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2025.09.19ブログ

「聴く力」で組織が変わる:『受け止める』と『受け入れる』の使い分け術

みなさんも、「世界陸上」ご覧になってますか?

私は毎晩、興奮気味に見ています。

競技自体はもちろんですが、競技終了後のインタビューは

「質問のプロ」の教材として見ています。

たとえば、110mハードルの村武ラシッド選手の、あの言葉

「何が足りなかったんだろう」

後に続ける言葉を考えることは、経営者や部下を持つ方々、

子育て中の方にとって、とても役に立つと思います。

 

さて、本日は「聴く姿勢」について書いていきます。

本文は経営者・幹部をメインターゲットとして書いていますが、

この考え方は部下や同僚、さらには家庭など、あらゆる人間関係に応用できます。

まずは、触れていただき、周りの方々との、良好な信頼関係を築くためにお使い下さい。

 

忙しいあなたへ「1分で読めるAI要約文」

部下の本音が出てこない、顧客の不満が溜まってしまう。

こうした悩みは、リーダーが「受け止める」と「受け入れる」を混同していることが原因かもしれません。

「受け止める」とは、相手の意見や感情を否定せず、なぜそう思うのかを理解しようとする「傾聴」の姿勢です。

一方、「受け入れる」とは、その意見を承認し、実行を決める「判断」の行動です。

大切なのは、まず相手の声を最後まで「受け止める」こと。

これにより相手は安心感を抱き、信頼関係が生まれます。

その上で、リーダーとして会社の理念や状況を鑑み、冷静に「受け入れるか」を判断するのです。

この「受け止めてから判断する」プロセスが、組織の心理的安全性を高め、

売上アップや社員の自発的な成長を促す好循環を生み出します。

 

本文

社員や顧客の声、あなたは本当に「聴けていますか?」

 

「部下の意見を聞いているはずが、どうも本音が出てこない」

「お客様の要望を聴いているつもりなのに、いつの間にか不満が募っている」

経営者やチームを率いる幹部の方々から、こんな悩みを耳にすることがあります。

その原因の一つに、「受け止める」と「受け入れる」の混同があるかもしれません。

一見似ているようで、この二つの言葉には明確な違いがあります。

この違いを理解し、適切に使い分けることができれば、組織の心理的安全性は高まり、

より良い意思決定へと繋がり、結果として企業の成長を加速させる強力な武器となります。

本日は、コンサルティング現場の具体例を交えながら、

この「受け止める」と「受け入れる」の違いとその実践方法について深く掘り下げていきます。

 

1. コンサル現場に見る「受け止める」と「受け入れる」の決定的な違い

 

まずは、私たちが日々のコンサルティングでクライアントの経営者と接する中で意識している、

この二つの姿勢の違いから見ていきましょう。

 

🔹 受け止める姿勢:相手の「なぜ?」を深く理解する傾聴

 

「受け止める」とは、相手の言葉や感情、意見をそのまますべて一度、自分の中に招き入れ、理解しようとする態度を指します。

重要なのは、その場で賛成か反対かを判断しないこと。

「この人はなぜそう考えるのだろう?」「その背景には何があるのだろう?」といった探求心を持って耳を傾けます。

この姿勢によって、相手は「自分の話をちゃんと聴いてもらえた」「理解しようとしてくれている」と感じ、

深い信頼を寄せてくれるようになります。

 

【具体例】

社長:「うちは値上げなんてしたら、今いるお客さんがみんな離れてしまうよ!」

コンサル:「なるほど、そう感じておられるのですね。

具体的に、どんなタイプのお客さんが、どのような理由で離れていくことをイメージされていますか?」

この例でコンサルタントは、社長の「値上げへの懸念」を否定も肯定もしていません。

ただ、その感情や意見の背景にある具体的なイメージや懸念を掘り下げようとしています。

これが「受け止める」という行為です。

 

🔹 受け入れる姿勢:自分の意思で「採用・承認」する判断

 

一方、「受け入れる」とは、相手の意見や方針を自分自身も「良い」と判断し、実際に採用・承認する態度を意味します。

つまり、その意見を「自分ごと」として取り込み、実行に移すことを決める段階です。

「受け止める」ことと「受け入れる」ことは必ずしもセットではありません。

相手の意見をしっかりと受け止めて理解した上で、最終的に受け入れるかどうかは別の話です。

 

