略ですが、
それでも翌年以降の固定資産税や保険料の負担は避けられません。
結果的に、短期的な節税を狙った買い物が、長期的には企業のキャッシュフローを圧迫する可能性があるわけです。
「節税」という名の「お買い物」
節税と言えば響きはイイですが、要は「お買い物」です。
そして、大きな買い物をすれば、「何を買ったのか」の記録が残ります。
そう、決算書の貸借対照表(B/S)と言われる紙に。
もし、家計簿や、お小遣い帳に「これって、ほんとに必要なのかな?」という買い物が
書き込まれていたら、どうでしょうか?
下駄箱に入りきれないほど大量の靴があるのに、靴を買って帰ってきたら、どう思うでしょうか?
私も零細企業とはいえ、経営者ですから
「自分のお金」と「会社のお金」に対する、妙な感覚の違いを感じます。
なので最近は、会社のお金を使う時には、いい意味で「自分のお金感覚」を
意識するようにしています。
悪い意味での「自分のお金」感覚には、くれぐれもご注意くださいね。
関連記事
正しい節税とは?社長!確認してください!節税戦略とリスク ① – (有)佐藤保険事務所 (sato-insurance.jp)
社長!確認してください!会社にとって必要な節税戦略とリスク ② – (有)佐藤保険事務所 (sato-insurance.jp)
犬に合羽は必要か?
まぁ~ 可愛いからいいか
2024.10.08

いつもご訪問ありがとうございます。
今日は、世の中で広く言われている「節税」の際のポイントや
誤解されがちな点について、解説していきます。
節税の基本: 利益を抑えるだけでは不十分
節税の基本的な考え方は「利益を抑える」ことにあります。
しかし、ここで重要なのは、「キャッシュフローを確保しつつ節税を行う」という視点を忘れてはならない点です。
法人税は「所得」に基づき計算されるため、税負担を抑えるために利益を調整することは有効ですが、
現金(キャッシュ)を失ってしまうような節税策は企業にとって逆効果になりかねません。
しかし、残念ながら「キャッシュアウト」を伴わない節税対策と呼ばれているものは非常に少なく、
また、「利益の繰り延べ」にしかなっていない節税対策なるものは大変多く見られます。
キャッシュフローを優先する節税の重要性
会社が倒産する最大の理由は「キャッシュが途切れたとき」です。
そのため、節税を考える際に最も重要なことは「キャッシュを一定程度維持しながら、税負担を減らすこと」です。
また、利益を投資などで繰り延べる節税策がありますが、これは長期的な視点で判断する必要があります。
企業経営は、山あり谷ありです。赤字の際にも続けていくべき対策なのか
赤字の際に活用できるリソースとして(赤字の補填)、使えるものなのかなど、あらかじめ確認しておくことが大切です。
決算書に表れない隠れた出費に注意
節税を行う際には、決算書上に出てこない「隠れたコスト」にも注意が必要です。
たとえば、借入金の返済や損金算入できない生命保険料などは大きな出費となり得ます。
これらを無視して節税を行うと、結果的にキャッシュが不足し、「自転車操業」に陥るリスクが高まります。
キャッシュを守る節税を
節税策を検討する際には、「利益を抑えるだけ」ではなく、キャッシュフローを守りつつ実行することが不可欠です。
また、節税のタイミングや方法については、経営者が慎重に判断する必要があります。
しっかりとした財務戦略を持ち、企業の成長を促進するための節税を実践しましょう。
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2024.10.07

世の中には、さまざまな「節税方法」が存在しますが、その多くが誤解されていることも少なくありません。
この記事では、正しい節税の考え方や、それが企業成長にどう関わるのかについて解説していきます。
一度では書ききれないので、数回シリーズにして、お送り致します。
節税の定義とは?
