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有限会社佐藤保険事務所

2025.10.27ブログ

ドンブリ勘定から卒業!現役経営者が教える「使える利益」の見極め方

忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約」

「利益率が5%に落ちた」——この言葉、本当に危険なサインでしょうか?

実は「利益」には種類があり、どの利益を見ているかで意味は全く異なります。

この記事は、複雑な利益の種類を「現役経営者」の視点から超実践的に解説します。

「受注や値引き」の判断には限界利益、「会社の体力診断」には営業利益

「資金力」を測るにはEBITDAといったように、どの利益をいつ使うべきかが一目瞭然。

さらに、「値引き上限の決め方」や「損益分岐点」の計算例も具体的で、すぐに自社で活用できます。

数字が苦手な経営者でも感覚的に理解でき、

ドンブリ勘定から脱却して「儲かる会社」へ体質改善するための、最初の一歩となる内容です。

 

 

本文

テレビから、こんな話が聞こえてきた。

「鳥インフルエンザにより鶏が大量に殺処分。卵の価格が高騰か」

以前は「物価の優等生」といわれた卵ですが

ここ数年は、スーパーで見ても、簡単に手が出ないほどの価格になっている。

 

卵をよく使う、とある飲食店に取材で訪れ、話を聞いていたのだが

その飲食店の店主さんが「卵の高騰は痛い。以前は利益率10%だったのが

今や5%しかない」と話していた。

それを聞いて、私の頭の中は「ん???」

「その利益率、どの利益率?」となったわけです。

 

もし、「粗利益率」が5~10%なら、普通の飲食店なら、とっくに閉店しているはずだ。

「経常利益率」がその数値なら、中小企業なら、十分優秀な会社と言えるし

ましてや、税引き後利益が、その数値なら「超優良企業」と言える。

 

このように会社を経営していく上で目にする「利益」や「利益率」と言われる数値ですが

数種類、存在しています。そしてその「用途」も様々

そこで、本日から数回に分けて、この「利益」と言われるものを

会社経営をする上で、必要と思われる順番に、その「意味」や「用途」を

できるだけ専門用語を使わずに、記事にしていこうと思います。

「無資格・無免許・現役の経営者」の私だからこその感覚を生かしていきますので

「有資格・有免許」の方から見ると「不正確」なところはありますが

実際の経営の現場で、「そのまま」そして「感覚的に」使えるような記事にしたいと思います。

 

 

では、本日は「総論」です。

「わかっている」という方は、斜め読みでかまいません。

忙しいのに儲からない。値引きが常態化する。どこから手を付けるべきか。

その混乱は「利益の種類」と「使いどころ」が曖昧なことから生まれます。

まずは、判断の拠り所になる「利益の全体図」を描きます。


1. 5分でつかむ「利益の系譜」

売上 − 変動費 = 限界利益

限界利益=「売上から、売るたびに増える費用を引いた残りの利益」のこと

この残りで固定費(家賃や基本人件費)をまかなって、残った分が利益になります

    • 使いどころ:受注可否・値引き・撤退の即断
    • 注:変動費=売上に比例して増えるコスト(材料費、出来高外注、配送、決済手数料など)

 

売上 − 売上原価 = 粗利(売上総利益)

売上原価の中身

  • 小売・卸:期首商品棚卸高+当期仕入−期末商品棚卸高(+仕入運賃など付随費用)

  • 製造:期首製品棚卸高+当期製造原価−期末製品棚卸高

    • 使いどころ:商品・顧客選び、在庫・仕入の計画策定
    • 注:売上原価=「売れた分」に対応する仕入・製造コスト

 

粗利 − 販管費 = 営業利益

販管費=販売管理費=「販売するために使った費用(販売員の給与・広告費など)

「会社を管理・運営するために使った費用「役員給与・減価償却費など」

    • 使いどころ:固定費(人・広告・オフィス・サブスク)の重さが戦略に合っているかの体質診断

 

営業利益 + 減価償却 = EBITDA(イービットディーエー イービッダー)

