2025.09.10ブログ
部下は「指示」では動かない。「問いかけ」で主体性を引き出す令和時代の新リーダーシップ
さて、昨日は現代の若者が求めている「相談型」の人材育成について
その基礎となる考え方を書きました。
本稿は実践編ですが、前回の記事では『信頼関係の構築が全ての土台である』という考え方について解説しました。
本稿だけでもご理解いただけますが、合わせてお読みいただくとより効果的です。
忙しいあなたへ。1分で読める要約文
現代の若手社員(20〜30代)は「納得感」を重視し、
一方的な指示ではなく目的を理解した上で自ら考えて動くことにやりがいを感じます。
彼らの主体性を引き出すには、マネジメントスタイルを「指示」から「対話」へとアップデートする必要があります。
その鍵となるのが「問いかけ」です。効果的な問いかけは、まず「感情」に触れることから始めます。
「この仕事は楽しい?」「不安はない?」といった感情への問いかけから入り、
次に「あなたならどうする?」という思考を促す質問へと進みます。この順序が重要です。
問いかけを職場文化として根付かせるための3ステップは:
1.部下の話を急かさず、まず3分間真剣に「聴く」
2.仕事の目的と基本ルールだけを伝え、手段は「任せる」
3.質問後、すぐに答えやアドバイスせず、相手の言葉を「待つ」
この「問いかけ」アプローチにより、若手社員の思考力が育ち、自発的な行動が増え、チーム内の信頼関係が深まります。
最初の一歩として、明日から「仕事は楽しい?」「どこから始められそう?」「改善点は?」といった問いかけを試してみましょう。
部下の表情の変化こそが、あなたのチームの未来を映す鏡です。
本文
【若手が動かない】「指示待ち部下」が自ら動き出す【問いかけ】の技術
「最近の若手は受け身で困る…」「もっと主体的に動いてほしいのに、言われたことしかやらない…」
多くの経営者や管理職が、このような悩みを抱えています。
しかし、それは本当に若手社員だけの問題なのでしょうか。
もしかすると、彼らに主体性がないのではなく、
あなたの職場に「主体性を発揮できる場」がないだけなのかもしれません。
なぜ、あなたの部下は「指示待ち」になってしまうのか?
かつては「背中を見て学べ」「言われたことを正確にやるのが仕事だ」という価値観が当たり前でした。
しかし、今の20〜30代は「納得感」を何よりも重視します。
一方的に命令されるのではなく、目的を理解し、
自分で考えて動くことにやりがいを感じる世代なのです。
つまり、これからのリーダーに求められるのは、
コミュニケーションのあり方を「指示」から「対話」へとアップデートすること。
その鍵こそが「問いかけ」なのです。
主体性を引き出す魔法のスイッチ、「問いかけ」とは?
会議などの場で、経験の少ない若手社員は
「こんなこと言ったら、なんて思われるだろう」「笑われるんじゃないだろうか」
という感情を抱いてしまいがちです。
ですから、決して否定せず、まずは全てを受け止める姿勢や空気を作りましょう。
「何を言っても、笑われないんだ」「経験の差抜きに、意見を聞いてもらえるんだ」
という安心感や信頼感の醸成はとても大切です。
その上で、部下に「やれ」と命令する代わりに、「考えるきっかけ」を渡します。
これだけで、若手社員や社内の空気は驚くほど変わります。
<問いかけの具体例>
- 「どうだい?この仕事(プロジェクト)、楽しい?」
- 「この仕事(プロジェクト)を進めるうえで、不安や悩みはない?」
- 「あなたなら、どんなやり方を試してみたい?」
- 「その方法がベストだと考えた理由は?」
こうした問いを投げかけることで、
部下は「自分の頭で考えていいんだ」「意見を持っていいんだ」と安心し、思考が回り始めます。
ここで、間違ってはいけないポイントは「話す順番」です
実は上の4つのセリフですが、適当に並べているわけではありません。
「楽しい」「不安」といったような「感情」を問うことから始めています。
ここがポイントの1つです。
昭和世代の私たちに対するマネジメントは「行動」に対するものでした。
私のサラリーマン時代でいうと
理由や意味も伝えられず「1日最低50件の飛び込みをしろ」と。
もちろん、大量行動は、成功へ近づくための手段の1つですから
それ自体は、決して間違っているわけではありません。
しかし、現代の人たちはそのような「体育会系」の教育を受けていません。
昭和世代と比べると「頭脳派」なのです。
とはいえ人間は理論や理屈だけでは、動きません。
「あの人、好み!」⇒「どうやったら話しかけれるだろう?」⇒「こうやってみよう!」
恋愛に限らず、ほぼ全ての行動は、このような流れで行われているはずです。
ですから、まずは「感情をマネジメントする」
実は、行動を起こしてほしければ、感情を動かすことが近道なのです。
「問いかけ」がもたらす3つの効果
1.思考力が育つ
2.自発的な行動が増える
3.チームの信頼が深まる
データも証明「採用」と同じくらい重要な「育成」という課題
中小企業基盤整備機構の調査(2025年3月発表)では、
人手不足の要因として「人材確保・採用(63.3%)」に次いで、
「人材育成(49.1%)」が挙げられています。
採用と同じかそれ以上に、「採用した人材をいかに育てるか」が、企業の未来を左右するのです。
【実践編】「問いの文化」を職場に根づかせる3つのステップ
では、具体的にどうすれば「問いの文化」は根付くのでしょうか。
明日から意識できる3つのステップをご紹介します。
ステップ1:『聴く』を選ぶ
部下が話し始めたら、結論を急がさずに、まず3分間、真剣に耳を傾けてみましょう。
ステップ2:『任せる』を決める
仕事の「目的」と「決まり」だけを明確に伝え、具体的な「手段」は本人に任せてみましょう。
ステップ3:『待つ』を習慣にする
問いを投げかけたら、すぐに答えやアドバイスをせず、
相手が自分の言葉で話し始めるのをじっと待ってみましょう。
「自分でやったほうが早い」という気持ちを一度、脇に置いてみてください。
待つ時間は、未来へのリターンが大きい「人への投資」と考えましょう。
お金もかからない、最高の投資ですよね。
経営者の覚悟が、若手の挑戦に火をつける
リーダーが「話す」ことよりも「聴く」ことを選び、
「教える」ことよりも「引き出す」ことを大切にする。
これは簡単なようで、実は大きな意識改革であり、決断です。
ましてや、はじめは双方とも違和感すら覚えますし、企業文化として根付くには
時間が必要となります。
しかし、この一歩を踏み出したリーダーのもとから、若い力が躍動し、未来が創られていきます。
最後に 〜あなたのチームを変えるための第一歩〜
この記事を読んで、何から始めればいいか迷うかもしれません。
まずは、以下の「3つの問い」の中から一つだけ選び、明日の朝礼や1on1で使ってみませんか?
- 「最近仕事は、楽しい?困っていることはないかい?」
- 「その問題、最初の一歩として、何から始められそう?」
- 「一度やってみてどうだった?どこか改善できそうなところないかな?」
そして、最後にあなた自身に問いかけてみてください。
あなたの「問いかけ」を聞くとき、部下はどんな表情をしていますか?
その表情こそが、あなたのチームの未来を映す鏡なのかもしれません。
この記事で紹介した問いかけは、あくまでチームを変える第一歩です。
あなたの組織に合わせた、より具体的な育成プランにご興味があれば、
トップページ右上より、お気軽にご相談ください。
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