まず、「節税」とは何か? その基本的な定義を確認しましょう。
節税とは、法律に基づいて合法的に税負担を軽減する行為のことを指します。
重要なのは、税法の「範囲内」で行うことが条件であり、範囲を超えた行為は当然「脱税」と見なされます。
税法は時折見直され、今までの節税方法が使えなくなることもあります。
最新の情報を確認することが必要です。
また、税務署や税理士の前では、「節税」という言葉を避け、
「適正な税負担」と表現するのがマナーです。
節税に関する注意点
近年、YouTubeなどやSNSでも節税に関する情報が数多く配信されていますが、
全ての情報が信頼できるわけではありません。
また、YouTubeで紹介された節税方法が税制の変更に影響を与えたケースがあるくらい、
最近は、国をも動かすほどの影響力をもった番組まで現れましたので
全てを鵜呑みにせず、最新の情報を信頼できる人間と一緒にチェックすることも大切です。
会社のステージに応じた節税戦略
節税が効果的かどうか、必要かどうかなどは、会社の成長段階によって異なります。
企業は「誕生期」「成長期」「安定期」「衰退期」「消滅期」のようなステージを辿り、
それぞれの段階に応じた財務戦略が求められます。
このタイミングを誤ると、将来的に「こうしておけばよかった」と後悔する場面が出てきますし
利益が出ているにも関わらず、いつまでたっても「体力がなく」「体質の弱い」会社から脱することができず
しいては、銀行からの借入れの際にも、思ったような額や条件で借りられなかったり
コロナや災害の発生時や〇〇ショックといわれる「10年に一度」程度の間隔で発生する
自分の力では、どうにもできない災害や不況の際に、簡単に苦境に陥ってしまいます。
「今期、利益が出たから節税する」が来期以降の会社の苦境の際にあだとならぬよう
「税務」に詳しいではなく「財務」詳しい人間と関わりをもつことは、とても重要です。
あま~い囁き「節税できますよ」の誘い文句
「節税になります」「節税できますよ」の誘い文句には、十分気を付けましょう。
節税と言われるものの多くは「税金は安くなる」が安くなる税金の額より多くのお金がなくなる
なんてものが、多いのは事実です。それでは、「本末転倒」ですよね。
節税すべき状態や環境かどうか、もしくは、社長自身が、一番守りたいものや
どのような会社にしたいのかなどによって、節税をするしないは勿論
どのような節税をするかも、変わってきます。
その決断ができるのは、まさに「社長たったひとり」なのです。
慎重には慎重を重ねて、お考え下さいね。
では、明日以降、具体的な話を交えながら、書き進めていこうと思います。
晴れた日に、見通しが良くても
一度立ち止まり「確認、確認」
2024.10.04

「銀行は晴れた日に傘を貸し、雨の日には取り上げる」とよく言われます。
これは、経営が順調な時には融資が受けやすいのに、経営に陰りが出てくると
急に融資が難しくなるという状況を表しています。
言い換えれば、銀行は「返済が確実にできる状態でないとお金を貸さない」
というごく当たり前のビジネスを行っていることを指しています。
では、企業経営において「晴れた日」とはどのような状態でしょうか?
それは「業績が好調で資金に余裕がある状態」を指します。
しかし、皮肉なことに、この「晴れた日」には
急激に売り上げが伸びたなどではない限り
融資を必要としない、考えないことが多いものです。
一方で、「雨の日」とは業績が悪化し、資金繰りが厳しい時。
こんなときには借入が難しく、もし借りられたとしても金利が高く、条件が厳しいことが多いのです。
銀行との良好な関係を維持し、資金調達を円滑にするためには、
好調な時期にこそ「雨に備えた借入」を検討することが賢明です。
晴れた日に借入を行うメリット
1.借入がしやすい:経営が好調な時期には、銀行からの評価が高く、スムーズに融資を受けることが可能です。
2.低金利で借りられる:会社の財務状況や企業の信用度が高ければ、金利も低く抑えられます。
3.資金繰りが安定する:余裕がある時期に手元資金を確保しておくことで、アクシデントに備えられます。
4.経営者保証が外れやすい:経営状況が良好であれば、経営者の個人保証を外せる可能性があります。
5.プロパー融資が受けられる:銀行が保証なしで直接融資する「プロパー融資」も、条件が整えば受けやすくなります。
雨の日に借入を行うリスク
逆に、業績が悪化している「雨の日」には以下のようなリスクが伴います
1.借入が難しくなる:信用が低下し、融資のハードルが高くなります。
2.金利が高くなる:回収リスクが高いと判断されるため、金利が上昇します。
3.経営者保証が必要になる:銀行から個人保証や担保を求められることが増えます。
4.審査が厳しくなる:借入自体ができなくなる可能性が高まります。
金利は「保険料」と考える
「余計な金利を払いたくない」という経営者の声もあります。
十分、理解はできます。とはいえ、借りやすい時に借りておくことのメリットは大きい。
「わかっちゃいるけど~」という経営者の方へ、こんな考え方をご提案します。
晴れた日に、お金を借りておき、手元資金を厚くしておくことは、
会社に降ってくるかもしれない「事故」に備えるようなものです。
ですから、「余計と思われる金利」は、まさに「保険料」
その上、金利は経費として扱われるため、節税効果もあります。
節税になるということは、金利の約3割は国が負担してくれているようなものです。
どうでしょう? 少しは前向きに考えられませんか?
