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2025.05.29ブログ

山中伸弥氏の言葉に学ぶ「高く飛ぶには、低くかがめ」~中小企業のための4つの財務戦略

いつも、ブログを読んでいただき、有難うございます。

地域はもちろん、「日本中の中小企業を元気にする」

そのために、一生懸命書き続けます。

 

 

「高く飛ぶためには、

おもいっきり低くかがむ

必要があるのです。」

山中伸弥(ノーベル生理学・医学賞受賞者)

 

この言葉は、スポーツに限らず、

企業経営や財務戦略にも深く通じるものがあります。

ジャンプは宙に浮いている瞬間

企業活動で言えば「売上」に注目が集まりますが、

飛距離、言い換えれば「利益」を決めるのは

「どれだけ深く、正しくしゃがめたか」に尽きるのです。

特に、次のステージを目指している企業や経営者にとって、

「低くかがむ」という助走の意味をどう捉えるかは、

将来の飛距離を大きく左右します。

今回は、財務の観点からこの言葉をどう活かすか、

4つの視点で解説します。

 

1. かがむ=内部留保とキャッシュポジションの強化

キャッシュは、より高く飛ぶための「バネ」です。

バネを十分に縮める、

つまりキャッシュポジションを強化することで、

より高く、より遠くへ跳ぶことができます。

企業経営において、内部留保を厚くする行為

次の飛躍に向けてだけではなく

破産からの距離を遠ざける意味があり

経営者が持つべき目標の最重要課題の1つであることは

紛れもない事実です。

 

先行投資の軍資金:

将来の成長に向けた設備投資や新規事業立ち上げには、

多額の資金が必要です。

例えば利益の20~30%を

「成長準備金」とし決めて内部留保し、

利益余剰資金を確保することで、

自己資金による投資が可能になります。

これにより、資金調達コストを圧縮し、

財務リスクを軽減できます。

 

不況や天災等への備え

予測不能な経済環境下では、

十分な運転資金を確保しておくことが重要です。

歴史を振り返れば10年程度に1度程度の割合で

コロナやリーマンショックのような

予測不能な上、自社だけでは避けようがない

事象が発生しています。

そして、その度に企業は、売上や利益が減少し

備えのない会社は、消滅してしまいました。

 

また、昨今、激増している大雨や洪水など

残念ながら、その場にいるというだけで

だれもが等しく損害を受けてしまう場面などでも

3~6ヶ月分の運転資金を現預金で確保していれば、

事業活動や、会社の維持が継続できます。

場合によっては、競合他社が停滞を余儀なくされ

市場シェアを拡大するチャンスを掴むことができるでしょう。

 

このように「使わないお金」を意識的に持つことは、

「もったいない」ではなく、

飛ぶためのバネを強くする行為と言えます。

 

2.負債の健全化とお金の「見える化」

山中教授の言葉の背景には、

「かがむ時期をどう過ごすかがジャンプの成否を分ける」

という意味も込められいると考えます。

財務の世界で言えば、

金利上昇リスクや

会社のお金の流れをしっかりと把握することが

「かがみの質」を決定づけます。

 

具体的なアクションをいくつか紹介します。

① 資金繰り表を作る

② 銀行借り入れ一覧表を作る

 

まずは、この2つの行動を起こしましょう。

①に関しては、もう何度も書いていますが

自社のお金の流れやキャッシュポジションを

把握せずに会社経営はできません。

資金ショートの時期やキャッシュポジションが低い時期

すなわち、破産リスクが高い時期に向け

銀行からの借入交渉をしなければなりません。

この時の交渉で少しでも良い条件を引き出す方法は

「銀行交渉スタートの時期」にあります。

当たり前の話ですが、

「来月に資金ショートしそうな会社」と

「半年後に資金ショートしそうな会社」

あなたなら、どちらの会社にお金を貸しますか?