【具体例】

社長:「会社のキャッシュが厳しいから、従業員の賞与をゼロにするしかないと考えている。」

コンサル:「なるほど、財務状況を考えると、それほど厳しいご決断を迫られているのですね。

会社の存続を最優先される社長のお気持ち、お察しいたします。

その覚悟を受け止めた上で、まずはその方針で進めることが今は必要かもしれません。

その上で、来季に従業員のモチベーションをどう回復していくか、

具体的な改善策も合わせて検討しましょう」

 

このケースでは、コンサルタントは社長の「賞与ゼロ」という厳しい意見を「受け入れて」います。

その上で「来季に向けて」と提案することで、前向きな姿勢に持っていこうとしています。

 

2. 経営者・幹部が実践すべき「使い分け」の極意

 

この二つの姿勢は、経営者やチームを率いる幹部の方々にとって、日々のマネジメントにおいて非常に重要な意味を持ちます。

 

(1) 社員や部下の声は、まず「受け止める」ことから始める

 

組織において、心理的安全性の高さは生産性やエンゲージメントに直結します。

社員や部下が安心して意見を言える環境を作るためには、

彼らの発言や不満やアイデアを「まずは否定せずに聴き切る」という姿勢が不可欠です。

たとえそれが、経営方針と異なる意見であっても、感情的な不満であっても、

まずは「そう感じているんだな」「そういう考え方もあるのか」と、

彼らの内面を理解しようと努めることが、彼らが「ちゃんと聴いてもらえた」と感じる第一歩です。

 

(2) 最終的な判断で「受け入れる」かどうかを決める

 

しかし、「受け止める」ことのすべてが「受け入れる」ことではありません。

組織のトップである経営者や幹部には、最終的な意思決定を下す責任があります。

すべての意見を受け入れてしまっては、経営判断がブレたり、

組織全体の方向性を見失ったりするリスクがあります。

 

社員や部下の意見を十分に受け止めた上で、

会社の理念・ビジョン、数字的な持続可能性、他の選択肢との比較など、多角的な視点から総合的に判断し、

最終的に「受け入れるかどうか」を決定することが重要です。

このプロセスこそが、リーダーシップの発揮される瞬間です。

 

3. 今日から実践!「受け止める」ための質問と「受け入れる」判断の視点

 

では、具体的にどのように実践していけば良いのでしょうか。

 

🔹 「受け止める」ための質問例

相手の言葉の奥にある意図や感情を引き出すために、以下のような質問が有効です。

  • 「なるほど、そう考えるようになった理由は、具体的に何ですか?」
  • 「そのとき、あなたはどんな気持ちでしたか?」「どんな思いでしたか?」
  • 「今の状況で、一番心配していることは何ですか?」

 

🔹 「受け入れる」判断の視点

社員や部下の意見を受け止めた上で、最終的に「受け入れるか否か」を判断する際には、以下の視点を参考にしてみてください。

  • 会社の理念・ビジョンに合致するか? 長期的な会社の方向性と一致しているか。
  • 数字的に持続可能か? コスト、収益、リソースなど、具体的な数字に基づいて実行可能か。
  • 他の選択肢と比べて最善か? 最も効果的で合理的な選択肢であるか。

 

4. まとめ:「受け止める」から始まる、信頼と成長のサイクル

 

「受け止める」とは、相手への理解と傾聴の姿勢です。「受け入れる」とは、その理解を基にした承認と決定の行動です。

経営者や幹部として組織を導く上で最も大切なのは、

社員や顧客の声に対して「いきなり受け入れるかどうか」を決めないことです。

まずは相手の意見や感情を「受け止め」、その背景と意図を深く理解しようと努める。

そして、その上で経営者としての責任と判断基準に基づき、「受け入れるか否か」を冷静に決定する。

 

この「受け止めてから受け入れる」というプロセスこそが、

組織内の信頼関係を強固にし、従業員のエンゲージメントを高め、

結果として売上アップや社員の自立性向上、定着率の増加を可能にする鍵となります。

「ちゃんと聴いてもらえた」という安心感が、次の建設的な意見を生み、それがまた組織の成長を促す。

このポジティブなサイクルを回し続けるために、今日からあなたの「聴く姿勢」に意識を向けてみませんか。

 

「心」も「体」も「聴く姿勢」が大切です!「こら! その体勢!」

 

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