最後になりますが、決して「借金の勧め」をしているわけでも
「銀行のフォロー」をしているわけでもありません。
いつかは、無借金経営でも、会社が回り、発展するのがベストです。
ですが、そこにたどり着くには「順番」や「段階」があるのです。
「経営者」は「消費者」ではありません。
お金を消費するのではなく、上手にお金を使い、増やしつつ
会社や従業員さんたちを守り、成長させていきましょう。
晴れてる時には、一服したい・・・。でも、休んじゃいられない・・・
会社経営て大変ですね
2024.10.02

資金繰りの悪化の予兆を見逃さないために大切なことの1つに、「在庫管理」があります。
以下では、在庫増加が引き起こすリスクと、決算書の落とし穴について説明します。
1. 在庫増加のリスク
販売不振による影響
販売が計画通りに進まないと、在庫が積み上がります。これが続くと、デッドストックが増え、いずれ廃棄や値下げが必要になり、損失を生みます。
デッドストックのコスト
売れ残った商品はただの在庫ではありません。管理費や保管スペースのコストがかさみ、結果的に利益を圧迫する要因になります。
資金繰りの悪化
在庫を増やすことで、仕入れ代金の支払いが先行し、現金が減少します。
特に「支払いが先、回収が後」という一般的な商流の中で、現金が気づかぬうちに減っていきます。
2. 在庫管理とキャッシュフローの重要性
運転資金はビジネスの生命線の1つです。
商品が売れなければ、現金が在庫に変わるだけで、資金繰りがどんどん悪化します。
そのため、在庫管理を怠らず、現金と在庫の増減を定期的に確認することが重要です。
3. 決算書だけでは見えないリスク
損益計算書(P/L)や貸借対照表(B/S)は経営状態を表す重要な資料ですが、これだけでは全てのリスクを把握できません。
特に在庫や資金の流れを細かく見ていないと、足元に迫る危機に気づけないことがあります。
なぜか。決算書などの財務諸表の「勘定科目」の並び方が、そうさせるのです。
P/L(損益計算書)の一番上(トップライン)は「売上高」
そこから、仕入れ値や様々な経費が引かれていくかのように書かれています。
勘のいい方なら、もうお気づきですよね。トップラインの時点で、実際の商売とはかけ離れているわけです。
「代金回収が先」「支払いが後」と書いてあるわけです。
B/S(貸借対照表)でいうと、今度は左側の一番下「資産の合計額」
現金が在庫に化けただけですから、科目が現金と商品だけなら、合計額は変わりません。
もちろん、現金と商品在庫の数字を見れば、増減はわかりますが、
「対前年」や「対前月」という見比べ方をしていなければ気づきません。
どうでしょうか。P/LとB/Sだけ見ていると、一見順調に見えても、足元には危険が忍び寄ってる。
「全てのお客様の注文に対応したい」「チャンスを逸したくない」
気持ちは、十分わかります。
ですが、適切な在庫数の管理と商品ラインナップの見直しは常に必要となります。
「在庫」は「財庫」 お金が形を変えただけです。
「在庫」は「罪庫」 これくらいならいいだろうが、後々大変なことになりかねません。
いかがでしたか?