計画性や経営者のお金に対する意識や資質

どれをとっても、「半年後に」という経営者の方を

選ぶのではないでしょうか。

 

②に関しては、以前に少しだけ触れましたが

銀行側でも、この資料を作成しているほど

大切な資料となります。

融資一覧表のフォーマットによりますが

企業にとっても、たくさんの有益な情報が詰まっています。

 

・借入額・借入残高・預貯金残高・利率・返済期間・借入種類

・借入目的・返済額・保証の種類 など

 

この情報だけでも、取引のある銀行なら

融資の提案ができますし、(決定は別ですよ)

企業側からしても、プロパー融資の相談

個人保証をはずす相談、保証協会枠の残高

長期・短期融資のバランス調整

そして、返済金額の圧縮など

企業財務には、かかせない情報の山なのです。

 

なお、各種フォーマットは、自社と付き合いのある銀行の

ものを使用するのが、お勧めです。

各銀行のHPからダウンロードしてみて下さい。

もし、「見つからない」場合は

webにたくさん出ていますので、入手してください。

 

この2つを実行するだけで

「かがみの質」は大幅に良質なものになります。

すなわち、飛躍の際に「より遠くへ」「より高く」

飛ぶことが可能になります。

 

 

3.固定費を見直し、軽やかに跳ぶ体制へ

より遠く、より高く飛ぶためには、

体を軽くするも大切です。

企業にとってその「重さ」とは、

主に固定費の硬直性にあります。

 

人件費などは、むやみに削るのではなく

「適切な人員配置」

 

仕事の棚卸や断捨離をすることにより

安易な補充や増員を防ぐ

 

パートや派遣などを上手に利用し「変動費型」にする

 

離職者を出さないような施策を考える など

柔軟な体制を構築しましょう。

 

設備なども、効率的な配置を考える

メンテナンスの回数を増やす

内製化と外注化とのコスト比較をするなど

じっと動かず耐えるばかりではなく

「柔軟に構える」ことが大切です。

 

4.「かがみの深さ」をKPIとして可視化する

「かがんでいる」つまり、飛躍に向け備えている

準備をしている期間は、見えにくく評価されにくいものです。

しかし、財務においても「準備の深さ」を

数値化して管理することで、

組織全体が「今は跳ぶための期間なんだ」

と納得できるようになります。

 

たとえば:

目標現預金残高の目標設定

目標利益額の目標設定

内部留保額の目標設定

労働分配率の目標設定

リスキリングや人材育成への投資額設定 など

 

他にも、目標にしたい数字はたくさんあると思います。

「いくら現預金を持てばいいのか」

「いくら利益を出す必要があるのか」

「新規事業や設備投資に必要な額はいくらなのか」

など、アクシデントや失敗した時に

会社が傾かないために必要なお金の額を

KPIとして立ててみましょう。

精神論やドンブリ経営のような状態ですと

この「かがみKPI」は、すぐに忘れさられます。

可能なものは、会社全体で共有したり

役員の方々で共有したり、そのような体制がなければ

私たちのような外部の人間と共有し

月に1度は、予実管理を行うことが大切です。

 

そのうえで、「ジャンプ後」の到達地点

(売上高・利益額・借入金額・人員数など)

KGIを明確に示すことにより

社内外から信頼を得ることが可能になります。

 

お勧めというか注意点というか、

このKPIやKGIを設定する時は

よくある「〇〇率」や「〇〇比率」のような

主に「%」で示されるようなものは避けましょう。

このような数値は、どこか「かっこいい」「使えそう」

みたいな感覚がありますが

中小企業の経営の面からみると

私はあまり意味をなさないと考えています。

今回は、その理由の説明は書きませんが

中小企業はその「額」を目標に立てるべきです。

「%」は大企業の指標だと考えてください

 

 

まとめ:助走なくして躍進なし

キャッシュを厚くし、

資金ショックに強い財務体質を構築する。

 

負債と資本コストを最適化し、

自己資本という「バネ」を強化する。

 

固定費を見直して、身軽な状態でジャンプに備える。

 

「かがみKPI」を設定し、準備期間を可視化・評価する

 

これら4つのポイントを実践することで、

力強いジャンプのための「助走」を

着実に進めることができます。

 

高く飛ぶとき、人は一瞬「地を離れ」ます。

企業もジャンプの瞬間、

すなわち新たな挑戦にはリスクが伴います。

だからこそ、しっかりと「しゃがむ」、

つまりエネルギーを蓄える財務設計が、

次の成長フェーズを確実にし、

持続的な発展へと導くのです。

 

さあ、あなたの会社はどれだけ深く、

賢く「しゃがめて」いますか?

今日から「助走の質」を磨き、

誰よりも、どの会社よりも高く、遠くに跳びましょう。

 

 

力の限りのジャンプ!

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