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2026.01.27ブログ

褒めているのに逆効果?なぜ、あなたの言葉は届かないのか?

 

信頼を築く「承認のピラミッド」──アクセルとセーフティネットをつなぐ設計図

忙しい方へ:1分で読めるAI要約

  • 結論:言葉が届かない最大の理由は、相手の中に「信頼の土台」ができていないまま、いきなり“結果”を求めてしまうからです。
  • 解決策:「承認のピラミッド(存在→行動→結果)」の順に承認を積み上げると、応援も指摘もまっすぐ届きます。
  • ポイント:広い土台(存在承認)があるほど、アクセルの言葉(背中を押す)も、セーフティネットの言葉(支える)も機能します。

こんな経験はありませんか?

「良かれと思って声をかけたのに、相手が心を閉ざしてしまった」
「『頑張れ』と言えば言うほど、相手の顔が曇っていく」

これまでお話ししてきたように、言葉には2種類あります。

  • 人を前に押し出す アクセルの言葉(箱根駅伝・原監督)
  • 背中から支える セーフティネットの言葉(ソチ五輪・佐藤信夫コーチ)

そして今、その2つを結びつける「設計図」として紹介したいのが、
承認のピラミッドです。


1. 承認には「3つの階層」がある

結論:承認は「存在→行動→結果」の順に積み上げるほど、信頼が強くなる

承認には下から順に3つのステップがあります

① 存在承認(いちばん下の土台)

「あなたがここにいること」そのものを認める

  • 例:挨拶、感謝の一言、話をきちんと聴く、目を見てうなずく

② 行動承認(真ん中)

「やっていること・向き合い方」を認める

  • 例:努力、工夫、チャレンジ、プロセスへのコメント

③ 結果承認(頂点)

「出した成果」を認める

  • 例:目標達成、テストの点数、売上、優勝・合格

ここで大事なのは、ピラミッドの面積です。
一番広い土台である「存在」が安定しているからこそ、
その上に「行動」や「結果」がぐらつかずに積み上がります。


2. 「結果」から入るという、よくある間違い

結論:結果承認だけだと、相手は常に「不安」の中で動く

職場や家庭でよく起きるのは、ピラミッドが逆三角形になってしまう現象です

  • 結果を出したときだけ褒める
  • 結果が出ないと、存在価値がないかのような言葉になる

これでは土台が細すぎて、相手は常に
「失敗したら居場所がなくなる」という不安を抱えます。

そして、前回の記事

箱根駅伝・原監督に学ぶ~「頑張って」より効く応援言葉の正体~

で触れた
「全力で頑張っている人に『頑張って』が重く響く」のも、
存在や行動が十分に承認されていない状態で、
いきなり「結果」や「行動」を求めてしまっているからです。


3. 名コーチたちは、ピラミッドをどう使っていたか

ここからが本題です。
2つのエピソードを、この図に当てはめてみます。


① 佐藤信夫コーチの「助けに行くから」=究極の【存在承認】

ソチ五輪の浅田真央選手は、ショートで結果も行動も厳しい状況でした。
そこで佐藤コーチがかけた言葉は、

「大丈夫。何かあったら先生が助けに行くから」

これは技術でも結果でもなく、
「何があっても、私はあなたの味方だ」という、存在そのものへの承認です。

崩れかけたピラミッドの一番下を、もう一度太く塗り直した。
だからこそ、あの伝説のフリー演技につながったのではないでしょうか。


② 原監督の「楽しめ!ヒーローになれ!」=【行動・結果承認】への着火

一方、箱根駅伝の原監督の言葉は、

「ここから楽しめ、笑顔だぞ」
「お前、ヒーローになってくよ。ヒーローに」

という、行動と結果に火をつける言葉でした。

でもこれがプレッシャーではなく「ワクワク」になるのは、
日頃から存在と努力(行動)を徹底的に認めているからだと思われます。

土台が盤石だからこそ、頂点に向かうアクセルの言葉がまっすぐ届く。
ここに、承認のピラミッドの力がよく表れています。


4. 信頼の土台は「存在」と「行動」の承認でできる

私たちの日常で目に入りやすいのは、テストの点数や売上などの「結果」です。
だからこそ、意識して増やしたいのが下の二つ


存在承認のひと言(例)