在庫管理の大切さと決算書(財務諸表)を鵜呑みにすることの危うさにお気づきいただけたでしょうか。
現場の状況や資金の動きを把握することは、健全な経営の鍵です。
「現場に任せている」「経理に任せている」「税理士の先生に任せている」
現場も経理の人も、ましてや、税理士の先生も、あなたの会社を管理してくれません。
当然ですが、責任もとってくれません。
社員さんや税理士さんの出してくれた数字の意味を「理解」し「活用する」ことは
経営者にしかできない仕事です。
経営者って、大変なお仕事なんですね(時期ズレですが)
2024.10.01

「無借金経営をしたい!」と思うのは、多くの経営者にとって目標です。
では逆に、借入金が多い会社はダメな会社でしょうか?
答えは「NO」です。
借入金の有無やその額が、会社の良し悪し判断する理由とはなりません。
借入金と会社の実態:A社 vs. B社
例を挙げてみましょう。
A社: 借入金1億円、現金1億円
B社: 借入金0円、現金0円
新規で取引するとしたら、どちらの会社と取引したいですか? 答えは明らかでしょう。
どちらも自前の資金はゼロですが、B社とは取引したくないはずです。
A社は現金があり、借入金を全額返しても資産は残らなくとも倒産しない状況です。
一方B社は、ほんの少しのアクシデントや予定外があっただけで、一瞬で資金ショートします。
このように、借入自体が悪いわけではありません。
「借りたお金を返せない」とが問題となるです。
だから、将来の利益を見込んでの借入は健全な資金運用といえます。
借金を溶かさないことが大事
借入は「将来の利益の先食い」と言われることがありますが、
それは、銀行が「将来的に返済できるだけの利益を生むだろう」と見込んで貸していることから見ても明らかです。
借りたお金を事業拡大や新製品開発に使い、結果として利益を生めば問題ありません。
しかし、赤字補填のために借入金を使うと、資金が溶けてしまい、お金がなくなります。
だから、経営が苦しい時に「お金を貸してくれ」と頼んでも、
銀行はお金を貸せないのです。お金が消えてしまう(溶けてしまう)リスクを理解しているからです。
その観点からみて、「コロナ融資」は異常な融資であると言えます。
はじめから、溶けてなくなったお金を補填する目的の融資です。
だからこそ、「返済不能」に陥る企業が増えるぞと言われているわけです。
将来生まれるであろう「利益」を見込んでの融資ではないのですから
そうなるのは、当然とも言えます。
実質無借金経営のすすめ
では、中小企業が目指すべき、財務状況とは、どんな状態でしょうか?
もちろん最終的には、運転資金から設備投資まで全てを自己資金で補えるのが理想ですが
そんな簡単なものではないとことは、みなさん承知だと思います。
では、まず目指すべき姿はといえば、やはり 「実質無借金経営」ではないでしょうか。
多くの専門家も推奨しています。
これは、現預金と有利子負債がバランスする状態を指します。
たとえば、A社のように、手元資金が借入金と同額ある状態を指します。
専門用語など使わずに言えば
銀行から「すぐに、融資したお金、全額返して」と言われても
「はい、どうぞ」と返せる状態です。
余談になりますが、全額返すと手元資金が「ゼロ」となりますが
銀行からすれば、銀行の収益である「利息」が「ゼロ」となりますから
困ってしまうのは銀行となります。
企業は、別の銀行から借りればいいだけの話です。
銀行との付き合いの重要性
前段で少し銀行をディスってしまいましたが、銀行との健全なお付き合いは大変重要です。
健全なお付き合いとは、「お金を借りて、ちゃんと返す」こと。
「無借金経営」は一見魅力的ですが、「実質無借金経営」の方が「健全なお付き合い」ができます。
理由は、銀行との取引関係が維持されているからです。
銀行との健全な関係がなければ、急な資金調達が必要な際に審査に時間がかかり、
ビジネスチャンスを逃すことがあります。
健全なお付き合いを保ったうえで、定期的に資金繰り表を提出するなど、
日頃から銀行との健全な関係を築いておくことが重要です。
最後に
借りたお金を返すことは、当たり前ですが大切です。
しかし、経営者の仕事は、借りたお金を返すことではありません。
借りたお金を必要なところに投資し、「さらに増やす」ことにあります。
ですから、無用に借金を怖がる必要はありません。
自社の体力(返済能力や資金力)に応じた借入金を把握した上で
正しい資金運用とキャッシュフロー管理が、会社の長期的な成長に繋がります。
まずは、自社の状況をしっかり確認してみよう