EBITDA=会社が「本業で生み出す現金の力」 現金そのものではないが、それに近いもの

    • 使いどころ:返済余力・投資余力=キャッシュ創出力の目安
    • 注:減価償却=設備の分割費用 実際に現金は出ていない「会計上の費用

 

営業利益 ± 営業外収支 = 経常利益

    • 使いどころ:金利・為替等を含む「平時の稼ぐ力」

 

特別損益調整 → 税引前利益 → 当期純利益

    • 使いどころ:内部留保・配当・次の投資配分の源泉

 

一言でまとめると:意思決定は限界利益  体質は営業利益  資金はEBITDA


2. どの利益を「いつ」使うのか(30秒フロー)

  1. 受注・値引き限界利益がプラスか?(マイナスなら単価交渉・撤退を検討)
  2. 商品ラインナップ粗利率 × 回転(低粗利でも高速回転は武器)
  3. 固定費の重さ営業利益率で体質を点検(重すぎる固定費は要検討)
  4. 資金余力EBITDAで返済余力・投資の天井を把握(どこまで借りられる・攻められるか)

3. 数字を「使える化」するツール

  • 限界利益表(商品別・ 顧客別)を作成・更新
    • 営業・購買など社内全体で同じ表を見る(コスト意識の向上)

 

  • 損益分岐点を全員で共有

「損益分岐点」とは「 利益がちょうど0円になるところ」

つまり、±0になる価格のこと

    • 損益分岐点売上:固定費÷限界利益率(売上ベース・売上個数ベースの2種類)

 

  • 粗利マトリクス(粗利率 × 回転)
    • 在庫・仕入・販促の優先順位と直結

「@あたりの粗利率が小さいが販売個数や回転がよい商品」

「販売個数や回転率は悪いが@あたりの粗利率がよい商品」

どちらに注力し営業をするのかの経営判断ができる

 

  • 簡易EBITDA表
    • 返済予定と比べる。
    • 投資余力=EBITDA − 年間返済

 

  • お金のブロックパズル

会社のお金をたった1枚の紙で直観的に誰もが理解できるようになるツール

 経営判断の際に用いるのは無論、会社全体の「共通言語」として使用することにより

 経営層から現場まで、意思決定に際し、ブレが少なくなる 


4. ミニ例:値引き上限を「秒」で決める

  • 単価1,000円、変動費600円 → 限界利益400円(限界利益率40%)
  • 固定費が月200万円なら、損益分岐点売上高:200万円÷40%=500万円
  • 値引き相談が来たら:
    • 限界利益ゼロの単価=変動費=600円
    • 実務は配送・決済手数料で変動費が膨らむため、安全マージンを引いた「最低販売価格」を部門で統一

計算例

変動費600円+配送/決済等50円=実務変動費650円
          マージン20円 → 最低販売価格=670円(ここを絶対に割らない)

ちなみに「損益分岐点売上の500万円を超えて売上が立った場合

500万円を超えた売上のうち、変動費を差し引いた部分が、そのまま利益になる

ポイント:限界利益が見えていれば、感情ではなく数字で「線」が引けます。


5. よくある誤解と処方箋

  • 誤解:粗利が高ければ正義
    • 処方箋:粗利率だけでなく「回転」と「在庫滞留」を同時に見る
  • 誤解:売上のために値引きは仕方ない
    • 処方箋:限界利益のゼロ点を可視化し、超えてはいけない線を現場に渡す
  • 誤解:黒字なら安心
    • 処方箋:EBITDAと運転資金(売掛・在庫・買掛)を見て、キャッシュで判断
    • 黒字は「利益」の話であり、「現金」の話ではないことを理解する

6. 今日からのチェックリスト

  •  自社の「変動費」の定義を決める
  •  上位3商品・3顧客の限界利益率を算出(毎月更新)
  •  固定費と損益分岐点売上を全社共有(壁に貼る)
  •  経営会議で「EBITDAと年間返済予定」を同じ紙で確認

次回から各論で「限界利益 → 粗利 → 営業利益 → EBITDA → 経常・純利益」を深掘りします。

まずは「利益の全体図」を作成し、会社のお金の流れを全社員で共有。

コスト意識が醸成され、利益を生みやすい体質へと変えましょう。

 

 

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