  • 「今日も来てくれてありがとう」
  • 「いつもチームを支えてくれて、ありがとう」
  • 「元気な顔を見られてうれしいよ」

成果に関係なく、「ここにいていいんだ」と感じられる土台をつくります。

行動承認のひと言(例)

  • 「結果は惜しかったけど、あの工夫は素晴らしかったよ」
  • 「最後まで諦めずに取り組んでいたの、ちゃんと見ていたよ」
  • 「最初に手を挙げてくれたから、会議(教室)が動き出したよ」

結果が出ていなくても、
「やっていること」を見てくれている人がいる。
それが分かった瞬間、人は安心してチャレンジできます。

この2つが積み重なっている相手には、
厳しい「結果」の話をしても、それは「攻撃」ではなく
「成長の材料」として届くようになります。


5. あなたの承認は、どこに偏っているか?

ここで少し、振り返ってみましょう。

  • 最近かけた言葉は、「結果」「行動」「存在」のどれが多かったですか?
  • 「なんでできないの?」「またミスしてるね」と、結果ばかり見ていませんか?
  • 行動や存在を承認された経験が少ない人に、結果だけを求めていませんか?

もし「結果へのコメントがほとんどだな」と感じたら、
今日から意識して、存在と行動へのひと言を増やしてみてください。

その一言一言が、信頼のピラミッドの下の層を、
ゆっくりと、しかし確実に厚くしていきます。


おわりに:言葉は、土台の上にしか響かない

言葉は「種」のようなものです。
そして承認のピラミッドは、その種をまく「土壌」です。

どんなに素晴らしい応援の言葉も、
土壌が枯れていれば(=存在承認が不足していれば)、芽は出ません。

まずは、あなたの周りにいる大切な人の顔を一人思い浮かべてください。

  • 「存在」へのひと言
  • 「行動」へのひと言
  • そして最後に「結果」へのひと言

この三つを、心の中でそっと用意してみましょう。

その小さな一歩が、誰かにとっての
「原監督の一言」「佐藤コーチの一言」になるかもしれません。

そして気づけば、あなたの周りには、
言葉でつながった揺るがない信頼のピラミッドが立ち上がっているはずです。


FAQ(追記)

Q:承認のピラミッドで一番大事なのはどこ?

A:存在承認です。土台が太いほど、行動・結果の話も「攻撃」ではなく「応援」として届きます。

Q:甘やかすと結果を出さなくなるのでは?

A: 逆です。存在を認められている安心感があるからこそ、人は「失敗を恐れずに高い目標(結果)へ挑戦」できるようになります。

心理的安全性が高いチームほど、長期的には高い成果を出します。

Q:苦手な相手にどう「存在承認」をすればいいですか?

A: 感情を込める必要はありません。「おはよう」の挨拶や、相手が話している時に「手を止めて聴く」といった行動そのものが、強力な存在承認になります。

Q:財務改善の現場で、このピラミッドはどう機能しますか?

A: 資金繰りに苦しむ経営者は、自らを「結果が出ていないダメな人間だ」と否定しがちです。

まず「ここまで会社を守ってきた社長の歩み(存在・行動)」を全肯定することで、

初めて建設的な財務戦略(結果)の話を考えられるようになります。

Q:今日からできる最短の一歩は?

A:まずは 挨拶+感謝の一言(存在承認) を増やすことです。
「今日もありがとう」これだけで土台が変わり始めます。


  • 執筆者:佐藤保険事務所 代表(日本唯一のペップトーカー財務コンサルタント)
  • 資格:日本キャッシュフローコーチ協会認定 キャッシュフローコーチ
  • 日本ペップトーク普及協会 認定講師/問活(質問力)実践

 専門領域:資金繰り・財務改善/組織コミュニケーション/チームビルディング/言葉の選び方/

  • 更新日:2026年1月27日

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